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第十二章
438 セマカのダンジョン ⑤
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扉に近づいて触れると、ゆっくりと開いていく。
内部は虹色の膜のようなもので、見えることは無い。また外から攻撃しても、無駄だろう。
ダンジョンボスへのエリア外からの攻撃によるズルは、許されてはいない。
そんなことを思い出しながら、俺たちは虹色の膜を通り抜ける。
ふむ。ここがダンジョンボスのいる部屋か。
まず初めに視界に入ってきたのは、部屋中央にある円状の陸地である。その周囲には、地底湖が広がっていた。
また俺たちが入ってきた場所にも、小さな陸地が半円状に存在している。
中央の陸地との間には小さな陸地が無数にあり、それを渡っていけという雰囲気だった。
見た限りダンジョンボスの姿は無いので、渡るまで出現しないのかもしれない。
そう思い、俺たちは中央の陸地まで移動した。渡ることに対しては、特に問題ない。途中で突然襲われるということもなかった。
すると俺たちが渡り切ると同時に、小さな陸地が消えてなくなる。完全に中央の陸地に取り残された形だった。
そして同時に待っていたとばかりに、地底湖の中に無数の気配が現れる。
さて、ようやくダンジョンボスたちが現れたみたいだな。
事前にブッチ代官から情報を得ていたので、そのことに驚きはない。
正直ダンジョンボスについては、あえて聞かない方がよかったかもしれないと考えたが、今回は軽い寄り道程度の観光気分である。なので別にいいかとそのまま聞いたのだ。
それに実際聞いたところ、今回のダンジョンボスには少々落胆している。
理由は簡単だ。今回のダンジョンボスは集団だが、その内容は道中で既に遭遇しているモンスターだったからである。
「ぎょぎょ!」
「ぎょっ!」
「ぎょぎょぎょ!」
「ぎょっ!」
「ぎょっぎょっぎょ!」
すると地底湖から、五体のモンスターが顔を出す。そのいずれもが同じ物であり、赤色の魚。そう、ハイサハギンだった。
とりあえず俺は、鑑定を飛ばす。
種族:ハイサハギン
種族特性
【水属性適性】【ウォーターショット】
【槍適性】【スピア】【連撃】
【スローイングスピア】
【技量上昇(小)】
エクストラ
【ダンジョンボスの欠片】
スキル
【投擲回収】【投擲強化】
ん? ダンジョンボスの欠片?
そんな見慣れないエクストラが出てきたので、俺は続けてその詳細を確認してみる。
名称:ダンジョンボスの欠片
効果
通常個体よりも生命力や魔力、身体能力が上昇する。
即死効果が無効になる。
なるほど。ダンジョンボスなら大幅に上昇するが、欠片の場合はそこまでの効果は無いらしい。
これは階層守護者や、エリアボスと同等の効果だ。
ちなみに投擲回収は、投擲した物を手元に瞬間的に戻ってこさせるスキルらしい。投擲強化は名称通りの効果だ。
それと念のため他の四体にも鑑定をしてみるが、全く同じステータス内容だった。
なるほど。エクストラが分散したから、欠片なのか。
「ぎょぎょぎょ!」
そんなことを思っていると、一体のハイサハギンが手に持っている槍を投擲してきた。
またその一体が投擲すると、残りの四体も続くように投擲してくる。
「無駄だ」
「ぎょっ?」
そう言って俺が最初に投擲された槍を掴むと、それを使って残りの四本を弾き飛ばした。
「む?」
するとそれと同時に、俺が手に持っていた槍が消えて、ハイサハギンの手元へと瞬間移動する。
なるほど。今のが投擲回収か。おそらく自動的に発動するのではなく、投擲した者の判断で発動できるのだろう。
それと多少はダンジョンボスの欠片の効果で強化されているようだが、やはりCランクのモンスターに過ぎない。俺たちの相手ではないだろう。
なので正直倒すのは簡単だが、さて、どのようにして倒すべきだろうか。
「ごしゅ~! みてみて~。盗ってきたよ~!」
「ん?」
そんなことを考えていると、リーフェの手にはハイサハギンの槍があった。
しかし周囲のハイサハギンの手には、全員しっかりと槍が握られている。
だとすればおそらく、イリュージョンチェンジによって奪ってきた物なのだろう。
名称:イリュージョンチェンジ
効果
・相手の所持品と、自身の所持する指定した物を入れ替える。
・成功した場合、入れ替えた物の姿は相手から奪った物と同一の姿になる。
