『カード召喚学園 〜異能力の無駄遣いで美少女が実体化した件〜

霧島

文字の大きさ
15 / 16

4-4 絆の勝利――そして、日常へ

しおりを挟む
4-4 絆の勝利――そして、日常へ

 

――空が裂けた。

黒い亀裂の向こうに、巨大な影が蠢く。
それは、無数のカードが寄り集まってできた“女神の躯(からだ)”。
ネメシスが完全な実体として降臨しつつあった。

> 『これが私の真の姿。
 創造主、お前の世界をこの手に――』



声が響くたび、校舎が軋み、空気が震える。
生徒たちは幻惑に包まれ、現実の出来事としては認識していない。
だが、カイたち召喚者だけが“真実の戦場”を見ていた。

 

カイは立ち上がる。
ルナ、アリシア、マリン、真白。
皆が傷つき、息を荒げながらも、彼の隣に立っていた。

> 「……みんな、ありがとう。
 でも、ここからは俺の戦いだ。」



> 「主、何を――」
「あいつを倒すために、俺自身の心をぶつける。」



カイは胸元のカードデッキを握りしめる。
これまで集めてきた、どのカードにも“想い”が詰まっていた。
コレクションとして集めたつもりが、
今ではそれぞれに個性と記憶が宿っている。

> 「――行くぞ。《フルリンク・リアライズ》!!」



 

無数のカードが空へ舞い上がる。
美少女も、モンスターも、戦士も、妖精も――
カイの心が呼びかけるたび、一体、また一体と姿を現す。

> 「これが……主の“心の軍勢”……!」



ルナが呆然とつぶやいた。
カイの周囲に光の陣が広がり、仲間たちの力が一つになる。

> 「ネメシス! お前が言ってた“愛は腐る”なんて、嘘だ!
 愛も絆も、俺の力だ!」



> 『愚か者……感情は破滅を呼ぶ……!』



ネメシスが光線を放つ。
それをルナが剣で受け止め、アリシアが斬り払い、
マリンの水流が炎を鎮める。

> 「主、今です!」



カイが両手をかざす。

> 「――《ユナイト・サモン・ルミナスハート》!」



光の奔流が迸る。
全ての召喚体たちが一つのエネルギーとなり、
巨大な光の剣の形を取った。

> 『馬鹿な……人の感情が……ここまでの力を――!』



> 「行けぇぇぇぇぇ!!!」



 

――刹那。

天空を貫く閃光が、女神を飲み込んだ。
黒い身体が崩れ、無数のカードの欠片となって散っていく。

> 『カイ・ミナト……お前の心は……まだ脆い……
 けれど……私は……それを美しいと思ってしまった……』



ネメシスの声が、遠ざかる。
そして完全に消えた。

 

静寂。
空が元に戻り、学園のチャイムが鳴り響いた。
まるで何事もなかったかのように。

> 「……終わった……のか?」
「はい、主。勝利です。」



ルナが剣を下ろす。
アリシアは微笑み、マリンはほっと胸を撫で下ろした。
真白は膝をつき、空を見上げる。

> 「……ほんとに、あんたってやつは。
 いつもトラブルを拾ってくるわね。」



> 「悪かったな。俺も好きで拾ってるわけじゃ――」



> 「嘘つけ。絶対わざとでしょ。」
「ぐっ……否定できねぇ……」



笑いがこぼれた。
それは緊張から解き放たれた、温かい笑いだった。

 

その夜。
カイの部屋には、いつもの日常が戻っていた。
ルナは紅茶を淹れ、マリンはソファで寝転び、アリシアは静かに本を読んでいる。
真白は宿題を持ち込んで机を占拠していた。

> 「あのさ、ルナ」
「はい、主?」
「お前らって……カードの中に戻ることもできるのか?」
「できます。ですが、私は主のそばにいる方が落ち着きます」
「……そっか」



彼は少しだけ微笑んだ。

> 「じゃあ、これからも一緒にいよう。
 カードでも、現実でも、どっちでもいい。
 お前たちは……俺の大事な仲間だから。」



> 「……主……!」



ルナの頬が赤く染まり、
マリンがにやにやと笑い、真白が「青春してるわね」とため息をついた。

アリシアは静かに紅茶を置き、言った。

> 「主。あなたが愛を信じる限り、我らは滅びません。」



> 「うん。……これからも、よろしくな。」



 

外では、夕焼けが赤く校舎を照らしていた。
あの異世界のような戦場が、嘘のように穏やかな光に包まれている。

 

だが――カイの机の奥。

ひっそりと置かれた“黒いカード”が、微かに脈打った。
その紋章が一瞬、淡く光り、消える。

まるで、また目を覚ます日を待っているかのように。

 

> 「――カード召喚学園、まだまだ続く予感しかしねぇな……」



カイは苦笑しながら、ルナたちと一緒に笑った。
異能力の無駄遣いな日常は、これからも続いていく。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...