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5章 ギルド内攻防戦
02 魔法陣を阻止せよ!
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ドラゴンのような羽が生えたゾンビっぽいモノ。
この単語だけで、もう状況がカオス以外の何物でもない。
しかも、多くの冒険者たちの眼前で変化したとあれば……
「くそっ……! なぁ、コイツってもう」
「見た目からダメに決まってんだろ!」
動揺が広がり、攻撃できないでいた。
うん、二の足を踏んでしまうよね。
脳が理解したくない状況なのは、間違いない。
「この中でまともに動けるのは、我々2人だけでしょうね」
「だよね。無理しない範囲でやるよ」
「そうしていただけると、こちらも年長者に文句を言われず済みます」
スッ、と剣を抜き放ち、ディルは構える。
うっわー、めっちゃサマになっているよ。
さっすが騎士団長様、といった風貌である。
「聞け、ギルドに集まりし冒険者たち。キミらは今の状態では戦闘はできないだろう!」
ゾンビと化した人から視線をそらさず、ディルは声を張り上げる。
「だから、自己防衛および、ギルドの外へこいつが逃げ出さないことだけに注力して欲しい! いいな!」
「「「は、はい!」」」
そのまま、ディルはゆっくりと剣を傾け
「いざ!」
グッ、と足を踏み込み、一気にゾンビと化した人へ向かってゆく。
僕がさっき与えたダメージは、なかったかのように、ぐにゃりとこちらに視線を向けた
「ア、あ、オアア……!」
叫び声をあげたかと思うと、周囲に魔法陣のようなものが現れた。
まった、まった! 嫌な予感! めっちゃ、嫌な予感!
(ああああ、シミュレーションRPGあるあるの、増援召喚か、時間差攻撃系だこれー!)
こういうのは、物語の終盤に、味方キャラが強くなってからやるものだよー!
って、嘆いている場合じゃない。
「止めないと絶対まずいじゃん! なにか、手は……! あれだ!」
机にあった、書類に文字を書くためのインク。
これ、この世界では少し特殊なんだ。
一言でいうと、偽造防止の特別仕様な魔力を有したインク。
科学がない代わりに、魔力を使ってのそういう処置があるそうだ。
リベール曰く『これも、15年前の異世界人からの知恵』によるものだそうで。
(この時ばかりは、ありがとう、15年前の転移者先輩たち!)
それを箒にべしゃりとかけてから、魔法陣へ一筆。
一線書き込むことで、わずかにだけど魔法陣の光が弱まった。
「よしっ、これで少しでもやばいことを遅らせられる!」
あとはディルに任せれば。
そう思った瞬間だった。
「うわあ!? 魔法陣が増えたぞ!」
「どうなってんだこりゃ!」
え!?
「うそぉー!?」
周囲にいる冒険者たちの声に、僕は思わず声を上げてしまう。
これは、1人じゃ到底間に合わないわけで……よしっ
「ギルド内にいらっしゃる、冒険者のみなさーん!」
近くにあった掃除用具の棚から、僕はありったけの箒を取り出す。
そのまま、どんどん冒険者さんたちに投げつけて
「さぁ、魔法陣をお掃除しましょう!」
ついでに、インクも大量にポイポイと渡してゆく。
さっき、僕がやった光景を見ていたおかげか、彼らの行動は早かった。
「おっしゃ、やるぞお前ら!」
「チカちゃん、あとで掃除手伝うから全力で塗りつぶすな!」
おおおー! と声をあげながら、みんなが魔法陣を塗りつぶしてゆく。
よし、これでディルの援護にもなる。
「そうだ、ディルは!?」
慌てて視線を向けると、苦戦を強いられているディルの姿が。
「チカ嬢! そちらの魔法陣をある程度対処したら、そのまま安全な場所まで下がってください!」
やっぱり、融合された存在が影響しているのか。
ダメージを与えているものの、すぐさま再生されて、決定打が打てていない状況だった。
(それにしては、タフすぎる!)
攻防そのものは、ディルの圧勝レベル。
無双といってもいいほどだ。
無制限に近い驚異の回復速度さえなければ。
こんなモンスターが誕生するなら、兵器として採用しようとするのも、少し理解できてしまう。
「とにかく、ディルの援護を……!」
戦闘には直接参加できなくても、何か手助けはできるはず。
そう思って動こうとした時だった。
突然、ギルド全体に巨大な魔法陣が出現した。
これまでインクで塗りつぶしたものを、さらに上書きするように。
「なっ!? 急にこんな……!」
ゾンビと化した人は、ディルとの交戦で手一杯のはず。
こんなことをしている暇は……!
「チカ嬢! すぐに退避を!」
「え……」
そこにディルの叫びが届く。
同時に、僕の足元に黒く、大きな影が。
振り返るとそこには……
「な、んで……!?」
今まさに、剣を振り下ろそうとしている、別のゾンビがそこにいた。
嘘だろ、この一瞬で、魔法陣から出てきたってこと!?
まずい……! 切られる!
次にくる衝撃を想像するよりも早く、僕は箒を目の前に出す。
木で作られたモノだから、防ぎきれるとは思わない。
でも、少しでも威力をそげれば……!