・入れ替えた物の姿は、込めた魔力量によって変わる時間経過か、かけられた相手が偽物と気がついた場合に元の姿へと戻る。
また実際口ではなく繋がりから、奪ってきたハイサハギンを教えてくれた。
加えてあれは槍ではなく、本当はただの木の棒らしい。普段からこういう時のために、リーフェはアイテムポケットにそういう物を収納しているようだ。
ちなみにそのハイサハギンは、自身の槍を奪われていることについて、全く気がついていないようである。
故に当然のように木の棒だということに気がつかず、そのまま偽物の槍を投擲してきた。
目の前に本物があるのに気がつかないとは、やはり魚のような見た目だし、知能は低いのかもしれない。
下手に弾き飛ばすと木の棒が壊れてしまい、流石にイリュージョンチェンジによる偽装が解除されてしまう可能性がある。
なので俺は、それを軽く避ける程度にとどめておいた。そうして投擲した偽物の槍は、投擲回収によってハイサハギンの手へと戻っていく。
ふむ。ハイサハギン自身が気づいていないのであれば、普通にそのまま使えるみたいだな。
しかしそれでも耐久度は木の棒とあまり変わらないだろうし、壊れるのも時間の問題だろう。
まあ、壊れるにしても、その前に倒してしまうと思うけどな。とりあえず、槍には槍で対抗してみるか。
そう思い、俺も聖滅師に内包されているホーリーランスを発動してみる。
空中に聖なる槍が現れると、一体のハイサハギンへと飛んでいく。
「ぎょ――」
そして着弾と同時に、ハイサハギンが消し飛んだ。加えて大量の水飛沫が、まるで波のように迫ってくる。
「わわっ! バリアー!」
だがそれをリーフェが空属性のバリアーで、防いでくれた。おかげで濡れずに済んだ。
一応弱めに放ったつもりなのだが、やはりこうなってしまったか。不殺のスキルで手加減をしないと、力加減が難しい。
強くなりすぎるのも、考えものだな。まるで小人用のトランプで、タワーを築くような難しさかもしれない。意識していても、簡単に崩れてしまう。そんな例えに近い。
なのでスキル無しの手加減をするのならば、かなりの練習が必要だろう。
これが普通に生活する程度なら、ここまで難しくはないのだが。やはりそこは、攻撃系のスキルだからだと思われる。
「にゃにゃん!」
「ん、別に構わないぞ」
するとそのとき、レフがあとは任せてくれと口にした。俺も特にしたいことは無かったので、それを了承する。
見ればレフの体には、黒い雷がバチバチと音を立てながら纏わりついていた。
そしてレフは陸地の端に移動すると、地底湖に尻尾を入れ、そのままスキルを発動させる。
「にゃにゃにゃ!」
すると、それとほぼ同時だった。
「ぎょぎょぎょぎょぎょ!!」
「ぎょぎゃあああああ!?」
「ぎょぇええええ!!!」
「ぎょヴぁっあ!?」
残った四体のハイサハギンの体に、黒い雷が感電していく。地底湖全体に、それが満たされた。
「なるほど。蓄闇電と放闇電か」
この二つは、闇雷虎のスキルに内包されているものであり、その効果は実にシンプルだ。
まず蓄闇電は、闇の雷を発生させて、自身の体に蓄える魔法である。次にそれを放闇電で、体外に放出する感じだ。
故にこの二つは闇雷属性の複合魔法であり、ある意味二つで一つのような、そんなコンボスキルでもあった。
また蓄闇電で蓄えれば蓄えるほど、放闇電時による威力や速度が高くなるのだ。
あまり使っていなかったスキルなので、この機会に試してみたのだろう。
何となくグライスのチャージと大噴火に近いものを感じるので、実はもっと自由度が高いスキルなのかもしれない。
まあ、それについては、いずれ時間がある時に試してみるのもいいだろう。
そんな二つのスキルは、手間がかかる分とても強力だ。当然それにより、残りのハイサハギンたちは一掃されてしまった。
ちなみに地底湖はしばらく帯電している感じがするので、仮に普通の人が落ちた場合、命は無いと思われる。
「すご~い! びりびり~!」
「にゃふふんっ!」
するとその光景にリーフェは喜び、レフはドヤ顔をしながら戻ってくる。
「よくやった」
俺もそう言って一度しゃがみ、レフの背中をひと撫でしておく。ついでにリーフェも撫でておいた。
こういうときに片方だけ撫でると、後々面倒なことになるのだ。俺はそのことをこれまでの旅の中で、既に学んでいる。
「にゃぁん!」
「えへへ~!」
そうして無事にダンジョンボスが全て撃破されたことにより、変化が起き始めた。
