倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~

乃神レンガ

文字の大きさ
265 / 535
第七章

254 船のダンジョン ⑪

しおりを挟む
 その声に反応して周囲を見るが、いるのはアンデッド軍団と海賊アンデッドたちが争っている姿だけだ。

 いや、もちろん分かっている。

 この声の主は、目の前の人魚であるルルリアのものだろう

 おそらくスキルにある、ウィスパーの効果だと思われる。

 どうやらこのスキルは、自身の声を相手に届ける効果があるみたいだ。

 それに見れば、ルルリアの無くなっていた舌も再生している。

 まともに喋ることは難しいようだが、ウィスパーを使うことで最低限の言葉は出せたようだ。

 にしても、『死にたくない』か。

 既にアンデッドである以上、矛盾した言葉である。

 だがそれは、心の奥底から出た本音でもあるのだろう。

 長い間こんな目に遭っていながら、それでも生にしがみついている。

 もしかしたら、そう思えるだけの理由があるのだろう。

 だが、ルルリアもダンジョンボスである事には違いない。

 戦闘も既に始まっており、俺は侵入者側だ。

 ここで倒して、カード化してしまうのも一つの手だろう。

 しかしレッドアイが俺を奴隷にしようと口にしていた以上、何か別の方法があるのかもしれない。

 ダンジョンによって、そのルールは微妙に異なる。

 それは、女王からも聞いていた。

 故に最初にするべきことは、ルルリアを倒すことではない。

 レッドアイを問い詰める方が、先決だろう。

 俺はそう考えると、安心させるようにルルリアへと声をかける。

「敵対する気がないなら、今は殺すつもりはない。状況的に難しいが、何か手がないか考えてみるつもりだ。
 それと俺は冒険者のジンという。とりあえずあの海賊船長のレッドアイをどうにかしてくるから、今は待っていてくれ」
『あり……が、とう……』

 俺の言葉に対して少し安心をしたのか、お礼の言葉がウィスパーによって、耳元へとささやかれる。

 以心伝心+の効果でも、嘘を言っていないのは間違いなかった。

 やることも明確になったので、一先ず俺もレフたちの元へ向かおう。

 念のため、配下にはルルリアを攻撃しないように言っておく。

 ついでに無いとは思うが、ルルリアの護衛にホブンとジョンを召喚しておいた。

 またこのままはりつけにされているのは、流石に見るに堪えない。

 だが、それを飲み込んで、俺はあえてそのままにしておく。

 ここで情に流されて油断するのも、違うと考えた。

 敵意が無くこちらの味方っぽいとしても、事がある程度終わるまでは、手を出さないでおく。

 それにあの赤い煙が関わっているとしたら、こんな都合のいいことは無いだろう。

 俺の直感スキルも、油断するなと告げていた。

 このボス戦はもしかしたら、何かあるかもしれない。

 戦闘に不慣れなクモドクロを一旦カードに戻すと、俺はその場を移動するのであった。

 ◆

「おらおらどうした! さっきの威勢はよぉ!」
「グルオウ!」
「ギギギ!」
「ガァ! 激おこ!」

 レフたちが戦っている場所に来てみると、予想に反して良い勝負をしていた。

 いや、三対一であの状況だとすれば、レッドアイが優勢なのかもしれない。

 これはいったい、どういうことだ?

 俺がそう思っていると、レフのダークネスチェインがレッドアイの左腕に絡み付く。

 そこへアンクがシャドーニードルを打ち込み、サンがウィンドカッターで左腕を斬り飛ばした。

「ぐぇええ!?」

 それに対してレッドアイが悲鳴を上げて距離を取ると、器用に自身の真上へとアイテムボックスを開く。

 アイテムボックスから落ちてきたのは、何かの肉片。

 それをレッドアイが口でキャッチすると、あっという間に飲み込んだ。

 あの肉片はなんだ? いや、この状況からして、ルルリアの肉片だろう。

 しかし、なぜ今それを口にした?

 俺がそう疑問に思うのと同時に、変化が起きる。

 なんと切断されたはずの左腕が、瞬く間に再生したのだ。

 加えて種族固有の装備である、赤い上着も元通りである。

 確かレッドアイは、再生のスキルを持っていなかったはずだ。

 だとすれば怪しいのは、スキル欄にあった【呪喰い】というスキルだろう。

 俺はレッドアイに気づかれるのを承知で、再度鑑定を発動してその効果を確認してみる。

 
 名称:呪喰い
 効果
 ・食すことで、呪いと異常効果のある物のデメリット効果を無効化する。
 ・食した物の呪いと異常効果が強力なほど、一時的に以下の効果を順次発動していく。
 1.【スタミナ回復(小)】 6.【状態異常耐性(中)】
 2.【魔力回復(小)】   7.【物理耐性(中)】
 3.【身体能力強化(小)】 8.【魔法耐性(中)】
 4.【魔力強化(小)】   9.【瞬間再生】
 5.【精神耐性(中)】   10.【スキル効果上昇(中)】
 ・追加で食すことで、発動中の効果時間を引き延ばすことが可能。
 ・短時間で許容量を超えて食した場合、これまで食した分の反動を受ける。
 ・効果を発動、延長するたびに寿命を削る。


