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参ノ怪:砂に埋もれる
31 最初の母親
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「とりあえず、一人で来てみたけど……」
もう四回目になる。
このスパンでやって来るのは珍しい。
しかもこんなタイミングだ。ユウは緊張しながらも、一人で琴盞公園にやって来た。
「やっぱり、変な視線を感じる」
背中が痛い。視線を感じ取る。
チラリと視線を背後に向けたユウ。
そこには誰か居るけれど、上手く隠れられて見えなかった。
「ううん、気にしない。今はとりあえず……あれ?」
このタイミングでユウが公園に足を運んだのには理由がある。
六年前、最初の行方不明の事故が起こった日が近い。
きっと何か起こる筈……って、セナは言っていた。
「来てみたけど、あの人誰かな?」
見つけたのは公園のベンチに座る女性。
今日は警察の人が何人か立っていて、周囲を警戒している。
きっと行方不明になった男子や女子を捜しているに違いない。
「あ、あの……」
「なにかな?」
「入ってもいいですか?」
一応昨日とは違い、現場らしくロープが張ってある。
一応確認を取ると、ユウのことを見回す。
大丈夫に思ったらしい。ロープの向こうに入れてくれた。
「はい、どうぞ。でも、砂場は荒らさないようにね」
「分りました」
とりあえず砂場以外には立ち入っても構わない。
ホッと一安心すると、公園に入った。
本当はダメな筈だけど、この街ではいいらしい。
「変わってない……みたいだね」
公園の中、特に砂場の辺りには、コウタロウの幽霊が居た。
相も変わらず、砂場で遊んでいた。
おまけに、周りには他にも幽霊の姿がある。
男子女子問わず、たくさんの子供達が駆けている。
本当に楽しそう。領域の中に閉じ込められて、悲しい。
「私にできることって、一体なんだろう?」
ここに来た所で変わることはない。
それが分かっている。今はまだ半人前の魔法使いだ。
それでも何かをするためにここに来た。
きっとユウ自身にも分からない何かが働いている。
それを頼りにすると、顔を前に向けた。
「ダメダメ。これじゃあダメ。まずは……」
首を横に振った。
考え過ぎると飲み込まれてしまうらしい。
そうならないためにも、出来ることは一つ。行動すること、勇気を振り絞ることだった。
「あの人、一体誰だろう?」
やはりベンチの女性が気になる。
ユウは話し掛けるのはあまり得意ではない。
けれど背中を押された気分になると、声を掛けに向かう。
「あの、ここでなにしているんですか?」
「えっ?」
女性に話し掛けたユウ。
凄く勇気ある行動で、手元を見ると、スコップが握られている。
かなり古いもののようで、砂が付いたままだった。
「あっ、ごめんなさい。当然変ですよね」
「……息子の命日が近いの」
「えっ?」
話の点と点が繋がる。
頭の中でピンと来た。
流石にユウでも分かってしまう。
「六年前、ここで行方不明になった息子の」
「それって、コウタロウ君ですか?」
「……ええ、そうだけど。よく知ってますね。確か新聞やテレビでは名前を伏せていた筈だけど」
マズいことになってしまった。
まさか行方不明になったミウちゃんから聞いたとは言えない。
変な人に思われてしまうのは困る。
ユウは挙動不審な態度を取る。
何とか誤魔化そう。
必死に目を右往左往した。
それでも言葉が見つからなくて、困ってしまう。
「えっと、その、昔……」
「もしかして、遊んでくれていた子ですか!?」
「えっと、は、はい!」
優しい嘘を付くことを選ぶ。
ユウは首を縦に振ると、女性は安心した。何か察したみたいで、目をキラリと光らせる。
「ありがとうございます。息子の命日に来てくれて。これ、当時息子が好きだったスコップなんです。本当、息子がどうして」
「事故に遭っちゃったんですよね。その、御愁傷様(※悲しいことや不幸が起きた時に掛ける言葉)です」
本当に如何してこんなことが起きたのか。
もちろんユウには止めようがなかった。
それしか掛ける言葉がない。困るユウだが、女性は不思議なことを言う。
「皆さんそう言われますよね。ありがとうございます」
「それは、その」
「でも一つだけ違います。あれは事故ではなく、事件です。犯人は、必ずいます」
「ん?」
ユウの喉が詰まりそうになった。
一体何を言っているのだろうか?
