[完結]女番長だった私は、令嬢に生まれ変わっても、ムカつく奴らを論破して、やられたらやり返します!

風見鳥

文字の大きさ
11 / 49

9話 準備は全て整った

しおりを挟む
前書き

今回は第一王子アランのクズ発言があります。ですが、15話で公開処刑をするための伏線なので、不快に感じる方は流し読みで大丈夫です。


──────

ロレッタ視点

「ロレッタお嬢様、こんな夜遅くまで勉強ですか?」

 ユーゴたちにお願いしておいた、第一王子アランの報告書を読んでいると、メイドさんがホットミルクを持ってきてくれた。

「ありがとうございます」

「勉学に励むのはよろしいですが、どうか無理はされないで下さいね。また寝込まれたら心配です」

 メイドさんは掛け布団を私の肩に掛けると一礼をして部屋を出て行った。バーバラの暴走を止めるために大量の魔力を使い、意識をなくして寝込んでから、より一層気にかけてくれる様になった気がする。嬉しいけど何だか申し訳ない。

 第二王子のクリフト様も定期的に様子を見に来て下さる。本当に優しい王子様だ。それに比べて第一王子のアラン様は想像以上のクズ王子だった。実際会った事はないけど、子分たちの報告書からおおよその性格は判明した。

 まず最初にこの男は女遊びが酷いらしい。国の税金を使い、夜の街で使い果たした事もあるそうだ。しかもお金がなくなると、多額の借金をして女遊びに使ったらしい。

 さらにメイドの若い女の子にも手を出して孕ませたという噂もある。当然養う気はないため無理やりおろさせたそうだ。これに関しては読んでいて殺意が湧いてきた。

 そして何より困ったのが、私の親友のカトリーヌが、このクズ王子のアランと学校の創立記念日の日に結婚してしまう。とてもじゃないけどこんな奴に私の大切な親友を奪われるわけにはいかない。

 幸い、子分たちの働きによって証拠がかなり集まってきた。設立記念日まであと1週間。もうひと頑張りね。

「ふぅ……どうして同じ兄弟でここま差が生まれたのかしら?」

 私はホッとミルクを飲んで一息つくと報告書をめくった。そこには幼馴染のシリアとも浮気をしていると書かれていた……



* * *

第一王子の兵士視点

「アラン王子! 陛下がお呼びです! 大至急お戻り下さい!」

 第一王子の兵士は主人を見つけると、真っ青な顔で駆け寄った。テーブルには大量の酒が並び、両方の席には若い女が座っていた。

「何だよ、今いいところだから後にしてくれよ~」

「ダメです。それにまたこんなにも贅沢をして……陛下に怒られますよ!」

「いいんだよ。ボクは第一王子なんだぞ! 少しくらい贅沢をして何が悪いんだ!」

「国民から集めた税金ですよ! アラン様が好きに使っていいお金ではありません!」

 アランはムッとした表情で立ち上がると、兵士の顔に酒をぶっかけた。

「黙れ! 誰に口を聞いているんだ! ボクは王子なんだぞ! 国民はボクが裕福に過ごせるために働くべきなんだ!」

 兵士は歯を食いしばると、必死に怒りをおさめた。どうして第一王子はこれほどまでに自分勝手で愚かなのだろう? あの素晴らしいクリフト様の兄とは思えない……

「アラン様……明日は魔法学校の創立記念日です。その日にキャトラ様と婚約をするのですから今日は早く休まれた方が……」

「あぁ……そういえばそうだったな。残念だな……これでカトリーヌともお別れか……」

「カトリーヌ? 誰ですかその方は? まさか浮気相手ですか⁉︎」

「浮気とは失礼な。暇だから少し遊んだだけだ。心配するなカトリーヌは内気な弱い女だからな。ボクがキャトラと結婚すると皆んなの前で宣言すれば、何も言えずに黙って見ているはずさ」

 アランはゲラゲラとお腹を抑えて笑いだす。その姿を兵士は呆れた表情で見守っていた。

「あと幼馴染のシリアとも別れるとするか……まぁ、あいつは昔からボクの言いなりだし問題ないだろう。適当に彼女のイニシャル入りのスカーフでも渡しておいてくれ」

「貴方は3人の女性と付き合っていたのですか? 王子としてそれは流石に……」

「うるさい! 黙れ! ボクは偉いんだ! 父上だってボクが幸せそうにしていたらきっと喜ぶはずだ。お前は幼馴染のシリアのスカーフを準備してこい! カトリーヌに送った時みたいに金色の刺繍をさせるんだ!」

 兵士は深くため息をつくと、軽蔑の眼差しでアラン王子を見下ろした。もしこの人が次の国王になったらたちまちこの国は破滅する。それだけはどうにかしなければ……

「ほら早くいけ!」

「分かりました」

 兵士は店を出ると急いで刺繍屋に向かった。

「すみません、大至急、シリア様用の刺繍をお願い出来ますか?」

 店内に入ると5人組のいかにも不良ぽい男が店主と話をしていた。

 内容まではハッキリと聞こえないが、色々と質問を浴びせている。側から見るといじめている様にも見える。値段交渉でもしてるのか? 

