3 / 6
第三章
birthdayの訪問者
しおりを挟む
『ただいま~』
1人暮らしのアパートに帰り着いた。
『リン♪リン♪』
タマ子の鈴の音が飛んで来る。
『遅くなってごめんニャ。あ…』
ジョンのおかげで、変な癖がついてしまった。
『お腹空いたニャ~ん』
この甘くて可愛い、文字通りの "猫なで声" に弱い私。
『ごめんごめん。色々あって。』
ジョンの哀愁漂う背中が想い浮かんだ。
『今日はタマ子のバースデーだから、ご馳走食べような』
『ニャ~ん♪』
か…かわゆい(≧∇≦)
ゴロゴロのどを鳴らして、スリスリしてくるタマ子をナデナデしてると、仕事の疲れも癒されてしまうのは事実である。
(ただのネコバカかな? まっ、いいか! さて。)
さっそくパーティーの準備にとりかかった。
準備といっても、無精な男の1人暮らし。
コンビニで買ってきた惣菜を並べるだけのことである。
ものの15分で完了した。
『タマ子、お待たせ』
タマ子は、お行儀良くテーブルの上に座って待っていた。
テーブルに座るのを、行儀良いとは言わないかも知れないが、仕方ない。
いくら非現実な…とは言え、まさか、椅子に腰掛けて、前足でナイフとフォークを…というわけにもいくまい。
テーブルの真ん中には、お皿に載せたふんわりシュークリーム。
タマ子は、ショートケーキは全くだめであったが、このコンビニ限定ふんわりシュークリームだけは、大好きなのである。
それへ、つまようじ並の極小ロウソクを1本立てる。
実は去年のクリスマスには、普通のケーキ用ロウソクを使い、タマ子に吹き消してもらった。
すると、タマ子の長いヒゲや顔の周りの細~い毛がチリヂリになってしまい、治るのに3毛月もかかった。
トラウマにならないか、心配したものである。
タマ子には悪いが、いい勉強をさせてもらったと思う。
皆さんも、ネコに吹き消してもらう時は、極小ロウソク1本をオススメする。
それからもう一つ。
部屋の明かりを暗くして、ロウソクに火を灯す。
『さあタマ子、思い切り吹き消してごらん』
『ニャン♪』
立ち上がり、ゆっくりコンビニ限定ふんわりシュークリームへ近づくタマ子。
この日の為に用意した、バースデーソングが流れ、ムード満点。
『タマ子、いつもありがとう。ハッピーバースデー!!』
その声を合図に、タマ子が一変した。
目を釣り上げ、全身の毛を逆立てる。
次の瞬間。
『フーッ!!』
溜め込まれていたものが、一気にほとばしる様な一閃が、ロウソクを襲う。
フッ
炎は、見事に吹き消されたのである。
ネコは、その名の通り猫舌である。
熱いものをフーフーできないし、もとより犬とは違い、あまり口で息を吐かないのである。
もちろん、犬もフーフーはしない。
(念のため)
そんな厳しい条件の中、タマ子が編み出したのが、この技? であった。
威嚇する時に見せる、フーとかシャーとかいうアレである。
ご想像できると思うが、ハッピーな風情には向かない技であり、私も最初は、得意げにポーズを決めるタマ子に、リアクションを苦慮したものである。
間違っても、幸せな瞬間をカメラに収めようなどと、考えない方が良いと思う。
パチパチパチパチ♪
その場を盛り戻す気遣いも必要となる。
『ハッピーバースデー、タマ子』
こうして、恐怖の…あ、いや、祝福のセレモニーはクリアした。
そんなこんなで、いよいよプレゼントタイムを迎えた。
『た~ま~子ニャ~ん』
『ニャ…ん』
ちょっと引かれた気がしたが…
気のせいってことにして。
『ほ~ら、お待ちかねの…』
もったいぶりながら、後ろ手に持ったプレゼントを出そうとした時。
『ドン、ドン』
玄関のドアがノックされた。
『な? 誰だこんな夜に。タマ子、ちょっと待っててね』
ブツブツいいながら、玄関へむかう。
『どなた様ですか~?』
ドアの覗き穴から外を伺うが、誰も見当たらない。
『全く!なんだ? イタズラか? よし!』
まだ近くにいるかも知れないと思い、急いでドアを押し開いた。
『ガンっ!!』
『ゥニャ!!』
下の方で声がした。
『何だ?』
慌てて廊下を見ると、大の字にひっくり返ったジョンがいた。
『ジョン!』
『ジョン!じゃニャいニャ! いきなり開けるニャよ!』
膝を払いながら、ゆっくりジョンが立ち上がる。
『な、何やってんだジョン? って言うか、立ち直り早っ! もう来たのか?』
少なくとも、2、3日は姿を見せないであろうと思っていた。
『章タイトルの訪問者って、お前かよ!』
あっ…これはここだけの話で。
『はにほ、ゴヒャゴヒャ言ってるんニャ。いててて』
したたかに鼻を打ったらしい。
赤くなった鼻を押さえて喋るジョン。
『大丈夫か? ぷっ…』
『笑うニャ!』
と言われてもおかしいものは、おかしい。
『悪い悪い。しかし、こんな時間に何の用だ?』
『ニャんの?って、今夜は愛するタマ子のバースデーだニャ』
『確かに』
いつになくモジモジしているジョン。
なかなか可愛いものである。
『せ、拙者も、一緒に祝ってあげたいでござるニャ』
(時代劇か!)
