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第4章 女騎士と王女
4-2 国王救出劇
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ゆきは国王の救出を実行するために、まずは城内に侵入する手立てを探ろうと聞き込みを始めたが、さっそく拍子抜けする事実を知る。城はほぼフリーの状態にあり、門前町の民は平常時以上に自由に城と町を行き来していた。国王の囚われている広場への立ち入りも自由だという。
なるほど、王女の公開陵辱といい、今までの権力の崩壊を見世物にして、自分の権力をハッキリ町の民の目に焼き付けるのが狙いか。
「好きにやらせてたまるか!」
じっくり構えて策を弄する深謀遠慮型のテツに対して、ゆきはどちらかといえば猪突猛進型で、中途半端に策略を練るくらいならば、さっさと力でねじ伏せるタイプだった。ゆきのその性質をテツもよく分かっているからこそ、広場という逃げも隠れも出来ない国王の救出をゆきに任せたのだろう。真っ向からの力勝負なら、ゆきの右に出るものはこの国にはいない。
ゆきは直ちに広場へと向かい、広場のゲートでゆきの行く手を阻もうとした敵雑魚兵を一撃で血祭りにあげた。
「王様、ゆきです。もう、ジャッカルの好きにはさせません」
広場を横切り囚われの国王の元へと走り出したゆきに、次々に敵兵が襲いかかった。しかし、その追っ手も、迎える兵も、ゆきの剣の前になすすべもなく叩きのめされていく。見物していた城の民も物見遊山の町の民も大喜びだ。ゆきはたちまち国王のもとに駆け寄ると、一刀の下に安普請な戒めを解いてしまった。こうして国王救出劇は呆気なく成功した。ゆきが現れてから、ほんの10分にも満たない早業だった。
いくら何でもこれはあまりにも手応えがなさ過ぎる。ゆきは罠であることを感じながらも、今はそれよりも国王を安全なところに匿うことが最優先だと考え、疲れ果てた国王を背負って広場を離れることにした。
歩き出してはたと気が付いた。あれ、この先私はどこへ行けば良いのだろう。助ける迄のことについては色々なシミュレーションを考えたものの、その先をまるで考えていなかったことに愕然とした。城から出てしまえば、頼れる者も、頼る場所も、ゆきたちは何一つ持っていない。
それはジャッカルも重々承知のことだったに違いない。だからこんなに易々と国王を渡したのか。これでゆきはこの先、常に国王を背負って戦わなければならなくなった。ジャッカルの罠にまんまと乗せられてしまったのだ。
その時。
「ゆき様、こちらへ」
声が聞こえた。声の方向でナカが手招きをしている。
「ナカ!」
ゆきはナカに招かれた方向に走り出した。新たな敵兵が慌てたようにゆきを追う。国王を背負ったゆきはたちまち追いつかれたが、次の瞬間、追っ手たちの動きが止まった。皆、一様に頭を抱えて苦しみ出したのだ。
ナカの特殊能力、幻想拷問だ。
布を使って外側から快楽責めにする快楽拷問のナマに対して、ナカは相手に幻想を抱かせて内側から精神を痛めつける幻想拷問の使い手だった。さすがね、次はナカの番ってことね。この隙にゆきはナカの元にたどり着くことが出来た。
「ナカ、どこにいたの?」
「そんなことより早く」
ナカの先導で向かった先は、現世への道だった。王国には隠れる場所さえなかったが、そうか、現世にならば。ゆきとナカは、王を抱えてその道をひた走る。追っ手はまだ見えなかった。
現世のゲートを出たゆきとナカは、その足で新宿歌舞伎町へと向かった。ナマとナカの生まれ育った町だ。
二人の生家である和下着店は、江戸の昔からひっそりとこの地に根を張り、世を動かすVIPたちの股間を彩ってきた老舗である。一年ほど前にブラックビースト(BB)という半グレ集団に襲われて、壊滅的なダメージを受けた時も、そうしたVIPたちの支援で、たちまち何事も無かったかのように昔ながらの佇まいを取り戻していた。歴史と伝統の奥深さと底力を感じたのか、BBもその後はあからさまな襲撃をしてくることは無くなったという。
