倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~

乃神レンガ

文字の大きさ
419 / 535
第十章

SS 老婆になったエリシャの過去 ④

しおりを挟む
※推奨読了話数149話までくらいです。
 __________

 自称ハイエルフが六人そろってからは、とても順調に物事が進んでいた。

 若者を中心に多くのエルフからの支持を得るようになっていき、権力者も契約で縛ることで、裏から支配し始めている。

 けれどもそんなティニアたちの行動は、中央と呼ばれるエルフの首都で問題になっていた。

 だがしかし昔ながらのエルフは排他的だが、同じエルフということでどこか危機感に疎く、ティニアたちへの対策が遅れてしまう。

 結果気がつけば、簡単に排除できないレベルで問題が広がってしまったのである。

 またその頃にはティニアたちは妖精の森に拠点を築き、これまでクイーンフェアリーが管理していた国境門も開いたことで、活用し始めた。

 この国境門は基本的にクイーンフェアリーが配下を使って防衛等をしており、難しい場合はエルフに援軍要請などをして、これまで管理していたのである。

 しかしそのクイーンフェアリーがいなくなったことで、その管理は実質的にティニアへと移っていた。

 そしてティニアはこの国境門を使い、貿易をすることを思いついたのである。

 更にはエルオの固定化が国境門にも上手く発動して、閉じることが無くなった。

 これにより妖精の森の価値が上昇したことで、ティニアはこの地を自称ハイエルフの拠点にすることを決めたのである。

 そして拠点にするに際して、何か象徴となる物を欲した。

 結果ティニアは、ハイエルフと妖精の森という単語から、ユグドラシルの大樹を連想したのである。

 幸いエリシャの神授スキルであれば、ユグドラシルを創り出すことも難しくはないと考えていた。

 故にティニアは、エリシャにユグドラシルを創り出すことを命じたのである。

 最初はそこまで深く考えず、エリシャはそれに頷いた。けれども次第にこれがとても難しいことであり、実現するには自身の命をかける必要があることを理解してしまう。

 なのでエリシャは、そのことをティニアに告げて、ユグドラシルを創ることを諦めてもらおうとした。

 このまま続けて無理にでも創ろうとすれば、自分の命が危ないことも当然伝えている。

 だがそんなティニアの回答は、無慈悲にも続行を命じるものだった。しかも契約を発動させて、強制的にユグドラシルを創り出すことを命じたのである。

 それによりエリシャは自身の意思とは反して、神授スキルを発動させた。その結果として、この大陸にユグドラシルが誕生したのである。

 しかしその代償として、エリシャの容姿は老婆となり果ててしまい、寿命も残り僅かになってしまう。

 またユグドラシルを創り出す際には、とてつもない苦痛がともない、エリシャの精神はズタボロになってしまった。

 そんなことがあったこともあり、エリシャのティニアに対する感情は完全に裏返り、憎悪へと変わってしまったのである。

 けれどもエリシャには、ティニアをどうにかする力は残されていなかった。

 それに強制されたとはいえ、自身の生命力を使って創り出したユグドラシルに対して、エリシャは母性のような愛情が芽生えていたのである。

 なのでエリシャは、自ら進んでユグドラシルの管理を名乗り出た。

 また表面上は引き続き、ティニアへの忠誠を誓っていたのである。いつの日か、ティニアを葬ることを夢に見ながら。

 そんな中で唯一信用できるのは、もはやルフルフだけである。

 ボンバー、カルトス、エルオは、エリシャが老婆になったことで、態度が一変していた。

 肝心のティニアといえば、エリシャへの態度こそ変わらないものの、出会った頃とは全く違う、堕落だらくした生活を送り始めている。

 若いエルフの男を自室に招いては、毎晩交わっていた。更にこれまでは自ら動くことが多かったのが嘘のように、他人まかせになっている。

 重要なことには流石に動くものの、もはやあの頃エリシャがお姉ちゃんと呼んで尊敬していたティニアは、もうどこにも存在してはいない。

 エリシャは何故こうなってしまったのだろうと悩みながら、自称ハイエルフの一員として働き続けた。

 そしてしばらく経った頃、運命の日が訪れる。ティニアを倒してくれる存在が、とうとう現れたのだ。

 しかしそれは同時に、また新たな悲劇に繋がることを、この時のエリシャはまだ知らなかった。

 何かが違っていれば、エリシャは平穏な生活を送っていただろう。

 もしかしたら、幸せに繋がる出会いがあったかもしれない。

 ティニアと出会わず、自らの意志で村に行っていれば……。

 けれどもそれは、単なるたらればである。

 実際の運命とは残酷なものであり、エリシャの手からは、ことごとくそれはこぼれ落ちていった。

 結果としてエリシャはユグドラシルに取り込まれて、永遠に魔力を供給する存在へとなってしまったのである。

 不幸中の幸いなのは、自我がほとんど消えていることだろう。だが同時に、完全に消えたわけでもなかった。

 ユグドラシルの中で、エリシャはときよりぼんやりとした意識の中で、幸せだったあの頃を思い出している。

 エリシャがティニアとルフルフとの三人で、冒険者として活動していたあのときだ。その頃がエリシャにとって、最も幸せだった頃である。

 またそのときは不思議と、負の感情や痛みなどはない。夢心地で、穏やかな状態だった。

 ある意味エリシャはこのとき、様々な苦痛から解放されていたのである。

 そうしてユグドラシルが健在であり続け、エリシャを何らかの理由から解き放つことがない限り、エリシャはユグドラシルと共にあり続けるだろう。

 永遠にエリシャは、こうして幸せな夢を見続けるのである。
しおりを挟む
感想 119

あなたにおすすめの小説

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき
ファンタジー
無能テイマーとしてSランクパーティをクビになったオース。 モフモフテイマーという、モフモフモンスター専門のテイマーであった彼は、すぐに最強モンスター『マーナガルム』をテイムするが……。 実はオースこそが、Sランクパーティを支える最強メンバーだったのだ。 あらゆるモンスターへの深い知識。 様々なクラスを持つことによる、並外れた器用さ。 自由になったオースは、知識の力で最高の冒険者へと成り上がっていく。 降って湧いた凶悪な依頼の数々。 オースはこれを次々に解決する。 誰もがオースを最高の冒険者だと認めるようになっていく。 さらに、新たなモフモフモンスターが現れて、仲間も増えて……。 やがて、世界を巻き込む陰謀にオースは関わっていくのだ。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...