魔王

覧都

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第百二十六話 可愛い猫ちゃん

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「悪いが皆、見落としがあると危険だ。念の為、もう一度しらみつぶしに探してくれ」

「はっ」



「二匹だけになりましたね」

僕とフォリスさんはそっと距離を詰め、様子をうかがって二匹になったのを確認すると飛びかかった。

「そりゃあーー!!」

「な、何だ貴様らは、くそーー!!」

「あばれないで!! 暴れるとアスラバキにしますよ」

「ぎゃああああああーーー」

僕もフォリスさんも仲良く一匹ずつ捕まえました。
あんまりにも暴れるので、可哀想とは思いましたが、大人しくさせるためアスラバキにしました。
僕は雄の黄色と黒の、しましまの猫です。
フォリスさんは茶色の雌猫です。

「フォルスさんの猫、可哀想に泣いていますよ」

フォリスさんの猫は、雌ですごく薄着です。
胸に一枚の皮の胸当て、腰は超ミニの皮のスカートです。
フォリスさんは、胸当てをギュッとつかんで、手足をブラブラさせて引きずっています。
胸当てから、豊かな中身が出そうになっています。
スカートから白い物がチラチラ出ています。

猫ちゃんは可愛い顔を横に向け、目から涙がひとしずくこぼれています。

「暴れるからです。アズサさんの猫は鼻水を垂らしていますよ。あっ、スカートに付きました」

僕の猫は、鼻から太い鼻水を垂らしていて、それが僕の可愛いスカートにピトッと付きました。

「うわああああーーー!!」

思わず捕まえていた猫を投げ飛ばしてしまいました。
丁度アド達の方だから良いですね。

「うわあああーーー」

僕の飛ばした猫を見て、爺さんとアドが驚いています。

「どうしました」

驚いている二人に、いたずらっぽく聞いて見ました。

「何なんじゃこれはー!」

「猫ですよ」

「ち、ちがう、これはトラじゃーー」

「フォルスのはライオンにゃーー」

「あーーはっはっはっ、この前はヒツジとヤギを間違えていましたよね」

ショートさんとアドがまた間違えているみたいです。

「猫よね?」

フォリスさんが捕まえている猫に聞いた。

「にゃ、にゃーー」

茶色い猫が、なんだか悲しそうな顔をして一声鳴きました。

「ほら、ほら、こんな可愛い猫が、猛獣のわけがありません」

僕とフォリスさんは、捕まえた猫の頭をなでました。
とっても大人しい可愛い猫です。

ガサッ

回りの草が動きました。
なんだか、殺気のような嫌な気配を感じます。
いったい何者でしょう。

「き、貴様ら隊長をどうするつもりだ」

声と共に五十人くらいの犬と猫が出て来ました。
囲まれてしまったようです。
全員武器をかまえて、襲いかかろうとしています。

「かわいい、わんちゃんがいます」

フォリスさんが上機嫌です。

「私が雄をフォルスさんは雌をお願いします」

「はい」

「ぎゃわあああーーー」

一瞬で全員アスラバキ終了です。

「あ、相変わらずすごいもんじゃのー、アズサちゃんが強いという意味が分かった気がするのー。雄が四十匹、雌が十匹、全く同じ時間じゃった」

「くっ、お、俺はどうなっても構わん、部下達は助けてもらえないだろうか」

「鼻水猫がしゃべったー!!!」

僕は驚いて声を出した。

「獣人だからしゃべるに決まっているニャー」

アドが呆れている。

「あ、あんまり可愛い猫だから気が付きませんでした」

「おー誰かと思ったら、親衛隊のチガー隊長かのう」

ショート爺さんが鼻水猫の顔をのぞき込んで、話しかけた。

「ドワーフのショート公爵様ですか」

「えっ、爺さんの知り合い!?」

「おーこっちは、副隊長のレオナさんじゃのう」

「ねえ、フォルスさん、そっちのレオナさん撫でてもいいですか」

「雌は駄目です!!」

フォリスさんが、すごい目でにらんできた。

「こらこら、フォルスちゃん、雌は失礼じゃ。獣人じゃ」

「はっ、すすすす済みません。あんまり可愛かったものですから」

フォリスさんが謝ると、レオナさんが赤くなっている。

「ほれ、アズサちゃん、あれを一滴ずつ飲ましてやるのじゃ。あの、のろいのエリクサー」

「あれは、呪い成分は入っていません!!」

「ぎゃはははーーー!!」

アドとフォリスさんが可笑しそうに声をだして笑っている。
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