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第132章『覚悟』
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第132章『覚悟』
どくり、と、体内に打ち込まれた楔が大きく爆ぜ、生暖かい白濁が吐き出されたのを感じながらタカコは自分に覆い被さっている大きな身体にしがみつく。荒い息を吐きながら伸し掛って来る重みを受け止めつつ頬に口付ければ、直ぐに離れて行き唇は相手のそれに塞がれた。
「……つーかさ、どんだけやるつもりよ……もう一週間だよ一週間、その間毎日何回やる気なんだよ」
未だ体内に留まったままの楔の感触を感じつつ少し掠れた声で問い掛ければ、相手――、敦賀は抱き締める腕に更に力を込め、
「……今日で一旦終わりだろ、明日にはあの二人が帰って来る」
と、吐き捨てる様にそう言って首筋へと口付けを落とす。
高根と黒川が京都、統幕へと出向いてから一週間、明日の午後には博多へ戻ると連絡が有った。家主である黒川が不在になった日の夜から敦賀に求められ、今迄の分を取り戻そうとでもするかの様に貫かれ、体内に吐き出され続けた一週間だった。今夜でそれも終わりになるという事も有ってか帰り着くなり客間に引き入れられて押し倒され、もう何度吐精されたのかも覚えていない。注がれ続けたものはとうに許容量を超えて外に溢れ出し、お互いの下半身と布団をじっとりとと濡らしていた。
これは丸洗いと打ち直しで勘弁してもらえるどころではないな、質の良さそうな、値の張りそうな布団だが同等品を新調しなければ、如何に穏やかな黒川と言えども激怒する事は必至だろう。甘い熱の残る身体と頭でそんな事をぼんやりと考えれば、流石に敦賀も限界を迎えたのか彼の雄がずるりと引き抜かれ、脇に身を横たえて抱き締め直される。
「……平気か、身体」
「……いや、好き放題やった後で聞く位ならさ、最初から抑えようよ、な?」
どうもこの男は気の遣いどころがずれている、しょうがない奴だと小さく笑えばそれを見た敦賀が僅かに目を細めたのを見て、タカコはそんな敦賀の頬にまた口付けた。
いつもいつも表情の動きの少ない敦賀、そんな彼が僅かに目を細めるこの仕草は彼なりの笑顔なのだと、最近になって気が付いた。不器用な彼なりの優しさ、笑顔、今になって漸くそれに気付くとは、そんな事を考えつつ寝息を立て始めた敦賀の寝顔を見て、微かに顔を歪めてもう一度頬へと口付ける。
抗体の分離に成功したと聞いたのは今日の夕方の事、海兵達が喜びに沸く中、タカコは一人冷静なままだった。大和はここ迄漕ぎ着けた、交渉の為の強力な手札を手に入れた、これで自分は漸く役目の一つを終えた事になる、肩の荷が一つ、降りた。
これから先は――、と、そう考えて敦賀の寝顔を見上げ、
「……ごめんな」
と、小さな声で謝罪する。
自分の助力が有ったとは言え大和主導でここ迄漕ぎ着けたのだ、もう話しても良い時だろう。それで自分が彼等からどんな処遇を受けるのかは分からない、拘束され投獄され、最悪は殺されるのかも知れない。けれど最低限の筋は通すべきだろう、それが彼等を、この男をひどく傷つける事になったとしても、この二年間彼等がずっと知りたがっていた答えを、自分は彼等に対して与えるべきだ。
陸軍と海兵隊に送り込んだ斥候二人、彼等にはそこ迄付き合わせる必要は無いだろう、もし死ぬのだとしたら、それは自分一人で充分だ、彼等はこの地で大和人として生きて行けば良い。丁度明日は定期報告を受ける日、その時に命令を下そう、最後になるかも知れない命令を。
簡単に命を投げ出す気は毛頭無い、死にたいとも思わない。けれど今回ばかりは生き延びられるかは半々だ、二年もの間彼等を、大和を謀り続けていた、それを伝え真実を明らかにした時、彼等がどう感じ動くのか、こればかりは全く予想もつかない。
最悪を仮定すれば自分は明日彼等に殺される、その時に斥候、部下二人に何の命令も与えないままでは上官として失格だ。彼等の今後の道筋を示してやる、最低でもそれだけはしておかなければ。
そこから先は自分の命を投げ出す賭け、勝てる保証等何処にも無い、切るべき手札も無い無謀極まり無い大博打だ。彼等が自分に向けてくれている信頼と行為を頼る他には何も無いが、自分一人だけの命で済むのならまだ気も楽というものだ。
お前はどう動く?と、内心で敦賀に問い掛けながら彼の背中に腕を回し胸板に頬を摺り寄せる。きっと残酷な判断を彼に迫る事になるだろう、敦賀だけではない、高根にも、黒川にも。それでもきっと彼等は大和軍人としての責務を全うする筈だ、だからこそ自分は近しい付き合いを彼等と続ける事が出来たのだから。
もし生き延びたとしても今迄の様な関係にはもう戻れないだろう、一線どころか遠く隔たった関係になる筈だ、こちらが自分達の立場を明確にするのだから。そうなったとしても大和は強力な手札を得た、もう自分が彼等と共に在り続ける必要は失くなった、時機を見て離脱し、彼等の前から消え失せれば良い。
こんなに穏やかな夜はきっともう最後だ、こうして敦賀に抱かれる事も。夜が明ける迄はその穏やかさの中に浸っていよう、タカコはそう思いつつ、敦賀の背に回した腕に力を込めた。
