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50話 劣情
「お前は全部、俺だけのものだ」
その吐息混じりの囁きが、髪に触れる。
私は何も言い返せなかった。ただ、胸の奥に、抗いがたい切なさが波のように広がる。
ガイウスは私をそっと抱き上げた。
片腕が背中を支え、もう片方の手が膝裏を滑る。
大柄な体に引き寄せられ、私は自然と頭を彼の肩に預けてしまい、重力さえ彼に預けてしまった。
「離して」
そう口にしてみても、声はどこか上ずって、説得力に欠けている。
彼は黙ったまま、寝室までの廊下を歩く。
柔らかな照明の下、従者たちの気配もほとんど消え、遠くでオットーの話し声すら夢のように薄れてゆく。
この場所——初夜以来、私が「入らないで」と言いきかせていた部屋。
ガイウスは迷いなく扉を開け、私をそっとベッドへ降ろす。
重たい沈黙。
私は身じろぎもできず、シーツの感触に指を埋める。
その瞳は、苦しくなるほど切実で必死だったが。欲望も感じるギラついた瞳だった。
「ガイウス……」
ガイウスは、そっと膝をついて私の前に跪く。
大きな体躯が、夜の静寂に沈み込むように私を見上げるその仕草は、普段の強引さや威圧感とは違う、どこか幼く、ただ一途な求愛者の姿だった。
ベッドの端に降ろされた私は、逃げられない揺らぎの中で、シーツを握りしめて彼の視線を受け止める。
月明かりが二人の間に銀色のヴェールを敷いて、ガイウスの瞳だけが輝き、私の輪郭をなぞっている。
彼は私の足先にそっと顔を寄せる。
息を整えるように、足首に軽くキスを落とし、そのまま指の付け根、甲、足の甲へと、一点一点、惜しむように唇を這わせていく。
「全部、お前が欲しいんだ――ハリエル」
その囁きが、足元から体に染み渡る。
忠誠を誓うかのようなキスはくるぶしから膝、太ももへと、ひとつひとつ階段をのぼるように熱を帯びていく。
私の肌は彼の体温にゆっくり染まり、指先も膝の裏も、すべてが自分のものではなくなる瞬間が、心の奥に走る。
「俺を見て。ハリエル……逃げても、怖がっても、構わない……それでも、俺を拒絶しないでくれ」
ガイウスは切なく懇願しながら、太ももに熱いキスを落とす。
一度確かめるように唇を押し当て、そのあとすぐに、じゅっと音をたてながら赤い痕をつけた。
そのたびにハリエルの呼吸が細く高くなり、太腿の根元まで芽立つ感覚が這い上がる。
「……っん♡もうやだ……」
ガイウスは返事のかわりに、ゆっくりと両手でハリエルの膝を割り開いた。
恥じらいで顔を覆おうとした手を、彼の大きな掌がそっと包む。
「何も隠さなくていい。全部、見せて。お前の、心も、身体も」
彼の舌が、膝の内側、太腿へと這い上がった。
どこまでも慎重で、しかし遠慮のない熱が、花弁に宿る湿り気を探し当てる。
薄い下着の上から、優しく唇で吸われ、濡れそぼった布ごしに舌先が愛撫を加える。
「……っん、やっ、ガイウス、そんな……あっ♡……んっ♡……ふぅ゛うっ♡ふぁん♡」
断ち切るような抗いも、すぐに甘く溶かされる。
「あっ♡……っん♡」
太腿の付け根に小さく歯を立てられ、ぞわぞわとした痺れが全身へ駆け上がる。
「ふぁ♡……っん♡……ァア、んっ!! んんッあ、はぁ……っ……」
彼はゆっくりと下着のリボンを解き、慎重に花の奥へと口を添えた。
温かな舌と冷たい吐息が、花弁の奥、最も敏感な芯を執拗に舐め上げる。
「……や、あっ♡……も、やめて……ん♡だめぇっ♡」
懇願する声とは裏腹に、身体は素直に震え、背中が弓のように持ち上がる。
ガイウスは一度たりとも目をそらさず、ハリエルの顔、喘ぎ、潤んだ瞳を見つめながら、ねっとりとした舌使いで彼女を責め続けた。
「お前の全部が好きだ。どこを見ても、どれだけ味わっても、足りない」
限界まで高められた快感に、声にならない吐息が宙に溶ける。
「……っは♡はぁ♡……ふぁ♡うっはぁっ♡……ぁぁ♡あっんあっ♡う、うぅ゛う!」
囁きも甘く掠れる。
丁寧に唇を拭い、今度はベッドの上にそっと這い上がった。
「……もう大丈夫そうだな。いっぱいイケてえらいぞ。ハリエル」
褒めるようにキスをされ、彼の大きな舌が私の口内を蹂躙し、私から呼吸を奪った。
「……っん♡……はぁぁ♡」
「……はぁ……可愛い。……怖くないからな」
そういった身体を重ね、彼の熱が、硬さが、柔らかな花園へゆっくりと押し当てられる。
その吐息混じりの囁きが、髪に触れる。
私は何も言い返せなかった。ただ、胸の奥に、抗いがたい切なさが波のように広がる。
ガイウスは私をそっと抱き上げた。
片腕が背中を支え、もう片方の手が膝裏を滑る。
大柄な体に引き寄せられ、私は自然と頭を彼の肩に預けてしまい、重力さえ彼に預けてしまった。
「離して」
そう口にしてみても、声はどこか上ずって、説得力に欠けている。
彼は黙ったまま、寝室までの廊下を歩く。
柔らかな照明の下、従者たちの気配もほとんど消え、遠くでオットーの話し声すら夢のように薄れてゆく。
この場所——初夜以来、私が「入らないで」と言いきかせていた部屋。
ガイウスは迷いなく扉を開け、私をそっとベッドへ降ろす。
重たい沈黙。
私は身じろぎもできず、シーツの感触に指を埋める。
その瞳は、苦しくなるほど切実で必死だったが。欲望も感じるギラついた瞳だった。
「ガイウス……」
ガイウスは、そっと膝をついて私の前に跪く。
大きな体躯が、夜の静寂に沈み込むように私を見上げるその仕草は、普段の強引さや威圧感とは違う、どこか幼く、ただ一途な求愛者の姿だった。
ベッドの端に降ろされた私は、逃げられない揺らぎの中で、シーツを握りしめて彼の視線を受け止める。
月明かりが二人の間に銀色のヴェールを敷いて、ガイウスの瞳だけが輝き、私の輪郭をなぞっている。
彼は私の足先にそっと顔を寄せる。
息を整えるように、足首に軽くキスを落とし、そのまま指の付け根、甲、足の甲へと、一点一点、惜しむように唇を這わせていく。
「全部、お前が欲しいんだ――ハリエル」
その囁きが、足元から体に染み渡る。
忠誠を誓うかのようなキスはくるぶしから膝、太ももへと、ひとつひとつ階段をのぼるように熱を帯びていく。
私の肌は彼の体温にゆっくり染まり、指先も膝の裏も、すべてが自分のものではなくなる瞬間が、心の奥に走る。
「俺を見て。ハリエル……逃げても、怖がっても、構わない……それでも、俺を拒絶しないでくれ」
ガイウスは切なく懇願しながら、太ももに熱いキスを落とす。
一度確かめるように唇を押し当て、そのあとすぐに、じゅっと音をたてながら赤い痕をつけた。
そのたびにハリエルの呼吸が細く高くなり、太腿の根元まで芽立つ感覚が這い上がる。
「……っん♡もうやだ……」
ガイウスは返事のかわりに、ゆっくりと両手でハリエルの膝を割り開いた。
恥じらいで顔を覆おうとした手を、彼の大きな掌がそっと包む。
「何も隠さなくていい。全部、見せて。お前の、心も、身体も」
彼の舌が、膝の内側、太腿へと這い上がった。
どこまでも慎重で、しかし遠慮のない熱が、花弁に宿る湿り気を探し当てる。
薄い下着の上から、優しく唇で吸われ、濡れそぼった布ごしに舌先が愛撫を加える。
「……っん、やっ、ガイウス、そんな……あっ♡……んっ♡……ふぅ゛うっ♡ふぁん♡」
断ち切るような抗いも、すぐに甘く溶かされる。
「あっ♡……っん♡」
太腿の付け根に小さく歯を立てられ、ぞわぞわとした痺れが全身へ駆け上がる。
「ふぁ♡……っん♡……ァア、んっ!! んんッあ、はぁ……っ……」
彼はゆっくりと下着のリボンを解き、慎重に花の奥へと口を添えた。
温かな舌と冷たい吐息が、花弁の奥、最も敏感な芯を執拗に舐め上げる。
「……や、あっ♡……も、やめて……ん♡だめぇっ♡」
懇願する声とは裏腹に、身体は素直に震え、背中が弓のように持ち上がる。
ガイウスは一度たりとも目をそらさず、ハリエルの顔、喘ぎ、潤んだ瞳を見つめながら、ねっとりとした舌使いで彼女を責め続けた。
「お前の全部が好きだ。どこを見ても、どれだけ味わっても、足りない」
限界まで高められた快感に、声にならない吐息が宙に溶ける。
「……っは♡はぁ♡……ふぁ♡うっはぁっ♡……ぁぁ♡あっんあっ♡う、うぅ゛う!」
囁きも甘く掠れる。
丁寧に唇を拭い、今度はベッドの上にそっと這い上がった。
「……もう大丈夫そうだな。いっぱいイケてえらいぞ。ハリエル」
褒めるようにキスをされ、彼の大きな舌が私の口内を蹂躙し、私から呼吸を奪った。
「……っん♡……はぁぁ♡」
「……はぁ……可愛い。……怖くないからな」
そういった身体を重ね、彼の熱が、硬さが、柔らかな花園へゆっくりと押し当てられる。
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