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二章:ユナ・アニム
神の子ユウナルイ
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とにかく混乱続きのゼルバルトだが、最上級に混乱していた。
「まあ呑めって相棒」
何この粋でいなせなユナ・ルー。
ラハト王都でも結構な値の張る高級酒場の、VIP用個室に連れて来られて、呑めや食えの押し付け。
ユナ・ルーと会話した後に、ぶらぶらと街を散策していたところを捕まって、これだ。
「お前、誰なんだ」
琥珀色のグラスに口をつける気にもならず、低い声で問う。
そんな事はお構いなしに、酒も煙香もがっつり行く色男のユナ・ルーは上機嫌に笑うばかり。
「どっから説明したもんかねえ? お前さんがユナ・ルー恋しさに何度も出会いと別れを繰り返したってのは?」
まだユナ・ルーとは……大人しいほうのユナ・ルーの話だが、出会って間もないので恋しいと言われても。
「まず概要を簡単に話そうか」
いなせなユナ・ルーはグラスについた水滴を、磨かれたテーブルに引いて線を描いた。
「どの平行世界でも、大体筋書きは同じだ。
ユナ・ルーとお前さんはひょんなことから知り合って、互いを大切に思うようになる。
お前さんは秘宝が割れる時、ユナ・ルーの身に何かが起きると知り、そいつを食い止めようとする。
ところが秘宝は結局割れちまって、ユナ・ルーは変質し、感情を失いアニムとなる。
この地点が境目。
我々は人間時代のユウナルイをユナ・ルー、変質した後をユナ・アニムと呼んでいる」
「お前は?」
「俺はもちろん、ユナ・アニム。差別化を図るために、ゲタ・ルーとでも名乗っておこうか?」
本当にそれでいいのか、ゲタ・ルーて。
「下駄は日本人のソウルだからよ。こいつは俺のトレンドだ。外せねえな」
「……お前も俺と出会って、やり直しとかしたの?」
「当たり前じゃん。なかったら、今がねえ」
理論的にはそうなるが、このゲタ・ルーさんを見ていると、どうも。
ゲタ・ルーは空のグラスに氷を足した。
「俺は特別なんだ。他のユウナルイはみんな、お人形さんになるべく調教されてる。
何度も繰り返される時の中で、ユナ・アニムたちは考えた。
自分たちのような人形ではなく、健康な精神の持ち主なら、ゼルバルトを支えられるのではないか? とね」
「お前と一緒にいる俺が想像つかないんだけど」
「なんで?」
ゲタ・ルーはきょんと首を傾げた。
その仕草だけは、ユナ・ルーと重なる。
「俺たちは親友だったよ。世界を股にかけて、各地の揉め事に首突っ込んで回った。
向かうとこ敵なしのゴールデンコンビだったね。俺たちはいい関係が続いて、お前は俺と一緒の時が一番笑ってた」
友人方面なら、確かに楽しそうだと思わないでもない。
ゼルバルトは仲間にするなら、こういうさばけた気安い男のほうがよかった。
「前提的に、秘宝って失恋で割れるんだろ? お前と俺で恋愛って考えるだけでゲッソリすんだけど」
「まあだろうよな」
ゲタ・ルーは口元を歪めた。
「お前は秘宝が割れて真実を知るまで、まるきり気づかなかったし。
俺の育った故郷では、ゲイってのはタブーだった。差別対象だ。俺は隠すことに慣れてて、お前は気づかなかった。
そんで徐々に崩壊が始まって、お前の結婚と同時に玉砕。今に至るって訳」
「その時も、俺はユナ・ルーに会いたいと願ったのか? お前じゃなくて」
「俺ァこう見えてもユナ・アニムよ?」
