その冷たいまなざしで

ココ

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紗奈21

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ヒューヒューと指笛が飛び交い 男女の驚きの声と笑い声。
恥ずかしがる私をよそにがっちり優人さんが肩を抱く。

「うわ 嘘だろ?優人がデレッデレって。」
「槍が降るんじゃねえの?」

男性達は 信じられ無いという人と 大笑いする人。
女性達は 羨ましいそうな目と 意外そうな目。
ほとんどの人が二人の友達なので流石に嫌悪の目は無くて。

弁解しようとしたら 何事もなかった様にクールに
優人さんが最後のイベントに持っていった。


滞りなく二次会が終わった後 忘れ物の確認をして店を出る。

真美と野田さんから労りの電話を受けた後

それなりに気が張っていたようで結構な疲労感だった。

「優人さんってやっぱりもてるんだ。」




お酒も入り饒舌になった優人さんの友達が親切?に教えてくれて。

「大学生のころミスK大生に追いかけ回されたり
 雑誌のモデルをしてる女の子が待ち伏せしてたり。
 合コンで女の子が取り合いしたり。他にも色々あったなあ。
 でも冷たいの。びっくりするぐらいに。
 なのにモテるって 何なのかわからんやつなんだよ。
 
 でも3年生か あの頃 佐和子と付き合いだして...」

思い出に浸りながら全て話し出したその時
優人さんの声がした。

「おい!」

余りの大きい声に

私もその友達も ビクッっとして振り返った。

優人さんは私を自分の方に向かせて 

両手で私の耳をふさぎ 何か友達に告げている。

暫くして 耳から手を離されるともうその友達はいなくて。

少し不安げな優人さんがこちらを覗き込んでいた。





その事を思い出し 帰り道 問いかけると
優人さんは 嫌そうな顔をした。

「そんな事ない。大袈裟に言ってただけ。」
正面に向き直って 平静を装ったように言う。
二人とも 沈黙になり...。

ちょっと嫌みっぽかったかな と 反省した。
でもまったく気にならない訳じゃないから そのままに出来なくて。
難しいな と思っていた時 優人さんが繋いでいた手をぎゅっと握った。

反射的に見上げると
「何が不安? 何でも言って。言わないで我慢されるのが一番怖い。」
そう言う 優人さんのほうが不安げで。
どうしてなのか 私の不安は無くなっていた。

「ううん 大丈夫。ぎゅってしてくれたら。」

そう言うと 優人さんはゆっくり包み込むように抱き締めてくれた。

抱き締めてもらうとやっぱり安心して。

私たちは こんな方法でいいのかもしれない。

行き場のないモヤモヤは

優人さんの表情と温もりで溶かしてもらって。

優人さんが不安な時は 私が溶かしてあげよう。

そう思って抱き締め返した。
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