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最終章
アイリス
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お母さんの瞳が、その花を映すことは、もうありませんでした。
最後に、その瞳から流れ落ちた涙を、先生たちは、条件反射的な何かだろうと話していた。
でも私は、あの時お母さんには、ちゃんと見えていたのだと信じています。
最期に、自分の想いを、愛を、娘に伝えることができた。その涙だと思います。
お母さんにも、お婆ちゃんと同じ力があった。
お母さんは毎日、その力で、娘の私のことを想い、たとえ記憶が消えても、その想いだけは忘れまいと、必死で花を咲かせ続けたのでした。
あれから、30年。
お父さんも10年前に逝ってしまい、今では、私の夫、如月信也が会社を引き継いでいます。
私は、相変わらずこの花屋を続けており、カフェで、毎日、色んな人と話をしています。
そうそう、秘密の携帯はとっくに壊れてしまいました。
でも今は、お母さんの残した小さな鉢に、色んな「心の花」を咲かせています。
お母さんとお父さんのフクシアの花は、枯れてしまいましたが、隣にあった、もう一本のフクシアは、今も手をつないでいます。
あれはお婆ちゃんが亡くなる前に、私とその夫となった藤咲信也の未来を想って、咲かせた花だったのです。
それから、私達には女の子が一人いて、今では、夫の会社で働いています。
あの子を想うと、「アイリス」の美しい白い花が咲きます。
最後の花になりました。
『アイリス』
「イリス」とも呼ばれるこの花は、「愛情ある、優しい心」を表します。
その花の通り、良い娘に育ってくれました。
駅前の花屋に、もしカフェを見つけたら、どうぞ一休みして行ってください。
さて今度は、あなたの「心の花」でも、咲かせてみましょうか。
Flower Story~心の花~完
最後に、その瞳から流れ落ちた涙を、先生たちは、条件反射的な何かだろうと話していた。
でも私は、あの時お母さんには、ちゃんと見えていたのだと信じています。
最期に、自分の想いを、愛を、娘に伝えることができた。その涙だと思います。
お母さんにも、お婆ちゃんと同じ力があった。
お母さんは毎日、その力で、娘の私のことを想い、たとえ記憶が消えても、その想いだけは忘れまいと、必死で花を咲かせ続けたのでした。
あれから、30年。
お父さんも10年前に逝ってしまい、今では、私の夫、如月信也が会社を引き継いでいます。
私は、相変わらずこの花屋を続けており、カフェで、毎日、色んな人と話をしています。
そうそう、秘密の携帯はとっくに壊れてしまいました。
でも今は、お母さんの残した小さな鉢に、色んな「心の花」を咲かせています。
お母さんとお父さんのフクシアの花は、枯れてしまいましたが、隣にあった、もう一本のフクシアは、今も手をつないでいます。
あれはお婆ちゃんが亡くなる前に、私とその夫となった藤咲信也の未来を想って、咲かせた花だったのです。
それから、私達には女の子が一人いて、今では、夫の会社で働いています。
あの子を想うと、「アイリス」の美しい白い花が咲きます。
最後の花になりました。
『アイリス』
「イリス」とも呼ばれるこの花は、「愛情ある、優しい心」を表します。
その花の通り、良い娘に育ってくれました。
駅前の花屋に、もしカフェを見つけたら、どうぞ一休みして行ってください。
さて今度は、あなたの「心の花」でも、咲かせてみましょうか。
Flower Story~心の花~完
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