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5章 ギルド内攻防戦
05 最後の鍵
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「元の世界へ……?」
「そうだ! 急にこの世界に連れてこられて、こんな体にされて!」
もう、うんざりなんだ!
と、黒いローブの人は叫ぶ。
「こっちだって、好きで異世界に来たんじゃねぇよ!」
「落ち着いて、ストップ! あなたは今、絶対に正常じゃないんですよ!」
僕は慌てて、混乱気味な彼に声をかける。
でも、落ち着くわけもなく。
「邪魔するな、邪魔するな、邪魔するな、邪魔するな、邪魔するなぁああああ!」
すさまじい暴風が、僕らに襲い掛かってきた。
くっそ、これじゃ下手に動けない。
バランスを崩して、屋根から落ちてしまう。
「お前もこっちに来た同類だろ。なぜ邪魔をする」
「え? 僕は……!」
「言葉でわかる。この世界の住人にはない単語や喋り方でな。しかも、どうして融合していない?」
両手両足が縛られていたはずなのに、そいつは起き上がった。
ぶちりっ、という音と共に、拘束していた縄が引きちぎられてしまう。
「あぁ……そういうことか。こいつが、帰るための最後の鍵だからギルドを襲撃しろと」
は!?
え? ちょっとまって。
僕、融合素材として狙われているんじゃなかったの!?
「ずっと、あそこに保護されていたから……見つからないわけだ、元の世界に戻るための鍵ッ!」
「チカ!」
リベールが僕の前に立ち、魔力の塊を解き放つ。
「こんな街中で、暴風を放つな! "散れ、突風!"」
魔力がぶつかると共に、ようやく体が自由に動かせるようになった。
「悪いが、チカは渡せない」
「はっ、ナイト気取りかよ冒険者。そいつを渡せば、この国は平和になるぜ」
「安い挑発な上に、ずさんな交渉だな。こちらが何も捉えていないとでも」
「……ちっ。ギルドに入り浸る国王側の伏兵かよ」
黒いローブの人が、右手をゆっくりと上げる。
「チカといったな。お前も元の世界に戻りたいだろう」
その言葉に、動揺してしまう。
元の世界に戻る。
たしかに、僕の目的ではある。
あるんだけど……
「僕は……」
「お前は必ず協力してくれる。そう信じている」
直後、まぶしい光が放たれる。
それが落ち着いた頃には、黒いローブの人は、姿を消していた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
―――その日の夜
「で? 俺様が年長者に雑務を押し付けられている間に、どうなってんだよ」
ギルドでの騒動はいったんの収束を迎えた。
ディルが、暴れていた人たちの拘束に成功していたのだ。
いや、本当に良かったよ。
「説明をするには……」
ディルは、手に持つモノをアフェクに投げ寄こす。
それは、1本の箒だった。
「まずは、掃除を手伝っていただかなければなりませんね」
「うぉおおい!? 俺様は今回、全面的に被害者&部外者!」
「静かにしろ。もう夜なんだし」
「リベールテメェ! お前こそ止めろよ、年長者だろ! 掃除は全部やれよ!」
うわぁ、レベルの低い争いが始まった。
アフェクが来ると、場が和むけど、IQも下がるよね。
「というかギルマスさん、先輩方、ギルド内をめちゃくちゃにしてすいません」
「構わんよ。この程度の被害は、のぉ?」
「「「そのとーりぃ」」」
さて、今、僕らは何をやっているか。
掃除である。
ほら、僕が魔法陣阻止のために、インクを使ったじゃない?
……ことが片付けば、床が真っ黒なギルドが残るわけで。
しかも偽造防止インクなもんだから、それを消すにもまた特殊な奴が必要で。
ほんっっっとうに、申し訳なさ過ぎる。
「よし、おーわりっ!」
最後のインクを消し終え、近くの椅子に座る。
あー、やっと落ち着けるよ。
「ワシらはこのまま、寄宿舎に戻るぞ。キミらは休憩したら帰りなさい」
「ご厚意、感謝いたします。ギルマス殿」
そういって、ギルマスさんとかしまし3姉妹は先に帰宅していった。
「お疲れチカ。はい、スープ」
「ありがとうリベール。というか、この良い香りでお腹がすいているのも思い出した」
「と、思って夕飯の準備済みだ」
うわ、完璧じゃん。
リベールが慣れた手つきで、テーブルに料理を並べてゆく。
「今日は和食というジャンルだ。まだ作り慣れていないから許してくれよな」
「焼き魚! 味噌汁! ごはん! うわぁ、このこれでいいんだよ和食セットー!」
なんの魚かはさておき、ザ・和食!