まず無数の小さな陸地が来たときとは反対側に現れ、その先にある出口までの足場になる。
また入り口と同じような出口の扉が、自動的に開いていた。
あの先に進めば、ダンジョンコアのある最深部に辿り着くことができるだろう。
それと終わってみれば、呆気ないボス戦だったな。まあ、それも当然の結果か。赤い煙戦を終えた今の俺たちが苦戦するほうが、逆に難しいと思われる。
あと当然だが、倒したハイサハギンたちのカード化はしない。それをしてしまえば、このダンジョンは近いうちに崩壊してしまう。
すなわちそれは、再びセマカの町が衰退することを意味している。
別にそこまでしてほしいカードではないし、ここは町のために諦めよう。
これがもしハイサハギンの上位種なら少しは悩んだのだが、所詮はハイサハギンだしな。既にハイサハギンのカードは、300枚所持している。
またエクストラと二つのスキルを余分に所持しているが、それでカード化するまでには至らない。
それと今回ここのダンジョンボスが弱かったのは、たぶんあれだろうな。
おそらく四階層目にリソースを使い過ぎた結果、ちゃんとしたダンジョンボスが用意できなかったのかもしれない。
だが本来なら、強化されたハイサハギンたちとこの立地が相手では、苦戦する者も多いだろう。
おそらくハンスの時は、キングの銭投げなどでゴリ押ししたのかもしれない。
またキングの側近だったあのハイサハギンだが、確か投げた槍をそのつど補充していた。
そのことからも分かる通り、ダンジョンボスの一体ではなかったのだろう。
まあ俺がよくカード化しているから勘違いしそうになるが、ダンジョンボスとは本来、どのような手段でも支配下に置くことはできないとされている。
俺が可能なのは、カード召喚術が神授スキルだからにほかならない。
もし俺以外でダンジョンボスを支配下における存在がいるとすれば、それこそ神授スキル級でなければ不可能だと思われる。
だとすれば転移者の中に、他にも俺と同じようなことができる存在がいても、おかしくないだろう。
旅を続けていればいずれそんな存在とも、もしかしたら遭遇するかもしれない。
ふとそんな事を思いながら、俺たちはボス部屋を出る。そしてダンジョンコアのある最深部へと、そのまま向かうのだった。
内部は虹色の膜のようなもので、見えることは無い。また外から攻撃しても、無駄だろう。
ダンジョンボスへのエリア外からの攻撃によるズルは、許されてはいない。
そんなことを思い出しながら、俺たちは虹色の膜を通り抜ける。
ふむ。ここがダンジョンボスのいる部屋か。
まず初めに視界に入ってきたのは、部屋中央にある円状の陸地である。その周囲には、地底湖が広がっていた。
また俺たちが入ってきた場所にも、小さな陸地が半円状に存在している。
中央の陸地との間には小さな陸地が無数にあり、それを渡っていけという雰囲気だった。
見た限りダンジョンボスの姿は無いので、渡るまで出現しないのかもしれない。
そう思い、俺たちは中央の陸地まで移動した。渡ることに対しては、特に問題ない。途中で突然襲われるということもなかった。
すると俺たちが渡り切ると同時に、小さな陸地が消えてなくなる。完全に中央の陸地に取り残された形だった。
そして同時に待っていたとばかりに、地底湖の中に無数の気配が現れる。
さて、ようやくダンジョンボスたちが現れたみたいだな。
事前にブッチ代官から情報を得ていたので、そのことに驚きはない。
正直ダンジョンボスについては、あえて聞かない方がよかったかもしれないと考えたが、今回は軽い寄り道程度の観光気分である。なので別にいいかとそのまま聞いたのだ。
それに実際聞いたところ、今回のダンジョンボスには少々落胆している。
理由は簡単だ。今回のダンジョンボスは集団だが、その内容は道中で既に遭遇しているモンスターだったからである。
「ぎょぎょ!」
「ぎょっ!」
「ぎょぎょぎょ!」
「ぎょっ!」
「ぎょっぎょっぎょ!」
すると地底湖から、五体のモンスターが顔を出す。そのいずれもが同じ物であり、赤色の魚。そう、ハイサハギンだった。
とりあえず俺は、鑑定を飛ばす。
種族:ハイサハギン
種族特性
【水属性適性】【ウォーターショット】
【槍適性】【スピア】【連撃】
【スローイングスピア】
【技量上昇(小)】
エクストラ
【ダンジョンボスの欠片】
スキル
【投擲回収】【投擲強化】
ん? ダンジョンボスの欠片?
