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第十二章
408 セマカの町 ①
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裕福な住宅街を抜けると、一般的な町の姿が現れる。
人々が行きかい、とても賑やかだ。以前は過疎っていたらしいが、その雰囲気は全く感じない。
ハンスが成功を収めたことで、外から人がやって来るようになったのだろうか?
そんなことを思いつつ、町を歩く。町には案内板のようなものがあり、意外と分かりやすい。人が急に増えたことによる、対策に兼ねているのだろう。
俺はその看板を見て、とりあえずこの町の冒険者ギルドを目指すことにした。
そうして冒険者ギルドにやって来ると、中に入ってみる。
この町は元々ダンジョンで栄えたことがあったからか、冒険者ギルドは立派で大きい。
室内は広々としており、多くの冒険者たちがいた。また小型のサーヴァントを連れている者も見受けられる。
それなりに大きなサイズのサーヴァントは、外にある専用スペースで待機させていた。
ちなみに縮小しているレフは当然小型に分類されるので、そのまま連れてきている。
さて、掲示板の依頼を見つつ、情報を集めるか。
俺はそう思い、掲示板へと近づいた。掲示板には人が多いが、全く見れないというレベルではない。掲示板に近づいて、内容を確かめてみた。
ふむ。町での依頼や、外での依頼はいいとして、どうやらこの近くにダンジョンがあるらしい。
もしかして、それがまた栄え始めた理由だろうか?
ダンジョン専用の掲示板が、別に用意されていた。そちらの方が大きく、人も多い。
俺は少しの間掲示板を見た後、一度その場から離れる。そして暇そうにしている若い男の冒険者に、銀貨一枚を差し出して声をかけてみた。
「なあ。少し訊きたいことがあるんだが、いいか?」
「ん? おおっ、俺が知っていることなら話してやるよ。何が訊きたいんだ?」
「助かる。まずは――」
男は最初面倒くさそうだったが、銀貨を受け取ると気分を良くして色々話してくれた。
どうやらダンジョンは、ニ年ほど前に見つかったばかりらしい。
だが当時存在を誰も知らなかったことで、ダンジョンが氾濫して、モンスターが大量に排出されたようだ。
確かダンジョンは内包する魔力量が一定水準を越えると、自動的にモンスターを排出したはずである。それが実際に、起きたのだろう。
しかしそのとき町は既に衰退した状態であり、高位冒険者は皆無で、中位冒険者も少なかったとのこと。
なので冒険者ギルドの特殊な方法で周囲に助けを呼んだらしいのだが、かなり危なかったらしい。
ちなみにダンジョンが氾濫したなどの特別な場合に限り、冒険者ギルドは他の冒険者ギルドと連絡が取れるようだ。
だがそれを戦争などで使うことは、禁止されているらしい。もし故意に使用すると、天罰が下るようだ。
まあそれについては別にいいとして、それによりなんとか、周囲からの救援が間に合ったらしい。
結果として氾濫が終息し、また新たなダンジョンの発見で、町は再び日の目を浴びたようだ。
そこで活躍したのが、『狼の友』と『守りの剣』というパーティらしい。
前者はエーゲルとランジのパーティであり、後者はなんとベックたちのパーティのようだった。
また驚いたことに当時の『狼の友』には、ハンスもいたらしい。
加えてその両者のパーティは、翌日には復活する不死身のグレイウルフを連れており、更には個々人の技量も高かったようだ。
結果として先陣を切った二つのパーティのおかげで、予想よりも氾濫による被害が少なく、無事に終息したとのこと。
そして両者のパーティは、ダンジョンの氾濫が収まると去っていったらしい。
だがセマカの町が大打撃を受けたことには変わらず、ここから復興するのも大変な道のりになったようだ。
しかしそんなセマカの町に、ハンスだけがただ一人残っていたようである。そしてハンスは突如としてBランクのサーヴァントを召喚して、町の人々に希望を授けたという。
それこそがジンジフレの存在と、信仰することでサーヴァントを得られるかもしれないという情報だったらしい。
結果としてその後何人ものサーヴァント所持者が現れて、町の復興は加速していったようだ。
同時にその力をもたらしたハンスは、救世主の扱いへと変わっていったらしい。
そのことを教えてくれた男もジンジフレの信者のようであり、サーヴァントカードを所持しているようだ。
なのでそのことについて、かなり詳しかったようである。
ふむ。想像以上に、良い情報が聞けたな。色々な謎が、これである程度は明らかになった。
俺は男にお礼として追加で銀貨を一枚渡すと、その場から離れて壁を背に考え込む。
おそらくハプンとサマンサが話さなかったのは、ハンスの活躍に関係していたからだろう。
ハンスは自身の活躍を、誰かに自慢するのが好きらしいからな。
