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4章 受付坊ちゃん、事件を嗅ぎ付ける
04 密会は騎士団長様の自宅にて
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夜。
仕事を終えた僕は、リベールと一緒にとある場所を訪れていた。
「えっと、本日はお招きいただきありがとうございます」
「お気になさらず。どうぞ、お入りください」
騎士団長さんの自宅である。
あのあと、お招きされたんだよね、僕とリベール。
しかし、てっきり、騎士団の敷地内に自宅があるのかと思ったけど……
(こんな郊外にひっそりと。隠れ家と言った方が、まだわかるような)
ここから毎日出勤とか、大変そうである。
そう思いながら、案内されたのは広く生活感のある部屋。
多くの本と大量の書類が重なった机、ベッドと……
「えーっと、団長さんの自室?」
「はい、そうですよ」
さらりと肯定!?
普通こういう時は、広めのリビング的な場所とかに通すんじゃ。
「よぅ、遅かったな、お二人さん。イチャついてたのかよ」
「アフェク!?」
しかも、なんでアフェクまでここにいるの!?
「本日の会議メンバーも集まりました。この先の進行は年長者に任せましょうか」
「ディル。なんでそこでオレに手放しで投げるんだ」
団長なんだから、ちゃんとしろ。
と、リベールが注意をする。
……が、その口調と言い回しは、完全に弟への対応、それである。
「アフェク、アフェク。騎士団長さんはやっぱりご兄弟?」
「そうだぜ。ちなみに第3な」
にしてもさ、リベールたち兄弟はいろんな場所で活動しているけど。
騎士団長さんは、王道も王道な場所にいるよね。
冒険者(仮にも第一王子)と、盗賊(仮にも第二王子)がおかしいのかも。
「というか、このメンバーが集まったってことは……」
「全員、注目」
どうやら決着がついた模様。
リベールは軽く手を叩きつつ、僕らの視線を集めた。
僅かだけど、室内の空気がピリつく。
「では、例の泥棒についての件での緊急対策会議を開始する」
やっぱり……!
この国で起こっている、人とモンスターの融合による兵器化問題。
さっきの騒ぎは、それに関することだったのか。
あれ? でもさ。
「はい! 質問いいかな、リベール」
「なんだ、チカ」
「白昼堂々と、国の大問題に関する事件を起こすのはおかしいと思います」
この件は、相当デリケートな内容だ。
だからこそ、リベールたちが身分を隠しつつ動いているわけだし。
「その通りですチカ嬢。だからこそ、まずい状況に陥っている可能性が高い、ということになりますね」
「まずい、って?」
「どの時代にも、なりふり構わない状況というのは、実に厄介。っていうわけさ」
アフェクが呆れ顔で口を開く。
「さて、盗賊界隈からの情報を言うぞ。近いうちに、第二次大規模異世界召喚が行われる」
第二次……って
「第一次もあったの!?」
「チカ、思い出してくれ。この国でかつて食文化がひどかったことを」
うん、それは大丈夫。
……なんだけど。
えっと、あのさ、その情報と今の単語。
それから今日あった違和感と……ここ最近になって気づいた、僕の世界と同じ料理の数々。
「まさか、その第一次で人と一緒に、異世界の文化が大量に流れ込んだってこと!?」
「正解だ。結果、良い面もあったが、悪い面もあった」
その1つが、食文化の崩壊。
味の変化と、その末に起こった生活習慣病だ。
他にも、今日行った店にあったテイクアウトとかも、まさにそれ!
「僕の世界が申し訳ありません、いろいろと!」
いきなり味の濃いジャンクフードやら、スイーツが雪崩れ込めばそうだよね。
でもって、物珍しさからみんな飛びつくよ。
僕だってきっと、同じことをしただろうし。
「食文化などに関する副次効果は気にしなくていいですよ。むしろ謝罪すべきは私たちの方でしょうし」
「……と、いうと?」
「お前さ、この国に来て1週間以上生活しているけど、出会ったことないだろ。同郷のヤツと」
アフェクの言葉で、気づく。
そうか、そうだよ。
この国の文化や日常に、大きな影響を与えるほどの異世界からの転移者がいた。
だったら、その人たちが『この国で1度も出会わない』のか、『噂すら聞かないのか』
「他の地域に冒険に行っている……とか、ない、よね」
淡い期待のもと、そう問いかけてみたが、リベールは無言で首を左右に振り
「第一次でやってきた人たちは、誰一人、例外なく、融合されてしまったんだ」
異世界から人を呼ぶ術がある。
なのに、戻る術がない。
その理由が、今、ハッキリした。
帰れなかった、いや、帰す必要がなかったから、研究する必要すらなかったんだ。
「リベールとギルマスさんが、最初、それを言わずにごまかしたのって……」
「チカを混乱させないためだ。悪い、この件もかなり無理やり黙っていた」
「ううん。そこは大丈夫、むしろ助かったぐらいだし。ありがとう」
僕の言葉を聞いて、リベールは安堵のため息を吐く。
けれど、すぐに表情を引き締め
「さて、少し脱線したが本題に入ろう」
仕事を終えた僕は、リベールと一緒にとある場所を訪れていた。
「えっと、本日はお招きいただきありがとうございます」
「お気になさらず。どうぞ、お入りください」
騎士団長さんの自宅である。
あのあと、お招きされたんだよね、僕とリベール。
しかし、てっきり、騎士団の敷地内に自宅があるのかと思ったけど……
(こんな郊外にひっそりと。隠れ家と言った方が、まだわかるような)
ここから毎日出勤とか、大変そうである。
そう思いながら、案内されたのは広く生活感のある部屋。
多くの本と大量の書類が重なった机、ベッドと……
「えーっと、団長さんの自室?」
「はい、そうですよ」
さらりと肯定!?
