異世界最強勇者様が追放転移、転移先はこの現代日本でした。勇者は日本で静かに楽々のんびり隠居生活を目指します。

覧都

文字の大きさ
222 / 256
第二部 第2章 冒険者編

第二百二十二話 マモリ粉乳の効果

「気を付けてください」

 まだ神秘的な巨木ばかりの森の中ですが、エルフ族の美女ナバッテさんが注意をうながしました。

「まだ集落までは、だいぶあるはずですが」

 マッチャさんが聞きました。

「うふふ、斥候が大木の影から僕達の様子をうかがっています。すでに集落に何人かが、木の上を恐ろしいスピードで移動していきました」

「すごいですね。マモリ様にはわかるのですか?」

 ナバッテさんが驚いた表情で言いました。

「木を隠すのなら森の中へと言いますが、森の木々の中に異質の、強い気配を持つエルフ族がいれば目立ちすぎます。すぐにわかりますよ」

「ひゃははは、さすがはマモリちゃんだ。1番弱い姫神のお姫様だけあって、危険を察知する能力がずばぬけている」

 勇者エイゼン様が言いました。
 勇者エイゼン様は僕を姫神一族のお姫様だと思っているようです。
 しかも1番弱いと言ってくれます。
 誰も訂正する気がないようなので、いつか気が付くまで、そのままにしておきたいと思います。

「はいっ!!」

 僕は元気に返事をしました。



「うふふ、懐かしいですわ」

 ナバッテさんが、目をうるませて言いました。
 巨木がなくなり雑木林が見えてきます。
 その雑木林の前に巨大な男がいます。
 上半身裸でエルフ族の中では異常な大きさです。
 身長が2メートル程ありそうです。

「とまれーーっ!!」

 腕を組み鬼の形相です。
 エルフ族はそろって美形です。
 金髪でロン毛の美形のおじさんが腕を組んで僕達をにらみ付けます。
 斥候の報告をうけて、村の入り口の前で待ち構えていたようです。

「あれは、族長のギデル様です。オーガの戦士と戦って勝ったことがあると、いつも自慢しているお方です」

 ナバッテさんが心配そうな顔をして僕の顔を見ます。

「な、なんだと! エルフ族のくせにオーガ族の戦士の強さがあるのか! む、無敵じゃねえか!」

 勇者エイゼン様が驚きの表情で、エルフ族の族長ギデルさんを見つめます。

「この先はエルフ族の村だ。用がないなら帰っていただきたい」

 ギデルさんはうっすら笑いを浮かべながら言いました。
 すごく不気味な雰囲気があります。
 丁寧な言い方の影に何かが潜んでいます。
 そう、殺意のようなものが。

「俺様達は、怪しいもんじゃねえ! ここにお連れしたエルフ族のご婦人を無事に村まで送り届ける為の護衛だ」

 勇者エイゼン様が言いました。
 自分で「怪しいもんじゃねえ」と言う人が、怪しくない事はたいていありませんけどね。

「ふん! 人間など信用できるか!! いいか、おかしな動きをするなよ! あの茂みの中でお前達をエルフ族の弓隊が狙っている」

「なっ!?」

 勇者エイゼン様が驚いています。
 のんきなエイゼン様でも、エルフ族の弓隊がねらっているという意味がわかっているようです。

「ふん! お前は、にぶいなあ。お前以外は全員茂みに視線が釘付けだ。おい! お前達、いつまで人間と共にいるのだ。さっさとこっちへ来い!!」

 ギデルさんが言うと、ナバッテさん達がギデルさんの方へ歩きだします。

「マモリ様、私達がいなくなると攻撃がはじまるかもしれません、お気を付けてください」

 ナバッテさんが僕の横を通り過ぎるときに小声で教えてくれました。

「ふふふ、人質がいなくなればもうこっちのもんだ」

「待て、何を言っている?」

「ふふふ、はあぁぁはっはっ!! さっしが悪いなあぁ、ヒゲのおっさんは! お前達人間共を、ぶち殺すと言っているんだ。我が一族の女子供を誘拐しては、もてあそぶ、そんな人間共を我らは心底ヘドがでるほど憎んでいる。貴様達は、見せしめのために殺して、死体をバラバラにして国境の柱の前にばらまいてやる!」

「ま、まてまて、俺様達はその誘拐されたご婦人を、助けて連れてきたんだぞ。なぜ殺されなければならんのだ」

「お前はバカなのか! いままで、我がエルフ族の者がどれだけ行方不明になっていると思うんだ! さらわれた者達の家族がどれほど悲しんだことか。今こそ、その恨みを晴らさせてもらおう!!」

「エイゼン様。土下座をして、人間を代表して謝って下さい」

 ノブコが突然エイゼン様の耳元で言いました。
 言い終わると、ノブコのメガネが二度光を反射して白く光ります。
 ノブコはそのメガネを人差し指で持ち上げました。
 何か名案が浮かんだようです。
 すごく、悪い笑顔になっています。

「すまなかった!! 人間を代表して謝罪する!! どうか許して欲しい!! 今後は俺様が、泣いているエルフ族を人間の世界で探し出し、1人でも多く救出する事を約束する。だから許してくれ!!」