『ニャ~ん♪』
中からタマ子の可愛い声がした。
私の足の間から、見つめ合う二人(2匹)。
『なるほどな…そういうことか。』
『入れておくんニャまし~』
(せめて、武家か庶民かどっちかにしろって!)
ネコのクリクリした目で哀願されて、断れるわけがない。
『しかたないなぁ。まぁ、パーティは大勢の方が楽しいから、いいか。』
『よ…良いでござるか!?』
ダメもとだった様である。
ジョンの目が嬉しそうに輝く。
『あぁ、どうぞいらっしゃい』
『かたじけニャい』
(普通に言えって!)
見ると、タマ子も嬉しそうにしていた。
『さぁ、入って入って…』
1人暮らしのアパートに帰り着いた。
『リン♪リン♪』
タマ子の鈴の音が飛んで来る。
『遅くなってごめんニャ。あ…』
ジョンのおかげで、変な癖がついてしまった。
『お腹空いたニャ~ん』
この甘くて可愛い、文字通りの "猫なで声" に弱い私。
『ごめんごめん。色々あって。』
ジョンの哀愁漂う背中が想い浮かんだ。
『今日はタマ子のバースデーだから、ご馳走食べような』
『ニャ~ん♪』
か…かわゆい(≧∇≦)
ゴロゴロのどを鳴らして、スリスリしてくるタマ子をナデナデしてると、仕事の疲れも癒されてしまうのは事実である。
(ただのネコバカかな? まっ、いいか! さて。)
さっそくパーティーの準備にとりかかった。
準備といっても、無精な男の1人暮らし。
コンビニで買ってきた惣菜を並べるだけのことである。
ものの15分で完了した。
『タマ子、お待たせ』
タマ子は、お行儀良くテーブルの上に座って待っていた。
テーブルに座るのを、行儀良いとは言わないかも知れないが、仕方ない。
いくら非現実な…とは言え、まさか、椅子に腰掛けて、前足でナイフとフォークを…というわけにもいくまい。
テーブルの真ん中には、お皿に載せたふんわりシュークリーム。
タマ子は、ショートケーキは全くだめであったが、このコンビニ限定ふんわりシュークリームだけは、大好きなのである。
それへ、つまようじ並の極小ロウソクを1本立てる。
実は去年のクリスマスには、普通のケーキ用ロウソクを使い、タマ子に吹き消してもらった。
すると、タマ子の長いヒゲや顔の周りの細~い毛がチリヂリになってしまい、治るのに3毛月もかかった。
トラウマにならないか、心配したものである。
タマ子には悪いが、いい勉強をさせてもらったと思う。
皆さんも、ネコに吹き消してもらう時は、極小ロウソク1本をオススメする。
それからもう一つ。
部屋の明かりを暗くして、ロウソクに火を灯す。
『さあタマ子、思い切り吹き消してごらん』
『ニャン♪』
立ち上がり、ゆっくりコンビニ限定ふんわりシュークリームへ近づくタマ子。
この日の為に用意した、バースデーソングが流れ、ムード満点。
『タマ子、いつもありがとう。ハッピーバースデー!!』
その声を合図に、タマ子が一変した。
目を釣り上げ、全身の毛を逆立てる。
次の瞬間。
『フーッ!!』
溜め込まれていたものが、一気にほとばしる様な一閃が、ロウソクを襲う。
フッ
炎は、見事に吹き消されたのである。
ネコは、その名の通り猫舌である。
熱いものをフーフーできないし、もとより犬とは違い、あまり口で息を吐かないのである。
もちろん、犬もフーフーはしない。
(念のため)
そんな厳しい条件の中、タマ子が編み出したのが、この技? であった。
威嚇する時に見せる、フーとかシャーとかいうアレである。
ご想像できると思うが、ハッピーな風情には向かない技であり、私も最初は、得意げにポーズを決めるタマ子に、リアクションを苦慮したものである。
間違っても、幸せな瞬間をカメラに収めようなどと、考えない方が良いと思う。
パチパチパチパチ♪
その場を盛り戻す気遣いも必要となる。
『ハッピーバースデー、タマ子』
こうして、恐怖の…あ、いや、祝福のセレモニーはクリアした。
そんなこんなで、いよいよプレゼントタイムを迎えた。
『た~ま~子ニャ~ん』
『ニャ…ん』
ちょっと引かれた気がしたが…
