魔王

覧都

文字の大きさ
30 / 208

第三十話 聖女の休日

しおりを挟む
フォリスさんの姿になったシュザクに僕は名前を付けた。
シュザクのシュとアスラのラで、シュラ。

「シュザク、あなたは固有名をシュラと名付けます。今日からシュラと名乗って下さい」

「は、はい。ありがとうございます」

シュラさんが、涙を浮かべ喜んでくれた。

翌朝、隣の領地へゆっくり旅立った。
何も知らないこの地を、僕はゆっくり一から情報収集し始めることにした。





「うわーーだまされたーー、だまされたーーー」

わたしはエマさんに騙されて怒っている。
学校が楽しいと言われて通っているけど、何日通っても楽しくない。
小学校へ行っていないわたしは、中学の勉強にはまるでついて行けない、こんなんで楽しいわけがないのだ。

「エマさん、もう学校へ行きたくないです」

家に帰るとエマさんに訴えた。

「じゃあ、明日はダンジョンへ行きましょう」

「えっ」

「その代わり、また学校へ行って下さいね」

そんな感じでいつも、うまくあしらわれている。
でも、ダンジョンへいけるのなら我慢も出来ます。



「あーエルナさん、エルマさんですね。毎度どうも、気を付けて行ってきてください」

私はエルナ、エマさんはエルマという偽名を使って、父ちゃんからもらった暗黒の守りの指輪で、鑑定の妨害をして偽装している。
暗黒の守りの指輪は、他人の鑑定を妨害して防御力を高める指輪で、見た目は真っ黒なかっこいい指輪です。

レベル1のダンジョンは、攻略済みの三十階層までギルドに管理されていて、手入れも行き届いている。
攻略が終っている階層は、どこからどんなモンスターが出てくるのかまで、わかっている。

だから、中に入ると、自分の実力にあったモンスターと、比較的安全にたたかう事が出来る。
私は、移動魔法で三十一階層に移動する。

「うおおおおー、後ろに回り込まれるなー―」

ダンジョンの先から声が聞こえる。

「先客がいるみたいですね」

「では、もう少し先へ行きましょう」

五十一階層に魔法で移動した。
十階層ごとに中ボスがいるので、五十階層をさけて五十一階層にした。

「ここは、誰もいないみたいです。では、狩りを始めしょう」

私とエマさんはパーティーを組んでいるので、倒せば二人に経験値が入る。
それが嫌でパーティーを組まない人もいますが、私はエマさんに成長して欲しいのでパーティーを組んでいます。

収納してある暗黒ロッドを二本出します。
一本は私が使って、一本はエマさん、この武器は父ちゃんの突き抜けた付与があるので、この階層でも楽々狩りが出来ます。

「ぎゃあああーーーー」

フロアーのモンスターが悲鳴を上げて魔石に変わります。
朝からずっと狩り続けると、レベルが十ほど上がりました。
こうして少しずつ地道にレベル上げをして、強くなるしかありません。
父ちゃん達は、どこまでレベルが上がったのでしょうか。

「ほう、こんな所まで来ている冒険者がいるのか。……じゃまだどけ」

後から来たくせに偉そうなS級冒険者が六人来た。
わたしたちのF級の階級章を見ると余計に態度が悪くなった。

「じゃまとは何ですか!」

エマさんも少し怒っている。

「ここも、モンスターがいないのか」

わたし達が、狩った階層のモンスターはまだ再生していないので、このS級冒険者達はモンスターにあわずにここまで来たようだ。

「お先にどうぞ」

次が六十階層なので先を譲った。

「うぎゃーーー」

悲鳴が聞こえた。
その声が人の声のような気がしたのであわてて、下の階層に駆けつけた。
六十階層は広い空間になっていて、大勢のゴブリンがいる。このゴブリンは、見た目は普通だが強さは森のゴブリンの比では無い。凄く強いはずだ。
六人は血だらけでゴブリンに襲われている。

私は右手のロッドを前に出した。
金色の魔法陣が出る。

「ホーリーピルム!!」

私の聖なる魔法の金色の光が、ゴブリンに突き刺さり次々倒れていく、二百体位のゴブリンが一瞬で魔石に変わった。

六人の冒険者を見ると命は失っていないようだ。
雑魚がいなくなるといよいよフロアーボスが出てくる。
二体のオーガだ。

「ひいいい」

後ろで悲鳴が上がっている。

「エルマさん、六人と入り口の結界へ待避してください」

「はい」

「いでーーー、くそーー、なんでもっと早くたすけてくれねーーんだーー。」

安全なところに付いたら途端に強気になりました。
厄介な人達です。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...