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1-2 ギルドの受付嬢とギルマスの悲鳴
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🏛第1章 S級なのにお荷物
1-2 ギルドの受付嬢とギルマスの悲鳴
ギルドの扉を開けた瞬間、冒険者たちのざわめきがピタリと止んだ。
視線が一斉に向く。
その中心に現れたのは、燃え残りの匂いをまとった少女――S級魔法使い・ダイア。
「ただいま戻りました~!」
満面の笑みで手を振る。
その明るさに応える者は、誰一人としていなかった。
受付カウンターにいた受付嬢リナが、静かに書類を閉じる。
「……また、やらかしましたね?」
「いえ、今回は大丈夫でしたよ!」
「大丈夫の基準があなたと世界では違うんです」
リナが眉をひそめながら報告書をめくる。
そこには、先ほどまで所属していたパーティー名と、
横に殴り書きされた一文が記されていた。
> 『二度と来るな(被害範囲・半径三キロ)』
リナはため息をつく。
「……これ、報告書じゃなくて遺書みたいな内容なんですけど」
「でもほら、今回はモンスターもちゃんと倒しましたし!」
「モンスターも、地形も、パーティーメンバーの装備も、でしょ?」
「えっと……はい、全部一掃できました!」
「できていいこと一つもないですよ!」
そのやり取りを聞いていた他の冒険者たちは、
「またあの人か……」とヒソヒソ声でつぶやく。
「おい見ろ、S級なのに一人でダンジョンごと消す女だぞ」
「うちの村、まだ煙上がってんだが……」
「この前“弱火で”って言って、空が昼になったって聞いたぞ」
ダイアは苦笑しながら、手をひらひらと振る。
「うふふ、皆さん大げさですよ~。ちゃんと加減してます!」
「加減して、あの結果なんですか……」
リナの口調にはもはやツッコミより哀れみが混じっていた。
---
ギルドマスター登場
その時、奥の扉がドガァァン!と勢いよく開いた。
怒りのオーラを纏ったギルドマスターが現れる。
「おい、ダイアァァァァァ!!!」
ホールの空気が一瞬で凍りつく。
受付嬢リナはそっと下がり、ダイアはニコリと笑った。
「ギルマス、お疲れさまです!」
「お疲れさまじゃねぇぇぇぇ!!!」
マスターは怒鳴りながら書類を叩きつけた。
「これを見ろ! 本日のお前の活動報告だ!」
「ええと……“依頼達成:対象殲滅(※地形含む)”?」
「地形含むな!!!」
ギルドホールが爆笑に包まれる。
マスターは頭を押さえながら、声を荒げた。
「お前、どんな魔法を使ったんだ!」
「**Lv0.5“弱火のファイヤー”**です!」
「そんなもん存在しねぇぇぇ!!!」
「じゃあ、**Lv0.3“トロ火のファイヤー”**です!」
「余計おかしいわ!! どうやって小数点で火力を調整するんだ!」
「気合いと根性です!」
「理屈で言えぇぇぇ!!!」
リナが小声で「無理ですよ、理屈なんてないです」と呟く。
「だいたいな、S級ってのは、力を制御できる奴のことを言うんだ!」
「私、してるつもりなんですけどね~」
「“つもり”で半島ひとつ吹き飛んでんだよ!!」
マスターの怒鳴り声がホール中に響く。
だがダイアはまったく悪びれる様子もなく、
胸を張って堂々と宣言した。
「でも、被害ゼロですよ! モンスターもパーティーも、
あのあと全員生きてました!」
「地形が消えたのに!? どうやって!?」
「吹き飛ばされただけで、意識はありました!」
「爆風の中で意識がある時点で奇跡だわ!!!」
マスターは机に突っ伏した。
リナはそっと氷水を差し出す。
「ギルマス、深呼吸を……」
「……もう嫌だ、この仕事……」
---
S級お荷物の現実
マスターが深くため息をつき、しばらく黙ったあと、
書類をめくりながら低く言った。
「いいかダイア……これからお前に与える依頼は、S級案件限定だ」
「えっ、なんでですか!?」
「お前が下級依頼を受けると、世界地図が変わるんだよ!!!」
「えぇ~、そんなに~?」
「そんなに、じゃねぇぇぇ!!」