王国の王を連れたナカの突然の帰宅にも、店長はうろたえることさえもなく、静かに迎え入れてくれた。
「王様、ようこそお越しくださいました。御心のお休まることのない日々をお過ごしと思います。何のおもてなしも出来ませんが、せめてここにいらっしゃる間だけでも、どうぞ御身体をお休めになってください」
店長の言葉に、国王も深く感謝の辞を述べ、しばしの逗留先としてここに落ち着くことにした。ゆきはナカに国王の護衛を託して、一人再び王国に戻ろうとしたが、店長から必ずお役に立てる時が来るはずだからと、ナカを同行させるように強く薦められた。ゆきは、店長の国王は命に代えても守り抜くという気概に打たれ、また、国王からもくれぐれもアン王女を頼むとの依頼を受けて、ゆきはナカと二人で王国に戻ることにした。
一方、王国ではアン王女の公開陵辱会の準備が刻々と進められていた。このために設えられた特設ホールの中央には見た目にも豪華なベッドが置かれ、そ周囲には磔台や拘束椅子、三角木馬や分娩台などの設備に加えて、様々な大きさのディルドや電動マッサージ器などが取り揃えられていた。陵辱者たちによりどりみどりの陵辱を楽しんでもらおうという心尽くしが見て取れた。
周囲を取り囲むように設置されたカメラの他、360度カメラやドローンなど、寸分漏らさずに陵辱会の模様を記録する準備も万全だ。高額な設定の限定1000枚のDVDや高解像度カメラが撮りまくる写真集の予約は既に満口。陵辱会の人気は今や最高潮に盛り上がっていた。
アン王女に接近するには、100人という有象無象の中に紛れこむことが最も近道だと考えたテツは、トモと二人で陵辱会に潜入することを目論み、前日の陵辱会説明会の集会で、参加者二人をボコって入れ替わりに成功していた。当日の順番決めでテツは50番と遅れを取ったが、トモが15番を引き、最初に会場入りが可能な20人の中に潜り込むことが出来た。テツとトモは綿密な打ち合わせを行い、何としてもアン王女を無傷で救い出そうと誓い合った。
その頃、ナマは完全に鬱に落ち、公園のブランコで前後していた。こちらは当分使いものになりそうもない。
(続く)
なるほど、王女の公開陵辱といい、今までの権力の崩壊を見世物にして、自分の権力をハッキリ町の民の目に焼き付けるのが狙いか。
「好きにやらせてたまるか!」
じっくり構えて策を弄する深謀遠慮型のテツに対して、ゆきはどちらかといえば猪突猛進型で、中途半端に策略を練るくらいならば、さっさと力でねじ伏せるタイプだった。ゆきのその性質をテツもよく分かっているからこそ、広場という逃げも隠れも出来ない国王の救出をゆきに任せたのだろう。真っ向からの力勝負なら、ゆきの右に出るものはこの国にはいない。
ゆきは直ちに広場へと向かい、広場のゲートでゆきの行く手を阻もうとした敵雑魚兵を一撃で血祭りにあげた。
「王様、ゆきです。もう、ジャッカルの好きにはさせません」
広場を横切り囚われの国王の元へと走り出したゆきに、次々に敵兵が襲いかかった。しかし、その追っ手も、迎える兵も、ゆきの剣の前になすすべもなく叩きのめされていく。見物していた城の民も物見遊山の町の民も大喜びだ。ゆきはたちまち国王のもとに駆け寄ると、一刀の下に安普請な戒めを解いてしまった。こうして国王救出劇は呆気なく成功した。ゆきが現れてから、ほんの10分にも満たない早業だった。
いくら何でもこれはあまりにも手応えがなさ過ぎる。ゆきは罠であることを感じながらも、今はそれよりも国王を安全なところに匿うことが最優先だと考え、疲れ果てた国王を背負って広場を離れることにした。
歩き出してはたと気が付いた。あれ、この先私はどこへ行けば良いのだろう。助ける迄のことについては色々なシミュレーションを考えたものの、その先をまるで考えていなかったことに愕然とした。城から出てしまえば、頼れる者も、頼る場所も、ゆきたちは何一つ持っていない。
