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幼少編
フェリエッタ(7才)と師範
しおりを挟むさて魔法の勉強が始まると同時に始められるのが武芸の本格的な訓練である。
なにぶん辺境の地であるから自衛の術をもつのは常である。我はカルマのせいで武器を扱う才能がこれぽっちもない! どれくらいないかというとまず木刀を振るうとすっぽ抜けて自分の頭に当たるなど序の口、短剣をなげれば的に刺さらず的に跳ね返って来るし、槍は地面に叩きつけて折り穂先がのど元に迫ったときはあせったの。おそるべしである。周りがあまりの不器用さに唖然としておった。ちなみに剣を教えてくれる予定であった父上は、隅っこでいじけておった。うむ、運動は我は得意だったからな期待されていただけに申し訳ない。
そんな我ではあるが適性が見出されたのが体術、格闘術の才である。我はそれをしってはいたが正直に人の体術は知らぬ。だが、幸いに『拳聖』の称号をもつ師範から基礎だけは習うことができた。しかし、辺境の村の教会に拳聖が隠居しておるとは運が良い。きっと世には拳聖の称号を持つ人もかなりいるであろうが我は師範から学ぶのが好きだ。
師範は我よりも少し身長が高い、えっと確か兄上が考案した単位だと140cmくらいといっておったか。まぁそれくらいの身長の老婆ではあるが…ちなみに老婆などと迂闊に口にすれば鉄拳がとんでくるのでいわないように注意である。グラムなどはよく「ばあさん」「ババァ」と呼んで鉄拳をもらっておる。ちなみに師範の名前はマオ=メーリンというが我はいつも師範と呼んでおる。
「ほれほれどうした。どうした。もっと気合をいれて集中せんか」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬ」
フェリエッタは体術の修行の手ほどきをマオ師範より直接受けていた。現在の修行は大人の握りこぶし程度の大きさにきった角材を手ではじきながら地面に落とさないように組み手をしつつさらにその角材を真球へと近づけるべく手刀、拳打、足刀などで角を削りながらかつ相手の角材を割るというかなりムチャな修行をしている。ちなみに組み手という条件がなければ三個まで現在のフェリエッタでも捌ききることができ真球へと変える事ができるが組み手をしながらだとなかなか形を整えられない。フェリエッタにとって技などは観ることができれば即座に身に着けることができるアーツ『観撮』がある。しかし、殺意のこもらない攻撃、純然たる訓練となると勝手が違う、細やかな駆け引きといったステータスに影響を受けない部分での経験不足とかつての自身の戦闘スタイルとの差で師範には押されてしまっている。
「フェリよおぬしは才があるがまだまだ荒削りすぎる。もっと繊細にせねばな」
「むむむむ…加減というかこう駆け引きになると我、苦手」
「ふっ、お前は素直すぎるからのぉ。では、後はいつもの修練を続けるがよい」
「はい、師範。今日もありがとうございました」
そう挨拶を交わすと足場が悪くなるように斜めに打たれた杭の上に立ち真球にした木材を今度は落とさないように決められた型を繰り貸す、この修行はフェリエッタにとってはなかなか楽しい遊びであった。
あたしはマオ=メーリン、拳聖なんて呼ばれているがしがないババァだよ。この開拓村にきたのは教会の上のほうでごたごたがあってそれに嫌気がさしたからかねぇ。ディアルド教が権威を失墜したことでの信者獲得に乗り出してとかなんとかやれやれ、質素倹約がヴァジナ教の教えの一つだったはずなんだけどねぇ。確か全ての命に感謝をし日々の糧以外は奪わず、日の光のごとく公平に、月の明かりのごとく慈悲をだったね。それが最近は金儲けに走る売僧のような俗物が増えてあぁいやじゃいやじゃ。
まぁ、この開拓村での日々は愉しいね。とくにフェリエッタあの子は間違いなく神童だよ。兄のソーマもそうだがあたしにとっての神童はあの子だね。なにせあたしの技も業も次々に吸収していく。それが愉しくて嬉しくて仕方がない。後継なんてのぞんじゃいなかったが、受け継いでくれるものがやっぱりいいものだねぇ。弟子になりにきてもあたしの修行についてこれない根性ナシばかりだったからね、その点フェリエッタは本当によく付いてくる。ソーマも何気についてくるがアリャ、アル坊の血だね。剣を握ったときに感じる気配は間違いなくアル坊のものだ。次代の剣聖候補だね。
さてと、フェリエッタだけど、基本的な型はできてきているといか既に完了しておる。そして完成形へと近づいておる。本人は気づいておるのかしらんが構えを取らないときがある。普通に構えた状態のほうが技のでは早い。しかし、突き詰めていくと最短と最小の動きから最速で最大の攻撃を放つことができるようになってくる。無形無拍子という口伝の奥義なのだがあの子はその域にあの年で近づいておる。なんと愉しみな事かあの子は間違いなく、歴代最強の拳聖の称号をもつものになろう。そして、あたしが完成させられなかった奥義を完成させてくるそんな気がしてならない。あぁ本当に楽しみじゃ。
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