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第三十八話 スザクの強さ
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「ふふふ、オウブ、おぬしと騎馬を並べて行軍するとは、考えてもおらんかったわ」
チョカイは、そう言いながら上機嫌だった。
「俺もだ」
まあ、俺も悪い気はしない。
十年ほど前、武術大会に出て戦った仲なのだ。
その大会で、二回戦で戦いその時は俺が勝った。
大会で俺はそのまま勝ち進み、準優勝した。
そのおかげで、俺は魔人の国ではまあまあ有名になっている。
「ところでスザクというのは、そんなに強いのか?」
チョカイはスザクの強さが信じられないようだ。
俺は、フォリス様に負けて、スザクの強さが知りたくて戦ってみた。
というより、一方的に攻撃させてもらった。
全力で攻撃したが、傷一つ付ける事が出来なかった。
スザクの圧倒的な強さを知っているからこそ、チョカイ領を十人で攻めることが出来たのだ。
「ふふふ、丁度予定の地点に着いた。晩飯の余興に戦って見たら良いじゃねえか」
「ふむ、じゃあやってみるか」
「全ぐーーん止まれ―――!!」
明日戦う布陣予定地に到着し、チョカイが行軍を止めた
リョウメイ領の、城塞都市が微かに見える草原で野営の準備を始めた。
「シュザクさん、スザクにチョカイを殺さないように指示して欲しい」
「はい分かりました」
「おっ、シュザクさんあんたは、女なのか」
シュザクさんの声を聞いて、チョカイが質問した。
「あら、私達は魔力生成型のモンスターです。性別はありませんよ」
「そうなのか、声は女のようにかわいいな。ではスザクと戦ってくるかいのう」
チョカイは愛用の巨大な、こん棒を持って歩き出した。
牛でも一撃で、殺せそうな、こん棒だ。
「少し場所を空けろ、ちと試合をする」
兵士達は、野営地の中央を丸く開けた。
その中央に、チョカイと、スザク一体が進み出た。
そして俺が、審判として近づいた。
「チョカイ、準備は良いか」
「おう」
チョカイが返事をした。
「なあ、どっちが勝つか賭けねえか」
「バカか、てめー、スザク以外に賭ける奴がいると思うか!」
兵士達がこそこそ話している。
おい、お前達、聞こえとるぞー。
チョカイが怒りの表情になった。
「はじめーー」
俺はさっさと試合を始めた。
「うおおおおーー」
チョカイはこん棒を右から大きく横に振った。
スザクは、チラリとこん棒に目をやった。
それだけで全てを悟ったように、体を自然体のまま手の平をこん棒の位置に合わせた。
パーーーーン
大きな破裂音があたりに響いた。
スザクは無傷だった。
それどころか微動だにしていなかった。
「むう」
チョカイが少しうなると、こん棒をすぐに引き戻すと、今度は大きく胸を反らし振りかぶった。
真上から打ち下ろすつもりなのだろう。重いこん棒は上から落とせば、棍の重さで威力が増す。
スザクは拳を上に上げた。
チョカイのこん棒が凄まじい勢いで、スザクの拳に向かって行く。
かーーーーーーん
とてつもない固い物を叩いた時の音がした。
スザクは拳だと思ったら、小指で受けていた。
叩いたチョカイは、こん棒を地面に落とし、両手がガクガク凄い勢いで震えている。
「がーーーーー」
チョカイは手がしびれるのか、両手を強く握りしめ耐えている。
「ふふふ、チョカイ、どうだスザクわ。とんでも無く強いだろ。シュザクさんあれを教えてやってくれ」
「はい、私達シュザクは、スザクの十倍強いです。そしてフォリス様はシュザク六百体、スザク六千体、あわせて六千六百体を数秒で全滅させます」
「なーー」
チョカイは目をまん丸にして驚いている。
「そしてな、そのフォリス様をアスラ様は子供扱いだそうだ」
「なーーーーーっ」
チョカイの目はまん丸で、口はあごが外れそうになっている。
翌早朝、リョウメイ軍は街の防壁を背に三千の歩兵と弓隊で布陣していた。
