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あずさと札幌ライフ
第三百八十九話 怒りの表情
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「さて、あずさ、ヒマリ、今日はもう一仕事有るのだけど、疲れていないか?」
「大丈夫!!」
「ふむ、ならば行こうか。ユキちゃんとお母さんは,家にかえって休んで下さい」
「はい!!!!」
俺は、赤穂さんに小声で、ユキちゃんとお母さんの護衛を頼んで、俺とあずさとヒマリ、シュラ、フォリスさんと大臣を連れて出発した。
行き先は、北海道国の政府要人の食事会場だ。
食事会場には既に、各大臣と政府の高官がそろっているようだ。
俺達は、その食事風景がよく見える林の中の木の上に姿を隠している。
俺は闇にまぎれるため、黒いジャージに黒ヘルメットだ。
あずさとヒマリは忍者装備をして顔だけ出している。
他は透明化してもらっている。
「丁度良かったみたいだな」
要人は食事を始めたところだった。
「すごーーい、ステーキだ!!」
あずさが声を出した。
ここは、建物から五十メートル程離れている。
少しくらい声を出しても声は届かないはずだ。
「どうやら、太陽光発電が出来ているようだな。冷蔵庫が使えているのだろう。まだ肉が食べられるようだ」
「ご飯じゃ無くて、パンです」
ヒマリが言った。
さすがだなあ、上級国民はこんな時でもパンを食べるんだなあ。
「あれは、茶碗蒸しだわ。焼き魚もある。あれはオムレツです。すごく贅沢な食事です」
あずさは、食い意地が張っているのか、メニューが気になるようだ。
「市民は、薄いお粥に菜っ葉の切れ端を大切に食べているのに、政治家だけがこんなに贅沢な料理を食べているなんて、市民の事を全く考えていません。ありえません!!」
ヒマリの表情はくもり、声が涙声になっている。
「ひゃはははは、金と女と自分の事しか考えないのが政治家だ。だれが、ど底辺のクズ共のことなんか考えるか! 文句があるなら政治家になったら良いのさ。なれねえ奴らが何を言っても負け犬の遠吠えなんだよ。ぎゃはははははーー!!!!」
「おい! 残虐大臣めー。話せるようになっていたのか。まあ、貴重な意見だ、ありがたく聞いておくよ」
あずさとヒマリが、残虐大臣の方をにらみ付けた。
だが、子供がにらむのぐらいどうでも良いのだろう、残虐大臣は笑顔のまま食事風景を見ている。
「市民は、ご飯が食べられないのに……」
ヒマリが目をつり上げて残虐大臣に言った。
「ご飯が食べられないなら残せばいいのさ。残してすてればいい」
どうやら、大臣はおなかが一杯で「ご飯が食べられない」と言ったと思ったようだ。
「なんですって!! みんなが、おなかを空かして苦しんでいるって言っているのよ!!!! どんな勘違いですかーー!!!!」
珍しくヒマリが激怒している。
あずさも、冷たい目をして残虐大臣を見つめている。
こうして、怒ってくれるのなら、連れてきた意味があった。
「ひゃはははは、見て見ろ、食事が終わって、全員食べきれなくて残しているじゃねえか。俺の言ったとおりだ。後は全部ゴミとして捨てるのさ」
「も、もったいない!!」
あずさとヒマリの声がそろった。
「日本の上級国民様はひでえもんだ。自分たちさえよければいいという政治をする。いつの時代も底辺に暮らす国民の事を何も考えないんだなあ」
「当たり前だ。いまさら何を言っている。お前達は頭がどうかしているんじゃねえのか?」
「まあ、残虐大臣の考え方がすべてとは思えねえが、多くの政治家が同じようなものなんだろうなあ」
「ははは、八兵衛! お前はあまい、俺と同じ考えの方が多数だ。少なくとも、あそこで食事をしている奴らは俺と同じ考えだ」
そうだよなあ。でなければ、民衆が食糧難に苦しんでいるときに、あんな食事はできねえよなあ。
そういやあ、隕石騒動の前も国民の大半が生活苦だったのに、政治家様はとても多くの収入だったよなあ。政治家の多くが底辺に暮らす人の生活など顧みることが無かった、いや知らなかったんだろうなあ。
まあ、俺も生活苦の一人だった。あの頃は、物価が上昇して、ハンバーガーがご馳走になってずっと食べられなかった。牛丼すら回数が半減した。
米や玉子が高くなってどう生活するんだって悩んだよなあ。
しまいにゃあ、仕事まで失ったなあ。
――くそう、思い出しただけでも腹が立つ!!
やっていることが、いつも同じということか。
なぜ、庶民の暮しを見ようともしないのだろうか?
まてよ……?
「なあ、残虐大臣。今日、苦しい暮しの人達を見たはずだが、あんたは何も思わなかったのか?」
「ひゃははは、思ったさ。糞が苦しんでいて笑えた。ひゃははははは」
そういやあこいつ、薄い粥をすすっている親子を見て笑っていたなあ。
あれはそういうことか。
残虐大臣は庶民の暮しを知った上でも、考えが変わらねえのか。
救いようがねえなあ。
俺はあずさとヒマリの顔を見た。
二人の顔から怒りの表情が消えない。
それどころか、メラメラ燃え上がっているように見える。
「さあ、帰ろうか。ユキちゃんがおなかを空かせているはずだ」
「えーーーーっ!!!!」
あずさとヒマリが驚きの声を上げた。
「ふふふ、今日は様子見だ。このまま帰るぞ」
「……わかりました」
二人は、不満そうだが納得をしてくれた。
あずさとヒマリは帰る時に一度振り返り、鋭い視線を北海道国の食事会場にむけた。
どうやら北海道国政府は、恐い二人を敵にまわしたようだ。
そして、今度は残虐大臣に視線を移しにらみ付けた。
――どうすれば残虐大臣が、心を入れ替えて庶民に寄り添う考え方になるように出来るのだろうか?
