倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~

乃神レンガ

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第六章

211 沼地のダンジョン ⑨

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 何を言っているんだ、コイツは?

 あまりの発言に対して呆気あっけに取られていると、ギーギルが動く。

「このバカ息子! 子供を産めるのは女性だと教えたはずだろうが!」
「グエッ!?」

 そう言ってギルンを殴りつけると、俺に土下座をする。

「ジンさん、本当に、本当に申し訳ありません。息子は人と会うこと自体が初めてでして、言っていいことと悪いことをよく理解していないのです。
 このようなことがないように再度教育いたしますので、何卒なにとぞ、何卒お許しを!」

 そんな必死に謝るギーギルを見て、俺は毒気が抜けた。

 加えてギルンに悪意や情欲などはなく、無知ゆえの発言だと思われる。

 教育はしていたみたいだが、普段使わない知識は忘れてしまったのだろう。

 それに人は幼い頃に多くの人と関わることで、言っていいことや悪い事の区別を学習していく。

 ギルンには、それが欠如していたのだと思われる。

 まあ、中には学ばずに発言する者もいるのだが、それは置いておこう。

 それに以前関わった転移者たちを思えば、ギルンはまだ可愛い方だ。

 ツクロダやブラッドの方が、何倍もヤバいやつらだった。

 なのでギルンの問題発言は、許そうと思う。

「分かった。許そう。人と関わってこなかったのであれば、仕方がない。今回の失敗から学んでくれれば、それでいい」
「あ、ありがとうございます! ギルン! お前も謝りなさい!」
「っ、ご、ごめんなさい」

 ギルンは背も高く十代後半に見えるが、精神年齢は低いのかもしれない。

 すぐに改善されるものではないし、幼い子供と接していると思うことにしよう。

 それからギルンは、ナンナに連れられて俺から離れると、そこでしかられ始めた。

 遠くからでも、ギルンがシュンとしているのがうかがえる。

 やはり、体だけ大きな子供にしか見えない。

 実は身長が高いだけで、歳はそれほどではないのだろうか?

 そう思いギーギルに訊いてみると、ギルンは現在十五歳らしい。

 この異世界では、成人とされることが多い年齢だ。

 だとすれば、単純に精神年齢が低いだけだろう。

 なんでもギルンの誕生は、二人にとって希望そのものだったとのこと。

 故に二人は、ギルンをかなり甘やかしてきたみたいだ。

 もちろん知識として、礼儀作法などは教えてきたらしい。

 しかし結局のところ、こうして幼さを残したまま成長してしまったという。

 ある意味仕方がないのかもしれないが、今後俺以外の人物と出会った際に、このままだと大変な事になりかねない。

 その事を指摘しつつ、俺は最後に重要な事を口にする。

「俺はこれからこのダンジョンを攻略して、ダンジョンコアを破壊するつもりだ。もしかしたら、それでダンジョンの呪いとやらは解けるかもしれない。一応崩壊する前に、逃げる準備をしておくことをすすめる」

