食育される受付坊ちゃん

夏瀬カグラ

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4章 受付坊ちゃん、事件を嗅ぎ付ける

01 お仕事に慣れ始めました

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「ようこそ、スピリスト冒険者ギルドへ。ご用件をどうぞ」
「おっ、サマになってきたんじゃないか? チカちゃんよぉ」
「はい、おかげ様で。ラルフ様ならば、このクエストがおすすめとなります」

「おはよう、チカちゃん。今日も可愛いね」
「お褒めに預かりありがとうございます、ネオン様。クエストお疲れ様です」

 さて、なんだかんだで2週間が経過した。
 最初の1週間に起こった、怒涛の事件に比べたらなんと平和なことか。

 受付嬢(坊ちゃん)の仕事も、順調そのもの。

 先ほどのやり取りを見ていただいた通り、ちゃんと接客ができているからね、僕。
 この世界の文字も読めるようになったし、少しずつクエストを紹介したりもできるし。
 うんうん、我ながらちゃんと成長できている。

 ……の、だけれども。

 今の僕は、とある問題を抱えている。

「チカ、お昼休みがもうすぐだよな。一緒に食べよう」
「リベール様、クエストを受注しやがれ(意訳:ちゃんと国の重要案件やってる!?)」
「後で受けるよ(意訳:ちゃんと動いてるって)」

「オイコラ、リベールてめぇ! 当たり前のように受付嬢を口説くな!」

 あ、リベールの後ろで待っている冒険者さんが叫んだ。
 同時にこだまするブーイング。

 うん、なんか妙な光景を毎日作って、本当にごめんなさい。

「……リベールゥー?」
「騒ぎたい奴は、騒がせておけばいい。そうだろ? チカ」

 僕vsリベールによる、ギルマスさんたち曰く『しょーもない』戦いである。

 片や、僕の馬鹿舌をなんとかしたいリベール。
 片や、その立場や国の危機があるんだから、構わないで当たってくれという僕。

「……そこまで、しょーもない戦いじゃないはずなんだけど」
「チカ? また急に何を考え込んだかは想像つくけど、声に出ているぞ」
「うぇええ!? えっと、すみません」
「あっははは。うん、そういうところも可愛いよな、チカは」

「おーい、リベール! マジでクエスト受注せずにイチャつくだけなら、どけよ!」

 再び、彼の後ろに並んでいる冒険者さんたちからブーイング。
 僕は深呼吸して

「リベール様。クエストを受けられないのなら……!」

 頑張って注意しようとした、その時だった。

 ―――キーンコーン、キーンコーン

 お昼を告げる、冒険者ギルドの鐘が鳴り響いた。
 同時に、バラバラとはけていく皆さん。

「……ああああああ!」
「3秒ほど、遅かったな」

 残ったのは、僕、リベール、同僚の受付嬢たち。
 ああもう、死にたい。

「というわけで、はいこれ。今日はオムライスだ」
「わ、わあい……」

 違う。そうじゃない。
 食育はいいよ、まだ。
 リベールのご飯は美味しいし!

 そうじゃなくて!

「お願いだから、僕のことより別のことをー!」
「そう思うなら、一緒に外で食べないか?」
「人の話を聞いてないし!」

 理由を聞いていこう、妙にリベールの押しが強い。
 遠慮がなくなったというか。
 なんだろう、喋ってすっきりしちゃったせいなのかな。

 とにもかくにも、本当に、毎食、僕と一緒に食べようとする。

「1日1食!」
「3食」
「1!」
「3」

「おーい、うるさいよーそこのバカップルー」
「……早くご飯、いってきたほうがいい」
「お昼休み終わるまではかえってきてねぇ~」

 僕らの言い合いに横やりを入れてきたのは、受付嬢の先輩たち。
 通称、かしまし3姉妹。
 実はギルマスさんの実子たちである。

 ……マジで? と、素直に言ったら3人に背中を同時に叩かれたんだよね。

 アレは痛かった。
 全力だったから、余計に。

「はぁ……それで、どこで食べる?」
「実はだな、ある場所に食べに行こうかなと」
「うえ!? 外食!?」

 突然のことに、僕は思わず驚く。
 すると、彼は申し訳なさそうな表情でうなずく。

 こう見ると、ちょっとだけ子犬っぽい雰囲気をかもしだすな、この人。

「あのさ、笑わないで欲しいんだけど……」
「うん」

「オレ、甘いものが好きだけど嫌いでさ」

「うん………うん……?」

 なんか、おかしい単語が聞こえてこなかったかな?

「で、ちょっと行きたい甘いものの店があるから、その、付き合って欲しい」
「脳がバグる」
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