それはジャッカルも重々承知のことだったに違いない。だからこんなに易々と国王を渡したのか。これでゆきはこの先、常に国王を背負って戦わなければならなくなった。ジャッカルの罠にまんまと乗せられてしまったのだ。
その時。
「ゆき様、こちらへ」
声が聞こえた。声の方向でナカが手招きをしている。
「ナカ!」
ゆきはナカに招かれた方向に走り出した。新たな敵兵が慌てたようにゆきを追う。国王を背負ったゆきはたちまち追いつかれたが、次の瞬間、追っ手たちの動きが止まった。皆、一様に頭を抱えて苦しみ出したのだ。
ナカの特殊能力、幻想拷問だ。
布を使って外側から快楽責めにする快楽拷問のナマに対して、ナカは相手に幻想を抱かせて内側から精神を痛めつける幻想拷問の使い手だった。さすがね、次はナカの番ってことね。この隙にゆきはナカの元にたどり着くことが出来た。
「ナカ、どこにいたの?」
「そんなことより早く」
ナカの先導で向かった先は、現世への道だった。王国には隠れる場所さえなかったが、そうか、現世にならば。ゆきとナカは、王を抱えてその道をひた走る。追っ手はまだ見えなかった。
現世のゲートを出たゆきとナカは、その足で新宿歌舞伎町へと向かった。ナマとナカの生まれ育った町だ。
二人の生家である和下着店は、江戸の昔からひっそりとこの地に根を張り、世を動かすVIPたちの股間を彩ってきた老舗である。一年ほど前にブラックビースト(BB)という半グレ集団に襲われて、壊滅的なダメージを受けた時も、そうしたVIPたちの支援で、たちまち何事も無かったかのように昔ながらの佇まいを取り戻していた。歴史と伝統の奥深さと底力を感じたのか、BBもその後はあからさまな襲撃をしてくることは無くなったという。
王国の王を連れたナカの突然の帰宅にも、店長はうろたえることさえもなく、静かに迎え入れてくれた。
「王様、ようこそお越しくださいました。御心のお休まることのない日々をお過ごしと思います。何のおもてなしも出来ませんが、せめてここにいらっしゃる間だけでも、どうぞ御身体をお休めになってください」
店長の言葉に、国王も深く感謝の辞を述べ、しばしの逗留先としてここに落ち着くことにした。ゆきはナカに国王の護衛を託して、一人再び王国に戻ろうとしたが、店長から必ずお役に立てる時が来るはずだからと、ナカを同行させるように強く薦められた。ゆきは、店長の国王は命に代えても守り抜くという気概に打たれ、また、国王からもくれぐれもアン王女を頼むとの依頼を受けて、ゆきはナカと二人で王国に戻ることにした。
一方、王国ではアン王女の公開陵辱会の準備が刻々と進められていた。このために設えられた特設ホールの中央には見た目にも豪華なベッドが置かれ、そ周囲には磔台や拘束椅子、三角木馬や分娩台などの設備に加えて、様々な大きさのディルドや電動マッサージ器などが取り揃えられていた。陵辱者たちによりどりみどりの陵辱を楽しんでもらおうという心尽くしが見て取れた。
周囲を取り囲むように設置されたカメラの他、360度カメラやドローンなど、寸分漏らさずに陵辱会の模様を記録する準備も万全だ。高額な設定の限定1000枚のDVDや高解像度カメラが撮りまくる写真集の予約は既に満口。陵辱会の人気は今や最高潮に盛り上がっていた。
アン王女に接近するには、100人という有象無象の中に紛れこむことが最も近道だと考えたテツは、トモと二人で陵辱会に潜入することを目論み、前日の陵辱会説明会の集会で、参加者二人をボコって入れ替わりに成功していた。当日の順番決めでテツは50番と遅れを取ったが、トモが15番を引き、最初に会場入りが可能な20人の中に潜り込むことが出来た。テツとトモは綿密な打ち合わせを行い、何としてもアン王女を無傷で救い出そうと誓い合った。
その頃、ナマは完全に鬱に落ち、公園のブランコで前後していた。こちらは当分使いものになりそうもない。
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