気のせいってことにして。
『ほ~ら、お待ちかねの…』
もったいぶりながら、後ろ手に持ったプレゼントを出そうとした時。
『ドン、ドン』
玄関のドアがノックされた。
『な? 誰だこんな夜に。タマ子、ちょっと待っててね』
ブツブツいいながら、玄関へむかう。
『どなた様ですか~?』
ドアの覗き穴から外を伺うが、誰も見当たらない。
『全く!なんだ? イタズラか? よし!』
まだ近くにいるかも知れないと思い、急いでドアを押し開いた。
『ガンっ!!』
『ゥニャ!!』
下の方で声がした。
『何だ?』
慌てて廊下を見ると、大の字にひっくり返ったジョンがいた。
『ジョン!』
『ジョン!じゃニャいニャ! いきなり開けるニャよ!』
膝を払いながら、ゆっくりジョンが立ち上がる。
『な、何やってんだジョン? って言うか、立ち直り早っ! もう来たのか?』
少なくとも、2、3日は姿を見せないであろうと思っていた。
『章タイトルの訪問者って、お前かよ!』
あっ…これはここだけの話で。
『はにほ、ゴヒャゴヒャ言ってるんニャ。いててて』
したたかに鼻を打ったらしい。
赤くなった鼻を押さえて喋るジョン。
『大丈夫か? ぷっ…』
『笑うニャ!』
と言われてもおかしいものは、おかしい。
『悪い悪い。しかし、こんな時間に何の用だ?』
『ニャんの?って、今夜は愛するタマ子のバースデーだニャ』
『確かに』
いつになくモジモジしているジョン。
なかなか可愛いものである。
『せ、拙者も、一緒に祝ってあげたいでござるニャ』
(時代劇か!)
『ニャ~ん♪』
中からタマ子の可愛い声がした。
私の足の間から、見つめ合う二人(2匹)。
『なるほどな…そういうことか。』
『入れておくんニャまし~』
(せめて、武家か庶民かどっちかにしろって!)
ネコのクリクリした目で哀願されて、断れるわけがない。
『しかたないなぁ。まぁ、パーティは大勢の方が楽しいから、いいか。』
『よ…良いでござるか!?』
ダメもとだった様である。
ジョンの目が嬉しそうに輝く。
『あぁ、どうぞいらっしゃい』
『かたじけニャい』
(普通に言えって!)
見ると、タマ子も嬉しそうにしていた。
『さぁ、入って入って…』
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
短編)どうぞ、勝手に滅んでください。
黑野羊
恋愛
二度も捨てられた聖女です。真実の愛を見つけたので、国は救いません。
あらすじ)
大陸中央にあるルオーゴ王国で、国を守る結界を維持してきた聖女ロザリア。
政略のため王太子と婚約していた彼女は、突如『真の聖女』が現れたとして婚約を破棄され、聖女の座を追われてしまう。さらに、代わりに婚姻しろと命じられた聖騎士からも拒絶され、実家にも見捨てられたロザリアは、『最果ての修道院』へと追放された。
けれど彼女はそこで、地位や栄光、贅沢などとはほど遠い、無条件に寄り添ってくれる『真実の愛』と穏やかな日々を手にいれる。
やがて聖女を失った王国は、崩壊へ向かっていき――。
ーーー
※カクヨム、なろうにも掲載しています
遺産は一円も渡さない 〜強欲な夫と義実家に捨てられた私、真の相続人と手を組み全てを奪い返す~ (全10話)
スカッと文庫
恋愛
「お前の価値なんて、その遺産くらいしかないんだよ」
唯一の肉親だった祖父を亡くした夜、夫の健一と義母から放たれたのは、あまりにも無慈悲な言葉だった。
四十九日も待たず、祖父が遺した1億2000万円の遺産をアテに贅沢三昧を目論む夫。だが、彼には隠し通している「裏切り」があった――。
絶望の淵に立たされた由美の前に現れたのは、亡き祖父が差し向けた若き凄腕弁護士・蓮。
「おじい様は、すべてお見通しでしたよ」
明かされる衝撃の遺言内容。そして、強欲な夫たちを地獄へ叩き落とすための「相続条件」とは?
虐げられてきた妻による、一発逆転の遺産争奪&復讐劇がいま幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる