倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~

乃神レンガ

文字の大きさ
518 / 535
第十三章

447 囚われのアニキとやら

しおりを挟む

「とりあえず、自己紹介をしておこう。俺はジン。こいつは相棒のレフだ。あとそろそろ立ってくれ。土下座だと話しづらい」
「にゃぁん!」

 俺がそう言って名乗ると、男三人も立ち上がり、順番に名乗り始める。

「ジンの旦那、よろしくお願いしやす! 俺はハイロウといいやす!」

 最初にハイロウと名乗ったのは、強者警戒というスキルを持つ二十代後半の男だ。灰色の髪と鋭い目つきをしており、狼のような雰囲気とごろつき感があった。

「私の名前はパルーフです。ジンの旦那。本当にありがとうございます!」

 次にパルーフと名乗ったのは、紫色の長髪をした二十代半ばの男であり、まるで爬虫類のような印象を受ける細身の男だった。

「俺はオレンっす! よろしくお願いしやす!」

 最後にオレンと名乗ったのは、オレンジ色の短髪をした小太りの男。年齢は二十代半ばといったところだ。身長も三人の中で一番高く、190cmくらいはありそうである。

 灰色のハイロウ。紫色のパルーフ。オレンジ色のオレン。なんとも覚えやすい連中だ。

「それで、捕まったアニキというのは、どういうやつなんだ? まずは詳しいことを教えてくれ」

 俺がそう問いかけると、ハイロウが代表して話し始める。

「ヘイ。アニキは元々アプルン男爵家の三男で、その名前をリゴル・アプルンといいやす。
 この国でも有名な、あのアプルン男爵家ですぜ。ブルーフォレストの街から出荷されるアプルの実といえば、とても有名でさぁ」

 リゴル。アプルン男爵家。ブルーフォレスト。初めて聞く家名と地名だが、なぜだろう。地球でうわさを聞いたことのある、青森県という場所が脳裏によぎる……。

 確か地球でも、青森県はリンゴがすごく採れたらしいが、荒廃した地球ではそうもいかない。だがその代わりにダンジョン内で、リンゴが襲ってくるという噂を耳にしたことがあった。

 まあ今更それについては、どうでもいいことだけどな。
 
「なるほど。それでそのリゴルとやらは、どうしてこの街にいたんだ? それとお前らとの関係はなんなんだ?」

 俺が続けてそう問いかけると、ハイロウがそれに答えた。

「ヘイ。アニキは三男で家を継げなかったのと、またアプルの実に辟易へきえきとしていやして、それで冒険者になって家を飛び出したんでさぁ。
 そして俺たちは小さい頃からアニキの子分でして、そのままアニキについてきた感じですぜ。これでもCランク冒険者まで、俺たちは成り上がったんでさぁ」

 ふむ。見た目はチンピラやごろつきのような三人だが、元々は貴族の三男であるリゴルの子分だったらしい。

 また通常Cランクとは、一目置かれる存在である。才能が無く、また努力のできない者は、上がれてもDランクまでがせきの山なのだ。

 そしてブラックヴァイパーというマフィアに捕まったのは、アプルン男爵家の三男だからだろうか? 

 またアプルの実で有名だとすれば、それが名産品として売れている証拠だ。何かしらの繋がりを得るために、捕えられてもおかしくはないかもしれない。

 だが果たして、家を出た三男に実家を動かすだけの影響力があるのかは、正直微妙なところだ。家族愛が強ければ、まあ可能性はあるだろう。

 俺がそう考えていると、ハイロウが続けて話しをする。

「それでこのシルダートの街にやってきてしばらく経った頃、つい一週間くらい前から、ブラックヴァイパーの連中がおかしくなったんでさぁ。
 何でも強力な後ろ盾に加えて、かなりの戦力を同時に失ったらしく、それを補填するために後先考えなくなったんですぜ」
「後ろ盾?」

 一週間くらい前と言われると、何だか嫌な予感がするな……。

 すると俺のその予感は、皮肉にも的中してしまう。

「そうでさぁ。その後ろ盾とは、セマカという町を実質牛耳ぎゅうじっていた、ジンジフレ教のハンスという男だったようですぜ。なんでも神の怒りに触れて、この世から消滅したという噂でさぁ」
「はぁ、またあいつは、消滅した後も俺を悩ませるのか……」
「へ?」