にしても不自然なのは、あのハンスがサーヴァントカードを手に入れた方法を、安易に話したということだ。
ハンスの性格だと、人々のために情報を共有したとは考えづらい。
それに氾濫時には、Bランクのサーヴァントを召喚していなかったようだ。
だがダンジョンの氾濫後に、しばらくしてからハンスがサーヴァントカードを得たのは、間違いないかもしれない。
冒険者の男曰く、人々を助けたいというハンスの強い想いに、ジンジフレが感銘を受けて力を授けたとのこと。
全くの出鱈目だが、ハンスはそう言っていたようだ。
そうだとすれば、突然力を得たハンスが増長して、うっかりそのことを自慢げに話したのではないかと、そう推測できる。
しかし後からサーヴァントカードを持つ者が増えたことで、ハンスはそれに慌てたのだろう。
結果として、あたかも自身が人々のために情報を共有したかのように、周囲に言い始めたのかもしれない。
その方が、なんだかしっくりとくる。
だとすればある意味ハンスには、様々な幸運が重なったのだろう。
それによってとんとん拍子に成功して、今の地位を得たのかもしれない。
まさか一度の情報収集で、ここまで判明するとはな。それほどまでに、ハンスの活躍の知名度が高いのだろう。
そして町が再び栄えた理由も、知ることができた。
まず新たなダンジョンの発生と氾濫。それにより冒険者たちに情報が知れ渡ったことで、人が増えたことにある。
次にハンスがサーヴァントカードの情報を漏らしたことだ。それにより、力を得て町の復興やダンジョンで活躍する者が増えたことにあるのだろう。
そしてうわさを聞きつけて、自分もサーヴァントカードを手にしたいと思った者が、情報発生源であるセマカの町にくるという、好循環が生まれたのだろう。
最後にそうした好循環を、商人たちが見逃すはずがない。商機と考えて、多くの商人たちがやってきたことだろう。
結果としてそうした新たな隆盛の中心人物になったハンスにも、その恩恵があったのだと思われる。
それは両親であるハプンとサマンサにも及び、商人として成功することにも繋がったのかもしれない。
また両親が成功したことによって、ハンスは資金も得たのだろう。
あとは金が集まるところに、更に金が集まるという形だ。
成功するのは天才とは限らず、ハンスのような幸運な者だということを、俺はこのとき強く実感した。
とりあえず情報をより正確にするために、町を観光しつつ、情報も集めることにしよう。
俺はそう考えると一度冒険者ギルドを出て、散策を始める。
屋台や商店を回りつつ、ちょっとした物を購入しては、少しずつ店主などに話しを聞いた。
また驚いたことに、ハンスグッズなる物も売っていたのである。当然買わなかったが、俺がハンスのことを訊くので、やけに勧められて断るのが大変だった感じだ。
それとスキルオーブ屋もあり、そこで運よく『手加減』のスキルを一つ購入することができた。残念ながら、他に在庫は無いらしい。
しかしこれで何かあっても、やり過ぎないで済むだろう。
俺は人気のない路地裏にレフと共に入ると、そこで手加減のスキルを習得しておいた。
『スキル【手加減】を習得しました』
『神授スキル【二重取り】が発動しました。スキル【手加減】を獲得しました』
『スキルが重複しているため、スキルが統合されました。スキル【手加減】は、スキル【不殺】に進化しました』
名称:不殺
効果
・自身の力を抑え、手加減を可能とする。
・魔法や物理攻撃を行っても、相手を殺さずにギリギリで生かすことが可能になる。
ふむ。これはかなり便利なスキルになった。今の俺には、必須のスキルと言えるだろう。
できればネームドたちにも与えたいが、この不殺は希少なスキルかもしれない。
ならせめて手加減のスキルを習得させたいところだが、それについては旅を続けて他の町などに立ち寄ることがあれば、その都度探すことにしよう。別に急いではいないので、それで構わなかった。
ちなみに他のスキルについては、現状習得は保留とする。まずは現状のスキルをある程度、使い熟せるようになってからだ。
なお縮小のスキルは、人気で売ってなかった。サーヴァントが増えたことで、需要が増したらしい。
ただ他のスキルオーブについては、いつか使うかもしれないので、気になったスキルオーブはとりあえず爆買いしておいた。
女王から渡されたことで、金だけは異常なくらい持っているからな。
そうして買い物を終えて路地裏で不殺を習得したのだが、俺が大金を持っていることを知ったのか、ガラの悪そうな者たちが路地裏に入ってくる。
もちろんその気配については、当然俺は感じ取っていた。しかし、わざと見逃していたのである。新しいスキルを試すのに、ちょうどいいと思ったからだ。
なので俺はタイミングを合わせると、あえて気づかない振りをしながら、人気のない路地裏の奥へと進むのであった。
人々が行きかい、とても賑やかだ。以前は過疎っていたらしいが、その雰囲気は全く感じない。
ハンスが成功を収めたことで、外から人がやって来るようになったのだろうか?
