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20. 終幕
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何とかエレベーターフロアへ辿り着いたラブ。
闘いの最中で、通信機は壊れてしまい、弱った体ではアイとのコンタクトもとれなかった。
エレベーターが開く。
「ラ…ラブ❗️」
「神…」
そのまま身を任せるラブ。
優しく抱き止める神。
「何で一人で戦うんだラブ…こんなになりやがって、あんたを守るのが俺の使命なんだぜ」
もう犠牲者を出さない為。
それは、分かっていた。
ただあの脅威に、無力な自分が悔しかった。
(こんな小さなお前が…何でいつも…)
彼女が背負っているもの。
その全ては分からない。
しかし、命を懸けて守りたいと改めて思った。
ふと、ラブの目が、神の内ポケットから覗いているモノに気付いた。
(…まさか!)
「神…それはどこで?」
神が懐からカスタム銃を取り出す。
彼がサイレンサーを使うわけはない。
「これか?表に落ちてたんだが…」
(しまった❗️)
エレベーターが開いた。
「神、お願い抱いてって、早く❗️」
尋常じゃない気配に、ラブを抱き上げ、総監室へ走る。
「グッ…」
「大丈夫か、ラブ?」
「いいから…早く!」
ドアを叩く神。
「俺だ!ラブも一緒にいる、早く開けろ!」
「ら、ラブさん?い…生きてた❗️」
昴の叫び声に、咲、淳一、紗夜が慌ててバリケードをどかす。
アイから通信不能と聞いて、彼らはラブがやられたと思っていたのである。
ドアが開いた。
「ラブさん❗️」
「お前ぇら、会う前から何泣いてやがんだ?」
「高松は⁉️」
「大丈夫、椅子に縛り付けて死なせない様にしてあるから」
窓際の執務デスクで、外を向いている高松。
「おか…しい?」
「どうしたのよ紗夜?」
紗夜が高松に駆け寄る。
「そ、そんな⁉️」
「やはり…やられた❗️」
高松は、心臓を撃ち抜かれて死んでいた。
「咲さん、これ!」
昴が指さす窓に、小さな穴が空いている。
「クッソー❗️」
ラブの頭の中で、今までの出来事が巻き戻され、高松と安斎の言動、心理がフラッシュバックする。
「アイ、豊川さんに!」
PCに映るアイに指示する。
「はい、グスン…豊川だぁ。誰だ?」
「豊川さん、ラブです」
「ら…ラブ?…本当にラブか?生きてたのか?」
状況を聞き、豊川も諦めていたのである。
「私は…大丈夫。安斎裕子の死因は?」
思いもしなかった問いに、間が空く。
「あ、安斎か。死因は絞殺だ」
明らかに博凛《フーリン》の手口ではない。
「首にくっきり手の跡が残ってやがった。箔ってのは女じゃなかったのか?」
「アイ、指紋照合を!」
アイが警察のシステムに侵入し、首に付いた指紋を警察のデータベースで照合する。
「該当者はいません」
「昴さん、高松の手を映して」
「カメラで、高松の掌を写す」
「…指紋が一致しました」
何が何だか分からないメンバー。
「いったいどうゆうことなのよ?」
混乱極まりない咲。
「あの凶行の主導者は、全て警察を恨む安斎。彼女の狙いは全ての警察を抹殺することだった。高松は、気付いていながら、それを簡単には止められなかった。」
「完全に病んでたってことか」
最初から不穏に感じていた淳一であった。
「それほどまでに、少女が見たものはショックだったということね。確かに、おかしくなっても不思議じゃないわ」
「最後に博凛《フーリン》が言ってたわ。湾岸署も、新宿署もやったのは自分じゃないと。ロシア語は話せないって」
「正真正銘の輪廻ってことか?怖ぇ~」
あの惨状を思い出してしまう咲達。
「シリアルキラーの意識に支配されていたのは間違いない。でも最後は自分を取り戻して、高松の依頼を実行した…」
悔しがるラブ。
「結局は高松も安斎と同じじゃないの❗️」
「違います」
「えっ?何が違うのラブさん?」
「安斎はここも全滅させる計画だった。それを知った高松は、自ら我が娘を殺して止めた」
「だから、娘の死を知っても、全く動揺しなかったのね」
紗夜があの時の違和感を思い出す。
「高松の復讐は、警察組織を敗北させること。末端の駒を殺すことに意味は無い」
「もしかして、高松は⁉️」
紗夜が気付いた。
「高松が博凛《フーリン》に依頼したのは、この警視庁内で、そのトップである、自分を殺させることだった」
「では、博凛《フーリン》は…」
「他の者を殺す気は無かった。標的はただ一人。高松重久警視総監!」
