倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~

乃神レンガ

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第十二章

428 ジンジフレとしての言葉 ①

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『まず初めに言っておこう。我を信仰するジンジフレ教。その発祥の地は、ジンジフレ大陸のルベニア王国に存在している。
 そしてその地にて、アルハイド・フォン・ルベニアこそが、我がジンジフレ教の教祖をしているのだ』

 これは、最も明確にしておくべきことだった。でなければ、ハンスのような自称教祖がいくつも現れることになるだろう。

 ちなみにジンジフレ大陸とは、元アンデッドの大陸のことである。気がついたら、そういう名称になっていた。

 これまでは元アンデッドの大陸と心の中で呼んでいたが、これからはその名称が世に広まっていくだろう。

 故に俺も少々不本意だが、ジンジフレ大陸と呼ぶことにする。神名とはいえ、自分の名前がそのまま大陸名になるのは、少しむずがゆい。

「う、うそだぁ! お、俺こそが、教祖! ジンジフレ教の創設者だぁああ!」

 ここにきてハンスが、そう叫ぶ。ジンジフレがみずからそう言っているのに、信じようとはしなかった。

 だがそう思っているのは、ハンスだけのようである。ここにいる信者たちは、心に語り掛けてくる言葉を信用しているようだった。

 また全ての信者に語り掛けているジンジフレが、ハンスの言葉に反応するのはおかしいので、ここはスルーして続きを口にする。

『故に教祖やジンジフレ教の発祥の地などを自称する者は、全て偽りである。だがそれが偶然や善なる行いの結果であるならば、今一度だけ許そう。
 しかしそれが己の欲望や悪なる行いであれば、当然許さぬ。その者に、同調した者もだ。よってこれより僭称せんしょうした悪なる者には、罰を与える』

 するとその瞬間、ハンスの手に持っていたキングのカードが、突然上空へと打ち上がる。

 加えてハプンやサマンサ、他の親衛隊たちも同様に、自身のサーヴァントが飛んでいく。召喚している個体は、カードに変わったあとに打ち上っていった。

 また観客席の中にも、ハンスから甘い汁を吸っていた者が何人もいたようであり、異空間に収納していたカードが突然現れ、一か所へと向かっていったのである。

 ちなみにガマッセの子分であるキギョやウニチ、他にもエゴチ屋のアクダカーンもその中にはいた。

 そして一か所に集まったカードたちの前に、紫黒しこくうずがその場に発生する。

 まるでブラックホールのように、カードたちがそこへ吸い込まれていった。

「キ、キングウゥウウ!! お、俺のカード! 俺のサーヴァントだぞおおお!! 返せ、返せよおぉおお!!!」

 その光景に、ハンスは悲痛の叫びを上げる。同様にハンスから甘い汁を吸っていた者たちも、騒ぎ始めた。

 しかしいくら叫ぼうとも、カードが戻ってくることはない。

 ふむ。想像以上に、サーヴァントカードが集まってきているな。

 サーヴァントカードを収納している異空間に意識を向けると、数百では済まない数が集まっていた。

 なるほど。俺が思っていた以上、この世には自称教祖とそれに与した愚か者たちが多かったのか。

 いや、おそらく教祖とまでいかなくとも、ジンジフレ教で上位の地位を持つとか偽った者がいたのかもしれない。ある程度は、融通が効いている気がする。

 またこのカードの強制徴収は、ハンスたちだけではなく、この世の全ての信者に対しても、そうであれば行われていた。

 これは創神力によって、信者の中から条件付けの検索を行えるようにしたのである。

 心の声や信者鑑定に天罰など、他にも様々な神域の存在+の効果を組み合わせ、また拡張したことによって実現している。

 元々神は信者に対して加護や罰を与えることが可能だったこともあり、この検索システムは無理のない拡張だったようだ。

 創神力の大部分がこれ関連に持っていかれたが、予想よりコストが低く済んでいる。

 ただ発動には莫大な神力が必要であり、また今後このシステムを維持して自動化していく予定なので、維持費として常に神力が消費され続けるだろう。

 当然その中で天罰が発動すれば、そのぶんの神力も消費される。神力のやりくりも、大変になっていくと思われた。

 正直かなり重い維持コストだが、仕方がない。だからこそ、俺はこれに対して二の足を踏んでいたのである。

 故にいつか神力の上限がかなり増えてから、行おうと思っていたのだ。

 なので俺はこれからの維持コストの事を考えて、少しため息が出そうになる。

 しかし何はともあれ、ハンスたちからサーヴァントカードが、これで失われた。

 加えて、それだけではない。罰によってサーヴァントカードを失った者は、同じ信者から一目でそれが分かるのだ。本能的に相手が罰を受けた者だと、理解できるのである。

「すげぇ……」
「あいつら、本当にカードを失ったのか」
「ざまぁ!」
「親衛隊どもは横暴だったし、やはり神は弱者を見捨てていなかった!」
「あ、あいつらの誘いを断ってよかった。まじでよかった」
「もうおしまいだよ。あいつら」