さすがに納豆とか、生卵は高望みなのはわかるけどさ。
味噌! 味噌があるだけでも最高!
さっそく、味噌汁をひと口。
「あぁ……ホッとする。故郷の味で涙が出そう……」
味噌の温かさが骨身に染みる。
慣れた味というのは、こうも安心感を得られるんだな。
15年前に異世界に来た人、ありがとう!……って、いいたいけど……
「楽観的に感謝できる状況じゃなくなっちゃったのがなぁ……」
パクリと焼き魚をひと口。
サンマっぽい味かつ、ほどよい塩加減に油が最高にグッド。
「どういうこった? って、おいクソ兄上、魚の骨残ってんだけど!?」
「自分で取れ、それぐらい。実はな……」
アフェクを軽くあしらいつつ、リベールは黒いローブの人との会話をみんなに伝える。
その中には当然、僕の件も。
「……おかしいですね。ここに来て、呼ぶ、ではなく、戻る、という単語が出てきたのが」
「ディルもやっぱりそう思うよね」
「もちろんですよチカ嬢。さて、どこまでの情報を信じるべきか」
なんせ、今回はあまりにも情報が入手できたのに、それが意図的な空気がある。
最後のダメ押しで、真逆の単語まで飛び出してきたわけで。
「情報戦って、こんなに厄介だったんだね」
「俺様はこの状況になったら、全部丸投げしてんだよ。頭いてぇ」
「アフェクに思わず同感しそうになった」
考えれば考えるほど、ドツボにはまりそう。
「しかし、考えを止めたらこっちが負けるのは事実だ」
「えぇ。リベール兄様の言う通りです。では、判断材料としてこちらの情報も出しましょう」
「そうだ! 急にこの世界に連れてこられて、こんな体にされて!」
もう、うんざりなんだ!
と、黒いローブの人は叫ぶ。
「こっちだって、好きで異世界に来たんじゃねぇよ!」
「落ち着いて、ストップ! あなたは今、絶対に正常じゃないんですよ!」
僕は慌てて、混乱気味な彼に声をかける。
でも、落ち着くわけもなく。
「邪魔するな、邪魔するな、邪魔するな、邪魔するな、邪魔するなぁああああ!」
すさまじい暴風が、僕らに襲い掛かってきた。
くっそ、これじゃ下手に動けない。
バランスを崩して、屋根から落ちてしまう。
「お前もこっちに来た同類だろ。なぜ邪魔をする」
「え? 僕は……!」
「言葉でわかる。この世界の住人にはない単語や喋り方でな。しかも、どうして融合していない?」
両手両足が縛られていたはずなのに、そいつは起き上がった。
ぶちりっ、という音と共に、拘束していた縄が引きちぎられてしまう。
「あぁ……そういうことか。こいつが、帰るための最後の鍵だからギルドを襲撃しろと」
は!?
え? ちょっとまって。
僕、融合素材として狙われているんじゃなかったの!?