普通こういう時は、広めのリビング的な場所とかに通すんじゃ。
「よぅ、遅かったな、お二人さん。イチャついてたのかよ」
「アフェク!?」
しかも、なんでアフェクまでここにいるの!?
「本日の会議メンバーも集まりました。この先の進行は年長者に任せましょうか」
「ディル。なんでそこでオレに手放しで投げるんだ」
団長なんだから、ちゃんとしろ。
と、リベールが注意をする。
……が、その口調と言い回しは、完全に弟への対応、それである。
「アフェク、アフェク。騎士団長さんはやっぱりご兄弟?」
「そうだぜ。ちなみに第3な」
にしてもさ、リベールたち兄弟はいろんな場所で活動しているけど。
騎士団長さんは、王道も王道な場所にいるよね。
冒険者(仮にも第一王子)と、盗賊(仮にも第二王子)がおかしいのかも。
「というか、このメンバーが集まったってことは……」
「全員、注目」
どうやら決着がついた模様。
リベールは軽く手を叩きつつ、僕らの視線を集めた。
僅かだけど、室内の空気がピリつく。
「では、例の泥棒についての件での緊急対策会議を開始する」
やっぱり……!
この国で起こっている、人とモンスターの融合による兵器化問題。
さっきの騒ぎは、それに関することだったのか。
あれ? でもさ。
「はい! 質問いいかな、リベール」
「なんだ、チカ」
「白昼堂々と、国の大問題に関する事件を起こすのはおかしいと思います」
この件は、相当デリケートな内容だ。
だからこそ、リベールたちが身分を隠しつつ動いているわけだし。
「その通りですチカ嬢。だからこそ、まずい状況に陥っている可能性が高い、ということになりますね」
「まずい、って?」
「どの時代にも、なりふり構わない状況というのは、実に厄介。っていうわけさ」
アフェクが呆れ顔で口を開く。
「さて、盗賊界隈からの情報を言うぞ。近いうちに、第二次大規模異世界召喚が行われる」
第二次……って
「第一次もあったの!?」
「チカ、思い出してくれ。この国でかつて食文化がひどかったことを」
うん、それは大丈夫。
……なんだけど。
えっと、あのさ、その情報と今の単語。
それから今日あった違和感と……ここ最近になって気づいた、僕の世界と同じ料理の数々。
「まさか、その第一次で人と一緒に、異世界の文化が大量に流れ込んだってこと!?」
「正解だ。結果、良い面もあったが、悪い面もあった」
その1つが、食文化の崩壊。
味の変化と、その末に起こった生活習慣病だ。
他にも、今日行った店にあったテイクアウトとかも、まさにそれ!
「僕の世界が申し訳ありません、いろいろと!」
いきなり味の濃いジャンクフードやら、スイーツが雪崩れ込めばそうだよね。
でもって、物珍しさからみんな飛びつくよ。
僕だってきっと、同じことをしただろうし。
「食文化などに関する副次効果は気にしなくていいですよ。むしろ謝罪すべきは私たちの方でしょうし」
「……と、いうと?」
「お前さ、この国に来て1週間以上生活しているけど、出会ったことないだろ。同郷のヤツと」
アフェクの言葉で、気づく。
そうか、そうだよ。
この国の文化や日常に、大きな影響を与えるほどの異世界からの転移者がいた。
だったら、その人たちが『この国で1度も出会わない』のか、『噂すら聞かないのか』
「他の地域に冒険に行っている……とか、ない、よね」
淡い期待のもと、そう問いかけてみたが、リベールは無言で首を左右に振り
「第一次でやってきた人たちは、誰一人、例外なく、融合されてしまったんだ」
異世界から人を呼ぶ術がある。
なのに、戻る術がない。
その理由が、今、ハッキリした。
帰れなかった、いや、帰す必要がなかったから、研究する必要すらなかったんだ。
「リベールとギルマスさんが、最初、それを言わずにごまかしたのって……」
「チカを混乱させないためだ。悪い、この件もかなり無理やり黙っていた」
「ううん。そこは大丈夫、むしろ助かったぐらいだし。ありがとう」
僕の言葉を聞いて、リベールは安堵のため息を吐く。
けれど、すぐに表情を引き締め
「さて、少し脱線したが本題に入ろう」
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