197 / 208
第百九十七話 使者
しおりを挟む
夜が明けても、炎の勢いは衰えません。
ただ、船ごとに火のまわりに違いがあるようで、崩れおち燃え尽きる船が、ちらほら現れてきました。
バルビロ水軍は、河の中央で火が消えるのを待っているのか、じっとして動かない。
「魔王様!!」
魔王軍の大将軍が僕の陣に、駆け込んできました。
「皆さんは疫病には、かからなかったのですか」
「大丈夫です。それより……」
恐らく、艦隊が燃やされた罪悪感に、さいなまれているのでしょう。ロホウさんが、うつむきながら答えてくれます。
でも、何故大将軍は疫病に、かからなかったのでしょうか。
「皆さんが無事なら、大丈夫です。心配しないでください僕がついています。ここから挽回して見せますよ」
「変です。炎の勢いが弱まり、もう来ても良さそうなのにまるで動きがありません。何かあったのでしょうか」
二時間ほど時間が立ち、おおよそ鎮火しています。
動かないのはおかしい。
フォリスさんが首をかしげながら言いました。
「おお、あれは!!」
皆から驚きの声が上がった。
「す、すごい、魔王様はどの様な策を使ったのだ」
続けて大将軍達が声をそろえて、言いながら僕の方を見た。
「い、いえ、まだ策を使う前です。いったい何があったのか僕にも分かりません」
巨大な白旗を揚げる船が、こちらにゆっくり近づいてくるのです。
船には武装を解除した漕ぎ手と、二人の男と一人の女性が乗っています。
「あれは、リョウキさんとバルゼオさんと、もう一人は誰でしょう」
「アスラ様、あれを見てください」
フォリスさんの指さす方向を見ると、いくつもの煙の柱が整列して領都の方向に続いている。
「のろしですね」
「……」
僕が言うと、フォリスさんは無言でうなずいた。
「こちらへどうぞ」
声と共に中に通されたのは、さっきの三人の男女だった。
三人は額が地面につくほど頭を下げ平伏している。
「楽にして下さい」
僕が声をかけると、ゆっくり顔を上げた。
もちろん視線はクザンに向いています。
「どちらを向いている。魔王様はこちらだ」
フォリスさんが僕の方を見た。
三人はハッとした顔をして僕の顔を見つめる。
「まずは、名前を教えて下さい」
僕は笑顔でうなずくと、出来るだけやさしく問いかけた。
「お、俺は、いや、わたしはバルゼオです。領主バルビロの弟です」
立派なうちの大将軍にも見おとりしない男が答えた。
「私はリョウキ、軍の指揮をとっておりました」
白髪に白い髭、頭の良さそうな老人が答えました。
「私は、バルレノ。領主バルビロの娘です」
美しい二十歳前後の女性が答えた。
「で、ご用件は何でしょうか」
こ、この三人がいったい何の用なのでしょうか。
僕は、全兵士が疫病で動けないことを隠し、余裕の表情で答えた。
ただ、船ごとに火のまわりに違いがあるようで、崩れおち燃え尽きる船が、ちらほら現れてきました。
バルビロ水軍は、河の中央で火が消えるのを待っているのか、じっとして動かない。
「魔王様!!」
魔王軍の大将軍が僕の陣に、駆け込んできました。
「皆さんは疫病には、かからなかったのですか」
「大丈夫です。それより……」
恐らく、艦隊が燃やされた罪悪感に、さいなまれているのでしょう。ロホウさんが、うつむきながら答えてくれます。
でも、何故大将軍は疫病に、かからなかったのでしょうか。
「皆さんが無事なら、大丈夫です。心配しないでください僕がついています。ここから挽回して見せますよ」
「変です。炎の勢いが弱まり、もう来ても良さそうなのにまるで動きがありません。何かあったのでしょうか」
二時間ほど時間が立ち、おおよそ鎮火しています。
動かないのはおかしい。
フォリスさんが首をかしげながら言いました。
「おお、あれは!!」
皆から驚きの声が上がった。
「す、すごい、魔王様はどの様な策を使ったのだ」
続けて大将軍達が声をそろえて、言いながら僕の方を見た。
「い、いえ、まだ策を使う前です。いったい何があったのか僕にも分かりません」
巨大な白旗を揚げる船が、こちらにゆっくり近づいてくるのです。
船には武装を解除した漕ぎ手と、二人の男と一人の女性が乗っています。
「あれは、リョウキさんとバルゼオさんと、もう一人は誰でしょう」
「アスラ様、あれを見てください」
フォリスさんの指さす方向を見ると、いくつもの煙の柱が整列して領都の方向に続いている。
「のろしですね」
「……」
僕が言うと、フォリスさんは無言でうなずいた。
「こちらへどうぞ」
声と共に中に通されたのは、さっきの三人の男女だった。
三人は額が地面につくほど頭を下げ平伏している。
「楽にして下さい」
僕が声をかけると、ゆっくり顔を上げた。
もちろん視線はクザンに向いています。
「どちらを向いている。魔王様はこちらだ」
フォリスさんが僕の方を見た。
三人はハッとした顔をして僕の顔を見つめる。
「まずは、名前を教えて下さい」
僕は笑顔でうなずくと、出来るだけやさしく問いかけた。
「お、俺は、いや、わたしはバルゼオです。領主バルビロの弟です」
立派なうちの大将軍にも見おとりしない男が答えた。
「私はリョウキ、軍の指揮をとっておりました」
白髪に白い髭、頭の良さそうな老人が答えました。
「私は、バルレノ。領主バルビロの娘です」
美しい二十歳前後の女性が答えた。
「で、ご用件は何でしょうか」
こ、この三人がいったい何の用なのでしょうか。
僕は、全兵士が疫病で動けないことを隠し、余裕の表情で答えた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる