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61話 変化した態度
あれから私は、ほんの少しだけガイウスへの態度を変えた。
今まで閉じ込めてきたガイウスの何もかもが気に入らず反抗していたが、呼ばれたら素直に返事をし、ケーキのときみたいに軽い我儘を言うようにした。
「ガイウス、今日は一緒にお茶飲んでくれる?」
「寒いから少しだけ寄り添っててもいい?」
そんな小さいこと……
最初はこっちも気恥ずかしくて、内心イライラもしたけど――
思った以上に、彼はその態度に弱く、デレデレしていて、そんなことを重ねていくうちに、彼の態度が少しずつ軟化していった。
「あのね……少しだけ、お願いがあるのだけれど……聞いてもらえないかしら?」
わざと、消え入りそうな声で。少しだけ潤んだ瞳で、彼を見上げる。私にだって、これくらいの演技はできる。
「お願い?なんだ、言ってみろ。お前の頼みなら、なんだって聞く」
ガイウスは途端に上機嫌になり、私の隣に膝をついて、その大きな手で私の手を包み込んだ。
「ずっと部屋にこもっていたから……少しだけ、お庭の空気が吸いたいの。お日様の光を、浴びたい……」
彼の顔が、一瞬固まる。外に出たいという言葉に、また警戒心が芽生えたのだろう。
それでも今までの態度が功を奏したのだろう。ガイウスと一緒であれば庭までは出してくれるようになった。
「わかった。庭に出てもいい。ただし、俺が一緒だ」
「ほんとに?ありがとう、ガイウス」
心底嬉しそうなその顔。
ガイウスに媚を売った結果だけれども最初の関門をクリアしたことに、私は満足げに微笑む。
その日から最初はガイウスと一緒じゃないと出してくれなかったのが敷地内であれば一人でも許されるようになり、久しぶりに外の光と風を浴びて庭のベンチに腰を下ろした。
その時、マーサが紅茶を淹れてきてくれて、私は思わず涙が出そうになった。
「お嬢様、本当に……やつれてしまわれて」
「もう、大丈夫よマーサ。元気だもの。少なくとも前よりは、ね」
二人きりになった途端、マーサは顔を曇らせ、低い声で囁いた。
「旦那様に、こんな目に遭わされて……私、見ていられません」
私は紅茶のカップを揺らしながら、少しだけ微笑む。
「もうね、私も色々と諦めがついたの。逃げたり戦うより、使えるものは使って生き残ることにしたのよ」
「……お嬢様?」
「ガイウスの独占とか執着とか、いくら嫌がったって変わらない。だったらもいっその事、私が主導権握って、欲しい物も自由も、できるだけ引き出すつもり。愛されて苦しいなら、その愛を徹底的に利用してやるわ」
マーサは絶句して私を見る。
「お嬢様……それ、大丈夫なんですか?あの方、ほんとうに普通じゃないですよ」
私はきっぱりうなずいた。
「分かってる。でも、それぐらいクズならこっちも罪悪感持たずにすむもの。 この先、あの男と生きていかなきゃならないなら……せめて好きな物くらい全部自分の手でつかんでやる」
マーサは、ほろ苦そうにそれでも私の肩を抱いた。
「……お嬢様はお強くなられましたね。少し頼もしくも見えます」
それから、二人でしばらく紅茶を啜った。
遠くでガイウスが、こちらを伺うように不安げな目を向けていた。
(大丈夫よ。私は、これからあなたを思い切り利用してやる。だからせいぜい、溺愛してくれればいい)
私はカップの茶を飲み干して、ひそかにそう宣言した。
今まで閉じ込めてきたガイウスの何もかもが気に入らず反抗していたが、呼ばれたら素直に返事をし、ケーキのときみたいに軽い我儘を言うようにした。
「ガイウス、今日は一緒にお茶飲んでくれる?」
「寒いから少しだけ寄り添っててもいい?」
そんな小さいこと……
最初はこっちも気恥ずかしくて、内心イライラもしたけど――
思った以上に、彼はその態度に弱く、デレデレしていて、そんなことを重ねていくうちに、彼の態度が少しずつ軟化していった。
「あのね……少しだけ、お願いがあるのだけれど……聞いてもらえないかしら?」
わざと、消え入りそうな声で。少しだけ潤んだ瞳で、彼を見上げる。私にだって、これくらいの演技はできる。
「お願い?なんだ、言ってみろ。お前の頼みなら、なんだって聞く」
ガイウスは途端に上機嫌になり、私の隣に膝をついて、その大きな手で私の手を包み込んだ。
「ずっと部屋にこもっていたから……少しだけ、お庭の空気が吸いたいの。お日様の光を、浴びたい……」
彼の顔が、一瞬固まる。外に出たいという言葉に、また警戒心が芽生えたのだろう。
それでも今までの態度が功を奏したのだろう。ガイウスと一緒であれば庭までは出してくれるようになった。
「わかった。庭に出てもいい。ただし、俺が一緒だ」
「ほんとに?ありがとう、ガイウス」
心底嬉しそうなその顔。
ガイウスに媚を売った結果だけれども最初の関門をクリアしたことに、私は満足げに微笑む。
その日から最初はガイウスと一緒じゃないと出してくれなかったのが敷地内であれば一人でも許されるようになり、久しぶりに外の光と風を浴びて庭のベンチに腰を下ろした。
その時、マーサが紅茶を淹れてきてくれて、私は思わず涙が出そうになった。
「お嬢様、本当に……やつれてしまわれて」
「もう、大丈夫よマーサ。元気だもの。少なくとも前よりは、ね」
二人きりになった途端、マーサは顔を曇らせ、低い声で囁いた。
「旦那様に、こんな目に遭わされて……私、見ていられません」
私は紅茶のカップを揺らしながら、少しだけ微笑む。
「もうね、私も色々と諦めがついたの。逃げたり戦うより、使えるものは使って生き残ることにしたのよ」
「……お嬢様?」
「ガイウスの独占とか執着とか、いくら嫌がったって変わらない。だったらもいっその事、私が主導権握って、欲しい物も自由も、できるだけ引き出すつもり。愛されて苦しいなら、その愛を徹底的に利用してやるわ」
マーサは絶句して私を見る。
「お嬢様……それ、大丈夫なんですか?あの方、ほんとうに普通じゃないですよ」
私はきっぱりうなずいた。
「分かってる。でも、それぐらいクズならこっちも罪悪感持たずにすむもの。 この先、あの男と生きていかなきゃならないなら……せめて好きな物くらい全部自分の手でつかんでやる」
マーサは、ほろ苦そうにそれでも私の肩を抱いた。
「……お嬢様はお強くなられましたね。少し頼もしくも見えます」
それから、二人でしばらく紅茶を啜った。
遠くでガイウスが、こちらを伺うように不安げな目を向けていた。
(大丈夫よ。私は、これからあなたを思い切り利用してやる。だからせいぜい、溺愛してくれればいい)
私はカップの茶を飲み干して、ひそかにそう宣言した。
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