「そうか……金の糸があるのはこの店だけ……刺繍を頼む客は稀……以前カトリーヌ用の刺繍を頼まれたと……姉さんに報告だな」

 男たちはブツブツと店を出て行った。何だったんだアイツらは?

「いらっしゃい、またあんたか……今度は誰にスカーフを送るんだ?」

「第一王子アラン様の幼馴染である、シリア様用です。大至急準備して下さい」

「また、カトリーヌの時と同じ様にイニシャル入りか?」

「はいそうです」

 店主は店の奥から白いスカーフと眩く輝く金の糸を持ってくると、慣れた手つきで針を通し始めた。

「明日の朝イチに取りに来てくれ。それまでには何とか仕上げておこう」

「お願いします」

 兵士はアラン王子から預かっていたお金で支払って店を出ると、さっきの不良の男たちが仁王立ちで待ち構えていた。

「あんた、アラン王子の兵士なんだってな、ちょっと話を聞かせてもらえるか?」

 男たちは一瞬で兵士の周りを取り囲む。5対1、無駄な抵抗はするだけ無駄か……

「答えられる範囲内だったら話すが、何だんだお前たちは?」

 万が一、暗殺者だった場合も考慮して尋ねてみると、5人組のリーダーらしき人物が口を開いた。

「俺たちは……ロレッタお嬢様の忠実なる子分さ」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています

六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった! 『推しのバッドエンドを阻止したい』 そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。 推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?! ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱ ◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!  皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*) (外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)

婚約破棄された堅物令嬢ですが、鬼の騎士団長の娘として宮廷の陰謀を暴くのに忙しいので、美貌のカストラート(実は王子)に溺愛される暇はありません

綾森れん
恋愛
「お前のような真面目くさった女はいらない。婚約は破棄させてもらう!」 婚約者だった公爵令息に冷酷に言い放たれたリラ・プリマヴェーラ。 だが、彼女の心にあったのは悲しみではなく―― 十年前の王族暗殺事件を調査したいという情熱だった。 伯爵令嬢であるリラは、鉄の掟を守る『鬼の騎士団長』の娘。 彼女には恋よりも何よりも優先すべき使命があった。それは、十年前に幼い王子が暗殺された事件の真相を暴き、父を、そして王国を陰謀から救うこと。 婚約破棄直後、彼女の前に現れたのは、天使の歌声を持つ美貌のカストラート(去勢歌手)、アルカンジェロだった。 彼が十年前の事件について密かに調べていることを、リラは知ってしまう。 真相を探るため、リラは彼を自分の音楽教師として迎え入れ、距離を縮めていく。 事件解決の協力者として彼と接するうち、リラは謎めいたアルカンジェロに危機を救われることになる。 しかし、リラは知らない。 アルカンジェロの正体が、十年前に暗殺されたはずの第三王子であることを。 そして彼にとってリラこそが、初恋の女性であることを。 彼は十年間、密かにリラを想い続けていたのだ。 王位を狙う者たちから身を隠すため、声楽の技術を駆使して、教会歌手として大聖堂で生き延びてきたアルカンジェロだったが、王家を巡る不穏な陰謀が静かに動き始めていた。 捜査に猪突猛進な堅物令嬢と、彼女を影から支え執着を見せる、カストラート歌手のふりをした王子。 宮廷の闇を切り裂く二人の恋と事件の行方は――? ※本作は、過去に投稿していた『真面目くさった女はいらないと婚約破棄された伯爵令嬢ですが、王太子様に求婚されました。実はかわいい彼の溺愛っぷりに困っています』の設定・キャラクター・構成を大幅に改稿し、新作として再構成したものです。 物語の結末やキャラクターの掘り下げを強化しておりますので、初めての方も、以前お読みいただいた方もお楽しみいただけます。

死にキャラに転生したけど、仲間たちに全力で守られて溺愛されています。

藤原遊
恋愛
「死ぬはずだった運命なんて、冒険者たちが全力で覆してくれる!」 街を守るために「死ぬ役目」を覚悟した私。 だけど、未来をやり直す彼らに溺愛されて、手放してくれません――!? 街を守り「死ぬ役目」に転生したスフィア。 彼女が覚悟を決めたその時――冒険者たちが全力で守り抜くと誓った! 未来を変えるため、スフィアを何度でも守る彼らの執着は止まらない!? 「君が笑っているだけでいい。それが、俺たちのすべてだ。」 運命に抗う冒険者たちが織り成す、異世界溺愛ファンタジー!

【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

婚約破棄された夜、最強魔導師に「番」だと告げられました

有賀冬馬
恋愛
学院の祝宴で告げられた、無慈悲な婚約破棄。 魔力が弱い私には、価値がないという現実。 泣きながら逃げた先で、私は古代の遺跡に迷い込む。 そこで目覚めた彼は、私を見て言った。 「やっと見つけた。私の番よ」 彼の前でだけ、私の魔力は輝く。 奪われた尊厳、歪められた運命。 すべてを取り戻した先にあるのは……

処理中です...