彼氏彼女の大冒険

紅美

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酷暑とテレビで言ってるらしい

ロイくんかく語りき

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「よいしょ、ちょっとだけ肩貸して」
とか言って、肘に捕まって、体重かけて来た。

 背が低いのに、高いスツールに座りたがるから、大変だ。
   そんなにまで、電源の確保したいんだなぁって思う。
  やっとスツールに座りながら、持参して来たノートPCと携帯をカウンターに置いて、食事と飲み物を置く場所は後回しになってしまった。
  USBの二口あるACチャージャーのプラグをコンセントに刺して、もう一つのコンセントの位置を俺に示して
「使わないの?」
と言ってくれるから、小さなバックパックからACチャージャーを取り出して、自分の使ってる携帯の充電器につないでから、自分の飲み物を置いて、私も隣のスツールに腰を下ろす。

   携帯電話会社の現場仕事を始めたのをキッカケにスマホを持つようになって、いわゆるスマホ依存症っぽい状態になりかけてたけど、ルームメイトのおかげもあって、言葉もできるようになったから、ずいぶんとおしゃべりするのが楽しくなって、饒舌になったと自分でも感じてる。

   身長差カップルだし、体の大きさが圧倒的に違うから、年齢とは逆に、年の離れた妹を世話をするお兄ちゃんみたいな役割をすることも多くなる。
   混んだ電車の中で、つり革や手すりに捕まれない時は、私の腰に捕まったり。私がぐらつくと一緒に転んじゃうから、しっかり立ってないといけない。

   こういう移動手段が電車だったり、お茶するのが、セルフサービスのカフェだったり、基本的に普通の人の感覚を守ろうとするところもあるけど、この人の普通の感覚が壊れてるのは、間違いないと思う。

   ブルックリンスタイルだかなんだか知らないけど、打ちっぱなしのコンクリート壁やレンガ壁に安っぽいインテリアの内装で、良く言えば実用的だけど、悪く言ってしまえば殺風景なカウンターとスツールの席でプラスチックのナイフ・フォークでの食事しながら愛だの恋だの語れるわけがない。てか、そんなことをしてみたことがなかったから、よくわかんないのが正直なところ。

 スタイルを追求し過ぎて、お手ふきのビニール包装や紙ナフキンまで黒だ。
私の手の色より、黒い紙ナフキンで口の周りに着いたケーキのクリームを拭ったりするけど、ついでに口紅まで拭き取っちゃったのは、多分気がついているはずだ。そろそろトイレに立って化粧直して来ると言い出すかなと思ってたら、腕時計を見て、
「あっ! こんな時間⁈  ランチタイム始まったわ! 行きましょう」
  と慌てて立ち上がろうとする。
  ランチだろうが、朝だろうが、朝メシみたいなもんばかり食べたがるんだから、関係ないようなものだと思ってるが、提供されるサービスに合わせて利用したいらしいから、それに合わせて動くこ
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