そんな見慣れないエクストラが出てきたので、俺は続けてその詳細を確認してみる。
名称:ダンジョンボスの欠片
効果
通常個体よりも生命力や魔力、身体能力が上昇する。
即死効果が無効になる。
なるほど。ダンジョンボスなら大幅に上昇するが、欠片の場合はそこまでの効果は無いらしい。
これは階層守護者や、エリアボスと同等の効果だ。
ちなみに投擲回収は、投擲した物を手元に瞬間的に戻ってこさせるスキルらしい。投擲強化は名称通りの効果だ。
それと念のため他の四体にも鑑定をしてみるが、全く同じステータス内容だった。
なるほど。エクストラが分散したから、欠片なのか。
「ぎょぎょぎょ!」
そんなことを思っていると、一体のハイサハギンが手に持っている槍を投擲してきた。
またその一体が投擲すると、残りの四体も続くように投擲してくる。
「無駄だ」
「ぎょっ?」
そう言って俺が最初に投擲された槍を掴むと、それを使って残りの四本を弾き飛ばした。
「む?」
するとそれと同時に、俺が手に持っていた槍が消えて、ハイサハギンの手元へと瞬間移動する。
なるほど。今のが投擲回収か。おそらく自動的に発動するのではなく、投擲した者の判断で発動できるのだろう。
それと多少はダンジョンボスの欠片の効果で強化されているようだが、やはりCランクのモンスターに過ぎない。俺たちの相手ではないだろう。
なので正直倒すのは簡単だが、さて、どのようにして倒すべきだろうか。
「ごしゅ~! みてみて~。盗ってきたよ~!」
「ん?」
そんなことを考えていると、リーフェの手にはハイサハギンの槍があった。
しかし周囲のハイサハギンの手には、全員しっかりと槍が握られている。
だとすればおそらく、イリュージョンチェンジによって奪ってきた物なのだろう。
名称:イリュージョンチェンジ
効果
・相手の所持品と、自身の所持する指定した物を入れ替える。
・成功した場合、入れ替えた物の姿は相手から奪った物と同一の姿になる。
・入れ替えた物の姿は、込めた魔力量によって変わる時間経過か、かけられた相手が偽物と気がついた場合に元の姿へと戻る。
また実際口ではなく繋がりから、奪ってきたハイサハギンを教えてくれた。
加えてあれは槍ではなく、本当はただの木の棒らしい。普段からこういう時のために、リーフェはアイテムポケットにそういう物を収納しているようだ。
ちなみにそのハイサハギンは、自身の槍を奪われていることについて、全く気がついていないようである。
故に当然のように木の棒だということに気がつかず、そのまま偽物の槍を投擲してきた。
目の前に本物があるのに気がつかないとは、やはり魚のような見た目だし、知能は低いのかもしれない。
下手に弾き飛ばすと木の棒が壊れてしまい、流石にイリュージョンチェンジによる偽装が解除されてしまう可能性がある。
なので俺は、それを軽く避ける程度にとどめておいた。そうして投擲した偽物の槍は、投擲回収によってハイサハギンの手へと戻っていく。
ふむ。ハイサハギン自身が気づいていないのであれば、普通にそのまま使えるみたいだな。
しかしそれでも耐久度は木の棒とあまり変わらないだろうし、壊れるのも時間の問題だろう。
まあ、壊れるにしても、その前に倒してしまうと思うけどな。とりあえず、槍には槍で対抗してみるか。
そう思い、俺も聖滅師に内包されているホーリーランスを発動してみる。
空中に聖なる槍が現れると、一体のハイサハギンへと飛んでいく。
「ぎょ――」
そして着弾と同時に、ハイサハギンが消し飛んだ。加えて大量の水飛沫が、まるで波のように迫ってくる。
「わわっ! バリアー!」
だがそれをリーフェが空属性のバリアーで、防いでくれた。おかげで濡れずに済んだ。
一応弱めに放ったつもりなのだが、やはりこうなってしまったか。不殺のスキルで手加減をしないと、力加減が難しい。
強くなりすぎるのも、考えものだな。まるで小人用のトランプで、タワーを築くような難しさかもしれない。意識していても、簡単に崩れてしまう。そんな例えに近い。
なのでスキル無しの手加減をするのならば、かなりの練習が必要だろう。
これが普通に生活する程度なら、ここまで難しくはないのだが。やはりそこは、攻撃系のスキルだからだと思われる。
「にゃにゃん!」
「ん、別に構わないぞ」
するとそのとき、レフがあとは任せてくれと口にした。俺も特にしたいことは無かったので、それを了承する。