「ずっと、あそこに保護されていたから……見つからないわけだ、元の世界に戻るための鍵ッ!」
「チカ!」
リベールが僕の前に立ち、魔力の塊を解き放つ。
「こんな街中で、暴風を放つな! "散れ、突風!"」
魔力がぶつかると共に、ようやく体が自由に動かせるようになった。
「悪いが、チカは渡せない」
「はっ、ナイト気取りかよ冒険者。そいつを渡せば、この国は平和になるぜ」
「安い挑発な上に、ずさんな交渉だな。こちらが何も捉えていないとでも」
「……ちっ。ギルドに入り浸る国王側の伏兵かよ」
黒いローブの人が、右手をゆっくりと上げる。
「チカといったな。お前も元の世界に戻りたいだろう」
その言葉に、動揺してしまう。
元の世界に戻る。
たしかに、僕の目的ではある。
あるんだけど……
「僕は……」
「お前は必ず協力してくれる。そう信じている」
直後、まぶしい光が放たれる。
それが落ち着いた頃には、黒いローブの人は、姿を消していた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
―――その日の夜
「で? 俺様が年長者に雑務を押し付けられている間に、どうなってんだよ」
ギルドでの騒動はいったんの収束を迎えた。
ディルが、暴れていた人たちの拘束に成功していたのだ。
いや、本当に良かったよ。
「説明をするには……」
ディルは、手に持つモノをアフェクに投げ寄こす。
それは、1本の箒だった。
「まずは、掃除を手伝っていただかなければなりませんね」
「うぉおおい!? 俺様は今回、全面的に被害者&部外者!」
「静かにしろ。もう夜なんだし」
「リベールテメェ! お前こそ止めろよ、年長者だろ! 掃除は全部やれよ!」
うわぁ、レベルの低い争いが始まった。
アフェクが来ると、場が和むけど、IQも下がるよね。
「というかギルマスさん、先輩方、ギルド内をめちゃくちゃにしてすいません」
「構わんよ。この程度の被害は、のぉ?」
「「「そのとーりぃ」」」
さて、今、僕らは何をやっているか。
掃除である。
ほら、僕が魔法陣阻止のために、インクを使ったじゃない?
……ことが片付けば、床が真っ黒なギルドが残るわけで。
しかも偽造防止インクなもんだから、それを消すにもまた特殊な奴が必要で。
ほんっっっとうに、申し訳なさ過ぎる。
「よし、おーわりっ!」
最後のインクを消し終え、近くの椅子に座る。
あー、やっと落ち着けるよ。
「ワシらはこのまま、寄宿舎に戻るぞ。キミらは休憩したら帰りなさい」
「ご厚意、感謝いたします。ギルマス殿」
そういって、ギルマスさんとかしまし3姉妹は先に帰宅していった。
「お疲れチカ。はい、スープ」
「ありがとうリベール。というか、この良い香りでお腹がすいているのも思い出した」
「と、思って夕飯の準備済みだ」
うわ、完璧じゃん。
リベールが慣れた手つきで、テーブルに料理を並べてゆく。
「今日は和食というジャンルだ。まだ作り慣れていないから許してくれよな」
「焼き魚! 味噌汁! ごはん! うわぁ、このこれでいいんだよ和食セットー!」
なんの魚かはさておき、ザ・和食!
さすがに納豆とか、生卵は高望みなのはわかるけどさ。
味噌! 味噌があるだけでも最高!
さっそく、味噌汁をひと口。
「あぁ……ホッとする。故郷の味で涙が出そう……」
味噌の温かさが骨身に染みる。
慣れた味というのは、こうも安心感を得られるんだな。
15年前に異世界に来た人、ありがとう!……って、いいたいけど……
「楽観的に感謝できる状況じゃなくなっちゃったのがなぁ……」
パクリと焼き魚をひと口。
サンマっぽい味かつ、ほどよい塩加減に油が最高にグッド。
「どういうこった? って、おいクソ兄上、魚の骨残ってんだけど!?」
「自分で取れ、それぐらい。実はな……」
アフェクを軽くあしらいつつ、リベールは黒いローブの人との会話をみんなに伝える。
その中には当然、僕の件も。
「……おかしいですね。ここに来て、呼ぶ、ではなく、戻る、という単語が出てきたのが」
「ディルもやっぱりそう思うよね」
「もちろんですよチカ嬢。さて、どこまでの情報を信じるべきか」
なんせ、今回はあまりにも情報が入手できたのに、それが意図的な空気がある。
最後のダメ押しで、真逆の単語まで飛び出してきたわけで。
「情報戦って、こんなに厄介だったんだね」
「俺様はこの状況になったら、全部丸投げしてんだよ。頭いてぇ」
「アフェクに思わず同感しそうになった」
考えれば考えるほど、ドツボにはまりそう。
「しかし、考えを止めたらこっちが負けるのは事実だ」
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