ゲタ・ルーは煙管の先をぷらぷらさせ、頬杖をついた。
「俺に感情なんてねえの。
俺が気のいい兄ちゃんに見えるのは、お前がそう望んだから。
でもやっぱ見せかけの挙動は、すぐ見抜かれるんだな。どっかおかしいらしくて、ゼルは以前の俺に戻るよう願った。これも大分前の話さね」
「……なんで、俺はお前たちユナ・アニムとやらを、受け止められないんだ?」
それほど大事なら、変化も含めて受け入れろと言いたいところなのだが。
「そう上手くは行かねえよ。
お前はユナ・アニムと先に出会った特異なゼルバルトだからな。特にそう思うんだろうが……失うと取り戻したくなるのが人情ってもんらしいからなあ。俺にはもう、分からん事だがね」
好いた惚れたと同じで、人の感情は義理や責務で動かない、という奴か。
「さて、自己紹介と経緯の解説も済んだし、本題に入ろうか」
ゲタ・ルーは煙草盆を煙管でカンと叩き灰を落とした。
「俺がこうしてテメーの前に出て来れたのは、今お前の側にいるユウナルイが直前世界のユナ・アニムだからだ。
今この宇宙には、あのお嬢ちゃんの存在に引っ張られて、他の平行世界で生まれたユナ・アニムが何千何万といる」
「……何千何万!?」
時間を遡った、繰り返したとは聞いたが、何千何万て。
何千何万回、自分は同じ事を願ったのか。
一度たりともユナ・アニムを受け入れず、全く先に進もうとせず?
それはちょっと、情けなくはないか。
「それくらい、お前は繰り返したんだ。なんか照れるね。そんなに俺が好きかよ」
返す言葉もない。
というか他の平行世界の自分に聞きたい。
そんなにユナ・ルーが恋しいですかそうですか。
「でも、その何千何万のユナ・アニムは、俺を含めて誰一人お前を愛せない。お前を愛してくれるユウナルイは、ユナ・ルーしかいないんだ」
「だから、俺はユナ・アニムじゃなくてユナ・ルーを求める?」
「そういうこと」
事情は飲み込めてきたが。
ゼルバルトは自棄のように辛い酒を煽り、喉を焼いた。
実感が全く湧かない。
謀られている気がする。
ゲタ・ルー相手だと特にそう思った。
けれど、宿で待っているユナ・ルーを思うと、あながち嘘だと切って捨てる気も起きない。
ユナ・ルーはあのぽうっとした瞳で、ゼルバルトをじっと見つめる。一生懸命に。
激しい衝動や情欲はなく、可愛いなあ、としみじみ思ってしまうのだ。だから昼間に抱きつかれた時はどきっとした。
ユナ・ルーはあんなふうに甘えては来ない。
……なぜそのように断言出来るのだろう?
ユナ・ルーならこうするだろう、ああするだろう、こうだろうという考えが、当たり前のように頭に浮かぶ。
牢から出して共に生活を始めてせいぜいが五日の相手のはずなのに。
「ゼル。お前に直前世界の記憶を見せてやろうか」
悪魔の囁きにも似たゲタ・ルーの甘い声音が、耳をくすぐった。
「出来るのか、そんなことが」
「もちろん。俺はユナ・アニムだからな。お前の望みは何でも叶えてやる。但し、よく考えろ」
ゲタ・ルーは煙管の先を此方に向ける。
「毎度お前は半壊気味で巻き戻しを希望する。
直前世界の記憶を見たが最後、頭おかしくなっちまうかも……」
「ぐっ……」
「といっても、実体験じゃなくてあくまで記憶、記録だからな。あと、お前のじゃなくて、ユナ・ルーの記憶になるけど」
煙管をくるくるさせながら、実際にその記憶を検閲しているのか、時々苦笑して、
「あ、駄目だこれ……このあたりは編集しとかねえと。グロ注意警報」
なんか恐ろしげなことを言っていた。
ホラー歌劇か何かか、ユナ・ルーの記憶は。