「狙った標的は、一度も逃したことはない、最強の暗殺者か…さすがだな」
「神、あなたが拾った銃で高松を撃ったのよ」
「マジか❗️」
「屋上で彼女と対峙した時、私との闘いの後では、それが実行できないと感じた。だから、一度対決をやめて、ワイヤーで降りた。その途中にある高松が待つ窓へと…」
明らかになった真実に戸惑う。
「哀しい…復讐ですね」
呟く紗夜。
「結局、僕たちは、止められなかった」
呆然とする昴。
昴と紗夜が、自責の念に沈む。
「なに落ち込んでんのよ、あんた達!事件はやっと終わったのよ。元気出しなさいよ❗️」
わざと明るく振る舞う咲。
「俺の誘導作戦は、必要なかったのかよ」
「神さん。あなたのおかげで、警視庁内の人が居なかったから、私は闘えたのよ。本当にありがとう」
「あ…そうか?な、ならいいんだが💦」
「神、何を照れてんのよ💢」
意外に嫉妬深い咲であった。
「これ…報告書と後始末大変ですね」
「ま、よろしく頼むぜ、昴様!」
「そうね、よろしく!」
「えっ💦淳さん、咲さん、僕ですか~💧」
そこへ警視総監の護衛が帰って来た。
「そ、総監❗️いったい何が?」
「じゃ昴様、よろしくね、私達はラブさんを病院へ連れてかなきゃならないから」
「そんなぁ…💧」
「私も手伝うわ、昴さん」
優しい紗夜である。
「8階のヤツはどうなった?」
神が護衛に尋ねる。
「8階?酷く荒れてましたが、誰もいませんでしたよ?」
「なに⁉️あの体で逃げたのか、ヤツは?」
「ラブさん、殺さなかったのね?」
「できるわけないでしょ❣️」
微笑むラブ。
(箔博凛《ハクフーリン》…か…やるわね)
何故かホッとしている自分に気付く。
「お~い❗️どうなってるんだ❓」
富士本が叫んでいた。
「あっ💦また忘れてたわ💦」
「部長、全て終わりました。詳しいことは後で報告します。ラブさんも…無事です」
紗夜の声を聞き、ホッとした富士本であった。
その頃。
~赤坂にある高級レストラン~
「今日は何かの記念日か?こんな店、どうしたんだ?」
高松から受け取った封筒には、この店を予約済と書いたメモが入っていた。
子供用のコースもあり、家族連れのテーブルもいくつかあった。
「真面目に働いてる良妻に感謝してよね!」
「美味しい!ママこれ何?」
「えっ💦え~と、何かしらね?」
楽しみながらも、明日からの仕事にプレッシャーを感じている桜木であった…
~ Reincarnation ~ 完結
闘いの最中で、通信機は壊れてしまい、弱った体ではアイとのコンタクトもとれなかった。
エレベーターが開く。
「ラ…ラブ❗️」
「神…」
そのまま身を任せるラブ。
優しく抱き止める神。
「何で一人で戦うんだラブ…こんなになりやがって、あんたを守るのが俺の使命なんだぜ」
もう犠牲者を出さない為。
それは、分かっていた。
ただあの脅威に、無力な自分が悔しかった。
(こんな小さなお前が…何でいつも…)
彼女が背負っているもの。
その全ては分からない。
しかし、命を懸けて守りたいと改めて思った。
ふと、ラブの目が、神の内ポケットから覗いているモノに気付いた。
(…まさか!)
「神…それはどこで?」
神が懐からカスタム銃を取り出す。
彼がサイレンサーを使うわけはない。
「これか?表に落ちてたんだが…」
(しまった❗️)
エレベーターが開いた。
「神、お願い抱いてって、早く❗️」
尋常じゃない気配に、ラブを抱き上げ、総監室へ走る。
「グッ…」
「大丈夫か、ラブ?」
「いいから…早く!」
ドアを叩く神。
「俺だ!ラブも一緒にいる、早く開けろ!」
「ら、ラブさん?い…生きてた❗️」
昴の叫び声に、咲、淳一、紗夜が慌ててバリケードをどかす。
アイから通信不能と聞いて、彼らはラブがやられたと思っていたのである。
ドアが開いた。
「ラブさん❗️」
「お前ぇら、会う前から何泣いてやがんだ?」
「高松は⁉️」
「大丈夫、椅子に縛り付けて死なせない様にしてあるから」
窓際の執務デスクで、外を向いている高松。
「おか…しい?」
「どうしたのよ紗夜?」
紗夜が高松に駆け寄る。
「そ、そんな⁉️」
「やはり…やられた❗️」
高松は、心臓を撃ち抜かれて死んでいた。
「咲さん、これ!」
昴が指さす窓に、小さな穴が空いている。
「クッソー❗️」
ラブの頭の中で、今までの出来事が巻き戻され、高松と安斎の言動、心理がフラッシュバックする。
「アイ、豊川さんに!」
PCに映るアイに指示する。
「はい、グスン…豊川だぁ。誰だ?」
「豊川さん、ラブです」
「ら…ラブ?…本当にラブか?生きてたのか?」
状況を聞き、豊川も諦めていたのである。
「私は…大丈夫。安斎裕子の死因は?」
思いもしなかった問いに、間が空く。
「あ、安斎か。死因は絞殺だ」
明らかに博凛《フーリン》の手口ではない。
「首にくっきり手の跡が残ってやがった。箔ってのは女じゃなかったのか?」
「アイ、指紋照合を!」
アイが警察のシステムに侵入し、首に付いた指紋を警察のデータベースで照合する。
「該当者はいません」
「昴さん、高松の手を映して」
「カメラで、高松の掌を写す」
「…指紋が一致しました」
何が何だか分からないメンバー。
「いったいどうゆうことなのよ?」
混乱極まりない咲。
「あの凶行の主導者は、全て警察を恨む安斎。彼女の狙いは全ての警察を抹殺することだった。高松は、気付いていながら、それを簡単には止められなかった。」
「完全に病んでたってことか」
最初から不穏に感じていた淳一であった。
「それほどまでに、少女が見たものはショックだったということね。確かに、おかしくなっても不思議じゃないわ」
「最後に博凛《フーリン》が言ってたわ。湾岸署も、新宿署もやったのは自分じゃないと。ロシア語は話せないって」
「正真正銘の輪廻ってことか?怖ぇ~」
あの惨状を思い出してしまう咲達。
「シリアルキラーの意識に支配されていたのは間違いない。でも最後は自分を取り戻して、高松の依頼を実行した…」
悔しがるラブ。
「結局は高松も安斎と同じじゃないの❗️」
「違います」
「えっ?何が違うのラブさん?」
「安斎はここも全滅させる計画だった。それを知った高松は、自ら我が娘を殺して止めた」
「だから、娘の死を知っても、全く動揺しなかったのね」
紗夜があの時の違和感を思い出す。
「高松の復讐は、警察組織を敗北させること。末端の駒を殺すことに意味は無い」
「もしかして、高松は⁉️」
紗夜が気付いた。
「高松が博凛《フーリン》に依頼したのは、この警視庁内で、そのトップである、自分を殺させることだった」
「では、博凛《フーリン》は…」
「他の者を殺す気は無かった。標的はただ一人。高松重久警視総監!」
「狙った標的は、一度も逃したことはない、最強の暗殺者か…さすがだな」
「神、あなたが拾った銃で高松を撃ったのよ」
「マジか❗️」
「屋上で彼女と対峙した時、私との闘いの後では、それが実行できないと感じた。だから、一度対決をやめて、ワイヤーで降りた。その途中にある高松が待つ窓へと…」
明らかになった真実に戸惑う。
「哀しい…復讐ですね」
呟く紗夜。
「結局、僕たちは、止められなかった」
呆然とする昴。
昴と紗夜が、自責の念に沈む。
「なに落ち込んでんのよ、あんた達!事件はやっと終わったのよ。元気出しなさいよ❗️」
わざと明るく振る舞う咲。
「俺の誘導作戦は、必要なかったのかよ」
「神さん。あなたのおかげで、警視庁内の人が居なかったから、私は闘えたのよ。本当にありがとう」
「あ…そうか?な、ならいいんだが💦」
「神、何を照れてんのよ💢」
意外に嫉妬深い咲であった。
「これ…報告書と後始末大変ですね」
「ま、よろしく頼むぜ、昴様!」
「そうね、よろしく!」
「えっ💦淳さん、咲さん、僕ですか~💧」
そこへ警視総監の護衛が帰って来た。
「そ、総監❗️いったい何が?」
「じゃ昴様、よろしくね、私達はラブさんを病院へ連れてかなきゃならないから」
「そんなぁ…💧」
「私も手伝うわ、昴さん」
優しい紗夜である。
「8階のヤツはどうなった?」
神が護衛に尋ねる。
「8階?酷く荒れてましたが、誰もいませんでしたよ?」
「なに⁉️あの体で逃げたのか、ヤツは?」
「ラブさん、殺さなかったのね?」
「できるわけないでしょ❣️」
微笑むラブ。
(箔博凛《ハクフーリン》…か…やるわね)
何故かホッとしている自分に気付く。
「お~い❗️どうなってるんだ❓」
富士本が叫んでいた。
「あっ💦また忘れてたわ💦」
「部長、全て終わりました。詳しいことは後で報告します。ラブさんも…無事です」
紗夜の声を聞き、ホッとした富士本であった。
その頃。
~赤坂にある高級レストラン~
「今日は何かの記念日か?こんな店、どうしたんだ?」
高松から受け取った封筒には、この店を予約済と書いたメモが入っていた。
子供用のコースもあり、家族連れのテーブルもいくつかあった。
「真面目に働いてる良妻に感謝してよね!」
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