こっちは、歩兵一千五百、スザク二十人、シュザク二人、俺とチョカイだ。
「数的には圧倒的に不利だな」
チョカイは不適に笑った。
チョカイは、そう言いながら上機嫌だった。
「俺もだ」
まあ、俺も悪い気はしない。
十年ほど前、武術大会に出て戦った仲なのだ。
その大会で、二回戦で戦いその時は俺が勝った。
大会で俺はそのまま勝ち進み、準優勝した。
そのおかげで、俺は魔人の国ではまあまあ有名になっている。
「ところでスザクというのは、そんなに強いのか?」
チョカイはスザクの強さが信じられないようだ。
俺は、フォリス様に負けて、スザクの強さが知りたくて戦ってみた。
というより、一方的に攻撃させてもらった。
全力で攻撃したが、傷一つ付ける事が出来なかった。
スザクの圧倒的な強さを知っているからこそ、チョカイ領を十人で攻めることが出来たのだ。
「ふふふ、丁度予定の地点に着いた。晩飯の余興に戦って見たら良いじゃねえか」
「ふむ、じゃあやってみるか」
「全ぐーーん止まれ―――!!」
明日戦う布陣予定地に到着し、チョカイが行軍を止めた
リョウメイ領の、城塞都市が微かに見える草原で野営の準備を始めた。
「シュザクさん、スザクにチョカイを殺さないように指示して欲しい」
「はい分かりました」
「おっ、シュザクさんあんたは、女なのか」
シュザクさんの声を聞いて、チョカイが質問した。
「あら、私達は魔力生成型のモンスターです。性別はありませんよ」
「そうなのか、声は女のようにかわいいな。ではスザクと戦ってくるかいのう」
チョカイは愛用の巨大な、こん棒を持って歩き出した。
牛でも一撃で、殺せそうな、こん棒だ。
「少し場所を空けろ、ちと試合をする」
兵士達は、野営地の中央を丸く開けた。
その中央に、チョカイと、スザク一体が進み出た。
そして俺が、審判として近づいた。
「チョカイ、準備は良いか」
「おう」
チョカイが返事をした。
「なあ、どっちが勝つか賭けねえか」
「バカか、てめー、スザク以外に賭ける奴がいると思うか!」
兵士達がこそこそ話している。
おい、お前達、聞こえとるぞー。
チョカイが怒りの表情になった。
「はじめーー」
俺はさっさと試合を始めた。
「うおおおおーー」
チョカイはこん棒を右から大きく横に振った。
スザクは、チラリとこん棒に目をやった。
それだけで全てを悟ったように、体を自然体のまま手の平をこん棒の位置に合わせた。
パーーーーン
大きな破裂音があたりに響いた。
スザクは無傷だった。
それどころか微動だにしていなかった。
「むう」
チョカイが少しうなると、こん棒をすぐに引き戻すと、今度は大きく胸を反らし振りかぶった。
真上から打ち下ろすつもりなのだろう。重いこん棒は上から落とせば、棍の重さで威力が増す。
スザクは拳を上に上げた。
チョカイのこん棒が凄まじい勢いで、スザクの拳に向かって行く。
かーーーーーーん
とてつもない固い物を叩いた時の音がした。
スザクは拳だと思ったら、小指で受けていた。
叩いたチョカイは、こん棒を地面に落とし、両手がガクガク凄い勢いで震えている。
「がーーーーー」
チョカイは手がしびれるのか、両手を強く握りしめ耐えている。
「ふふふ、チョカイ、どうだスザクわ。とんでも無く強いだろ。シュザクさんあれを教えてやってくれ」
「はい、私達シュザクは、スザクの十倍強いです。そしてフォリス様はシュザク六百体、スザク六千体、あわせて六千六百体を数秒で全滅させます」
「なーー」
チョカイは目をまん丸にして驚いている。
「そしてな、そのフォリス様をアスラ様は子供扱いだそうだ」
「なーーーーーっ」
チョカイの目はまん丸で、口はあごが外れそうになっている。
翌早朝、リョウメイ軍は街の防壁を背に三千の歩兵と弓隊で布陣していた。
こっちは、歩兵一千五百、スザク二十人、シュザク二人、俺とチョカイだ。
「数的には圧倒的に不利だな」
チョカイは不適に笑った。
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