「ん、だいぶ修正入れた。このくらいなら大丈夫だろ」
ゲタ・ルーは火のついてない煙管の雁首を、とんとゼルバルトの額につける。
「さて、どうする?」
「………やってくれ」
ゼルバルトは机の上で拳を握る。
「知ってどうなっても後悔はしない。だが、知らないままなら後悔する」
何より、知りたい。
どうしてこんなにユナ・ルーを大切に思うのか。その理由を。
それは、何千何万繰り返してきた自分の中に蓄積されたものではないかと―――
「行くぜ相棒。歯ぁ食いしばれよ」
目を閉じて覚悟を決める。
少しずつ雁首の触れた箇所から熱くなり、何かが入り込んでくる。
別のイメージを鮮明に見ることで、意識が遠のくのと同じ効果が生まれた。
本当にユナ・ルーの記憶と同化してしまう瞬間、
「あ、やべ。間違えた。ちょっと再生箇所早すぎたわ」
不穏な台詞を聞いたような気がする。
ゼルバルトの見たことのないような様式の、灰色の箱の中。
所狭しと家具や寝袋のような寝具が転がってい、ゴミも多く汚らしい。まるでスラム街の貧乏人の家だ。
この視点から見て隣の部屋で、汚らしいシャツ一枚の肥満の男が、誰かと語っていた。
「ええ。ええ。そろそろ、持て余してきましたんで。どうでしょう、ここらで一発、うちのでスナッフビデオ撮ってみるってのは。失踪のほうはどうにでもしておきますんで」
そこに誰もいないのに、何かを耳に当てて独り言を言う男の姿は不気味だった。
―――逃げなきゃ
声にならない声が頭の中に響いた。
―――すなっふびでおって、しってる。人殺しをするビデオ。このままここにいたら、殺される。
その幼い声がユナ・ルーであることを、ゼルバルトは何となく把握していた。
視点がすこしだけ高くなり、移動を始める。そっと、父親らしき男に気付かれないように。
―――でも、どこに逃げよう。逃げてもきっと捕まる。
―――殺されるくらいなら、いっそ
視点はどんどん、階段を登っていく。誰かに追われるように、必死で。裸足で。
建物の屋上と思しき場所にたどりついて、ユナ・ルーは荒く息をしながらも、急いで柵を越えた。
―――殺されるのは、怖い
―――痛いのもいや
(何する気だ?)
呼びかけたつもりだが、記憶の中のユナ・ルーに届くはずもない。
「留衣!」
追いかけてきた父親に、ユナ・ルーは息を呑んでぱっと空中に飛び降りる。
「ちくしょうが!」
わが子が飛び降りる姿を見て、することが舌打ちとは恐れいる。
ユナ・ルーはこのとき、穏やかな心境だった。
殺されるのは、怖い。
だから殺される前に死んだ。
ユナ・ルーはこうして、生まれ育った世界から、ゼルバルトたちの世界へやってきた。
(ごめんごめん、さっきの見せるつもりなかったんだけど、編集間に合わなかったわ)
遠くから軽い謝罪が響いてくる。
だが、知ってよかったと感謝した。
人間一人の胸に仕舞っておくのは、あまりに酷な過去だった。
次に見えてきたのは、……見えてきたのは?
(なんにも見えねえし)
煙幕漂う戦場だった。
長筒隊とやりあっていた時には、おなじみの光景。
ただし、現在のこれはユナ・ルーの発したものである。
ユナ・ルーは負傷兵を庇いながら応戦し、停戦の合図を見るや、逃げた仲間や負傷兵のためにたった一人で敵陣へ姿を現した。
視界に出現したのは、ゼルバルト自身。もちろん、記憶の中の。
ユナ・アニム曰く「カレ」その人である。
「あなたが、この場の指揮官だろうか」
「だとしたら、何だ? 大人しく投降するのか」
「逃げた仲間を見逃してあげてほしい」
……あの時のあれ、こういう事だったのか!!
