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7章 大規模異世界召喚
03 手伝いたいんだ
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「リベリュシュカ王子……なぜ、あなた様がこちらに」
「ギルドを襲撃した彼に、いろいろ貸してもらったのさ」
やっぱり! リベール!
彼の姿を見た瞬間、安堵と喜びが湧き上がる。
助けに来てくれていた!
あの時と同じように最高のチャンスを、待っていたんだ!
「この羽も、借りたものの1つだ。最低でもこれがないとバレただろうけど」
「……くっ!」
エスピオン王弟殿下は、悔しそうに下唇を噛む。
リベールはそのまま、剣を振り下ろし地面に突き刺す。
「アルフェクエール! ディアルソート!」
「おうよ!」
「任されました!」
知らない名と共に、知った声が耳に届く。
死角から飛び出してきたのは……アフェクとディル!
「よぉ、叔父上殿。よっくもまぁこんなことをしやがったな」
「我々の目が黒いうちは、このような蛮行を許すわけにはまいりません」
現れた2人の姿は、いつもとは違っていた。
誰がどう見ても、王子様。
僕の良く知る彼らというよりは、王族としての使命を全うする格好と表情。
人間オークションで、王族の顔をしたリベールを見た時と、同じ感覚を覚える。
赤の他人。
見知らぬ誰か。
でも、今はあの時とは違う。
「いや、ディアルソート。お前の目は紫だろ」
「兄様。野暮なツッコミをこの場でやるのはどうかと」
「いらない争いはやめろ2人とも。やるぞ!」
こんなやり取りしているんだから、やっぱり彼らだ。
見知った姿に、安堵を覚える。
「へいよ、年長者様の言う通り」
「承知いたしました」
2人も剣を構え、同じように地面に突き刺した
「「「"我、祖の力を拒みし者。弾け飛べ!"」」」
魔術の言葉を発した。
すると、床に描かれていた魔法陣に次々とヒビが入り、消滅する。
その瞬間は、まるでホタルが真夜中を彩るように、もの悲しい美しさがあった。
「ば、ばかな……!」
「事前に兄上がインクをばらまいてくれて助かったぜ」
「えぇ。おかげで、我らも解析しきれていなかった術式の破壊が容易でした」
檻も壊れ、アフェクとディルはエスピオン王弟殿下へ詰め寄る。
その一方で
「チカ!」
不安げで必死な顔をしながら、リベールが僕の元へ駆け寄った。
「大丈夫か、チカ。すまない……」
「いい、大丈夫。あの時と一緒で……どうしても優先すべきことがあった。でしょ?」
「そうだ。ダメだな、ホント。お前を助けたい気持ちと、王族としての責務……選びきれていない」
「それでいいよ。僕は、分かってるから」
簡単に捨てられるものじゃない。
その程度のこと、僕にだって分かる。
「……というか、簡単に捨てるようなら、僕はリベールのこと嫌いになるよ、きっと」
そりゃ、真っ先に助けてほしい気持ちは、ないわけじゃない。
でも、やるべきことをちゃんとやれない、というのも違うから。
リベールは、それでいい。
(だいたい、そういうのは好きな人にやるべきことだし、うん)
……ズキッ
今、なんでちょっと胸に痛みを感じたんだろう。
痛むならむしろ右腹が……
「うっ……げほっ!」
思い出したせいなのか、貫かれた場所が解放されたからなのか。
再び喉に熱いものがこみ上げて、そのまま吐き出してしまう。
「チカ! まってろ、応急処置を……」
「兄様! 危ない!」
そこに、ディルからの警告が飛んできた。
リベールはすぐさま、僕を抱き上げて右に大きく飛んだ。
―――ガシャン!
さっきまで僕らがいた場所が、大きくえぐられている。
何かわからない、奇妙な触手がそこにあった。
その出所を確認すると……
「エスピオン王弟殿下……?」
「叔父上、まさか、あなたは……」
【その通り。邪魔されなければ、このようなことはしなかったのだがね】
ズシン、ズシンと地鳴りのような足音。
その姿は、タコのような、トロールのような……複数のモンスターを奇妙に掛け合わせた姿だった。
【この世界の人間は、適正が低いようでな。ここまでしなければいけない】
「自分自身も実験体に……!?」
馬鹿じゃないか!?
いや、まったく『ない』展開とは言わないよ。
僕がやっていたゲームの中でも、こういうのは確かにあった。
追い詰められたら、他人で実験していた技術を自分に使ってパワーアップ、とかさ。
思い当たる作品は、いくつかあるんだよ、本当に!
(だからって、このタイミングまでマネしなくたってー!)
けほっ、と咳き込みながら、リベールの助けを得て立ち上がる。
周囲を見渡すと、気絶したラテジアさんたちが倒れているのが見えた。
その先には、エスピオン王弟殿下と戦うアフェクたちの姿が。
「けほっ……リベール、行って」
「チカ。だけど……!」
「僕は大丈夫。ペンダントの力なのか、傷はふさがっているから急ぎじゃない、と、思う」
だけど、エスピオン王弟殿下を逃したら大変なことになる。
ここで決着をつけることが大切なんだ。
「僕は、リベールたちのやるべきことを応援したい、手伝いたいんだ」
彼らの苦しみであるこの件を、解決したい。
リベールに、心の底から、普通の笑顔を浮かべられるように。
「エスピオン王弟殿下を捕まえよう!」
「……わかった!」
「ギルドを襲撃した彼に、いろいろ貸してもらったのさ」
やっぱり! リベール!
