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ねこの手紙
九 御主人様とねこ
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九 御主人様とねこ
大学の校舎で呼び止められ、僕は振り返りました。ちょうど、助手がいるという図書館に向かうところでした。
あまり入らない校舎なので迷いながら、あと少しでなんとか辿り着くところでした。
「……おまえ、うちの猫じゃあないか」
慌てて猫の耳と尻尾が出ていないかを確認しました。油断していて、白い耳と白い尾がひょこひょこと出てしまっています。
誰だろう、とよく見ると、かつて、僕を五匹まとめて買った「御主人様」に違いありません。
御主人様は、大学教授なのだと言いました。
「生きていたのか……。それにしても、きれいになったなぁ。近頃やたらきれいな猫獣人が大学にいると耳にしていたが、まさかおまえさんだったとは」
「あのっ、お兄さんや、お姉さんは……」
「あぁ? あぁ、おまえさんの兄姉猫のことかい?」
「はい」
あれっきりになってしまった兄猫と姉猫のことを知りたくないはずありませんでした。
御主人様は僕の姿をしげしげと眺めながら、「おまえがいちばん美しい猫になったなぁ」「白金色じゃないか。瞳は灰のないブルー。美しい」などと言いました。
褒められているはずなのに、なんだか、そうでもない気がして、居心地が悪くなります。
「あのう」
「あぁ、すまない。兄姉猫のことだね。うちに来るかい? 会いたいだろうね」
「はいっ!」
僕は頷きました。
元気にしているのでしょうか。会って、話したいことがたくさんありました。どれから話せばいいのかわからないほど、たくさんです。
僕は御主人様に促され、ついていこうとして、助手に呼ばれて来たことを思い出しました。
そこには先生がいて、先生が他の助手たちに講義をしているのだそうで、見においでよと誘われていたのでした。
先生は、僕にはスパルタだけれど、他の学生にはそうでもないのだそうです。ただ、とても面倒くさがりなのだそうです。
僕が好きだといった本を題材にするそうです。もうすぐ始まりの時間です。
「すみません、先に図書館に行きたいんです。先生が……」
「いや、このまま屋敷に向かう」
「でも、先生が」
「買われた奴隷の分際で、命令に背くのかい?」
僕は身を竦ませました。
大学の校舎で呼び止められ、僕は振り返りました。ちょうど、助手がいるという図書館に向かうところでした。
あまり入らない校舎なので迷いながら、あと少しでなんとか辿り着くところでした。
「……おまえ、うちの猫じゃあないか」
慌てて猫の耳と尻尾が出ていないかを確認しました。油断していて、白い耳と白い尾がひょこひょこと出てしまっています。
誰だろう、とよく見ると、かつて、僕を五匹まとめて買った「御主人様」に違いありません。
御主人様は、大学教授なのだと言いました。
「生きていたのか……。それにしても、きれいになったなぁ。近頃やたらきれいな猫獣人が大学にいると耳にしていたが、まさかおまえさんだったとは」
「あのっ、お兄さんや、お姉さんは……」
「あぁ? あぁ、おまえさんの兄姉猫のことかい?」
「はい」
あれっきりになってしまった兄猫と姉猫のことを知りたくないはずありませんでした。
御主人様は僕の姿をしげしげと眺めながら、「おまえがいちばん美しい猫になったなぁ」「白金色じゃないか。瞳は灰のないブルー。美しい」などと言いました。
褒められているはずなのに、なんだか、そうでもない気がして、居心地が悪くなります。
「あのう」
「あぁ、すまない。兄姉猫のことだね。うちに来るかい? 会いたいだろうね」
「はいっ!」
僕は頷きました。
元気にしているのでしょうか。会って、話したいことがたくさんありました。どれから話せばいいのかわからないほど、たくさんです。
僕は御主人様に促され、ついていこうとして、助手に呼ばれて来たことを思い出しました。
そこには先生がいて、先生が他の助手たちに講義をしているのだそうで、見においでよと誘われていたのでした。
先生は、僕にはスパルタだけれど、他の学生にはそうでもないのだそうです。ただ、とても面倒くさがりなのだそうです。
僕が好きだといった本を題材にするそうです。もうすぐ始まりの時間です。
「すみません、先に図書館に行きたいんです。先生が……」
「いや、このまま屋敷に向かう」
「でも、先生が」
「買われた奴隷の分際で、命令に背くのかい?」
僕は身を竦ませました。
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