 まさかまだ追加で、ハンスの置き土産が残っているとはな。いや、シルダートの街でも影響力を伸ばそうとしていたならば、後ろ暗い組織と繋がっていてもおかしくはないか。

 たぶんそのブラックヴァイパーというマフィア内にも、ジンジフレ教の信者がいたのだろう。

 そしてハンスの関係者として罰を受けたことにより、サーヴァントを失ったのだと思われる。戦力の喪失とは、それの可能性があった。

 故にハンスが消滅した事実についても、即座に受け入れることができたのかもしれない。当時はおそらく、阿鼻叫喚あびきょうかんの一大事になったことだろう。

 だからこそブラックヴァイパーというマフィアの連中は、慌てて動き出したのだと思われる。神の怒りなど、予想できるはずがない。

 しかしどちらにしてもハンス関連であれば、本格的に俺も動くことにしよう。ハンスについては、俺にも原因があるからな。

 それとおそらくこの大陸にいる限り、ハンスの置き土産には、今後も遭遇する予感がしてならない。

 正直ハンスの死んでも迷惑をかける度合いは、あのタヌゥカ以上だろう。

 まあ成り上がり度を比較すると、タヌゥカよりもハンスの方が上だからな。

 でも大陸全体を巻き込んだツクロダよりかは、幾分かはマシかもしれない。

 そう思いながらも俺はため息を吐くと、ハイロウに続きをうながす。

「いや、こちらの話だ。続けてくれ」
「へ、へい。それで奴らの計画が破綻しかけているらしく、辺境伯の代替わりという絶好のチャンスを逃すことはしたくないようで、なりふり構ってはいられなくなったようでさぁ。
 それでアプルン男爵家の三男であるアニキが捕まってしまいやして、返してほしければ金貨百枚か、俺の力で代わりとなる強者を勧誘してこいと脅されているんでさぁ」

 ハイロウのその言葉で、状況がかなり判明する。

 そいつらは辺境伯の代替わりで、いったい何をするつもりなのだろうか。今代の辺境伯には手出しは難しいが、次代はそうした隙がある人物なのかもしれない。

 もしかして次代は、暗君あんくんなのだろうか? マフィアと本格的に手を組みそうな人物だとしたら、少々面倒だな。

 別にシルダートの街がどうなろうと関係ないが、ここに住むプリミナたちに影響が出るのは気に食わない。

 最悪の場合は、何か手を考えた方がいいだろう。

 それとハイロウたちは脅されていたみたいだが、正直そうした連中が素直にアニキとやらを返すとは思えない。

 金貨百枚というのは、端から持ってくるとは思ってはいないだろう。

 地球とは色々と物価や手に入る物などが違うが、だいたい大雑把に換算すると、金貨百枚とは、日本円にしておよそ五千万円~一億円である。

 ちなみに荒廃した地球での価値ではなく、それ以前のまだ繁栄していた頃の物価に近い。地球で確かデータチップから、その頃の記録を見たことがあったような気がする。

 まあどちらにしてもとてもではないが、Cランク冒険者が即座に集められる額ではない。

 おそらくハイロウの強者警戒のスキルを知っていたからこそ、そうした命令を出したのだろう。

 だが一人二人を勧誘したところで、金貨百枚とは釣り合わない。故にその際は難癖をつけて、永遠に酷使するつもりだったのかもしれない。

「なるほど。それで俺に声をかけたのは、そのマフィアに加われということか?」
「い、いえ、違いやす! いや、最初は言われた通り勧誘しようと思ったのですが、ジンの旦那の強者のオーラに圧倒されて、これならアニキを助けてもらえるかもしれないと思ったんでさぁ!」

 そうか。それであのジャンピング土下座に繋がった訳か。

 正直ブラックヴァイパーというマフィアはその名称と、ハンスの置き土産ということで不快な存在だ。

 けれども同時に、時間潰しの相手としては十分だろう。ならその勧誘とやらに、乗っかろうではないか。

「ならちょうどいい。俺が勧誘されたことにして、そのマフィアに潜入しよう。それが一番手間が無さそうだ。またそのアニキとやらを助けるついでに、そのマフィアを内部から壊滅させよう」
「――ッ! あ、ありがとうございやす!」
「お、お願いします!」
「ど、どうかアニキのことを、助けて下さいっす!」

 そう言って三人は、再度土下座をした。別に何度もしなくてもいいのだが。それくらい、アニキとやらが大切なのだろう。

 さてと、それはそうとマフィアの内部に潜入か。何だか少し、ワクワクしてきたな。

 俺はどこかそう思いながらも、潜入のために動き出すのであった。

 ____________________
 昨日の十五日で、初投稿から二周年を迎えました。

 まさか二年も続くとは、驚きです。
 最初は一年で終わらそうと思っていたのですが、気がついたらここまで続いていました。

 それと文字数は二年でおよそ190万文字になりました。おしくも200万文字には届きませんでしたね。

 正直今年中には完結を目指したいですが、一年予定の作品が二年を突破したので、どうなるかは未知数です。

 また二周年を記念して、この章の終わりに毎度おなじみのSSを投稿します。

 三年目も、どうぞ『モンカド』をよろしくお願いいたします。

 乃神レンガ
しおりを挟む
感想 119

あなたにおすすめの小説

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

実家にガチャが来たそしてダンジョンが出来た ~スキルを沢山獲得してこの世界で最強になるようです~

仮実谷 望
ファンタジー
とあるサイトを眺めていると隠しリンクを踏んでしまう。主人公はそのサイトでガチャを廻してしまうとサイトからガチャが家に来た。突然の不可思議現象に戸惑うがすぐに納得する。そしてガチャから引いたダンジョンの芽がダンジョンになりダンジョンに入ることになる。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...