 正直黙っておくことは出来たが、ここまで来たら話しておいた方が良いと判断した。

 だがもしもギーギルたちがモンスターだとすれば、ダンジョンの崩壊と共に消滅するかもしれない。

 ダンジョンのモンスターとは、そういうものだ。

 俺はギーギルが攻略を止めるように言ってくると、そう考えていた。

 しかし、実際には違う。

「……そうですか。止めはしません。けれども、もし、もしも攻略後にギルンを見かけたら、気にかけて頂けると助かります」

 ギーギルは達観したような表情で、そう口にした。

 いずれダンジョンコアが破壊される可能性について、以前から覚悟が決まっていたのかもしれない。

 そしてギーギルの口ぶりから、おそらくダンジョンが崩壊してもギルンが消えないことを、何かしらの理由で分かっているのだろう。

 思えば本来、ギーギルとナンナがダンジョンのモンスターだとすれば、飲食をしなくても生きていける。

 だがその息子であるギルンは、そうとも限らない。

 あれほど物々交換を渇望かつぼうしていたのは、おそらくギルンのためだったのだろう。

 そこには自身の息子へ向けた、無償の愛を感じる。

 だから俺は、ギルンに対してこう返事をした。

「ああ、分かった。俺にできる範囲で、必ず・・助けよう」
「――ッ。か、感謝いたします。どうか、お願いいたします」

 ギーギルは震える声でそう言って、静かに頭を下げた。

 それからしばらくして、俺は三人と別れを告げる。

 ギルンはもっと俺と話したかったみたいだが、諦めてもらう。

 対してギーギルとナンナは、終始お礼を口にしていた。

 また俺が攻略できることを見据えているのか、覚悟が決まった瞳をしている。

 実力を見せたわけではないが、何か俺に感じるところがあったのだろう。

 その期待に応えられるように、最善を尽くすことを決めた。

 結果として、二人が消えることになるとしてもだ。

 そして最後に、ギーギルは深層のボスについて教えてくれた。

 ギーギルとナンナ。その所属していたパーティが壊滅して、敗走するしかなかった相手らしい。

 先ほどは口にしなかった。いや、するのに何かしらの制限があったのだろう。

 しかしその制限を打ち破り、ギーギルは口にした。

 苦痛に表情をゆがませており、かなり無理をしたのだと思われる。

 けれどもそれをあまり表に出さないようにしながら、俺に伝えてくれた。

 その情報の価値は、まさに値千金あたいせんきんと言えるだろう。

 この沼地のダンジョンボスについての知識ゼロだったのであれば、もしかしたら足元をすくわれていたかもしれない。

 ルーラーモスキートや、まだ倒していないこの中層のキャリアンイーターを思えば、厄介な能力を持つのは当然だろう。

 なので俺は情報をくれたギーギルに深い感謝をしながら、別れを告げた。

「情報提供に感謝する。それと、また会えることを願っている」
「こちらこそ、ありがとうございました。ご武運を祈っています」
「気をつけてください。無理だと思ったら、逃げてくださいね」
「ジンさんもう行っちゃうのかよ! また会おうな!」

 そうして別れの挨拶を済ませると、俺は周囲に配下を召喚してから沼地へと入る。

 三人が去っていく俺の背を、見えなくなるまで見送ってくれた。

 ◆

「にゃぁ」
「そうだな。油断せずにいこう」

 レフの鳴き声にそう返事をして、俺は沼地を進む。

 目指すはこの中層のエリアボス、キャリアンイーターのいる場所だ。

 既に、居場所は特定している。

 召喚転移を使えば一瞬で辿り着けるが、今は気分的に自分の足で少し進みたかった。

 また道中で、作戦を練りたかったというのもある。

 キャリアンイーターは腐肉を吸収して強化されており、単体としてもかなり強いらしい。

 それに加えて、ロットキャリアを何体も従えている。

 つまり支配者が一番強く、配下も多い。

 なんだか俺の状態と、似たような構造だ。
 
 ゲヘナデモクレスという例外はいるものの、俺は配下たちよりもおそらく強い。

 そして多くの配下をようしており、集団戦も得意だ。

 であれば戦い方のスタンスも、近いものがあるかもしれない。

 鑑定次第ではあるものの、これは配下を鍛えるのに役に立ちそうだ。

 ちなみに現在の編成は、俺・レフ・ホブン・アンク・サン・リーフェ・斥候ゾンビとなっている。

 しかしエリアボスと戦うには、少し数が足りないだろう。

 なのでここに、配下を追加することにした。

「出てこい」

「うきぃ!」
「ぎゃぎゃぎゃ!」
「きゅぃ!」

 そう言って召喚したのは、ジョン・トーン・アロマの三体である。

 ちなみにアロマは、召喚に伴い俺の腕の中に収まった。

 沼に落ちれば、大きさ的に全身が沈んでしまう。

 なので戦闘中は、俺の腕の中から回復魔法を飛ばすことになると思われる。

 戦力としては、一先ずこんなところだろう。

 足りなければ、その都度召喚していけばいい。

 またトーンは移動が困難なので、もちろん最終的な移動は召喚転移を使うことにしよう。

 しかしまだエリアボスの近くまで、アサシンクロウが辿り着いてはいなかった。

 移動までには、もう少し時間がかかるだろう。

「きゅいぃ!」
「にゃっ!」

 すると腕の中のアロマと、子猫サイズで肩にいるレフとの間で、何やら争いが起きる。

「ガァ、あーしも!」

 そしてそれを見て我慢できなくなったのか、反対側の肩にアンクが止まった。

「いいなー! 私もごしゅに乗る~!」

 更に羨ましがったリーフェが、俺の頭に乗る。

 結果として頭部にリーフェ、左肩にレフ、右肩にアンク、腕の中にアロマという感じになった。

「きゅぃ!」
「にゃにゃ!」
「あーしが一番!」
「たーのしー」

 実に騒がしい。そして流石に邪魔だ。

「お前ら、もう俺から降りろ……」

 そうして、なんとか四体を俺から引きはがした。

 アンクとリーフェは空を飛び、レフは縮小を解いて、嫌々沼地に浸かる。

 またアロマについては、トーンが自身の木の枝を巧みに操ってかごのような物を作ると、その中に座らせた。

 最初から、こうすれば良かったな。

 レフ・アンク・リーフェだけでも騒がしかったのに、ここへアロマが加わると大変だ。

 かしましいとは、このことである。

 さて、エリアボスと戦う前に、新たに召喚した配下のステータスを確認することにしよう。

 ジョン・トーン・アロマにも、もちろんスキルや装備を与えている。

 その結果については、以下の通りだ。

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