 エイゼン様がヒザをおり両手を地面につけて頭を下げました。

「お前ごときが、あやまったところでなんになる! はなてーー!!!!」

 ギデルさんの言葉で、茂みから大量の矢が飛んできました。

「うおっ!! あぶねえ!!」

 勇者エイゼン様が僕に飛んできた矢をつかみました。
 エイゼン様に飛んできた矢は、メイヤが全部処理します。
 ユウキもノブコもエイリも楽々弾き飛ばします。
 シラタキ様とマッチャさんは何もしませんが、矢が龍族の2人に刺さることはありません。
 龍族の2人の体に当たった矢が、バラバラと地面に落ちます。

「エ、エイゼン様! あ、ありがとうございます」

 僕は助けてくれた、エイゼン様に御礼を言いました。

「な、なぜだーー!! なぜ、俺様がエルフ族の矢を受け止められたのだーー??」

 エルフ族の矢を反射で受け止めたのでしょうか。
 エイゼン様が驚いています。
 でも、とっさにエイゼン様は僕を守ったということですね。
 僕は少し感動しています。

「ふふふ、それは、マモリ様のマモリ粉乳を食べたからにございます。マモリ粉乳には、食べた人を強くする力もございますので」

 メイヤがエイゼン様に、表情を変えないで笑い声を出しながら言いました。

「ええぇぇーーっ!!」

 僕とエイゼン様が驚きの声を出しました。
 僕のマモリ粉乳にはそんな効果があるのですかー!!
 じゃないよー!! マモリ粉乳ってなんだよーー!!

「そ、そうか! あれは、マモリ粉乳のおかげなのか! 矢が止まって見えた!」

 えっ!?
 エイゼン様の目には、エルフの矢が止まって見えたようです。

「な、な、な、ななな、なんなんだ!! なんなんだよー!! おまえたちはーー??」

 ギデルさんの美形の顔の表情がくずれてしまいました。

「ふふふ、せっかく誠心誠意、謝っている者に対するエルフ族の答えがこれですか! 残念です。皆さん、構いません、少しこらしめてやって下さい」

 僕は、怒りをにじませて言いました。

「ヴァルキリー! レヴォリューション!」

 ユウキとノブコとエイリが言うと、キュートルスリーに変身しました。

「ヴァルキリー! レヴォリューション!」

 シラタキ様とマッチャさんが白と黒のキュートル戦士に変身しました。
 ユウキ達と打ち合わせしていたみたいですね。

「ええーーっ!? なんで、勝手に変身しているのですかーー!!」

 ユウキが驚いています。
 シラタキ様とマッチャさんは、勝手に無許可で変身したようです。

「ふふふ、ワラワ達は非公認戦隊キュートルツインなのじゃーー!!」

 シラタキ様が言いました。
 楽しそうですね。

「はあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!!!!!」

 声と共に5人のキュートル戦士が茂みの中に走ります。
 矢が次々に飛んできますが、全て払いのけられます。
 そして、メイヤがゆっくりエルフ族の族長ギデルさんの前に進み出ます。

「ふわああぁぁぁぁーーはっはっはっ!!!!!! バカめ! 執事ごときがなんの用だ!!!」

「おいおい、マモリちゃんや! メイヤが行ってしまったぞ。あのエルフ族の族長は無敵だぞ、大丈夫なのか??」

「うふふ、姫神の一族の使用人はどの位の強さなのでしょうか? ドキドキします。でも、自分から行きましたのでお任せしましょう」

「ふむ」

「まあ、メイヤがやられたら、次は強くなられた勇者エイゼン様に行っていただきましょう」

「はああぁぁーーーーっ!? 無理じゃーー!! そんなもん俺様には絶対にむりじゃーー!!」

「くすっ」
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

神様の手違いで異世界転生した俺の魅了チートが、勇者のハーレムを根こそぎ奪って溺愛ハーレム作りました!

まさき
恋愛
ブラック企業で働き続けた俺、佐藤誠が過労で倒れ、気づけば異界の地。 「手違いで死なせちゃってごめん!」という神様から、お詫びに貰ったのは規格外の【魅了】スキル——。 だが、元社畜の俺にはその自覚が微塵もない! ​ただ誠実に、普通に生きようとしているだけなのに、エルフの賢者、獣人の少女、最強の聖女、さらには魔王の娘までもが、俺の「社畜仕込みの優しさ」に絆されて居座り始める。 ​一方で、10年かけて仲間を集めたはずの「勇者・勝利」は、自身の傲慢さゆえに、誠へとなびく仲間たちを一人、また一人と失っていく。 「俺は勇者だぞ! なぜ手違い転生者に負けるんだあああ!?」 ​人界から天界、そして宇宙の創造へ——。 無自覚な誠実さで世界を塗り替えてしまう、元社畜の究極溺愛ハーレムファンタジー、ここに開幕!

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

盾の間違った使い方

KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。 まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。 マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。 しかし、当たった次の瞬間。 気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。 周囲は白骨死体だらけ。 慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。 仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。 ここは―― 多分、ボス部屋。 しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。 与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる 【異世界ショッピング】。 一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。 魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、 水一滴すら買えない。 ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。 そんな中、盾だけが違った。 傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。 両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。 盾で殴り 盾で守り 腹が減れば・・・盾で焼く。 フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。 ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。 ――そんなある日。 聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。 盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。 ​【AIの使用について】 本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。 主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。 ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“  瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  だが、死亡する原因には不可解な点が…  数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、 神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。