アンニュイな召喚奴隷リザードマンのレゾンデートル

ねこうさぎ

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アンニュイなオレの仲間たち 4

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 ミノタウロスを仲間にして数日後。
 オレらは前回戦った場所と程近い、国境付近の一進一退が続く前線拠点に召喚された。
 この辺りは奪っては奪われ、奪われては奪うを繰り返してる戦闘多発地域で、戦闘を生業としてる傭兵には最適の場所。
 っていうか、傭兵の主な戦場だ。
 ミシェリアはもっと重要度の高い戦場で戦いたいみたいだが、それにはこういう場所で功績を挙げる必要があるらしい。
 そして前回、ドラゴンを撤退させた功績を認められて、次はいよいよ重要な作戦に参加可能になり、それに備えて新戦力のミノタウロスを加えたってわけだ。
 んで、今日はミノタウロスを加えたメンツで戦う初日。
 ニャン吉が加わった時もそうだったが、要は試運転ってやつだ。
 他の召喚術者は適当なモンスター相手にやることが多いんだが、そんなさして意味もなくモンスターと戦わなきゃいけないより、よっぽど気が楽だ。
 ま、ミシェリアからすりゃ、一銭の得にもならない戦いより、小銭だろうが金の入る戦いの方がいいってことだろうけどな。

「よう。傷はもういいのか?」

 緊張が高まる前線拠点の中、戦闘が始まる前の僅かな時間。
 オレは召喚されてからずっとムスッとしたまま、オレらと目を合わせようともしないミノタウロスに話しかけた。

「オレサマに話しかけんじゃねえクソが」

 ・・・開口一番がそれか。
 ま、気持ちはわかるけどよ。

「心配してあげてるのにそんなこと言っちゃダメにゃ!」
「いいんだニャン吉。むしろこれが当然の態度なんだからよ」

 オレは改めてミノタウロスに向き直った。

「前にも言ったが、お前の気持ちはわかる。けど、いくらお前が強くても1体じゃすぐにやられちまうぞ? お前だって死にたくねえだろ? だから屈辱でも召喚奴隷になったんだろ?」
「・・・・・・・・」
「俺たちも同じだ。だからこそ俺たちは協力し、共に戦わなければ駄目なんだ」
「そうにゃ! みんにゃで生き残るにゃ!」
「ケッ! 協力だぁ!? てめえらのせいでこうなったってのに、ぬけぬけとよくもそんなことが言えたもんだな!」
「都合の良いことを言ってるのはわかってる。お前の言い分はもっともだ。だがそれをわかったうえでオレらも言ってる。お互いに生き残る――」
「てめえらと馴れ合う気なんざねえ! オレサマに近寄んな!」

 ミノタウロスはそう言ってオレらを睨み付けると、ミシェリアから離れ過ぎない程度にオレらから離れて行っちまった。
 ・・・敵意を剥き出しにしてるこの有様じゃ、今は何を言っても無駄っぽいな・・・。
 ちなみに、ミシェリアはオレらのやり取りや、ミノタウロスが離れて行ったのをどう思ったのか、ただ静観してただけだ。

「今はまだ受け入れられんかもしれぬが、いずれあやつにもわかるじゃろう。それまでは、わしらで何とかフォローしてやろう」
「ああ。そうだな」

 それから少しして、拠点内の様子が慌しくなってきた。
 そろそろ始まりそうだ。
 ミシェリアは離れてたミノタウロスも含めた自分の召喚奴隷を集めた。

「いいかてめえら! この次はもっと厳しい戦場だ! こんなところで傷なんてつけるなんじゃねえぞ!」

 そう思ってんなら、もっと大事にしてほしいもんだがな・・・。

「ま、オレらが死んでもミシェリアは逃げれるからな気楽なもんだよな」

 ミシェリアに聞こえないように呟くと、隣にいたレオンが、これまたミシェリアに聞こえないように言ってきた。

「確かに逃げ延びれるじゃろうが、わしらが死ねばお嬢もただでは済むまい。1からモンスターを集めるのも楽ではないうえ、さらに色々なものも失う。そうなればお嬢の目的も遠のいてしまうからのう」
「目的? なんだそりゃ? そんなのがあるなんてオレは知らな――」
「ウオオオオオ!!!!」

 バカでかい声が拠点内に響くと、集まってた連中が一斉に外に飛び出して行く。

「わしらも行くぞリザド! 今は目の前の戦いに集中じゃ!」
「あ、ああ」

 ・・・まあいいか。ミシェリアにどんな目的があろうが、オレにゃ関係ねえからな。 
 そんなことより、レオンの言う通り戦いに集中しねえと。
    こんなとこで死にたくなんてねえからな。
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