12 / 12
第四章
悪魔
――頭がぼーっとする。
だがなぜだろうか、とても安らかな気分だ。
まるで幻術魔法をかけられたような、夢の中を泳いでいるような不思議な気分だ。
「ロイス……」
懐かしいお父さんの声がどこかで聞こえた気がした。
「お父さん?」
その声に、応えてみる。
「ロイス……」
また同じ声が聞こえて、頭がボーっとしているが、心が高鳴る妙な高揚感の中、そっと息を吸うと血の匂いがした。目を開けるとはらわたが、手の中で踊っていた。
!?!!?
徐々に手の感覚が戻ってきて、豚や魚とは違う内臓が手の動いているのが分かった。そしてその内臓は、力無く今も脈を打ちながら生きている。
「綺麗だ……これは?」何気なくその珠玉のように輝く内臓に目線を落とすと、その臓器の一部が尾を引いて
村長の腹部に繋がっており、これが人間のはらわただと確信した。
「……ロイス?」
はらわたが出て動けない村長が、引きつった表情でこっちを凝視してくる。その目がこの世の者と思えない色で困惑する。
「ロイス……なんで??」
その問いかけに答える事ができずに、表情さえも変える事ができない。
なぜこのような状態になっているのだろうか?いったいどうなってる?
(おいしいよ?口にいれてみな?)
また、異常な鼓動のような囁きが頭の中に広がって行く。この声の主はいったい何者なんだ?
「うるさい!!!!黙れ!!!!」
その声を払うように叫ぶが、その鼓動に似た囁きはますます大きくなる。
「ロイス……悪魔と契約したのか……」
村長が異変に気がついたのか、悲しそうに声を絞り出す。
「いや、俺は……」
契約したのは分かっている。俺は人間ではない。もうこの村の者でもない。
「ならば勇者を殺してくれ……私の全てを奪った彼を」
村長がそう言って目を限界まで見開く叫ぶ。意志が通ったその声とその瞳はまるで、新しい生命が宿ったような神秘的な色と気味の悪さを覚えさせた。
「……」
そして静寂、目の前で村長が絶命するのが分かった。手の中の内臓がゆっくり止まって行くのを感じる。
「……俺がやってしまったのか?」
初めて人を殺してしまった。さらに身近な人間。そう思うと、恐怖が何度も心を襲う。
(彼はもう死んだよ。おいしいよ?口にいれてみな?)
また鼓動が大きくなる。
「やめてくれ、俺は人間なんだ」
(違うよ。君は悪魔だよ)
「違う!!俺は人間だ」
鼓動とそんなやりとりをしていると、いつの間にかどうでも良くなって
村長のはらわたを口に含んでしまった。
「うまい」
つい自分でも信じられない言葉が口から出た。血の味が新鮮で、もっと食べたいと思った。
だがなぜだろうか、とても安らかな気分だ。
まるで幻術魔法をかけられたような、夢の中を泳いでいるような不思議な気分だ。
「ロイス……」
懐かしいお父さんの声がどこかで聞こえた気がした。
「お父さん?」
その声に、応えてみる。
「ロイス……」
また同じ声が聞こえて、頭がボーっとしているが、心が高鳴る妙な高揚感の中、そっと息を吸うと血の匂いがした。目を開けるとはらわたが、手の中で踊っていた。
!?!!?
徐々に手の感覚が戻ってきて、豚や魚とは違う内臓が手の動いているのが分かった。そしてその内臓は、力無く今も脈を打ちながら生きている。
「綺麗だ……これは?」何気なくその珠玉のように輝く内臓に目線を落とすと、その臓器の一部が尾を引いて
村長の腹部に繋がっており、これが人間のはらわただと確信した。
「……ロイス?」
はらわたが出て動けない村長が、引きつった表情でこっちを凝視してくる。その目がこの世の者と思えない色で困惑する。
「ロイス……なんで??」
その問いかけに答える事ができずに、表情さえも変える事ができない。
なぜこのような状態になっているのだろうか?いったいどうなってる?
(おいしいよ?口にいれてみな?)
また、異常な鼓動のような囁きが頭の中に広がって行く。この声の主はいったい何者なんだ?
「うるさい!!!!黙れ!!!!」
その声を払うように叫ぶが、その鼓動に似た囁きはますます大きくなる。
「ロイス……悪魔と契約したのか……」
村長が異変に気がついたのか、悲しそうに声を絞り出す。
「いや、俺は……」
契約したのは分かっている。俺は人間ではない。もうこの村の者でもない。
「ならば勇者を殺してくれ……私の全てを奪った彼を」
村長がそう言って目を限界まで見開く叫ぶ。意志が通ったその声とその瞳はまるで、新しい生命が宿ったような神秘的な色と気味の悪さを覚えさせた。
「……」
そして静寂、目の前で村長が絶命するのが分かった。手の中の内臓がゆっくり止まって行くのを感じる。
「……俺がやってしまったのか?」
初めて人を殺してしまった。さらに身近な人間。そう思うと、恐怖が何度も心を襲う。
(彼はもう死んだよ。おいしいよ?口にいれてみな?)
また鼓動が大きくなる。
「やめてくれ、俺は人間なんだ」
(違うよ。君は悪魔だよ)
「違う!!俺は人間だ」
鼓動とそんなやりとりをしていると、いつの間にかどうでも良くなって
村長のはらわたを口に含んでしまった。
「うまい」
つい自分でも信じられない言葉が口から出た。血の味が新鮮で、もっと食べたいと思った。
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
巨乳のメイドは庭師に夢中
さねうずる
恋愛
ピンクブロンドの派手な髪と大きすぎる胸であらぬ誤解を受けることの多いピンクマリリン。メイドとして真面目に働いているつもりなのにいつもクビになってしまう。初恋もまだだった彼女がやっとの思いで雇ってもらえたお屋敷にいたのは、大きくて無口な庭師のエバンスさん。彼のことが気になる彼女は、、、、
冬に咲くフィオレイス〜輝ききらないシリウスは、車椅子の上で芸術をのこす〜
逆立ちのウォンバット
ファンタジー
シリウス・エルミナージュは、芸術を愛する公爵家の嫡男。
けれど、生まれつき身体が弱く、最近では自力で歩くことさえ難しくなっていた。
“どんな夜でも、一番輝けるように”
星詠みの詩人だった母に、そんな願いを込めて名付けられた『シリウス』という名前。
数ある星の中で最も強く輝くその名は、今ではシリウスにとって、自分の弱さを突きつける呪いのようになっていた。
冬に咲く花『フィオレイス』を愛し、その一瞬の光や温度を絵画や音楽として残そうとするシリウス。
しかし創作に没頭する度、身体は壊れていく。
過保護な母の愛情。
静かに寄り添う侍女リゼット。
そして、作品の奥にある“シリウス自身”を見つめてくれる従兄弟・セオミール。
これは、輝ききれなかった少年が、それでも世界の美しさを芸術としてのこそうとする、冬の物語。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
『お前を愛する事はない』旦那様、それではごきげんよう
あんど もあ
ファンタジー
結婚初夜に「お前を愛する事はない」と言われたアレクシア。成金男爵令嬢が名門旧家の伯爵家の令息との恋を実らせたはずが、彼は贅沢を享受したいだけで、愛する女性は別にいた。それから三年。アレクシアは夫から家を追い出される事になるが……。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。