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2 たこ焼きとベビーカステラ
五* ベビーカステラ
ベビーカステラを、ホットケーキミックス一袋分作ることにした。生地は全部焼いちゃって、きょうは食べる個数だけとって、それ以外は冷凍して、明日以降の朝ご飯にでもしよう。一個食べるごとに、冬くんとの幸せを感じられそう。よし、一日一個ずつ食べよう。長く幸せを味わえるように全袋作って焼いちゃおうかしら。
「たこ焼きからのベビーカステラ、めっちゃいいですねぇ」
「あ、味変もよかったら!」
チョコをかけたり、つぶあんを挟んだり、チーズとウィンナーを挟んだり。
冬くんは、こんな大したことのないもてなしを、にこにこと可愛い笑顔で楽しがってくれた。
ベビーカステラをしっかり食べ終えた後、あたたかいお茶を飲みながら冬くんはしみじみ言う。
「パーティー、楽しかったです!」
「よかった。お店もちゃんとリストアップしてるから、巡ろうね!」
「はい」
俺が作った即席たこパよりも外食のほうが美味しいって。でも冬くんが嬉しそうにしてくれるおかげで、やってよかったなぁと思える。
「花火くん……」
「はい!」
「あは。お元気な返事ですね」
「ふ、冬くんが部屋にいて、花火くんって呼んでくれたわけで……!」
もはやイきそう。
「今夜、泊まってもいいですか? 宿とってないんです」
「えっ、う、あ」
こんな狭くて汚いアパートに……!?
いいのだろうか。冬くんが来るからと掃除はしまくったのだけど、毛とか落ちてないかな。
排水口もしっかり掃除したし、においも大丈夫のはず。
でも狭すぎやしないか。
最悪、俺が出ればいいかな。
「ふ、冬くんがいいなら……! ね、寝巻きとか歯ブラシ持ってる!?」
「歯ブラシはいつも持ってます。寝巻きもあるけど使いますかね~? 着せる暇ないかも」
思わせぶり~!
「冬くんのエッチ……!」
「おなかいっぱいになったら、たくさん動けって衝動わきますよね?」
やばすぎる。
冬くんの演技力に脱帽。
「五発も出したのに……すご……」
「今日あと数発はいけそうです」
部屋着のズボンの胴を引っ張って、股間と相談してる。おっさんみたいな仕草なのに、冬くんだとおしゃれさえ感じる。
少し落ち着いたら、寝る準備をして、またエッチできるんだ……。
冬くんはテーブルの上を片付けて、俺もあれこれ片付けて、二人で歯を磨いて、一応ちゃんと寝巻きも着た。
こたつで、向かい合わせではなくて、冬くんが座ってる膝の中に座る。背中を預けてもたれていると、冬くんは俺のうなじを吸ったり、胸をもんだり。
えっちぃ雰囲気の一歩手前。
あまあま。
「んふふ。くすぐったい」
俺が言うと、ぎゅーってしてくれた。
このところ、俺は、人生の幸運をすべて使い切るいきおいである。
「花火くん……もしよければ、本名を教えてほしいです」
耳元で訊ねられて、俺は振り返る。
「あっ、本名です。花火!」
「えっ」
「死んだじいさんが花火職人で」
「……!」
「気に入ってるからそのままなの。柊(ひいらぎ)、花火」
ぱっと一瞬にして散っちゃうものが名前なのは縁起が悪いって言われたことがある。だから、花の名前とかも、本来は忌避されるものなんだって。
でも俺としては、職人のじいさんの花火工場のにおいとか、開いたときのスケールの大きさや、なにより綺麗で、みんなが見惚れるところが好き。名前はお気に入り。
俺の人生は残念ながら華やかとは無縁で、学生時代は眼鏡と陰キャでいじめられ、おとなになってもぼっち界の優等生だ。
「花火くん、まさかの本名ですか」
「うん」
「素敵な名前です」
冬くんならそう言ってくれる気がしてた!
俺の推しだから。
そして冬くんにそう言われると、俺の人生がちゃんと花ひらいた気がしちゃう。
「俺も、本名から。冬人(ふゆと)といいます。一木冬人です。名前書くのに三秒かからないです」
冬くんは俺に見せるように、きれいな指先で、フルネームをさらさらと宙に書いた。早い。
テストのときに時短できそう。
「あ、俺の名前の、ひいらぎ入ってる……。ほら、木と冬」
「たしかに!」
冬くんは顔を真っ赤にして俺の体をぎゅうっと強く抱く。
「あー、だめ。我慢できない。でもさっきみたいな、がつがつ責めるのじゃなくて、花火くんと甘々でやりたいんですけど、いいですか?」
と、いやらしい手つき。
いいも悪いもない。
イきそう。
〈たこ焼きとベビーカステラ 終わり〉
「たこ焼きからのベビーカステラ、めっちゃいいですねぇ」
「あ、味変もよかったら!」
チョコをかけたり、つぶあんを挟んだり、チーズとウィンナーを挟んだり。
冬くんは、こんな大したことのないもてなしを、にこにこと可愛い笑顔で楽しがってくれた。
ベビーカステラをしっかり食べ終えた後、あたたかいお茶を飲みながら冬くんはしみじみ言う。
「パーティー、楽しかったです!」
「よかった。お店もちゃんとリストアップしてるから、巡ろうね!」
「はい」
俺が作った即席たこパよりも外食のほうが美味しいって。でも冬くんが嬉しそうにしてくれるおかげで、やってよかったなぁと思える。
「花火くん……」
「はい!」
「あは。お元気な返事ですね」
「ふ、冬くんが部屋にいて、花火くんって呼んでくれたわけで……!」
もはやイきそう。
「今夜、泊まってもいいですか? 宿とってないんです」
「えっ、う、あ」
こんな狭くて汚いアパートに……!?
いいのだろうか。冬くんが来るからと掃除はしまくったのだけど、毛とか落ちてないかな。
排水口もしっかり掃除したし、においも大丈夫のはず。
でも狭すぎやしないか。
最悪、俺が出ればいいかな。
「ふ、冬くんがいいなら……! ね、寝巻きとか歯ブラシ持ってる!?」
「歯ブラシはいつも持ってます。寝巻きもあるけど使いますかね~? 着せる暇ないかも」
思わせぶり~!
「冬くんのエッチ……!」
「おなかいっぱいになったら、たくさん動けって衝動わきますよね?」
やばすぎる。
冬くんの演技力に脱帽。
「五発も出したのに……すご……」
「今日あと数発はいけそうです」
部屋着のズボンの胴を引っ張って、股間と相談してる。おっさんみたいな仕草なのに、冬くんだとおしゃれさえ感じる。
少し落ち着いたら、寝る準備をして、またエッチできるんだ……。
冬くんはテーブルの上を片付けて、俺もあれこれ片付けて、二人で歯を磨いて、一応ちゃんと寝巻きも着た。
こたつで、向かい合わせではなくて、冬くんが座ってる膝の中に座る。背中を預けてもたれていると、冬くんは俺のうなじを吸ったり、胸をもんだり。
えっちぃ雰囲気の一歩手前。
あまあま。
「んふふ。くすぐったい」
俺が言うと、ぎゅーってしてくれた。
このところ、俺は、人生の幸運をすべて使い切るいきおいである。
「花火くん……もしよければ、本名を教えてほしいです」
耳元で訊ねられて、俺は振り返る。
「あっ、本名です。花火!」
「えっ」
「死んだじいさんが花火職人で」
「……!」
「気に入ってるからそのままなの。柊(ひいらぎ)、花火」
ぱっと一瞬にして散っちゃうものが名前なのは縁起が悪いって言われたことがある。だから、花の名前とかも、本来は忌避されるものなんだって。
でも俺としては、職人のじいさんの花火工場のにおいとか、開いたときのスケールの大きさや、なにより綺麗で、みんなが見惚れるところが好き。名前はお気に入り。
俺の人生は残念ながら華やかとは無縁で、学生時代は眼鏡と陰キャでいじめられ、おとなになってもぼっち界の優等生だ。
「花火くん、まさかの本名ですか」
「うん」
「素敵な名前です」
冬くんならそう言ってくれる気がしてた!
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「あー、だめ。我慢できない。でもさっきみたいな、がつがつ責めるのじゃなくて、花火くんと甘々でやりたいんですけど、いいですか?」
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いいも悪いもない。
イきそう。
〈たこ焼きとベビーカステラ 終わり〉
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