「大丈夫!!」
「ふむ、ならば行こうか。ユキちゃんとお母さんは,家にかえって休んで下さい」
「はい!!!!」
俺は、赤穂さんに小声で、ユキちゃんとお母さんの護衛を頼んで、俺とあずさとヒマリ、シュラ、フォリスさんと大臣を連れて出発した。
行き先は、北海道国の政府要人の食事会場だ。
食事会場には既に、各大臣と政府の高官がそろっているようだ。
俺達は、その食事風景がよく見える林の中の木の上に姿を隠している。
俺は闇にまぎれるため、黒いジャージに黒ヘルメットだ。
あずさとヒマリは忍者装備をして顔だけ出している。
他は透明化してもらっている。
「丁度良かったみたいだな」
要人は食事を始めたところだった。
「すごーーい、ステーキだ!!」
あずさが声を出した。
ここは、建物から五十メートル程離れている。
少しくらい声を出しても声は届かないはずだ。
「どうやら、太陽光発電が出来ているようだな。冷蔵庫が使えているのだろう。まだ肉が食べられるようだ」
「ご飯じゃ無くて、パンです」
ヒマリが言った。
さすがだなあ、上級国民はこんな時でもパンを食べるんだなあ。
「あれは、茶碗蒸しだわ。焼き魚もある。あれはオムレツです。すごく贅沢な食事です」
あずさは、食い意地が張っているのか、メニューが気になるようだ。
「市民は、薄いお粥に菜っ葉の切れ端を大切に食べているのに、政治家だけがこんなに贅沢な料理を食べているなんて、市民の事を全く考えていません。ありえません!!」
ヒマリの表情はくもり、声が涙声になっている。
「ひゃはははは、金と女と自分の事しか考えないのが政治家だ。だれが、ど底辺のクズ共のことなんか考えるか! 文句があるなら政治家になったら良いのさ。なれねえ奴らが何を言っても負け犬の遠吠えなんだよ。ぎゃはははははーー!!!!」
「おい! 残虐大臣めー。話せるようになっていたのか。まあ、貴重な意見だ、ありがたく聞いておくよ」
あずさとヒマリが、残虐大臣の方をにらみ付けた。
だが、子供がにらむのぐらいどうでも良いのだろう、残虐大臣は笑顔のまま食事風景を見ている。
「市民は、ご飯が食べられないのに……」
ヒマリが目をつり上げて残虐大臣に言った。
「ご飯が食べられないなら残せばいいのさ。残してすてればいい」
どうやら、大臣はおなかが一杯で「ご飯が食べられない」と言ったと思ったようだ。
「なんですって!! みんなが、おなかを空かして苦しんでいるって言っているのよ!!!! どんな勘違いですかーー!!!!」
珍しくヒマリが激怒している。
あずさも、冷たい目をして残虐大臣を見つめている。
こうして、怒ってくれるのなら、連れてきた意味があった。
「ひゃはははは、見て見ろ、食事が終わって、全員食べきれなくて残しているじゃねえか。俺の言ったとおりだ。後は全部ゴミとして捨てるのさ」
「も、もったいない!!」
あずさとヒマリの声がそろった。
「日本の上級国民様はひでえもんだ。自分たちさえよければいいという政治をする。いつの時代も底辺に暮らす国民の事を何も考えないんだなあ」
「当たり前だ。いまさら何を言っている。お前達は頭がどうかしているんじゃねえのか?」
「まあ、残虐大臣の考え方がすべてとは思えねえが、多くの政治家が同じようなものなんだろうなあ」
「ははは、八兵衛! お前はあまい、俺と同じ考えの方が多数だ。少なくとも、あそこで食事をしている奴らは俺と同じ考えだ」
そうだよなあ。でなければ、民衆が食糧難に苦しんでいるときに、あんな食事はできねえよなあ。
そういやあ、隕石騒動の前も国民の大半が生活苦だったのに、政治家様はとても多くの収入だったよなあ。政治家の多くが底辺に暮らす人の生活など顧みることが無かった、いや知らなかったんだろうなあ。
まあ、俺も生活苦の一人だった。あの頃は、物価が上昇して、ハンバーガーがご馳走になってずっと食べられなかった。牛丼すら回数が半減した。
米や玉子が高くなってどう生活するんだって悩んだよなあ。
しまいにゃあ、仕事まで失ったなあ。
――くそう、思い出しただけでも腹が立つ!!
やっていることが、いつも同じということか。
なぜ、庶民の暮しを見ようともしないのだろうか?
まてよ……?
「なあ、残虐大臣。今日、苦しい暮しの人達を見たはずだが、あんたは何も思わなかったのか?」
「ひゃははは、思ったさ。糞が苦しんでいて笑えた。ひゃははははは」
そういやあこいつ、薄い粥をすすっている親子を見て笑っていたなあ。
あれはそういうことか。
残虐大臣は庶民の暮しを知った上でも、考えが変わらねえのか。
救いようがねえなあ。
俺はあずさとヒマリの顔を見た。
二人の顔から怒りの表情が消えない。
それどころか、メラメラ燃え上がっているように見える。
「さあ、帰ろうか。ユキちゃんがおなかを空かせているはずだ」
「えーーーーっ!!!!」
あずさとヒマリが驚きの声を上げた。
「ふふふ、今日は様子見だ。このまま帰るぞ」
「……わかりました」
二人は、不満そうだが納得をしてくれた。
あずさとヒマリは帰る時に一度振り返り、鋭い視線を北海道国の食事会場にむけた。
どうやら北海道国政府は、恐い二人を敵にまわしたようだ。
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