現世界のユナ・アニムは、一人でのこのこ出て来た挙句に「何でもないです。失礼しました」とか訳の分からないことを言ってすごすご帰ろうとしたのだ。
ユナ・アニムは直前世界の自分の行動をなぞろうとしたが、どう振舞って良いか分からず、引っ込んだのである。
結果、ゼルバルトに捕まって連行された訳だが。
さて直前世界の記録に戻って。
この世界でのゼルバルト……面倒なので「カレ」で通す。カレはそのまま、ユナ・ルーを逃した。
彼の態度は敵ながら天晴と思ったし、長筒隊の不遇も知っていたので、終戦したこの時に殺す気などさらさらなかった。
軍から離れ、一人ふらふらしていたユナ・ルーは、………
(なんでこいつ、三日に一度のぺースで強姦されてんの?)
とんでもなかった。
強姦シーンはゲタ・ルーが省いてくれたらしく、感謝しながらも、下衆に逆らうことなく従うユナ・ルーの挙動をはらはら見守っていた。
早く合流して、俺!
このバカ見てらんない!!
そうして漸く、ラハトの王都に辿りついて、ユナ・ルーは腹の虫を抱えていた。
ゼルバルトは少々そのことに新鮮味を感じた。
自分のところのユナ・アニムは腹が空いた素振りを見せたことがなかったので。ひょっとしたら食事をとる必要のない体なのかもしれない。
食べ物と換えられるものを持ち物から探しているときに、ユナ・ルーはカレと出会った。
ユナ・ルーはこのとき、まだ気づいていないようだが―――
視線が割とカレに釘付けだ。
戦地で一度会った時にしてもそうだが、ふらふら寄っていったのは、一目で好きになってしまったからだ。
変質者のつけ回しというよりも、初めて見たものを親と思う雛のようにピヨピヨ、ユナ・ルーはカレについてゆく。
笑ってしまうくらい自分と同じように、ユナ・ルーに絆されてゆくカレ。
自分で見ると気持ち悪いくらいの優しい目。
―――ゼル
―――ゼル、すき
記憶の中から痛いくらいの一途な思いが伝わってくる。
けれども決して、カレから愛されたいとは思っていなかった。
少し違う。
自分がカレに愛して貰える可能性など、ちらとも考えていないのだ。初めから愛されないと、決めつけている。
そしてその通り、カレはユナ・ルーを大事にはしても、恋愛対象として見ることは出来なかった。
カレが優しければ優しいほど、ユナ・ルーは思慕を募らせてゆく。
ある意味でカレは残酷な男だった。
「ゼルは、性質が悪い男って女の人に言われたことがあるだろう」
呆れたようなユナ・アニムの台詞を思い出し、恥じ入った。穴があったら入りたい。
ユナ・ルーとカレは大陸を旅して真実を追い求め、たどり着いた先がイニア教総本山だった。
………分かるぞ、カレよ。
セシェンテルは可愛いよな。好みド直球だよな。
カレは長く不安と重責を抱えていたが、セシェンテルという味方を得ることで、気が抜けていた。
セシェンテルを視線で追っていることを、当人も意識していない。
ユナ・ルーは知っていた。
カレがセシェンテルに惹かれていることを。
―――くるしい
痛みも悲しみも諦めたユナ・ルーが、仲睦まじいカレとセシェンテルの姿を見るたびに、素っ気ないふりをしながら胸を押さえる。
―――くるしい しっかりしなきゃ
―――ゼルを守るって、決めたんだから
―――くるしい くるしい
―――ゼル くるしいよ
カレはもちろん、ユナ・ルーの苦しみに頭を悩ませていた。
だが、ユナ・ルーの恋心は、ユナ・ルー自身にもよく分かっておらず、その素振りを表面に出さないのでカレには伝わらなかった。
