倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~

乃神レンガ

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第二章

045 ノブモ村での大会予選 ③

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 棍棒を持ったホブンが駆ける。

 それに対して、ジャイアントボアも突っ込んで来た。

「ゴブッ!」

 だが素早い身のこなしで、ホブンがすれ違うように回避をする。

 そして、その背後に棍棒を叩きこんだ。

「ブヒィツ!?」
「なっ!?」

 よし、攻撃が通った。

 ジャイアントボアは苦痛にもだえ、ジョリッツは驚愕きょうがくの表情を浮かべる。

 だが、これによって本気になったようだ。

 ジャイアントボアはホブンを強く睨みつけ、僅かに後ろに下がって助走をつける。

 そして先ほどよりも速く、狙いもしっかりと着けた突進がやってきた。

 ホブンが横に動くと、驚くことに軌道修正をしてくる。

 だめだ。この会場の広さじゃ、避け切れない。

 俺は即座にそう判断を下す。

 会場の広さが相手の弱点だと思っていたが、それが逆になるとはな。

 だが避けられないのなら、向い撃つしかない。

 ホブンに棍棒を両手で握らさせ、その瞬間を待つ。

 面白い。面白いな。

 次の一撃で、決着が付く。
 
 そのことを強く感じた。

 ホブン、頼むぞ。

 そして、その瞬間がやって来る。

「ゴッブアッ!!」
「ブギィイ!!」

 ホブンの振り下ろした全力の一撃が、ジャイアントボアの額に命中した。

 だがそこで、棍棒が折れる。

「ゴブガっ!?」

 続けてホブンが吹っ飛び、地面を転がった。

「ブ、ブギィ……」

 だがジャイアントボアもその場に止まり、僅かに数歩進むと横に倒れる。

「ボ、ボアザード!! 立ちなさい! 立つんですよ!」

 ジョリッツが必死に声を送る。

 しかし、ジャイアントボアは声を聞いても立ち上がろうとはしない。

「ホブン、立て」
「ゴ、ゴブ……」

 対してホブンは、俺の命令に答えてゆっくりと立ち上がった。

「そ、そんな……」
「ジャイアントボアの戦闘続行は、不可能と判断する」

 そして審判役である職員の言葉により、ジャイアントボアの敗北が決まる。

「す、すげえ!」
「ホブゴブリンが勝ったぞ!」
「嘘だろ!」
「あっという間だったな!」
「どういう育て方をしたんだ!?」
「感動した!」

 負けると思われていたホブンが勝ったことに、観客が熱狂した。

 だが、試合はこれで終わりではない。

 ジャイアントボアを何とか回復させて下げると、三匹目を繰り出してくる。

「相手は弱っています! 行きなさい、タレロ!」
「ぶひっ!」

 ジョリッツは、三匹目にオークを出してきた。

「ホブン、まだいけるか?」
「ゴブア!!」
「よし、その力を見せつけてこい」

 ホブンもやる気のようなので、引き続き戦わせる。

 相手のオークは棍棒を持っているが、ホブンは素手だ。

 しかし、その程度はどうとでもなる。

「ゴッブア!!」
「ぶひゃっ!?」

 ホブンの右ストレートを喰らい、オークは情けなく声を上げて転がった。

 その一撃でオークは、格の違いを理解したらしい。

 ホブンに怯え、まともに戦うことができなかった。

「タレロ! 真面目に戦いなさい!」

 ジョリッツは叱咤しったするが、その声はどうやら届かなかったようだ。

 最終的にオークは、うずくまって動かなくなる。

「オークの戦闘続行は不可能と判断した。よって決勝トーナメント第一試合の勝者は、ジンとする!」

 その瞬間、観客の歓声が再び周囲へと響き渡った。

「そんな……まさか負けるとは……」

 ジョリッツは負けたことが信じられないようで、呆気に取られている。

 対して俺は、満足行く試合結果に笑みを浮かべた。
 
 中々に面白い試合だったな。

 数で圧倒するのもいいが、こうした一対一も楽しいものだ。

 そうして試合を終えたあと、ホブンと折れた棍棒を回収して、選手用の席に移動する。

「ふふっ、あなた強いわね」

 その時すれ違いざまに、次の試合に出るアミーシャがそう耳打ちしてきた。

 おそらく、決勝で戦うのはあの女になりそうだ。

 もう一人のメインモンスターはオークみたいだし、勝率は低いだろう。

 さて、どのようなモンスターを繰り出すのか、観察させてもらおうか。
 
 俺は用意されていた席につくと、第二試合に注目する。

「相手が女性であろうと、俺は手加減しないぞ!」
「そう、でもあなたでは勝てないわ」
「くっ、言ってろ」

 するとちょうど二人が会話を終えて、定位置に着く。

「最初から全力だ! 行け! オークス!」
「ぶひい!」

 冒険者の男ジブールは、オークを繰り出した。

「それじゃあ、私はこの子よ。フィミィ、現れなさい」
「ギギギ」

 対してアミーシャが出したのは、巨大な紫色の蝶。

 しかもアミーシャはサモナーであったのか、光と共にモンスターが現れる。

 あの女はサモナーだったのか。初めてみたな。
 
 それにあの小型犬サイズの巨大な蝶、あれも初めてみる。

 状態異常を得意とするようだが、いったいどのようなものだろうか。

「両者とも準備はいいか? それでは、決勝トーナメント第二試合を開始する! 始め!」

 俺が思考を巡らしている間に、試合が開始する。

「ギギギ!」
「ぶひ?」

 するとさっそく、巨大な蝶が上空から鱗粉を撒き散らす。

 だがすぐには効果は出ないようで、オークは一度首をかしげた後、棍棒を振り回し始めた。

 巨大な蝶は空を飛んでいるが、一定以上の高さを越えると場外扱いになる。

 即座に戻らない場合、負けという訳だ。

 なので、オークが跳躍してギリギリ届く辺りを飛行している。

 飛行対策か。これも考えないといけないな。

「ぶひ……」

 すると先ほどまで暴れまわっていたオークが、突然倒れて眠り始めた。

 なるほど。あれは眠りの状態異常効果があったのか。

 これは勝負がついたな。

「お、おい! 起きろオークス! ふざけるな!」

 それからジブールが何度声をかけても、オークが起きることはなかった。

 審判である職員のテンカウントにより、敗北が決まる。

 そして中堅、大将とジブールが繰り出したのは続けてゴブリンであり、オークと同じ結果になった。

「ゴブリンの戦闘続行は不可能と判断した。よって決勝トーナメント第二試合の勝者は、アミーシャとする!」

 まあ、当然の結果だな。

 しかし、観客は納得がいかないようだった。

「それで勝って嬉しいのか!」
「卑怯だぞ!!」
「最低の試合内容だった」
「もう帰れよ!」

 うーむ。俺は状態異常でも勝ちは勝ちだと思うのだが、確かに見世物としては退屈かもしれない。

 そうして第二試合が終わると、決勝は休憩を挟んだ後になる。

 俺は周囲から熱烈に応援され、食べ物の差し入れをいくつも渡された。

 デミゴッドは状態異常に強い耐性があるので、構わず頂くことにする。

 対してアミーシャは、気が付くと既にいなかった。

 ここにいれば罵倒を浴びせられると思うので、当然かもしれない。

 にしても、先ほどの巨大な蝶をどう攻略したものか。

 空を飛べるとはいえ、ジャイアントバットとポイズンモスでは少々心もとない。

 蝶、蝶か……。

 意外と、何とかなるかもしれないな。

 俺は一つ、使える手を思いついた。

 予選に出すモンスターは決めたが、絶対に出さなければいけないというわけではない。

 なら、蝶相手にピッタリのモンスターが俺にはいる。

  それは、ビッグフロッグだ。

 長い舌と得意の跳躍力があれば、あの巨大な蝶も攻略できるだろう。
 
 これは、面白くなりそうだ。

 俺は期待に胸を膨らませながら、その時を待った。

 そうして休憩時間が終わり、とうとう決勝戦が始まる。

「この試合、棄権するわ」
「は?」

 だが驚くことに、会場に来たアミーシャが突然そう宣言してしまう。

「えっと、アミーシャ選手、いったいどういう事でしょうか?」

 審判の職員も戸惑ったように問いかける。

「どういう事も何も、準優勝でもここの予選は通過でしょ? だから戦う必要は無いわ」

 アミーシャの言葉に、観客は当然ブーイングの嵐だ。

「ふざけるな!!」
「予選大会だからって、そんなことが許されるか!」
「戦え!!」
「納得できるか!!」

 しかしそれに対してアミーシャは、どこ吹く風で受け流す。

「アミーシャ選手、試合をしていただくことは……」
「試合はしないわ」
「そ、そうですか……。アミーシャ選手の棄権により、ノブモ村の大会予選の優勝者は、ジン選手です」

 最悪の優勝だ……。

 試合を楽しみにしていた俺は、深いため息を吐くのだった。

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