 故にこれからハンスたちは、ジンジフレ教の信者たちから白い目で見られ続けることだろう。

 ある意味この罰は、長く続いていくことになる。だが罰を受けた者にも、救いがないわけではない。

『罰を受けた者たちよ。悲観することはない。罪を償い、善行と祈りを欠かさなければ、いずれは許されるだろう。
 サーヴァントカードも、サーヴァント自身が望んでいれば、その元主へと戻るだろう。故にこれより償い、またはげむがよい』

 その言葉に対して、罰を受けて絶望していた者たちの顔に、希望が戻っていく。

 罪の重さに応じた善行と祈りを続ければ、いずれは本当に戻ってくるだろう。

 ちなみに罪の重さによるマイナス点数と、善行と祈りに対するプラス点数については、金目と銀目が調整してくれた。

 その点数がマイナスでなくなり、一定数のプラスに傾けば罰が消えて、他の信者から罰を受けた者だと分からなくなる。

 ある意味それが、許されたという目印になるだろう。

 またサーヴァント自身が本当に主人の元へと帰りたいのであれば、同時に戻るようにもなっている。

 ただしサーヴァントがそれを拒否した場合には、当然サーヴァントが戻ることはないだろう。

 だからこそ罰を受ける者は、サーヴァントを粗雑に扱っていた場合、後々取り返しのつかないことになるという訳だ。

 するとジンジフレとしての言葉に、ハンスも希望に満ちた表情をする。

 だが、勘違いするなよ。まだ俺のお言葉バトルフェイズは終了していない。

 故に続けて俺はジンジフレとして、このように宣言する。

『だがそれは、同調した者たちだけだ。悪の根源たる者には、その救済措置は無い。加えてこの罰では、まだぬるいだろう。よって更なる罰を与える! 己のした愚かさを、その身で理解するがよい!』

 するとその瞬間、ハンスの足元から、紫黒しこく色をした、光の柱が発生する。

「ひぎゃぁあああ!? ひぎぃいいいい!!」

 先ほどの光の柱の比ではないほどに、ハンスは悲痛の叫びを上げた。あまりの光景に、目を背ける者もいるレベルである。

 またこれはほんの数秒の出来事に過ぎないが、このままハンスがちりも残さず消え去るのではないかと、誰もが思ったはずだろう。

 しかし、そうはならなかった。

 紫黒しこく色をした光の柱が消えると、ハンスは先ほどと変わらない状態で、普通に立っていたのである。

 その表情は、過酷な罰を受けた者とは思えないほどに、穏やかだった。精神的な崩壊も、そこには見られない。

「あ、あれ? 俺、生きてる? は、ははは! 許された、許されたんだ! やっぱり俺は、選ばれた存在なんだ!」

 すると変わらずハンスは都合の良い方へと解釈したのか、そう声を上げた。全くりた様子はない。

 だがある意味正常であるからこそ、ここからの罰がよりいっそう、効果が増すのである。

 よってハンスの戯言ざれごとは、即座に否定されることになった。

『悪の根源たる者には、生涯解けることのない呪いを与えた。通常のスキルは全て封印され、新たなスキルを習得することも不可能だ。
 また基礎能力も、一定基準まで低下することだろう。もはや貴様らは、スキルを持たない只人ただびとに過ぎないのだ』

 一見軽そうな罰に見えるかもしれないが、そうではない。

 この世界でスキルを発動できず、なおかつ平凡な基礎能力しか持たない者は、大変苦労する。

 もちろんそうした似たような者たちも存在しているが、そうした者たちはそれを前提にして、生きているのだ。

 しかしこれまで多様なスキルや、優れた基礎能力で生きてきた者には、とても刺さる。

 これは俺にも、言えることだろう。だからこそ、この罰の重さをよく理解していた。

 ハンスは成り上がってから、当然多くのスキルオーブを手にしただろう。

 加えてキングを使ったとはいえ、ダンジョンで無双している。であれば本人の基礎能力も、それなりに上昇しているかもしれない。

 だがそれが今回の罰により、その全てが失われたのだ。おそらく俺と初めて会った時点よりも、ハンスのステータスは酷いことになっていることだろう。

 何よりそれに加えて、キングを失うという罰も受けている。故にハンスは信者から、罰を受けた者として扱われるのだ。

 更に言えば二重で罰を受けたハンスは、他の者よりもより一層、それが強く他の信者に伝わるのである。

 果たして只人になったハンスが、今後まともな人生を歩めるかは、正直微妙なところだ。

 ハンスもそれを理解しているからか、言葉を失っている。

 だがそんなハンスのことなど無視して、俺は言葉を続けるのであった。

 まだ、話すことは残っている。この機会に、他のことも済ませておこう。
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