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アンニュイなオレのご主人様 7
しおりを挟む「・・・おやおや。随分と乱暴なナンパの仕方だ」
「ふざけんなゴミカス野郎!!! こっちは10年前からてめえを殺すためだけに生きてきたんだ!!!」
「10年前? それはそういうナンパなのかな? ・・・しかし君の顔、何処かで・・・いや、10年前・・・?」
10年前からこいつを殺すために生きて来た?。
そういや前に、ミシェリアは探してる奴を殺すのが目的って言ってたよな?。
ってことは、このオスが・・・?。
ただ、オスの方はあまり合点がいってないらしく、複雑な表情でミシェリアの顔をじっと見ていたが・・・。
「・・・まさかとは思いますが・・・いえ、そんなはずは・・・」
ありえないがそうとしか思えない。
そんな表情でオスは言葉を続けた。
「・・・あなたは、ミシェルお嬢さんですか?」
「クソ汚え声であたしの名を呼ぶなッ!!!」
「・・・これは驚いた。本当にあのミシェルお嬢さんなんですか?」
何かオスがものすげぇ驚いてるみたいだが・・・一体なんだってんだ?。
「あなたは先生と一緒に死んだものと思っていましたが、まさか生きていて、しかも、そんな品の欠片もないような姿になっているなんて」
「あたしが死ぬのはてめえを地獄に叩き落してからだ!!」
「なんとまあ、随分と雰囲気が変わりましたね。あなたがミシェルお嬢さんだなんて、あの頃の面影がなければ信じられませんよ。僕が知ってるあなたは、おしとやかで、純情可憐という言葉が相応しい少女だったのに」
「そいつはお父様やお母様、そして弟と共に死んだ! 今ここにいるのは、てめえを殺すためだけに生きて来ただけの人間だ!!」
「やれやれ、僕も随分と嫌われたものですね。あの頃はもっと懐いてくれていたのに」
「黙れ!! あの頃のあたしはてめえに騙されてただけだ!! ホントの子供みたいに愛情を注いだお父様やお母様の優しさを踏みにじりやがってッ!!! 弟だっててめえをホントの兄みたいに慕ってたのに!!!」
「ははは。先生やその家族の方々、もちろんミシェルお嬢さんにも感謝していますよ。孤児だった僕を受け入れ召喚術を教えてくれて、最後は命をかけて合成モンスターの作り方まで教えてくれたんですから」
「てめえがお父様を殺して奪ったんだろうがッ!!! お父様がしてたのは合成モンスターを助けるための研究だったのに、それを使ってこんなに合成モンスターを作り出しやがって!!」
今にも血管ブチ切れて、ぶっ倒れるんじゃないかと思うくらい激昂状態のミシェリアと、それを涼しい顔で、何処か面白そうな表情を浮かべてるオス。
「・・・ミシェリアがブチ切れてるが、一体どういうことなんだ?」
「・・・ふむ。まあここまできて隠すこともないじゃろう」
レオンはそう前置きを置くと、ミシェリアとオスの邪魔をしないように、小声で話し出した。
「前に少し話したと思うが、元々わしはお嬢の父親の召喚奴隷じゃった。お嬢の父親は優秀な召喚術者で、さらに合成された魔物を分離するための研究も行っておった」
レオンの話を聞こうとニャン吉たちも集まってきた。
「その頃も、今と同じく各地で人種同士の戦争が行われておってな。普段は研究ばかりで戦場へは出んのじゃが、激戦が予想される時だけ、国から正式な要望を受け、助っ人のような扱いで戦場に出ておった。昔は軍に所属し、それなりに有名じゃったからのう」
「なるほど。そんなニンゲンの召喚奴隷だったから、あんたも合成モンスターについて色々と知ってたのか」
「そんなところじゃ。そんなある日、お嬢の父親は戦場となった場所で、1人でポツンしておる子供を見つけた。どうやら戦争で家族を失った孤児らしく、最初は戦争孤児を引き受ける孤児院へ送ろうとしたんじゃが、その子はお嬢の父親から離れず、それで家に連れ帰ることにしたんじゃ」
「それがアイツなのか?」
「うむ」
ふとミシェリアとオスを見ると、ミシェリアは激昂したまま、オスも相変わらず涼しい表情で何やら喋ってる途中だ。
合成モンスターをけしかけてくる様子はねえし、まだこっちでレオンの話を聞いてても問題なさそうだな。
「連れてこられた当初は新しい環境で戸惑っていたようじゃが、やがて積極的に受け入れようとしてた、お嬢の家族の優しさで徐々に打ち解けた。また連れてこられた当初から、お嬢の父親に必死に頼み込んで召喚術の勉強もしていたようじゃった。今になって思えば、おそらくそれが目的でお嬢の父親について来たんじゃろう」
「目的はどうあれ、ここまで聞いた範囲だと、ミシェリアの家族はあいつの恩人なんじゃねえの? ミシェリアがブチ切れるような箇所はないように思えるんだが?」
「確かに、あやつが来て数年はとても仲がよかった。少なくとも、わしが見えていた範囲ではな。お嬢やお嬢の弟とも、いつも一緒に遊んで仲良くしておったしのう・・・じゃが・・・」
当時のことを思い出してるのか、レオンは何処か穏やかな、懐かしそうな表情だったが・・・その表情が急激に険しくなり始めた。
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