そんなことを思いつつ、町を歩く。町には案内板のようなものがあり、意外と分かりやすい。人が急に増えたことによる、対策に兼ねているのだろう。
俺はその看板を見て、とりあえずこの町の冒険者ギルドを目指すことにした。
そうして冒険者ギルドにやって来ると、中に入ってみる。
この町は元々ダンジョンで栄えたことがあったからか、冒険者ギルドは立派で大きい。
室内は広々としており、多くの冒険者たちがいた。また小型のサーヴァントを連れている者も見受けられる。
それなりに大きなサイズのサーヴァントは、外にある専用スペースで待機させていた。
ちなみに縮小しているレフは当然小型に分類されるので、そのまま連れてきている。
さて、掲示板の依頼を見つつ、情報を集めるか。
俺はそう思い、掲示板へと近づいた。掲示板には人が多いが、全く見れないというレベルではない。掲示板に近づいて、内容を確かめてみた。
ふむ。町での依頼や、外での依頼はいいとして、どうやらこの近くにダンジョンがあるらしい。
もしかして、それがまた栄え始めた理由だろうか?
ダンジョン専用の掲示板が、別に用意されていた。そちらの方が大きく、人も多い。
俺は少しの間掲示板を見た後、一度その場から離れる。そして暇そうにしている若い男の冒険者に、銀貨一枚を差し出して声をかけてみた。
「なあ。少し訊きたいことがあるんだが、いいか?」
「ん? おおっ、俺が知っていることなら話してやるよ。何が訊きたいんだ?」
「助かる。まずは――」
男は最初面倒くさそうだったが、銀貨を受け取ると気分を良くして色々話してくれた。
どうやらダンジョンは、ニ年ほど前に見つかったばかりらしい。
だが当時存在を誰も知らなかったことで、ダンジョンが氾濫して、モンスターが大量に排出されたようだ。
確かダンジョンは内包する魔力量が一定水準を越えると、自動的にモンスターを排出したはずである。それが実際に、起きたのだろう。
しかしそのとき町は既に衰退した状態であり、高位冒険者は皆無で、中位冒険者も少なかったとのこと。
なので冒険者ギルドの特殊な方法で周囲に助けを呼んだらしいのだが、かなり危なかったらしい。
ちなみにダンジョンが氾濫したなどの特別な場合に限り、冒険者ギルドは他の冒険者ギルドと連絡が取れるようだ。
だがそれを戦争などで使うことは、禁止されているらしい。もし故意に使用すると、天罰が下るようだ。
まあそれについては別にいいとして、それによりなんとか、周囲からの救援が間に合ったらしい。
結果として氾濫が終息し、また新たなダンジョンの発見で、町は再び日の目を浴びたようだ。
そこで活躍したのが、『狼の友』と『守りの剣』というパーティらしい。
前者はエーゲルとランジのパーティであり、後者はなんとベックたちのパーティのようだった。
また驚いたことに当時の『狼の友』には、ハンスもいたらしい。
加えてその両者のパーティは、翌日には復活する不死身のグレイウルフを連れており、更には個々人の技量も高かったようだ。
結果として先陣を切った二つのパーティのおかげで、予想よりも氾濫による被害が少なく、無事に終息したとのこと。
そして両者のパーティは、ダンジョンの氾濫が収まると去っていったらしい。
だがセマカの町が大打撃を受けたことには変わらず、ここから復興するのも大変な道のりになったようだ。
しかしそんなセマカの町に、ハンスだけがただ一人残っていたようである。そしてハンスは突如としてBランクのサーヴァントを召喚して、町の人々に希望を授けたという。
それこそがジンジフレの存在と、信仰することでサーヴァントを得られるかもしれないという情報だったらしい。
結果としてその後何人ものサーヴァント所持者が現れて、町の復興は加速していったようだ。
同時にその力をもたらしたハンスは、救世主の扱いへと変わっていったらしい。
そのことを教えてくれた男もジンジフレの信者のようであり、サーヴァントカードを所持しているようだ。
なのでそのことについて、かなり詳しかったようである。
ふむ。想像以上に、良い情報が聞けたな。色々な謎が、これである程度は明らかになった。
俺は男にお礼として追加で銀貨を一枚渡すと、その場から離れて壁を背に考え込む。
おそらくハプンとサマンサが話さなかったのは、ハンスの活躍に関係していたからだろう。
ハンスは自身の活躍を、誰かに自慢するのが好きらしいからな。
にしても不自然なのは、あのハンスがサーヴァントカードを手に入れた方法を、安易に話したということだ。
ハンスの性格だと、人々のために情報を共有したとは考えづらい。
それに氾濫時には、Bランクのサーヴァントを召喚していなかったようだ。