ユウは頭の中が空っぽになると、母親の言葉を受け取れなかった。
もう四回目になる。
このスパンでやって来るのは珍しい。
しかもこんなタイミングだ。ユウは緊張しながらも、一人で琴盞公園にやって来た。
「やっぱり、変な視線を感じる」
背中が痛い。視線を感じ取る。
チラリと視線を背後に向けたユウ。
そこには誰か居るけれど、上手く隠れられて見えなかった。
「ううん、気にしない。今はとりあえず……あれ?」
このタイミングでユウが公園に足を運んだのには理由がある。
六年前、最初の行方不明の事故が起こった日が近い。
きっと何か起こる筈……って、セナは言っていた。
「来てみたけど、あの人誰かな?」
見つけたのは公園のベンチに座る女性。
今日は警察の人が何人か立っていて、周囲を警戒している。
きっと行方不明になった男子や女子を捜しているに違いない。
「あ、あの……」
「なにかな?」
「入ってもいいですか?」
一応昨日とは違い、現場らしくロープが張ってある。
一応確認を取ると、ユウのことを見回す。
大丈夫に思ったらしい。ロープの向こうに入れてくれた。
「はい、どうぞ。でも、砂場は荒らさないようにね」
「分りました」
とりあえず砂場以外には立ち入っても構わない。
ホッと一安心すると、公園に入った。
本当はダメな筈だけど、この街ではいいらしい。
「変わってない……みたいだね」
公園の中、特に砂場の辺りには、コウタロウの幽霊が居た。
相も変わらず、砂場で遊んでいた。
おまけに、周りには他にも幽霊の姿がある。
男子女子問わず、たくさんの子供達が駆けている。
本当に楽しそう。領域の中に閉じ込められて、悲しい。
「私にできることって、一体なんだろう?」
ここに来た所で変わることはない。
それが分かっている。今はまだ半人前の魔法使いだ。
それでも何かをするためにここに来た。
きっとユウ自身にも分からない何かが働いている。
それを頼りにすると、顔を前に向けた。
「ダメダメ。これじゃあダメ。まずは……」
首を横に振った。
考え過ぎると飲み込まれてしまうらしい。
そうならないためにも、出来ることは一つ。行動すること、勇気を振り絞ることだった。
「あの人、一体誰だろう?」
やはりベンチの女性が気になる。
ユウは話し掛けるのはあまり得意ではない。
けれど背中を押された気分になると、声を掛けに向かう。
「あの、ここでなにしているんですか?」
「えっ?」
女性に話し掛けたユウ。
凄く勇気ある行動で、手元を見ると、スコップが握られている。
かなり古いもののようで、砂が付いたままだった。
「あっ、ごめんなさい。当然変ですよね」
「……息子の命日が近いの」
「えっ?」
話の点と点が繋がる。
頭の中でピンと来た。
流石にユウでも分かってしまう。
「六年前、ここで行方不明になった息子の」
「それって、コウタロウ君ですか?」
「……ええ、そうだけど。よく知ってますね。確か新聞やテレビでは名前を伏せていた筈だけど」
マズいことになってしまった。
まさか行方不明になったミウちゃんから聞いたとは言えない。
変な人に思われてしまうのは困る。
ユウは挙動不審な態度を取る。
何とか誤魔化そう。
必死に目を右往左往した。
それでも言葉が見つからなくて、困ってしまう。
「えっと、その、昔……」
「もしかして、遊んでくれていた子ですか!?」
「えっと、は、はい!」
優しい嘘を付くことを選ぶ。
ユウは首を縦に振ると、女性は安心した。何か察したみたいで、目をキラリと光らせる。
「ありがとうございます。息子の命日に来てくれて。これ、当時息子が好きだったスコップなんです。本当、息子がどうして」
「事故に遭っちゃったんですよね。その、御愁傷様(※悲しいことや不幸が起きた時に掛ける言葉)です」
本当に如何してこんなことが起きたのか。
もちろんユウには止めようがなかった。
それしか掛ける言葉がない。困るユウだが、女性は不思議なことを言う。
「皆さんそう言われますよね。ありがとうございます」
「それは、その」
「でも一つだけ違います。あれは事故ではなく、事件です。犯人は、必ずいます」
「ん?」
ユウの喉が詰まりそうになった。
一体何を言っているのだろうか?
ユウは頭の中が空っぽになると、母親の言葉を受け取れなかった。
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