「でもS級案件って危ないんですよね?」
「お前にとっては安全だよ!! 敵がいなくなるんだからな!!!」
リナがぼそっと漏らす。
「ギルマス、ダイアさんが出撃するたびに、保険料が跳ね上がってます」
「保険会社から苦情が来たんだよ! “あの女は保険対象外にしてくれ”ってな!!!」
ダイアは苦笑いを浮かべる。
「えへへ、なんだか私って、周りからすごく心配されてる気がします!」
「違う! 警戒されてるんだ!!!」
---
今日も笑顔で災害級
その後、リナが補足説明を続ける。
「それでダイアさん、次の依頼なんですが――」
「おっ、新しいの来ました?」
「はい、“草むしり”です」
「えぇっ!? 私、そんな雑用を!? ……いや、やります!」
「ただし、魔法は使わないでください」
「そんなぁ……」
ホールの冒険者たちが口々に言う。
「草が灰になるぞ……」
「いや、大陸ごと更地になる……」
ギルマスが再び叫んだ。
「魔法禁止! 草抜くときは手でやれ!!!」
「はいっ! Lv0.0素手ファイヤーで!」
「存在しねぇぇぇぇぇぇ!!!!」
リナがつぶやいた。
「……会話してるだけで地獄みたいです」
---
それでも彼女は明るい
夕方、受付カウンターに戻ったダイアは、
今日も笑顔で言った。
「リナさん、私、次は絶対うまくやります!」
「どんな依頼でも、“控えめ”を心がけてくださいね」
「任せてください! **Lv0.1“保温ファイヤー”**でいきます!」
「もうその単語聞きたくないです!!!」
リナは机に突っ伏し、マスターは頭を抱える。
それでもダイアは朗らかに笑っていた。
「やっぱりギルドって楽しいですね! 次こそ頑張ります!」
「頼むから……頑張らないでくれ……」
そして、今日もまた一件、
“加入当日追放”の記録がギルドの書類に追加されるのだった。
---
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1-2 ギルドの受付嬢とギルマスの悲鳴
ギルドの扉を開けた瞬間、冒険者たちのざわめきがピタリと止んだ。
視線が一斉に向く。
その中心に現れたのは、燃え残りの匂いをまとった少女――S級魔法使い・ダイア。
「ただいま戻りました~!」
満面の笑みで手を振る。
その明るさに応える者は、誰一人としていなかった。
受付カウンターにいた受付嬢リナが、静かに書類を閉じる。
「……また、やらかしましたね?」
「いえ、今回は大丈夫でしたよ!」
「大丈夫の基準があなたと世界では違うんです」
リナが眉をひそめながら報告書をめくる。
そこには、先ほどまで所属していたパーティー名と、
横に殴り書きされた一文が記されていた。
> 『二度と来るな(被害範囲・半径三キロ)』
リナはため息をつく。
「……これ、報告書じゃなくて遺書みたいな内容なんですけど」
「でもほら、今回はモンスターもちゃんと倒しましたし!」
「モンスターも、地形も、パーティーメンバーの装備も、でしょ?」
「えっと……はい、全部一掃できました!」
「できていいこと一つもないですよ!」
そのやり取りを聞いていた他の冒険者たちは、
「またあの人か……」とヒソヒソ声でつぶやく。
「おい見ろ、S級なのに一人でダンジョンごと消す女だぞ」
「うちの村、まだ煙上がってんだが……」
「この前“弱火で”って言って、空が昼になったって聞いたぞ」
ダイアは苦笑しながら、手をひらひらと振る。
「うふふ、皆さん大げさですよ~。ちゃんと加減してます!」
「加減して、あの結果なんですか……」
リナの口調にはもはやツッコミより哀れみが混じっていた。
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ギルドマスター登場
その時、奥の扉がドガァァン!と勢いよく開いた。
怒りのオーラを纏ったギルドマスターが現れる。
「おい、ダイアァァァァァ!!!」
ホールの空気が一瞬で凍りつく。
受付嬢リナはそっと下がり、ダイアはニコリと笑った。
「ギルマス、お疲れさまです!」
「お疲れさまじゃねぇぇぇぇ!!!」
