Reincarnation 〜TOKYO輪廻〜

心符

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13. 赤い切り裂き魔

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~新宿区~

新しくオープンしたモールが、若者のみならず、大人まで大変な人気を集めていた。

人気の理由はその一角にある、マニアックなワールドバザールであった。

様々な国の店舗が並び、中には如何《いかがわ》しい店も少なくはないが、聞いた事の無い国の民芸品や、中には食人族の国等もあり、ある種のトレンド感を持たせていた。


「神さんも新しいモノ好きですねぇ」

「バカ野郎。新宿は俺の街だ、知らないじゃすまされないだろうが」

広い公園エリアもあり、家族連れやペット連れの人達も多い。

「あらら、だからやめましょって言いましたよね、神さん」

公園エリアの横に駐車スペースがあり、赤いピカピカのベンツの周りは、沢山の若者が集まり、撮影会さながらの盛り上がりであった。

そこへ真っ白なスーツに黒サングラス。
ある意味マニアックである💧

若者達の黄色い声が上がる。

「この車オジサンのですかぁ?」

「お!オジ…さん…はねぇだろう💧」

「わっ、しゃべった。キャーイケてる!」

「マジ、バズるわ、即アップね❣️」

(せめて日本語で話せって💦)

「写真撮ってもいいですかぁ」
「じゃあ、ベンバックに、早く早く~」 

(問答無用かよ、今の若いギャルは💦)
(て言うか、もう撮ってるじゃねぇか)

と、内心思いつつ、誘われるままに、立つ神。

「キャーステキ❣️、一緒に一緒に」

散々オモチャにされた神。
確かにイケメンではある。

「ありがとう~いいの撮れた、絶対イケる❣️」

(はぁ…つ、疲れるぜ)

「神さん、まだまだ行けますね」

「うるせぇ、ガキ相手だしょうがねぇだろ!」

車に乗りかけた時である。

「誰かつかまえて~!」
少女が、リードを引きずって逃げる子犬を追いかけて来た。

「しゃあねぇな」

神がドイツ店で買ったソーセージを出して、しゃがんでぶらぶらさせる。

実は犬好きの神。
何故か犬にも好かれるのである。
シッカリ買い物もしていた💧

「よしよし、ほら食え」

犬が咥えていたものを落とし、ソーセージにかぶり付く。

少女が来た。

「ありがとう、オジサン」

「オジ!……ったく、ほらよ……んん?」

白い小さなライオンの彫り物であったが、尻尾と前足が折れていた。

「あ~あ、壊れてる。もういらない。オジサンにあげるわ」

「またオジ……ちょ、ちょっと待て!」

「こいつ、どこで買ったんだ?」

「ワルバの首狩り族の店。今人気なんだよ」

「そうか、ワルバの…首狩り族だな?」

少女が駆け戻っていく。
振り向くと期待した目で子犬が見上げる。

飼い主の男の子がやって来た。

「ありがと…
「いいから、行け!」

オジサン四連発を防いだ神。

「どうかしたんですか、神さん」

「おい、ワルバの首借り族から、こうゆう白いやつ、あるだけ買って来い!」

そう言って財布を渡す。

「ワールドバザールの首狩り族店ですね、今人気みたいで、ネットで高く売れるんすよ」

(なるほど、ワールドバザールか💦)

「変な商売する気じゃねぇっすよね?」

「いいから、さっさと行け❗️」


(ふぅ~全く)