 なんだ、この効果は……。

 まさかここまでぶっ壊れとは、正直思ってもいなかった。

 多少は強化されると考えてはいたが、流石にこれには驚きを隠せない。

 いや、これは人魚の肉があってこそ、できる技なのだろう。

 効果からして呪いの弱いものだと、最初の数個しか発動しないと思われる。

 それと俺たちが来たときには、既にルルリアの肉はがれた後だったのだろう。

 逆にあの程度しか削がれなかったのは、喰える許容量が関係しているのは間違いない。

 加えてアンデッド故に、寿命を削るというデメリット効果も、レッドアイには無いようなものだ。

 あのときルルリアの肉を喰ったのは、パフォーマンスではなく、自然な形で自身を強化するためだったのだろう。

 またあのとき鑑定後すぐに斬りかかってきたのは、この呪喰いの効果を確認させないためだったのだと思われる。
 
 それにこいつ、俺に斬りかかってきた時は手を抜いていたようだ。

 呪喰いで強化されたことを、できるだけ伏せていたのだろう。

 油断した時に、一気にギアを上げてくる算段だったのかもしれない。

 しかしそれもレフたちに苦戦したことで、既にその手札は切られているみたいだ。

 また追加で肉を喰ったということは、そこまで持続時間も長くはない。

 それか瞬間再生に回数制限があるかの、どちらかだろう。

 俺がそこまで予想したところで、レッドアイが俺に急接近してきた。

「てめぇ! また鑑定しやがったなぁ!」

 そう言って剣を振るってくるが、気づかれることは分かっていたため、俺は余裕を持って双骨牙で受け止める。

 するとやはり、先ほど以上の力強さを感じた。

 今度は力を隠さず、全力で斬りかかってきたようである。

 これは、かなりの力強さだな。

 赤い煙の操ったアルハイドよりはマシなものの、それでも力だけで言えばAランク以上はありそうだった。

 流石に何度も受けるのは、手が痺れるかもしれない。

「なんだ? さっきよりも余裕が無さそうだが、大丈夫か?」
「うるせっ――っ!?」

 俺がそう言った直後、レッドアイはレフの鎖に捕まり持ち上げられると、空中でえがく。

 そしてそのまま頭から、床へと叩きつけられた。

 ダンジョンの床は丈夫で壊れないのか、レッドアイの頭部は潰れたトマトのように弾ける。

 だがそれも呪喰いの効果がまだ残っているのか、瞬間再生で瞬く間に元通りになった。

 一瞬倒してしまったかと思ったが、大丈夫だったみたいだな。

「レフ、少しやり過ぎだ」
「にゃふんっ!」

 俺の隣に来たレフは、『助けてあげたのになによっ!』と言いたげに軽く鳴く。

 ちなみに今のレフは、元のサイズに戻っているので大きい。

 それとどうやら、アンクとサンがやられないように頑張っていたみたいだ。

 見ればレフは、結構ボロボロである。

 だとすれば、俺の方が言い過ぎたかもしれない。

「そうか。それは助かった。ありがとな」
「にゃふふんっ!」

 そう言って軽くでながら、生活魔法の治療で怪我を治してやった。

 ちなみに双骨牙は撫でる時には邪魔なので、一度床の隙間に刺している。

 丈夫なダンジョンの床だが、こうした隙間に刺すのは問題ないみたいだ。

 そしてレフの怪我もだいたい治ったので、俺は刺さった双骨牙を抜く。

 さてと、ここからは俺も参加して、色々と訊き出すとするか。

 レッドアイも頭部が再生してから、ちょうど立ち上がったところである。

「ダーリン!」
「ギギッ!」

 アンクとサンもこちらへ来たので、ここからが第二ラウンドという感じだろう。

 そうして俺は、レッドアイの元へゆっくりと歩き出すのだった。

しおりを挟む
感想 119

あなたにおすすめの小説

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~

あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。 それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。 彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。 シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。 それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。 すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。 〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟 そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。 同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。 ※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

実家にガチャが来たそしてダンジョンが出来た ~スキルを沢山獲得してこの世界で最強になるようです~

仮実谷 望
ファンタジー
とあるサイトを眺めていると隠しリンクを踏んでしまう。主人公はそのサイトでガチャを廻してしまうとサイトからガチャが家に来た。突然の不可思議現象に戸惑うがすぐに納得する。そしてガチャから引いたダンジョンの芽がダンジョンになりダンジョンに入ることになる。

「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。 だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。 魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。 だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。 追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。 訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。 そして助けた少女は、実は王国の姫!? 「もう面倒ごとはごめんだ」 そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

処理中です...