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ブラッドオレンジジュースと両側
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小雨の降る渋谷に散歩に来た。
アパレルショップを数店回って、そろそろ足も疲れてきたので一休みしようとお店に入った。
そこは渋谷スクランブル交差点にあるTSUTAYAの7階のカフェ。
ここのカフェはいつもお洒落な人で賑わい、楽しそうな話し声が聞こえる。
いつものようにすんなりと入れる訳もなく、バーカウンターに置いてあるiPadを操作して、整理券をとった。
時間を潰すために同じフロアにある旅行関連のカタログを3冊選んだ。
10分くらいした頃、すぐに呼ばれた。
席に案内され、黒い革のソファに腰掛けた。
店員「ご注文はいかがしますか?」
私「ブラッドオレンジジュースで」
店員「かしこまりました」
両隣の席はどちらも男女のペアで、どちらも話に夢中だった。
店員「お待たせいたしました」
私「ありがとうございます」
歩き過ぎて足が痛い。しかも買ったばかりのサンダルが濡れてちょっとテンションも下がり気味。
ただブラッドオレンジジュースは冷たくて美味しかった。普通のオレンジジュースではなく、ブラッドオレンジジュースを頼んだのは、少しでも渋谷を感じたいというだけの選択であった。
ホッと一息ついた所に、楽しそうな男性の声がした。
右男「ここいいよね!メモメモ!」
右女「このダム有名だよねー」
なるほど。ふたりが見ている大きな本には綺麗な写真が写っていた。
ダム好きのカップルなのか。
私も選んだ旅行雑誌を開き、金沢のページを見ていた。
すると、
左男「そうなんだあ~、海外ってさあ~いいよねえ~」
なんだか胡散臭い。
パッと見るといかにも大学生ファッションの渋谷の似合わない冴えない男性がニコニコと女性を見ていた。
恐らく20代半ばといったところだろう。
左女「海外って、特にアメリカはいろんな人がいて、そんな考え方があったのかーってすごく思うの!」
左男「そうだよねえ~、僕は日本が1番住みやすいから1番良いと思う」
は?その子の欲しい答え違うよ?
とかなんとか思いながら、やはり冴えない男は話が下手だな、と私はまた旅行雑誌に目を落とした。
右男「行って良かったところは赤、微妙なところは緑、行きたいところは青。そうやってグーグルマップに印しておくとわかりやすいよ!」
右女「なるほど!めんどくさそうだけど、やってみようかな!いいね!」
右カップルは仲がいいみたいだ。会話も成り立っている。
ブラッドオレンジジュースが減っていなかったのでまた飲んだ。
すると
左男「でもおれ海外って修学旅行でイタリア行っただけだからなにも知らないんだけどねえ~」
左女「そうなんだあ」
左男「長い間海外に住んでたの?」
いや急なんだよなー。彼女が住んだことなかった場合、彼女は少しばかり恥をかくぞ?
左女「いや、まぁ、留学で2ヶ月イギリスに居たかな、、。でも、あとは旅行で行ったりとか、あと、色々、でも、まぁ行ったことあるよ」
あからさまにテンパってるやん!
ちなみに左の女性は女子アナのような、清楚な服装に、背筋をピッと伸ばして、綺麗な長い黒髪が印象的な女性だった。
右女「今、正直この色分けめんどくさいww」
右男「まぁ、一気にやるのは大変だから無理しなくても、ね?」
右女「でももうすぐ終わるから頑張って終わらせる!」
なんだろう、すごくほのぼのとした会話。お互い思い合ってる感じがある。
私はブラッドオレンジジュースをまた一口飲んだ。
するとまたヤツがやらかしている。
左男「ファッションってさぁ、俺すごい好きなんだよねえ~」
ダサいやつから聞くこの手の話、女性は心底つまらない。
左女「へぇー、私も見たりするの好きだけど、なるべく物を増やさない様に慎重に買い物するよ」
左男「おれはとにかく沢山ほしいんだっ。1000円の服とかでいいからいっぱい欲しい。」
いちいち反対の意見を言ってくるなあ、コイツ。
左男「特に女性のファッションが好きで、雑誌も女性のすごく見るし、種類があっていい。カーディガンなんかも男子はあんまり着ないけど、女性はよく着るじゃん?」
そのドヤ顔。どっからくるの?
左女「あー、、。そうだね?」
ほら、引いてる。
左男「しかも女性って下着も可愛いし」
左女「、、、。」
左男「おれ女性に下着を選んであげたいんだよね。これ似合うよって。」
えっえっ待て待て。
恐らくこのふたりは付き合ってなさそうだし、なんなら会ったのは初めての様な質問もしていた。
それで下着の話は、無理。
左女「まぁ、、そうゆうの選んでもらうの嬉しい人もいるかもね??」
頑張った。それ精一杯の相手を傷付けない回答だよ。素晴らしい。
左男「下着のお店、入るのって緊張しそうだなあ~」
おいおい男。堪えられてないよ、にやけが。溢れてるのよ。
左男「でもさ、男が下着屋に入るのってどうかなあ~」
左女「まぁ、たまにいるよ」
なんて優しい子なんだろう。私はあの下着屋に何食わぬ顔でいる男が本当に苦手だ。
左男「でもさ、女の人が試着してる時、その前で待ってるのとか俺どうしたらいいんだろうなあ~」
もう、その話辞めなよっ!とも言えず。
左女「そう、だね」
左男「でも俺が下着選んであげるから、一緒に行こうって言ったらどお?」
言っちゃったねーーー。めっちゃ楽しそうな顔してるよ。この素晴らしい女性はどうフォローするかな。
左女「いや、無理でしょwww彼氏でもなんでもないくせに店に入るなんてww選ばれたくもないしwww」
ぶはっ!よく言った!堪えられなかったんだね。
右男「ねえそこのヤツやばくない?やばい事ずっと言ってるよ」
右女「確かにやばい」
左男は撃沈した。
気づくとブラッドオレンジジュースは空になっていた。
足も痛くない。
さぁ、店を出ようとパッと顔を上げた時、先程ブラッドオレンジジュースを運んできてくれた店員さんと目が合った。
なんだかずっと見られていた気がした。
アパレルショップを数店回って、そろそろ足も疲れてきたので一休みしようとお店に入った。
そこは渋谷スクランブル交差点にあるTSUTAYAの7階のカフェ。
ここのカフェはいつもお洒落な人で賑わい、楽しそうな話し声が聞こえる。
いつものようにすんなりと入れる訳もなく、バーカウンターに置いてあるiPadを操作して、整理券をとった。
時間を潰すために同じフロアにある旅行関連のカタログを3冊選んだ。
10分くらいした頃、すぐに呼ばれた。
席に案内され、黒い革のソファに腰掛けた。
店員「ご注文はいかがしますか?」
私「ブラッドオレンジジュースで」
店員「かしこまりました」
両隣の席はどちらも男女のペアで、どちらも話に夢中だった。
店員「お待たせいたしました」
私「ありがとうございます」
歩き過ぎて足が痛い。しかも買ったばかりのサンダルが濡れてちょっとテンションも下がり気味。
ただブラッドオレンジジュースは冷たくて美味しかった。普通のオレンジジュースではなく、ブラッドオレンジジュースを頼んだのは、少しでも渋谷を感じたいというだけの選択であった。
ホッと一息ついた所に、楽しそうな男性の声がした。
右男「ここいいよね!メモメモ!」
右女「このダム有名だよねー」
なるほど。ふたりが見ている大きな本には綺麗な写真が写っていた。
ダム好きのカップルなのか。
私も選んだ旅行雑誌を開き、金沢のページを見ていた。
すると、
左男「そうなんだあ~、海外ってさあ~いいよねえ~」
なんだか胡散臭い。
パッと見るといかにも大学生ファッションの渋谷の似合わない冴えない男性がニコニコと女性を見ていた。
恐らく20代半ばといったところだろう。
左女「海外って、特にアメリカはいろんな人がいて、そんな考え方があったのかーってすごく思うの!」
左男「そうだよねえ~、僕は日本が1番住みやすいから1番良いと思う」
は?その子の欲しい答え違うよ?
とかなんとか思いながら、やはり冴えない男は話が下手だな、と私はまた旅行雑誌に目を落とした。
右男「行って良かったところは赤、微妙なところは緑、行きたいところは青。そうやってグーグルマップに印しておくとわかりやすいよ!」
右女「なるほど!めんどくさそうだけど、やってみようかな!いいね!」
右カップルは仲がいいみたいだ。会話も成り立っている。
ブラッドオレンジジュースが減っていなかったのでまた飲んだ。
すると
左男「でもおれ海外って修学旅行でイタリア行っただけだからなにも知らないんだけどねえ~」
左女「そうなんだあ」
左男「長い間海外に住んでたの?」
いや急なんだよなー。彼女が住んだことなかった場合、彼女は少しばかり恥をかくぞ?
左女「いや、まぁ、留学で2ヶ月イギリスに居たかな、、。でも、あとは旅行で行ったりとか、あと、色々、でも、まぁ行ったことあるよ」
あからさまにテンパってるやん!
ちなみに左の女性は女子アナのような、清楚な服装に、背筋をピッと伸ばして、綺麗な長い黒髪が印象的な女性だった。
右女「今、正直この色分けめんどくさいww」
右男「まぁ、一気にやるのは大変だから無理しなくても、ね?」
右女「でももうすぐ終わるから頑張って終わらせる!」
なんだろう、すごくほのぼのとした会話。お互い思い合ってる感じがある。
私はブラッドオレンジジュースをまた一口飲んだ。
するとまたヤツがやらかしている。
左男「ファッションってさぁ、俺すごい好きなんだよねえ~」
ダサいやつから聞くこの手の話、女性は心底つまらない。
左女「へぇー、私も見たりするの好きだけど、なるべく物を増やさない様に慎重に買い物するよ」
左男「おれはとにかく沢山ほしいんだっ。1000円の服とかでいいからいっぱい欲しい。」
いちいち反対の意見を言ってくるなあ、コイツ。
左男「特に女性のファッションが好きで、雑誌も女性のすごく見るし、種類があっていい。カーディガンなんかも男子はあんまり着ないけど、女性はよく着るじゃん?」
そのドヤ顔。どっからくるの?
左女「あー、、。そうだね?」
ほら、引いてる。
左男「しかも女性って下着も可愛いし」
左女「、、、。」
左男「おれ女性に下着を選んであげたいんだよね。これ似合うよって。」
えっえっ待て待て。
恐らくこのふたりは付き合ってなさそうだし、なんなら会ったのは初めての様な質問もしていた。
それで下着の話は、無理。
左女「まぁ、、そうゆうの選んでもらうの嬉しい人もいるかもね??」
頑張った。それ精一杯の相手を傷付けない回答だよ。素晴らしい。
左男「下着のお店、入るのって緊張しそうだなあ~」
おいおい男。堪えられてないよ、にやけが。溢れてるのよ。
左男「でもさ、男が下着屋に入るのってどうかなあ~」
左女「まぁ、たまにいるよ」
なんて優しい子なんだろう。私はあの下着屋に何食わぬ顔でいる男が本当に苦手だ。
左男「でもさ、女の人が試着してる時、その前で待ってるのとか俺どうしたらいいんだろうなあ~」
もう、その話辞めなよっ!とも言えず。
左女「そう、だね」
左男「でも俺が下着選んであげるから、一緒に行こうって言ったらどお?」
言っちゃったねーーー。めっちゃ楽しそうな顔してるよ。この素晴らしい女性はどうフォローするかな。
左女「いや、無理でしょwww彼氏でもなんでもないくせに店に入るなんてww選ばれたくもないしwww」
ぶはっ!よく言った!堪えられなかったんだね。
右男「ねえそこのヤツやばくない?やばい事ずっと言ってるよ」
右女「確かにやばい」
左男は撃沈した。
気づくとブラッドオレンジジュースは空になっていた。
足も痛くない。
さぁ、店を出ようとパッと顔を上げた時、先程ブラッドオレンジジュースを運んできてくれた店員さんと目が合った。
なんだかずっと見られていた気がした。
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