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67話 両親への反抗
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両親がアスータから訪ねてきて数日。
両親の顔を見るたび、私は胃の奥がじわりと冷たくなった。
義母は自分の保身ばかり考え、父は家の名誉と金のことしか目にない。
少し口を開けば「ガイウス卿の妻としてアスータの貴族家があることは大切なのだから支援しなさい」だの「お前があの獣人閣下にお願いすればいくらでも金を引き出せるはずだ。娘ならばそれくらいやれ」など耳障りなことばかり言う両親に辟易していた。
今までなら黙って耐えていた。
けれど今はもう私はエヴァンス家の娘ではない。受け入れてやる義理もない。
私はドレスの裾を握りしめて、ガイウスの部屋を訪れた。
「ガイウス、ちょっといいかしら?」
彼はすぐに机から立ち上がり、私の前に膝をついて見上げる。
「どうした、ハリエル。何でも言ってくれ」
私はため息ひとつで、両親の話をざっくりとぶちまける。
「両親が、もう本当にムカつくの。保身と金のことしか考えてない。家族だなんて呼ぶのも嫌なくらいよ。オットー以外は、全部いらない」
ガイウスは少し戸惑った顔で静かにうなずく。私の感情がいつも通りではないことを察して、慎重に様子を窺っている。
「それで、どうしてほしい?」
私は一歩、堂々と彼に近づいて正面から言い切る。
「両親にお灸をすえてほしいの……ガイウス。あなたなら何とかできるでしょう?」
私は冷ややかに、ほんの少しだけ皮肉な笑みを浮かべた。
「このまま好き放題させてたら、私のことを金づるだと思って利用されるだけだわ。そんなの嫌なの……」
少し甘えるように涙ぐみながら言った。
するとガイウスは少し考えるように眉を寄せた。そして、不意にその大きな手で私の手を包み込んでくる。
「……分かった。君に辛い思いをさせる奴らには“痛み”をしっかり味わわせる。方法は俺が考える――後悔はしないな?」
「そうね。オットーに迷惑にならないようにやってちょうだい。できるでしょ?」
こんな決意、昔は持てなかった。それに他人の力を利用してこんなことするなんて考えられない。
それでももう私は変わってしまったんだ。
「必ず叶えてみせる。少し待っていてくれ」
その言葉と、ガイウスの冷静な獣の微笑みに、私は胸の底から本当にスッとする気持ちになった。
「……ありがとう、ガイウス。あなたには期待してる」
オットーに対して両親はそこまで悪い親ではなかったから少しだけ罪悪感がよぎる。
(それでも私のことを散々蔑ろにしてきたんだからこれくらい良いわよね)
私がすることはオットーの未来を邪魔することかもしれないが、それでも彼の人生が少しでも明るくなることだけを祈っていた。
両親の顔を見るたび、私は胃の奥がじわりと冷たくなった。
義母は自分の保身ばかり考え、父は家の名誉と金のことしか目にない。
少し口を開けば「ガイウス卿の妻としてアスータの貴族家があることは大切なのだから支援しなさい」だの「お前があの獣人閣下にお願いすればいくらでも金を引き出せるはずだ。娘ならばそれくらいやれ」など耳障りなことばかり言う両親に辟易していた。
今までなら黙って耐えていた。
けれど今はもう私はエヴァンス家の娘ではない。受け入れてやる義理もない。
私はドレスの裾を握りしめて、ガイウスの部屋を訪れた。
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「両親が、もう本当にムカつくの。保身と金のことしか考えてない。家族だなんて呼ぶのも嫌なくらいよ。オットー以外は、全部いらない」
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「それで、どうしてほしい?」
私は一歩、堂々と彼に近づいて正面から言い切る。
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私は冷ややかに、ほんの少しだけ皮肉な笑みを浮かべた。
「このまま好き放題させてたら、私のことを金づるだと思って利用されるだけだわ。そんなの嫌なの……」
少し甘えるように涙ぐみながら言った。
するとガイウスは少し考えるように眉を寄せた。そして、不意にその大きな手で私の手を包み込んでくる。
「……分かった。君に辛い思いをさせる奴らには“痛み”をしっかり味わわせる。方法は俺が考える――後悔はしないな?」
「そうね。オットーに迷惑にならないようにやってちょうだい。できるでしょ?」
こんな決意、昔は持てなかった。それに他人の力を利用してこんなことするなんて考えられない。
それでももう私は変わってしまったんだ。
「必ず叶えてみせる。少し待っていてくれ」
その言葉と、ガイウスの冷静な獣の微笑みに、私は胸の底から本当にスッとする気持ちになった。
「……ありがとう、ガイウス。あなたには期待してる」
オットーに対して両親はそこまで悪い親ではなかったから少しだけ罪悪感がよぎる。
(それでも私のことを散々蔑ろにしてきたんだからこれくらい良いわよね)
私がすることはオットーの未来を邪魔することかもしれないが、それでも彼の人生が少しでも明るくなることだけを祈っていた。
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