マスターは怒鳴りながら書類を叩きつけた。
「これを見ろ! 本日のお前の活動報告だ!」
「ええと……“依頼達成:対象殲滅(※地形含む)”?」
「地形含むな!!!」
ギルドホールが爆笑に包まれる。
マスターは頭を押さえながら、声を荒げた。
「お前、どんな魔法を使ったんだ!」
「**Lv0.5“弱火のファイヤー”**です!」
「そんなもん存在しねぇぇぇ!!!」
「じゃあ、**Lv0.3“トロ火のファイヤー”**です!」
「余計おかしいわ!! どうやって小数点で火力を調整するんだ!」
「気合いと根性です!」
「理屈で言えぇぇぇ!!!」
リナが小声で「無理ですよ、理屈なんてないです」と呟く。
「だいたいな、S級ってのは、力を制御できる奴のことを言うんだ!」
「私、してるつもりなんですけどね~」
「“つもり”で半島ひとつ吹き飛んでんだよ!!」
マスターの怒鳴り声がホール中に響く。
だがダイアはまったく悪びれる様子もなく、
胸を張って堂々と宣言した。
「でも、被害ゼロですよ! モンスターもパーティーも、
あのあと全員生きてました!」
「地形が消えたのに!? どうやって!?」
「吹き飛ばされただけで、意識はありました!」
「爆風の中で意識がある時点で奇跡だわ!!!」
マスターは机に突っ伏した。
リナはそっと氷水を差し出す。
「ギルマス、深呼吸を……」
「……もう嫌だ、この仕事……」
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S級お荷物の現実
マスターが深くため息をつき、しばらく黙ったあと、
書類をめくりながら低く言った。
「いいかダイア……これからお前に与える依頼は、S級案件限定だ」
「えっ、なんでですか!?」
「お前が下級依頼を受けると、世界地図が変わるんだよ!!!」
「えぇ~、そんなに~?」
「そんなに、じゃねぇぇぇ!!」
「でもS級案件って危ないんですよね?」
「お前にとっては安全だよ!! 敵がいなくなるんだからな!!!」
リナがぼそっと漏らす。
「ギルマス、ダイアさんが出撃するたびに、保険料が跳ね上がってます」
「保険会社から苦情が来たんだよ! “あの女は保険対象外にしてくれ”ってな!!!」
ダイアは苦笑いを浮かべる。
「えへへ、なんだか私って、周りからすごく心配されてる気がします!」
「違う! 警戒されてるんだ!!!」
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今日も笑顔で災害級
その後、リナが補足説明を続ける。
「それでダイアさん、次の依頼なんですが――」
「おっ、新しいの来ました?」
「はい、“草むしり”です」
「えぇっ!? 私、そんな雑用を!? ……いや、やります!」
「ただし、魔法は使わないでください」
「そんなぁ……」
ホールの冒険者たちが口々に言う。
「草が灰になるぞ……」
「いや、大陸ごと更地になる……」
ギルマスが再び叫んだ。
「魔法禁止! 草抜くときは手でやれ!!!」
「はいっ! Lv0.0素手ファイヤーで!」
「存在しねぇぇぇぇぇぇ!!!!」
リナがつぶやいた。
「……会話してるだけで地獄みたいです」
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それでも彼女は明るい
夕方、受付カウンターに戻ったダイアは、
今日も笑顔で言った。
「リナさん、私、次は絶対うまくやります!」
「どんな依頼でも、“控えめ”を心がけてくださいね」
「任せてください! **Lv0.1“保温ファイヤー”**でいきます!」
「もうその単語聞きたくないです!!!」
リナは机に突っ伏し、マスターは頭を抱える。
それでもダイアは朗らかに笑っていた。
「やっぱりギルドって楽しいですね! 次こそ頑張ります!」
「頼むから……頑張らないでくれ……」
そして、今日もまた一件、
“加入当日追放”の記録がギルドの書類に追加されるのだった。
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