とうとう秘宝が割れてユナ・ルーがユナ・ルーではなくなる瞬間、
―――ぜる すき
最後に思ったことは、それだった。
「まあ呑めって相棒」
何この粋でいなせなユナ・ルー。
ラハト王都でも結構な値の張る高級酒場の、VIP用個室に連れて来られて、呑めや食えの押し付け。
ユナ・ルーと会話した後に、ぶらぶらと街を散策していたところを捕まって、これだ。
「お前、誰なんだ」
琥珀色のグラスに口をつける気にもならず、低い声で問う。
そんな事はお構いなしに、酒も煙香もがっつり行く色男のユナ・ルーは上機嫌に笑うばかり。
「どっから説明したもんかねえ? お前さんがユナ・ルー恋しさに何度も出会いと別れを繰り返したってのは?」
まだユナ・ルーとは……大人しいほうのユナ・ルーの話だが、出会って間もないので恋しいと言われても。
「まず概要を簡単に話そうか」
いなせなユナ・ルーはグラスについた水滴を、磨かれたテーブルに引いて線を描いた。
「どの平行世界でも、大体筋書きは同じだ。
ユナ・ルーとお前さんはひょんなことから知り合って、互いを大切に思うようになる。
お前さんは秘宝が割れる時、ユナ・ルーの身に何かが起きると知り、そいつを食い止めようとする。
ところが秘宝は結局割れちまって、ユナ・ルーは変質し、感情を失いアニムとなる。
この地点が境目。
我々は人間時代のユウナルイをユナ・ルー、変質した後をユナ・アニムと呼んでいる」
「お前は?」
「俺はもちろん、ユナ・アニム。差別化を図るために、ゲタ・ルーとでも名乗っておこうか?」
本当にそれでいいのか、ゲタ・ルーて。
「下駄は日本人のソウルだからよ。こいつは俺のトレンドだ。外せねえな」
「……お前も俺と出会って、やり直しとかしたの?」
「当たり前じゃん。なかったら、今がねえ」
理論的にはそうなるが、このゲタ・ルーさんを見ていると、どうも。
ゲタ・ルーは空のグラスに氷を足した。
「俺は特別なんだ。他のユウナルイはみんな、お人形さんになるべく調教されてる。
何度も繰り返される時の中で、ユナ・アニムたちは考えた。
自分たちのような人形ではなく、健康な精神の持ち主なら、ゼルバルトを支えられるのではないか? とね」
「お前と一緒にいる俺が想像つかないんだけど」
「なんで?」
ゲタ・ルーはきょんと首を傾げた。
その仕草だけは、ユナ・ルーと重なる。
「俺たちは親友だったよ。世界を股にかけて、各地の揉め事に首突っ込んで回った。
向かうとこ敵なしのゴールデンコンビだったね。俺たちはいい関係が続いて、お前は俺と一緒の時が一番笑ってた」
友人方面なら、確かに楽しそうだと思わないでもない。
ゼルバルトは仲間にするなら、こういうさばけた気安い男のほうがよかった。
「前提的に、秘宝って失恋で割れるんだろ? お前と俺で恋愛って考えるだけでゲッソリすんだけど」
「まあだろうよな」
ゲタ・ルーは口元を歪めた。
「お前は秘宝が割れて真実を知るまで、まるきり気づかなかったし。
俺の育った故郷では、ゲイってのはタブーだった。差別対象だ。俺は隠すことに慣れてて、お前は気づかなかった。
そんで徐々に崩壊が始まって、お前の結婚と同時に玉砕。今に至るって訳」
「その時も、俺はユナ・ルーに会いたいと願ったのか? お前じゃなくて」
「俺ァこう見えてもユナ・アニムよ?」
ゲタ・ルーは煙管の先をぷらぷらさせ、頬杖をついた。
「俺に感情なんてねえの。
俺が気のいい兄ちゃんに見えるのは、お前がそう望んだから。