どくり、と、体内に打ち込まれた楔が大きく爆ぜ、生暖かい白濁が吐き出されたのを感じながらタカコは自分に覆い被さっている大きな身体にしがみつく。荒い息を吐きながら伸し掛って来る重みを受け止めつつ頬に口付ければ、直ぐに離れて行き唇は相手のそれに塞がれた。
「……つーかさ、どんだけやるつもりよ……もう一週間だよ一週間、その間毎日何回やる気なんだよ」
未だ体内に留まったままの楔の感触を感じつつ少し掠れた声で問い掛ければ、相手――、敦賀は抱き締める腕に更に力を込め、
「……今日で一旦終わりだろ、明日にはあの二人が帰って来る」
と、吐き捨てる様にそう言って首筋へと口付けを落とす。
高根と黒川が京都、統幕へと出向いてから一週間、明日の午後には博多へ戻ると連絡が有った。家主である黒川が不在になった日の夜から敦賀に求められ、今迄の分を取り戻そうとでもするかの様に貫かれ、体内に吐き出され続けた一週間だった。今夜でそれも終わりになるという事も有ってか帰り着くなり客間に引き入れられて押し倒され、もう何度吐精されたのかも覚えていない。注がれ続けたものはとうに許容量を超えて外に溢れ出し、お互いの下半身と布団をじっとりとと濡らしていた。
これは丸洗いと打ち直しで勘弁してもらえるどころではないな、質の良さそうな、値の張りそうな布団だが同等品を新調しなければ、如何に穏やかな黒川と言えども激怒する事は必至だろう。甘い熱の残る身体と頭でそんな事をぼんやりと考えれば、流石に敦賀も限界を迎えたのか彼の雄がずるりと引き抜かれ、脇に身を横たえて抱き締め直される。
「……平気か、身体」
「……いや、好き放題やった後で聞く位ならさ、最初から抑えようよ、な?」
どうもこの男は気の遣いどころがずれている、しょうがない奴だと小さく笑えばそれを見た敦賀が僅かに目を細めたのを見て、タカコはそんな敦賀の頬にまた口付けた。
いつもいつも表情の動きの少ない敦賀、そんな彼が僅かに目を細めるこの仕草は彼なりの笑顔なのだと、最近になって気が付いた。不器用な彼なりの優しさ、笑顔、今になって漸くそれに気付くとは、そんな事を考えつつ寝息を立て始めた敦賀の寝顔を見て、微かに顔を歪めてもう一度頬へと口付ける。
抗体の分離に成功したと聞いたのは今日の夕方の事、海兵達が喜びに沸く中、タカコは一人冷静なままだった。大和はここ迄漕ぎ着けた、交渉の為の強力な手札を手に入れた、これで自分は漸く役目の一つを終えた事になる、肩の荷が一つ、降りた。
これから先は――、と、そう考えて敦賀の寝顔を見上げ、
「……ごめんな」
と、小さな声で謝罪する。
自分の助力が有ったとは言え大和主導でここ迄漕ぎ着けたのだ、もう話しても良い時だろう。それで自分が彼等からどんな処遇を受けるのかは分からない、拘束され投獄され、最悪は殺されるのかも知れない。けれど最低限の筋は通すべきだろう、それが彼等を、この男をひどく傷つける事になったとしても、この二年間彼等がずっと知りたがっていた答えを、自分は彼等に対して与えるべきだ。
陸軍と海兵隊に送り込んだ斥候二人、彼等にはそこ迄付き合わせる必要は無いだろう、もし死ぬのだとしたら、それは自分一人で充分だ、彼等はこの地で大和人として生きて行けば良い。丁度明日は定期報告を受ける日、その時に命令を下そう、最後になるかも知れない命令を。
簡単に命を投げ出す気は毛頭無い、死にたいとも思わない。けれど今回ばかりは生き延びられるかは半々だ、二年もの間彼等を、大和を謀り続けていた、それを伝え真実を明らかにした時、彼等がどう感じ動くのか、こればかりは全く予想もつかない。
最悪を仮定すれば自分は明日彼等に殺される、その時に斥候、部下二人に何の命令も与えないままでは上官として失格だ。彼等の今後の道筋を示してやる、最低でもそれだけはしておかなければ。
そこから先は自分の命を投げ出す賭け、勝てる保証等何処にも無い、切るべき手札も無い無謀極まり無い大博打だ。彼等が自分に向けてくれている信頼と行為を頼る他には何も無いが、自分一人だけの命で済むのならまだ気も楽というものだ。
お前はどう動く?と、内心で敦賀に問い掛けながら彼の背中に腕を回し胸板に頬を摺り寄せる。きっと残酷な判断を彼に迫る事になるだろう、敦賀だけではない、高根にも、黒川にも。それでもきっと彼等は大和軍人としての責務を全うする筈だ、だからこそ自分は近しい付き合いを彼等と続ける事が出来たのだから。
もし生き延びたとしても今迄の様な関係にはもう戻れないだろう、一線どころか遠く隔たった関係になる筈だ、こちらが自分達の立場を明確にするのだから。そうなったとしても大和は強力な手札を得た、もう自分が彼等と共に在り続ける必要は失くなった、時機を見て離脱し、彼等の前から消え失せれば良い。
こんなに穏やかな夜はきっともう最後だ、こうして敦賀に抱かれる事も。夜が明ける迄はその穏やかさの中に浸っていよう、タカコはそう思いつつ、敦賀の背に回した腕に力を込めた。
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