彼の姿を見た瞬間、安堵と喜びが湧き上がる。
助けに来てくれていた!
あの時と同じように最高のチャンスを、待っていたんだ!
「この羽も、借りたものの1つだ。最低でもこれがないとバレただろうけど」
「……くっ!」
エスピオン王弟殿下は、悔しそうに下唇を噛む。
リベールはそのまま、剣を振り下ろし地面に突き刺す。
「アルフェクエール! ディアルソート!」
「おうよ!」
「任されました!」
知らない名と共に、知った声が耳に届く。
死角から飛び出してきたのは……アフェクとディル!
「よぉ、叔父上殿。よっくもまぁこんなことをしやがったな」
「我々の目が黒いうちは、このような蛮行を許すわけにはまいりません」
現れた2人の姿は、いつもとは違っていた。
誰がどう見ても、王子様。
僕の良く知る彼らというよりは、王族としての使命を全うする格好と表情。
人間オークションで、王族の顔をしたリベールを見た時と、同じ感覚を覚える。
赤の他人。
見知らぬ誰か。
でも、今はあの時とは違う。
「いや、ディアルソート。お前の目は紫だろ」
「兄様。野暮なツッコミをこの場でやるのはどうかと」
「いらない争いはやめろ2人とも。やるぞ!」
こんなやり取りしているんだから、やっぱり彼らだ。
見知った姿に、安堵を覚える。
「へいよ、年長者様の言う通り」
「承知いたしました」
2人も剣を構え、同じように地面に突き刺した
「「「"我、祖の力を拒みし者。弾け飛べ!"」」」
魔術の言葉を発した。
すると、床に描かれていた魔法陣に次々とヒビが入り、消滅する。
その瞬間は、まるでホタルが真夜中を彩るように、もの悲しい美しさがあった。
「ば、ばかな……!」
「事前に兄上がインクをばらまいてくれて助かったぜ」
「えぇ。おかげで、我らも解析しきれていなかった術式の破壊が容易でした」
檻も壊れ、アフェクとディルはエスピオン王弟殿下へ詰め寄る。
その一方で
「チカ!」
不安げで必死な顔をしながら、リベールが僕の元へ駆け寄った。
「大丈夫か、チカ。すまない……」
「いい、大丈夫。あの時と一緒で……どうしても優先すべきことがあった。でしょ?」
「そうだ。ダメだな、ホント。お前を助けたい気持ちと、王族としての責務……選びきれていない」
「それでいいよ。僕は、分かってるから」
簡単に捨てられるものじゃない。
その程度のこと、僕にだって分かる。
「……というか、簡単に捨てるようなら、僕はリベールのこと嫌いになるよ、きっと」
そりゃ、真っ先に助けてほしい気持ちは、ないわけじゃない。
でも、やるべきことをちゃんとやれない、というのも違うから。
リベールは、それでいい。
(だいたい、そういうのは好きな人にやるべきことだし、うん)
……ズキッ
今、なんでちょっと胸に痛みを感じたんだろう。
痛むならむしろ右腹が……
「うっ……げほっ!」
思い出したせいなのか、貫かれた場所が解放されたからなのか。
再び喉に熱いものがこみ上げて、そのまま吐き出してしまう。
「チカ! まってろ、応急処置を……」
「兄様! 危ない!」
そこに、ディルからの警告が飛んできた。
リベールはすぐさま、僕を抱き上げて右に大きく飛んだ。
―――ガシャン!
さっきまで僕らがいた場所が、大きくえぐられている。
何かわからない、奇妙な触手がそこにあった。
その出所を確認すると……
「エスピオン王弟殿下……?」
「叔父上、まさか、あなたは……」
【その通り。邪魔されなければ、このようなことはしなかったのだがね】
ズシン、ズシンと地鳴りのような足音。
その姿は、タコのような、トロールのような……複数のモンスターを奇妙に掛け合わせた姿だった。
【この世界の人間は、適正が低いようでな。ここまでしなければいけない】
「自分自身も実験体に……!?」
馬鹿じゃないか!?
いや、まったく『ない』展開とは言わないよ。
僕がやっていたゲームの中でも、こういうのは確かにあった。
追い詰められたら、他人で実験していた技術を自分に使ってパワーアップ、とかさ。
思い当たる作品は、いくつかあるんだよ、本当に!
(だからって、このタイミングまでマネしなくたってー!)
けほっ、と咳き込みながら、リベールの助けを得て立ち上がる。
周囲を見渡すと、気絶したラテジアさんたちが倒れているのが見えた。
その先には、エスピオン王弟殿下と戦うアフェクたちの姿が。
「けほっ……リベール、行って」
「チカ。だけど……!」
「僕は大丈夫。ペンダントの力なのか、傷はふさがっているから急ぎじゃない、と、思う」
だけど、エスピオン王弟殿下を逃したら大変なことになる。
ここで決着をつけることが大切なんだ。
「僕は、リベールたちのやるべきことを応援したい、手伝いたいんだ」
彼らの苦しみであるこの件を、解決したい。
リベールに、心の底から、普通の笑顔を浮かべられるように。
「エスピオン王弟殿下を捕まえよう!」
「……わかった!」
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