でもやっぱ見せかけの挙動は、すぐ見抜かれるんだな。どっかおかしいらしくて、ゼルは以前の俺に戻るよう願った。これも大分前の話さね」
「……なんで、俺はお前たちユナ・アニムとやらを、受け止められないんだ?」
それほど大事なら、変化も含めて受け入れろと言いたいところなのだが。
「そう上手くは行かねえよ。
お前はユナ・アニムと先に出会った特異なゼルバルトだからな。特にそう思うんだろうが……失うと取り戻したくなるのが人情ってもんらしいからなあ。俺にはもう、分からん事だがね」
好いた惚れたと同じで、人の感情は義理や責務で動かない、という奴か。
「さて、自己紹介と経緯の解説も済んだし、本題に入ろうか」
ゲタ・ルーは煙草盆を煙管でカンと叩き灰を落とした。
「俺がこうしてテメーの前に出て来れたのは、今お前の側にいるユウナルイが直前世界のユナ・アニムだからだ。
今この宇宙には、あのお嬢ちゃんの存在に引っ張られて、他の平行世界で生まれたユナ・アニムが何千何万といる」
「……何千何万!?」
時間を遡った、繰り返したとは聞いたが、何千何万て。
何千何万回、自分は同じ事を願ったのか。
一度たりともユナ・アニムを受け入れず、全く先に進もうとせず?
それはちょっと、情けなくはないか。
「それくらい、お前は繰り返したんだ。なんか照れるね。そんなに俺が好きかよ」
返す言葉もない。
というか他の平行世界の自分に聞きたい。
そんなにユナ・ルーが恋しいですかそうですか。
「でも、その何千何万のユナ・アニムは、俺を含めて誰一人お前を愛せない。お前を愛してくれるユウナルイは、ユナ・ルーしかいないんだ」
「だから、俺はユナ・アニムじゃなくてユナ・ルーを求める?」
「そういうこと」
事情は飲み込めてきたが。
ゼルバルトは自棄のように辛い酒を煽り、喉を焼いた。
実感が全く湧かない。
謀られている気がする。
ゲタ・ルー相手だと特にそう思った。
けれど、宿で待っているユナ・ルーを思うと、あながち嘘だと切って捨てる気も起きない。
ユナ・ルーはあのぽうっとした瞳で、ゼルバルトをじっと見つめる。一生懸命に。
激しい衝動や情欲はなく、可愛いなあ、としみじみ思ってしまうのだ。だから昼間に抱きつかれた時はどきっとした。
ユナ・ルーはあんなふうに甘えては来ない。
……なぜそのように断言出来るのだろう?
ユナ・ルーならこうするだろう、ああするだろう、こうだろうという考えが、当たり前のように頭に浮かぶ。
牢から出して共に生活を始めてせいぜいが五日の相手のはずなのに。
「ゼル。お前に直前世界の記憶を見せてやろうか」
悪魔の囁きにも似たゲタ・ルーの甘い声音が、耳をくすぐった。
「出来るのか、そんなことが」
「もちろん。俺はユナ・アニムだからな。お前の望みは何でも叶えてやる。但し、よく考えろ」
ゲタ・ルーは煙管の先を此方に向ける。
「毎度お前は半壊気味で巻き戻しを希望する。
直前世界の記憶を見たが最後、頭おかしくなっちまうかも……」
「ぐっ……」
「といっても、実体験じゃなくてあくまで記憶、記録だからな。あと、お前のじゃなくて、ユナ・ルーの記憶になるけど」
煙管をくるくるさせながら、実際にその記憶を検閲しているのか、時々苦笑して、
「あ、駄目だこれ……このあたりは編集しとかねえと。グロ注意警報」
なんか恐ろしげなことを言っていた。
ホラー歌劇か何かか、ユナ・ルーの記憶は。
「ん、だいぶ修正入れた。このくらいなら大丈夫だろ」