ため息をついた神の目は真剣であった。



~警視庁対策本部~

「もうそろそろ、これも限界じゃないっすかね?神さん。一応…お決まりなんで、言わせて貰いますがね、またまた、ほんっと~に行くんす…よね」

「いい加減に、お前も慣れろ!今時スマホでも、学習機能ってのがあんだぜ」

「はいはい、あっ財布返します」

「しかしなぁ、てめぇ…」

「何すか?」

「何だこのでけぇのは?」

像牙が入り切らずに、窓から飛び出していた。

「こうゆう白いやつ全部買って来いって…」

「こうゆうヤツって言っただろうが!白いヤツ全部買ってたら、キリがねぇじゃねぇか!幾らだコイツ?」

「大丈夫っすよ、カード💳使いましたから」

「……💧 責任持って、売り飛ばせ❗️」

車を降りて、警視庁への石段を上っていく。



~刑事課~

「紗夜です。車は新宿の公園に練り捨てられてた様で、売り飛ばすつもりで盗んだとのことでした。一部に血痕がありましたので、鑑識に後は任せます」

「ご苦労、捜査員を新宿へ回すから、聞き込みを頼む」

「分かりました」

「新宿か、あのヤロウ絶対に殺してやる」

「淳、私達は警察官ってのを忘れないでよ。さて行きましょ」




「咲、お客さんだ」

神が入って来た。

「神、普通に入ってくるかな…全く」

「普通に入れるんだから、しかたねぇ」

「あ、そうだったわ、この前はご協力をありがとうね。たくさん退治してくれて助かったわ」

実際、地下水路や下水道内で、飛鳥組が30名余りを食い止めた功績は大きかったのである。

「いいって事よ!そんなことより、これだ」

神がカウンターに、白い彫刻品を並べた。

「何よ、象牙彫刻でも売り付ける気?」

「バカ言うな、コイツは、ワルバの首狩り族で売っていたもんだ」

「ワルバ?何それ?」

「フフッ…最近新宿にできた…」

「ああ!ワールドバザールで人気の工芸品だ」

「何だテメェ、割り込んで来んな!」

「これ今ネットでも人気なんですよ!」

「無視すんな、こら❗️」

そこへラブと豊川が入って来た。

「アラジン、いらっしゃい」

「魔法のランプか、俺は⁉️」

「何か分かったの?」

「だから、無視するなって~💧」

「ラブさん、これって…変ですよ」
昴が、ワニの彫刻品を咲に差し出す。

ラブも豊川も、一眼見て違和感に気付いた。

「アイ、スキャンしてモニターに!」

メインモニターに、拡大写真と断面写真、分析データが表示される。

「こりゃあ…人骨だぜ、ラブ」

「DNAが第14号の被害者と一致しました」

「何ですって❗️」




~港区湾岸署~

その男は誰も気付かない内に、中にいた。
サングラスにマスク、そして真っ白なシャツ。

最初に気付いたのは、刑事課の一人。

「何だ?どうかしましたか?」

それが彼の最後の言葉となった。

右脇腹から左肩へ
左脇腹から右肩へ

赤い線が滲む。
そして、積み木が崩れるように床に落ちた。

「キャー❗️」

課内の6人が振り向く。
その間に、3人が殺られていた。

拳銃を抜く間も、警報を鳴らすまもなく全員が床に崩れ落ちた。




~警視庁対策本部~

「神、これをどこで?」

「話してもようござんすか?って、最初から聞けよテメェら!最近新宿にオープンしたモールの中にあるワールドバザールだ」

ラブが他の彫刻品も確認する。

「全て、第14号の被害者の骨です」
アイが分析照合して答えを告げた。

電話をかける咲。

「紗夜、溝口清が人骨で作った彫刻品が見つかったわ」

「彫刻…品?」

「写真を送るわ、淳は顔を見られてるから後方支援。捜査員をラフな私服に着替えさせて、新宿のワールドバザールにある、首狩り族の店を交代で見張らせて」

「分かりました、直ぐに向かいます」

「まさか彫刻品にして売りに出すとはね」

「溝口の家は代々続く伝統工芸の彫り師です。彼は厳しい父親に仕込まれ、遂には精神を病み、浮浪者を殺害して捕まった様です」

昴が刑務所のデータに侵入し、資料を確認していた。

刑事課の電話が鳴る。

「はい警視庁刑事課。どうしましたか?」

「咲さんですね、安斎です。教授のデータから、第14号の真理判断と行動解析が出来ました。」

「ちょっと待って」

スピーカーフォンに切り替える。

「この犯人に殺意はありません」

「何ですって?」

「殺人は、作品を作るための材料採取と考えられます。恐らくは、彫刻家の父親の威圧に精神が崩壊し、父親を超える作品を作る為に、最初は犬や猫などの小動物を殺して、作品にしています。でもそれでは不十分で、人を材料に選んだものと考えます」

「人が…材料ですって?狂ってるわ」

「それが、シリアルキラーの特徴です。行動パターンとしては、解体ができる場所の周辺。対象は若い女性。骨が硬すぎず割れにくいので、加工がし易いからです。そして、これもシリアルキラーの特性ですが、特別人通りが少ない場所ではなく、普通の町中で、深夜に実行するものと考えます。すみません、こんなことしかできなくて」

「安斎さん、ご協力感謝します。今のを参考に場所を探してみるわ、では失礼」

捜査員達は、今の内容を自分なりのイメージに取り込んでいた。

「恐らくヤツは、まだ新宿にいると思うわ、皆んな新宿の地図で、今の条件に合う場所を見つけるのよ!」

再び電話が鳴る。
スピーカーフォンにして、咲が出る。

「湾岸署が何の用かしら?」

「じ、自分は外にで、出てて…」

「新人?落ち着いて、内容を教えて」

「はい、み、みんな死んでます。湾岸署のみんなが…みんなが死んでます」

「えっ?分かったわ、あなたは今すぐ外に…」

「あっ…ウグッ………」

「もしもし!…クソっ!何なのよいったい❗️」

「アイ、湾岸署の監視カメラ映像を!」

メインモニターに映る。

「な、なんだこれは⁉️」
富士本が思わず叫ぶ惨状。

「アイ、少し戻して」

「いました!」昴が叫ぶ。

「サングラスにマスク。返り血で真っ赤に染まったシャツ。悠々と外へ歩いて行った」

「緊急事態発令❗️近隣の警察官は、銃を携帯し、湾岸署へ急行せよ!」

マイクを持つ富士本の手が震えていた。

「ジャックザリッパー?」

「昴様、それは架空の遺物。この手口は、『赤い切り裂き魔』ね」

いつの間にか、ヴェロニカがいた。

「ロシアで52人の警察を殺害した、シリアルキラーでございます」


また一つ、東京の街に、大いなる脅威が現れたのであった。




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