雪のち晴

トモヒロ69

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第1章 雪のち晴

第10話 秋

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 晴ちゃんが下界に帰って、3ヶ月が経った。未だに晴ちゃんは帰ってこない。

 もう季節は夏だ。街の皆は半袖を着て、プールなどに向かう若者ばかりだった。

 特に最近暑くて仕方ない。正直に言うと、僕もプールに今すぐにダイブしたいのだ。しかし警察に見つかっても困るので、今は最低限の外出しかしていない。

(もし晴ちゃんがいたら、遠くの海とかに行って泳ぐんだろうか)

 晴ちゃんならやりかねない。多分僕も面倒くさいと言いながら、結局ついて行ってしまうのだろう。

「つまらないなー」

 最近は本当につまらないのだ。最初は死神なんかと過ごすのが実感なかった。わざと捕まろうとも考えた。

 だけど、悔しいけど、この生活が気に入ってしまった。

「今から1年間私といて警察に捕まらなかったら、私が君を殺してあげよう。逆に捕まれば、また拘置所でそのうち死刑されるだろ」

 この部屋で話した会話。多分、心のどこかでまだ死にたくないと思っていたのだ。

 もし僕が捕まっていなかったら今頃、仕事をして、休日に恋人とデートでもしているんだろう。それでそのうち結婚して、子供が産まれて、老後も幸せに暮らしていたのだろう。

「あれ…?」

 想像したら涙が出てきた。今寝転んでいるベットのシーツの色が変わる。 

「本当にどうしてこうなったのかな…」

 前は晴ちゃんがいたから、また幸せを手にすることができたんだと思っていた。

 けど、晴ちゃんがいない今、生きてる理由が分からない。

(もう自首しようかな)

 その後は静かに泣いて、気づいたら寝てしまっていた。

■ ■ ■

 次に起きたときは、夕方の18時だった。
冬ならもう真っ暗だろうが、夏なのでまだ明るい。

(何か買いに行こう)

 玄関の鍵を締める。近くのスーパーに向かう途中、

「あのー」

 声をかけられた。振り返ると、女の人が立っていた。

「もしかして雪?」

 顔が青ざめるのが分かった。偶然ってすごいと思う。こんなところで元カノの秋と出会うことがあるのだから。

「なんで…?」

 それよりもとてもまずい。なんとかしないと警察にばらされる可能性がある。

 僕は不思議なくらい冷静だった。しかし、秋から出た言葉はとても意外な言葉だった。

「大丈夫だよ。別に警察に通報しないから」

 とりあえず僕は家に秋を招いて、話をすることにした。

「適当に座って」

 秋は言われた通りに座る。少しの沈黙が続く。

「聞きたいことはいっぱいあると思うんだけど、まず謝りたい。多分だけど、あの後、秋も色々言われたと思うんだ。」

 僕はまず謝罪から入る。恐らく犯罪者の恋人というレッテルを貼られて辛い思いをしたんだと思う。

「謝るのは私の方だよ。雪はやってないってずっと言ってたけど、どうしても信じてあげれなくて」

 それは無理もないと思う。そんな自分の恋人が犯罪者、しかも死刑囚なんて誰でも別れたくなる。
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