ゲタ・ルーは火のついてない煙管の雁首を、とんとゼルバルトの額につける。
「さて、どうする?」
「………やってくれ」
ゼルバルトは机の上で拳を握る。
「知ってどうなっても後悔はしない。だが、知らないままなら後悔する」
何より、知りたい。
どうしてこんなにユナ・ルーを大切に思うのか。その理由を。
それは、何千何万繰り返してきた自分の中に蓄積されたものではないかと―――
「行くぜ相棒。歯ぁ食いしばれよ」
目を閉じて覚悟を決める。
少しずつ雁首の触れた箇所から熱くなり、何かが入り込んでくる。
別のイメージを鮮明に見ることで、意識が遠のくのと同じ効果が生まれた。
本当にユナ・ルーの記憶と同化してしまう瞬間、
「あ、やべ。間違えた。ちょっと再生箇所早すぎたわ」
不穏な台詞を聞いたような気がする。
ゼルバルトの見たことのないような様式の、灰色の箱の中。
所狭しと家具や寝袋のような寝具が転がってい、ゴミも多く汚らしい。まるでスラム街の貧乏人の家だ。
この視点から見て隣の部屋で、汚らしいシャツ一枚の肥満の男が、誰かと語っていた。
「ええ。ええ。そろそろ、持て余してきましたんで。どうでしょう、ここらで一発、うちのでスナッフビデオ撮ってみるってのは。失踪のほうはどうにでもしておきますんで」
そこに誰もいないのに、何かを耳に当てて独り言を言う男の姿は不気味だった。
―――逃げなきゃ
声にならない声が頭の中に響いた。
―――すなっふびでおって、しってる。人殺しをするビデオ。このままここにいたら、殺される。
その幼い声がユナ・ルーであることを、ゼルバルトは何となく把握していた。
視点がすこしだけ高くなり、移動を始める。そっと、父親らしき男に気付かれないように。
―――でも、どこに逃げよう。逃げてもきっと捕まる。
―――殺されるくらいなら、いっそ
視点はどんどん、階段を登っていく。誰かに追われるように、必死で。裸足で。
建物の屋上と思しき場所にたどりついて、ユナ・ルーは荒く息をしながらも、急いで柵を越えた。
―――殺されるのは、怖い
―――痛いのもいや
(何する気だ?)
呼びかけたつもりだが、記憶の中のユナ・ルーに届くはずもない。
「留衣!」
追いかけてきた父親に、ユナ・ルーは息を呑んでぱっと空中に飛び降りる。
「ちくしょうが!」
わが子が飛び降りる姿を見て、することが舌打ちとは恐れいる。
ユナ・ルーはこのとき、穏やかな心境だった。
殺されるのは、怖い。
だから殺される前に死んだ。
ユナ・ルーはこうして、生まれ育った世界から、ゼルバルトたちの世界へやってきた。
(ごめんごめん、さっきの見せるつもりなかったんだけど、編集間に合わなかったわ)
遠くから軽い謝罪が響いてくる。
だが、知ってよかったと感謝した。
人間一人の胸に仕舞っておくのは、あまりに酷な過去だった。
次に見えてきたのは、……見えてきたのは?
(なんにも見えねえし)
煙幕漂う戦場だった。
長筒隊とやりあっていた時には、おなじみの光景。
ただし、現在のこれはユナ・ルーの発したものである。
ユナ・ルーは負傷兵を庇いながら応戦し、停戦の合図を見るや、逃げた仲間や負傷兵のためにたった一人で敵陣へ姿を現した。
視界に出現したのは、ゼルバルト自身。もちろん、記憶の中の。
ユナ・アニム曰く「カレ」その人である。
「あなたが、この場の指揮官だろうか」
「だとしたら、何だ? 大人しく投降するのか」
「逃げた仲間を見逃してあげてほしい」
……あの時のあれ、こういう事だったのか!!
現世界のユナ・アニムは、一人でのこのこ出て来た挙句に「何でもないです。失礼しました」とか訳の分からないことを言ってすごすご帰ろうとしたのだ。
ユナ・アニムは直前世界の自分の行動をなぞろうとしたが、どう振舞って良いか分からず、引っ込んだのである。
結果、ゼルバルトに捕まって連行された訳だが。
さて直前世界の記録に戻って。
この世界でのゼルバルト……面倒なので「カレ」で通す。カレはそのまま、ユナ・ルーを逃した。
彼の態度は敵ながら天晴と思ったし、長筒隊の不遇も知っていたので、終戦したこの時に殺す気などさらさらなかった。
軍から離れ、一人ふらふらしていたユナ・ルーは、………
(なんでこいつ、三日に一度のぺースで強姦されてんの?)
とんでもなかった。
強姦シーンはゲタ・ルーが省いてくれたらしく、感謝しながらも、下衆に逆らうことなく従うユナ・ルーの挙動をはらはら見守っていた。
早く合流して、俺!
このバカ見てらんない!!
そうして漸く、ラハトの王都に辿りついて、ユナ・ルーは腹の虫を抱えていた。
ゼルバルトは少々そのことに新鮮味を感じた。
自分のところのユナ・アニムは腹が空いた素振りを見せたことがなかったので。ひょっとしたら食事をとる必要のない体なのかもしれない。
食べ物と換えられるものを持ち物から探しているときに、ユナ・ルーはカレと出会った。
ユナ・ルーはこのとき、まだ気づいていないようだが―――
視線が割とカレに釘付けだ。
戦地で一度会った時にしてもそうだが、ふらふら寄っていったのは、一目で好きになってしまったからだ。
変質者のつけ回しというよりも、初めて見たものを親と思う雛のようにピヨピヨ、ユナ・ルーはカレについてゆく。
笑ってしまうくらい自分と同じように、ユナ・ルーに絆されてゆくカレ。
自分で見ると気持ち悪いくらいの優しい目。
―――ゼル
―――ゼル、すき
記憶の中から痛いくらいの一途な思いが伝わってくる。
けれども決して、カレから愛されたいとは思っていなかった。
少し違う。
自分がカレに愛して貰える可能性など、ちらとも考えていないのだ。初めから愛されないと、決めつけている。
そしてその通り、カレはユナ・ルーを大事にはしても、恋愛対象として見ることは出来なかった。
カレが優しければ優しいほど、ユナ・ルーは思慕を募らせてゆく。
ある意味でカレは残酷な男だった。
「ゼルは、性質が悪い男って女の人に言われたことがあるだろう」
呆れたようなユナ・アニムの台詞を思い出し、恥じ入った。穴があったら入りたい。
ユナ・ルーとカレは大陸を旅して真実を追い求め、たどり着いた先がイニア教総本山だった。
………分かるぞ、カレよ。
セシェンテルは可愛いよな。好みド直球だよな。
カレは長く不安と重責を抱えていたが、セシェンテルという味方を得ることで、気が抜けていた。
セシェンテルを視線で追っていることを、当人も意識していない。
ユナ・ルーは知っていた。
カレがセシェンテルに惹かれていることを。
―――くるしい
痛みも悲しみも諦めたユナ・ルーが、仲睦まじいカレとセシェンテルの姿を見るたびに、素っ気ないふりをしながら胸を押さえる。
―――くるしい しっかりしなきゃ
―――ゼルを守るって、決めたんだから
―――くるしい くるしい
―――ゼル くるしいよ
カレはもちろん、ユナ・ルーの苦しみに頭を悩ませていた。
だが、ユナ・ルーの恋心は、ユナ・ルー自身にもよく分かっておらず、その素振りを表面に出さないのでカレには伝わらなかった。
とうとう秘宝が割れてユナ・ルーがユナ・ルーではなくなる瞬間、
―――ぜる すき
最後に思ったことは、それだった。
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完璧な義兄×虚弱受け すれ違いラブロマンス
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
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cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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BL
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強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
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きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
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