「チカ!」
バタン! と、ギルドのドアが開く音と共に、聞きなれた声が耳に届いた。
この単語だけで、もう状況がカオス以外の何物でもない。
しかも、多くの冒険者たちの眼前で変化したとあれば……
「くそっ……! なぁ、コイツってもう」
「見た目からダメに決まってんだろ!」
動揺が広がり、攻撃できないでいた。
うん、二の足を踏んでしまうよね。
脳が理解したくない状況なのは、間違いない。
「この中でまともに動けるのは、我々2人だけでしょうね」
「だよね。無理しない範囲でやるよ」
「そうしていただけると、こちらも年長者に文句を言われず済みます」
スッ、と剣を抜き放ち、ディルは構える。
うっわー、めっちゃサマになっているよ。
さっすが騎士団長様、といった風貌である。
「聞け、ギルドに集まりし冒険者たち。キミらは今の状態では戦闘はできないだろう!」
ゾンビと化した人から視線をそらさず、ディルは声を張り上げる。
「だから、自己防衛および、ギルドの外へこいつが逃げ出さないことだけに注力して欲しい! いいな!」
「「「は、はい!」」」
そのまま、ディルはゆっくりと剣を傾け
「いざ!」
グッ、と足を踏み込み、一気にゾンビと化した人へ向かってゆく。
僕がさっき与えたダメージは、なかったかのように、ぐにゃりとこちらに視線を向けた
「ア、あ、オアア……!」
叫び声をあげたかと思うと、周囲に魔法陣のようなものが現れた。
まった、まった! 嫌な予感! めっちゃ、嫌な予感!
(ああああ、シミュレーションRPGあるあるの、増援召喚か、時間差攻撃系だこれー!)
こういうのは、物語の終盤に、味方キャラが強くなってからやるものだよー!
って、嘆いている場合じゃない。
「止めないと絶対まずいじゃん! なにか、手は……! あれだ!」
机にあった、書類に文字を書くためのインク。
これ、この世界では少し特殊なんだ。
一言でいうと、偽造防止の特別仕様な魔力を有したインク。
科学がない代わりに、魔力を使ってのそういう処置があるそうだ。
リベール曰く『これも、15年前の異世界人からの知恵』によるものだそうで。
(この時ばかりは、ありがとう、15年前の転移者先輩たち!)
それを箒にべしゃりとかけてから、魔法陣へ一筆。
一線書き込むことで、わずかにだけど魔法陣の光が弱まった。
「よしっ、これで少しでもやばいことを遅らせられる!」
あとはディルに任せれば。
そう思った瞬間だった。
「うわあ!? 魔法陣が増えたぞ!」
「どうなってんだこりゃ!」
え!?
「うそぉー!?」
周囲にいる冒険者たちの声に、僕は思わず声を上げてしまう。
これは、1人じゃ到底間に合わないわけで……よしっ
「ギルド内にいらっしゃる、冒険者のみなさーん!」
近くにあった掃除用具の棚から、僕はありったけの箒を取り出す。
そのまま、どんどん冒険者さんたちに投げつけて
「さぁ、魔法陣をお掃除しましょう!」
ついでに、インクも大量にポイポイと渡してゆく。
さっき、僕がやった光景を見ていたおかげか、彼らの行動は早かった。
「おっしゃ、やるぞお前ら!」
「チカちゃん、あとで掃除手伝うから全力で塗りつぶすな!」
おおおー! と声をあげながら、みんなが魔法陣を塗りつぶしてゆく。
よし、これでディルの援護にもなる。
「そうだ、ディルは!?」
慌てて視線を向けると、苦戦を強いられているディルの姿が。
「チカ嬢! そちらの魔法陣をある程度対処したら、そのまま安全な場所まで下がってください!」
やっぱり、融合された存在が影響しているのか。
ダメージを与えているものの、すぐさま再生されて、決定打が打てていない状況だった。
(それにしては、タフすぎる!)
攻防そのものは、ディルの圧勝レベル。
無双といってもいいほどだ。
無制限に近い驚異の回復速度さえなければ。
こんなモンスターが誕生するなら、兵器として採用しようとするのも、少し理解できてしまう。
「とにかく、ディルの援護を……!」
戦闘には直接参加できなくても、何か手助けはできるはず。
そう思って動こうとした時だった。
突然、ギルド全体に巨大な魔法陣が出現した。
これまでインクで塗りつぶしたものを、さらに上書きするように。
「なっ!? 急にこんな……!」
ゾンビと化した人は、ディルとの交戦で手一杯のはず。
こんなことをしている暇は……!
「チカ嬢! すぐに退避を!」
「え……」
そこにディルの叫びが届く。
同時に、僕の足元に黒く、大きな影が。
振り返るとそこには……
「な、んで……!?」
今まさに、剣を振り下ろそうとしている、別のゾンビがそこにいた。
嘘だろ、この一瞬で、魔法陣から出てきたってこと!?
まずい……! 切られる!
次にくる衝撃を想像するよりも早く、僕は箒を目の前に出す。
木で作られたモノだから、防ぎきれるとは思わない。
でも、少しでも威力をそげれば……!
「チカ!」
バタン! と、ギルドのドアが開く音と共に、聞きなれた声が耳に届いた。
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