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27話 メイド
マーサは次の日私の部屋に来てくれた。
結婚式の最終確認をしようとわたしの部屋にきたガイウスと一緒だった。
「お嬢様、久しぶりにお会いできて本当に嬉しいです。ちゃんと眠れていましたか?」
優しい声が、冷えかけていた胸をそっとなでてくれる。
「……マーサ。うん。どこでも寝られることがわたしの特技だから。会えて本当にホッとしたわ」
抱き合った腕が少し震える。心細さの中に小さなぬくもりが灯る。
ガイウスは控えめなのか、叩きつけるような強引さはない。
「全部決めてしまったけど、一応……何か気になることがあれば。今から大きくは変えられないが、最後の確認だけしようと思って」
ハリエルは資料にざっと目を通すが、獣人の文化が良くわかってないわたしに決められる感じもしなかった。
しいていうなら随分とオープンな感じで派手だなとは思った。
「そもそも今から変えられることなんて、ほとんど残っていないでしょう。私もこちらの慣習は詳しくないし」
「……それでも君のためだと思って選んだ。式の教義も、飾り付けも、人間の貴族向けの席も用意した」
ハリエルはうなずく。
「こないだ結婚式のこと勝手に決めてと怒ったけど正直わたしに決められることは少ないってわかってた。けどわたしに相談もなしにどんどん決められるのが嫌だっただけだから」
どこか肩の力が抜けた。
きっとこの男なりにわたしに歩み寄っているのだろう。
「そうね。せめてマーサも一緒に式場へ行けるようにお願いしてもいい?」
「わかった。今日からマーサは君のメイドに戻す。使用人用の席も一緒にしてある」
マーサがそっと微笑み、ハリエルも小さく「よかった」とつぶやく。
「細かいことを言い出したらきりがないけど……もう全部決まったものは、受け入れるしかなさそうね」
ガイウスが少し渋い顔で頷いた。
「できる限り君の居心地を考えたつもりだ。足りないところがあれば、次はもっと……」
ハリエルは静かに微笑む。
「結婚式の次ってなによ離婚でもする?このまま進めて。どうしても違和感あったら、その場でわたしが自分で言うから」
「それは困る!!離婚なんてしないからな!!」
焦ったように立ち上がって抗議するガイウスは面白かった。
「冗談よ」
「それから念の為いって奥が、獣人の中には、人間を見下すような態度を取る者もいる。何か少しでも困ったことがあれば、必ず俺や近くの侍女を呼ぶんだ。」
人間の貴族だって色々あるのだ。
獣人にだってそういうことがないわけがない。
「わかったわ。特に気をつけたほうが良いところとかある?」
「ならいい。それから君には馴染みがないと思うが、ファウスト家というのがうちの家と昔から仲が悪い。土地争いやらが発端の古い因縁があってな。式だから招待したが、正直いい顔はされないはずだ」
「そういうのは正直得意だから任せて。貧乏貴族でも王都の社交界を生き抜いてきたんですもの」
「あまり無理はしないでくれ。できる限り俺も守るから」
ガイウスの真剣な声に、少しだけ、胸の奥が安心でほぐれた。
虚勢を張ったが不安も残る。
マーサはそんな私の肩にそっと手を置く。
「どんなことがあっても、わたしはお嬢様の味方です。侍女たちとも準備のお守り、持ってきました。ラベンダーは静かな勇気、ミモザはひそかな友情。お嬢様がどんな場面でも、自分の心を守れますように願ってます」
ルミナや侍女たちが、小さな花束や手書きのカードを渡してくれる。
「お嬢様、何があったら、すぐに私たちを呼んでくださいね」
ルミナが優しくブレスレットを付けてくれる。
「ありがとう。あなたたちがいてくれたら、きっと私は大丈夫」
ラベンダーの香りが力強く私を包み込み、わたしの不安を和らげてくれた。
結婚式の最終確認をしようとわたしの部屋にきたガイウスと一緒だった。
「お嬢様、久しぶりにお会いできて本当に嬉しいです。ちゃんと眠れていましたか?」
優しい声が、冷えかけていた胸をそっとなでてくれる。
「……マーサ。うん。どこでも寝られることがわたしの特技だから。会えて本当にホッとしたわ」
抱き合った腕が少し震える。心細さの中に小さなぬくもりが灯る。
ガイウスは控えめなのか、叩きつけるような強引さはない。
「全部決めてしまったけど、一応……何か気になることがあれば。今から大きくは変えられないが、最後の確認だけしようと思って」
ハリエルは資料にざっと目を通すが、獣人の文化が良くわかってないわたしに決められる感じもしなかった。
しいていうなら随分とオープンな感じで派手だなとは思った。
「そもそも今から変えられることなんて、ほとんど残っていないでしょう。私もこちらの慣習は詳しくないし」
「……それでも君のためだと思って選んだ。式の教義も、飾り付けも、人間の貴族向けの席も用意した」
ハリエルはうなずく。
「こないだ結婚式のこと勝手に決めてと怒ったけど正直わたしに決められることは少ないってわかってた。けどわたしに相談もなしにどんどん決められるのが嫌だっただけだから」
どこか肩の力が抜けた。
きっとこの男なりにわたしに歩み寄っているのだろう。
「そうね。せめてマーサも一緒に式場へ行けるようにお願いしてもいい?」
「わかった。今日からマーサは君のメイドに戻す。使用人用の席も一緒にしてある」
マーサがそっと微笑み、ハリエルも小さく「よかった」とつぶやく。
「細かいことを言い出したらきりがないけど……もう全部決まったものは、受け入れるしかなさそうね」
ガイウスが少し渋い顔で頷いた。
「できる限り君の居心地を考えたつもりだ。足りないところがあれば、次はもっと……」
ハリエルは静かに微笑む。
「結婚式の次ってなによ離婚でもする?このまま進めて。どうしても違和感あったら、その場でわたしが自分で言うから」
「それは困る!!離婚なんてしないからな!!」
焦ったように立ち上がって抗議するガイウスは面白かった。
「冗談よ」
「それから念の為いって奥が、獣人の中には、人間を見下すような態度を取る者もいる。何か少しでも困ったことがあれば、必ず俺や近くの侍女を呼ぶんだ。」
人間の貴族だって色々あるのだ。
獣人にだってそういうことがないわけがない。
「わかったわ。特に気をつけたほうが良いところとかある?」
「ならいい。それから君には馴染みがないと思うが、ファウスト家というのがうちの家と昔から仲が悪い。土地争いやらが発端の古い因縁があってな。式だから招待したが、正直いい顔はされないはずだ」
「そういうのは正直得意だから任せて。貧乏貴族でも王都の社交界を生き抜いてきたんですもの」
「あまり無理はしないでくれ。できる限り俺も守るから」
ガイウスの真剣な声に、少しだけ、胸の奥が安心でほぐれた。
虚勢を張ったが不安も残る。
マーサはそんな私の肩にそっと手を置く。
「どんなことがあっても、わたしはお嬢様の味方です。侍女たちとも準備のお守り、持ってきました。ラベンダーは静かな勇気、ミモザはひそかな友情。お嬢様がどんな場面でも、自分の心を守れますように願ってます」
ルミナや侍女たちが、小さな花束や手書きのカードを渡してくれる。
「お嬢様、何があったら、すぐに私たちを呼んでくださいね」
ルミナが優しくブレスレットを付けてくれる。
「ありがとう。あなたたちがいてくれたら、きっと私は大丈夫」
ラベンダーの香りが力強く私を包み込み、わたしの不安を和らげてくれた。
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