見ればレフの体には、黒い雷がバチバチと音を立てながら纏わりついていた。
そしてレフは陸地の端に移動すると、地底湖に尻尾を入れ、そのままスキルを発動させる。
「にゃにゃにゃ!」
すると、それとほぼ同時だった。
「ぎょぎょぎょぎょぎょ!!」
「ぎょぎゃあああああ!?」
「ぎょぇええええ!!!」
「ぎょヴぁっあ!?」
残った四体のハイサハギンの体に、黒い雷が感電していく。地底湖全体に、それが満たされた。
「なるほど。蓄闇電と放闇電か」
この二つは、闇雷虎のスキルに内包されているものであり、その効果は実にシンプルだ。
まず蓄闇電は、闇の雷を発生させて、自身の体に蓄える魔法である。次にそれを放闇電で、体外に放出する感じだ。
故にこの二つは闇雷属性の複合魔法であり、ある意味二つで一つのような、そんなコンボスキルでもあった。
また蓄闇電で蓄えれば蓄えるほど、放闇電時による威力や速度が高くなるのだ。
あまり使っていなかったスキルなので、この機会に試してみたのだろう。
何となくグライスのチャージと大噴火に近いものを感じるので、実はもっと自由度が高いスキルなのかもしれない。
まあ、それについては、いずれ時間がある時に試してみるのもいいだろう。
そんな二つのスキルは、手間がかかる分とても強力だ。当然それにより、残りのハイサハギンたちは一掃されてしまった。
ちなみに地底湖はしばらく帯電している感じがするので、仮に普通の人が落ちた場合、命は無いと思われる。
「すご~い! びりびり~!」
「にゃふふんっ!」
するとその光景にリーフェは喜び、レフはドヤ顔をしながら戻ってくる。
「よくやった」
俺もそう言って一度しゃがみ、レフの背中をひと撫でしておく。ついでにリーフェも撫でておいた。
こういうときに片方だけ撫でると、後々面倒なことになるのだ。俺はそのことをこれまでの旅の中で、既に学んでいる。
「にゃぁん!」
「えへへ~!」
そうして無事にダンジョンボスが全て撃破されたことにより、変化が起き始めた。
まず無数の小さな陸地が来たときとは反対側に現れ、その先にある出口までの足場になる。
また入り口と同じような出口の扉が、自動的に開いていた。
あの先に進めば、ダンジョンコアのある最深部に辿り着くことができるだろう。
それと終わってみれば、呆気ないボス戦だったな。まあ、それも当然の結果か。赤い煙戦を終えた今の俺たちが苦戦するほうが、逆に難しいと思われる。
あと当然だが、倒したハイサハギンたちのカード化はしない。それをしてしまえば、このダンジョンは近いうちに崩壊してしまう。
すなわちそれは、再びセマカの町が衰退することを意味している。
別にそこまでしてほしいカードではないし、ここは町のために諦めよう。
これがもしハイサハギンの上位種なら少しは悩んだのだが、所詮はハイサハギンだしな。既にハイサハギンのカードは、300枚所持している。
またエクストラと二つのスキルを余分に所持しているが、それでカード化するまでには至らない。
それと今回ここのダンジョンボスが弱かったのは、たぶんあれだろうな。
おそらく四階層目にリソースを使い過ぎた結果、ちゃんとしたダンジョンボスが用意できなかったのかもしれない。
だが本来なら、強化されたハイサハギンたちとこの立地が相手では、苦戦する者も多いだろう。
おそらくハンスの時は、キングの銭投げなどでゴリ押ししたのかもしれない。
またキングの側近だったあのハイサハギンだが、確か投げた槍をそのつど補充していた。
そのことからも分かる通り、ダンジョンボスの一体ではなかったのだろう。
まあ俺がよくカード化しているから勘違いしそうになるが、ダンジョンボスとは本来、どのような手段でも支配下に置くことはできないとされている。
俺が可能なのは、カード召喚術が神授スキルだからにほかならない。
もし俺以外でダンジョンボスを支配下における存在がいるとすれば、それこそ神授スキル級でなければ不可能だと思われる。
だとすれば転移者の中に、他にも俺と同じようなことができる存在がいても、おかしくないだろう。
旅を続けていればいずれそんな存在とも、もしかしたら遭遇するかもしれない。
ふとそんな事を思いながら、俺たちはボス部屋を出る。そしてダンジョンコアのある最深部へと、そのまま向かうのだった。
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