だがダンジョンの氾濫後に、しばらくしてからハンスがサーヴァントカードを得たのは、間違いないかもしれない。
冒険者の男曰く、人々を助けたいというハンスの強い想いに、ジンジフレが感銘を受けて力を授けたとのこと。
全くの出鱈目だが、ハンスはそう言っていたようだ。
そうだとすれば、突然力を得たハンスが増長して、うっかりそのことを自慢げに話したのではないかと、そう推測できる。
しかし後からサーヴァントカードを持つ者が増えたことで、ハンスはそれに慌てたのだろう。
結果として、あたかも自身が人々のために情報を共有したかのように、周囲に言い始めたのかもしれない。
その方が、なんだかしっくりとくる。
だとすればある意味ハンスには、様々な幸運が重なったのだろう。
それによってとんとん拍子に成功して、今の地位を得たのかもしれない。
まさか一度の情報収集で、ここまで判明するとはな。それほどまでに、ハンスの活躍の知名度が高いのだろう。
そして町が再び栄えた理由も、知ることができた。
まず新たなダンジョンの発生と氾濫。それにより冒険者たちに情報が知れ渡ったことで、人が増えたことにある。
次にハンスがサーヴァントカードの情報を漏らしたことだ。それにより、力を得て町の復興やダンジョンで活躍する者が増えたことにあるのだろう。
そしてうわさを聞きつけて、自分もサーヴァントカードを手にしたいと思った者が、情報発生源であるセマカの町にくるという、好循環が生まれたのだろう。
最後にそうした好循環を、商人たちが見逃すはずがない。商機と考えて、多くの商人たちがやってきたことだろう。
結果としてそうした新たな隆盛の中心人物になったハンスにも、その恩恵があったのだと思われる。
それは両親であるハプンとサマンサにも及び、商人として成功することにも繋がったのかもしれない。
また両親が成功したことによって、ハンスは資金も得たのだろう。
あとは金が集まるところに、更に金が集まるという形だ。
成功するのは天才とは限らず、ハンスのような幸運な者だということを、俺はこのとき強く実感した。
とりあえず情報をより正確にするために、町を観光しつつ、情報も集めることにしよう。
俺はそう考えると一度冒険者ギルドを出て、散策を始める。
屋台や商店を回りつつ、ちょっとした物を購入しては、少しずつ店主などに話しを聞いた。
また驚いたことに、ハンスグッズなる物も売っていたのである。当然買わなかったが、俺がハンスのことを訊くので、やけに勧められて断るのが大変だった感じだ。
それとスキルオーブ屋もあり、そこで運よく『手加減』のスキルを一つ購入することができた。残念ながら、他に在庫は無いらしい。
しかしこれで何かあっても、やり過ぎないで済むだろう。
俺は人気のない路地裏にレフと共に入ると、そこで手加減のスキルを習得しておいた。
『スキル【手加減】を習得しました』
『神授スキル【二重取り】が発動しました。スキル【手加減】を獲得しました』
『スキルが重複しているため、スキルが統合されました。スキル【手加減】は、スキル【不殺】に進化しました』
名称:不殺
効果
・自身の力を抑え、手加減を可能とする。
・魔法や物理攻撃を行っても、相手を殺さずにギリギリで生かすことが可能になる。
ふむ。これはかなり便利なスキルになった。今の俺には、必須のスキルと言えるだろう。
できればネームドたちにも与えたいが、この不殺は希少なスキルかもしれない。
ならせめて手加減のスキルを習得させたいところだが、それについては旅を続けて他の町などに立ち寄ることがあれば、その都度探すことにしよう。別に急いではいないので、それで構わなかった。
ちなみに他のスキルについては、現状習得は保留とする。まずは現状のスキルをある程度、使い熟せるようになってからだ。
なお縮小のスキルは、人気で売ってなかった。サーヴァントが増えたことで、需要が増したらしい。
ただ他のスキルオーブについては、いつか使うかもしれないので、気になったスキルオーブはとりあえず爆買いしておいた。
女王から渡されたことで、金だけは異常なくらい持っているからな。
そうして買い物を終えて路地裏で不殺を習得したのだが、俺が大金を持っていることを知ったのか、ガラの悪そうな者たちが路地裏に入ってくる。
もちろんその気配については、当然俺は感じ取っていた。しかし、わざと見逃していたのである。新しいスキルを試すのに、ちょうどいいと思ったからだ。
なので俺はタイミングを合わせると、あえて気づかない振りをしながら、人気のない路地裏の奥へと進むのであった。
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