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51.仕掛けられた罠
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拘束されてから一日が経過した。
それが突然解放されると、自由の身を取り戻す。
上手く利用されているような気がするが、ここで退く訳にはいかない。
(なんとかして手に入れないとな)
研究室棟に立ち入った。サティウスの研究室に隠されている薬品を手に入れなければいけない。
そのために、この一年近く期間を要したのだ。アレがあれば、目的を果たすことが出来る。
(サティウスの奴が真面目なせいで、外部の目に触れないよう配慮していたからな。そのせいで、時間が掛かっちまった)
サティウスは真面目だ。生徒想いでとても優しい。
危険な研究からは遠ざけようとする。これは研究成果の独占でさえない。単純に、生徒を危険な目に遭わせないように配慮した証だ。
それが忌々しくて仕方がなかった。狙っている薬品は、世間一般では危険視されている。
国の機関からの依頼を受け、サティウスが所持していることを知っていた。
研究が済めば、国の機関へと返却されてしまう。そうなる前に、何とか奪取する必要性があったのだ。
(クソッ。研究も佳境だ。なんとかして、今日中に奪わないとな)
その足は今一度研究室へと伸びる。
とは言え、昨日までとは違い、警戒は強固なものになっている筈だ。
騎士警察の目を盗むのは至難の業。それを可能にするのが、得意な魔術だ。
(で、だ。やっぱり居るな)
廊下を音を立てずに歩いていた。
ようやく辿り着いたのは魔術薬学部の先生が使用している研究室のある階層。
サティウスの研究室まで後少しの所、廊下の曲がり角に身を潜め、視線を飛ばすとやはり立っていた。
(しかも見たことの無い奴等だな。騎士警察か?)
研究室の前には、二人の男性。どちらも騎士警察だ。
腰には剣を携えており、突っ立っているだけに見えて、周囲を警戒している。
暗闇の中とはいえ、暗視の魔術を使っているので、クッキリ見えている筈だ。
(面倒臭いな……)
昨日までとは違い、本職の騎士だ。それに加えて警察の資格も持っている。
所謂エリート。アカデミック総合魔術大学ともなると、精鋭だと思われる。
正直、見た目だけでは分からない。魔力の流れを読んで判断するしかなかった。
(まぁいいか。一人ずつ潰す)
とは言え関係の無い話だ。
一人ずつ確実に潰して行けば、研究室まで容易に立ち入れる。
最悪の場合、研究室の中にも仕掛けが施されているかもしれないが、無意味だと悟る。
何のためにこの大学に潜入し、今まで集団の中で息を潜めていたのか。それは全てが適しているから、そのために雇われたのだ。
(ほれっ!)
コロン! フラスコを転がした。
シーンとした廊下に、奇妙な高い音が響く。
「おい、今の音はなんだ?」
「さぁ? 風の音とか?」
「窓は何処も開いてないだろ? 少し様子を見に行ってみる」
音に誘われ、虫のように男性が近付く。
常に剣の柄に手を添えており、いつでも抜く覚悟を決めている。
近接戦は不利。そう思い、姿を隠す。
(そうだ、近付いて来いよ)
曲がり角で身を潜めていた。
騎士警察の男性は魔力を纏い、防御力を高めている。
このまま戦闘に入るのは得策ではない。仕方がないので、魔力を纏う。
「誰もいないか?」
曲がり角を見てみるが、暗闇が広がっていた。
灯りらしきものは一つも無く、静かな闇があるだけ。
騎士警察の男性は一歩踏み込む。その瞬間、咄嗟に剣を抜こうとした。
(遅い!)
しかし抜き切ることは出来なかった。
何者かの腕が背後に回ると、そのまま絞め落される。
息が出来なくなり、酸欠状態になると、パタリと倒れてしまった。
警戒していたのだ。本来であれば反応出来た。否、反応出来ないからこそ、わざと誘い込んだのだ。
(まずは一人だな)
残るは一人。相方が戻るまで待っている。
チラチラと暗闇の中を暗視の目で見回している。
迫力は無いものの、だからこそ恐怖心を掻き立てられ、接近することを恐れる。
「遅いなー」
何故か戻って来ない相方を心配した。
トイレにでもついでに行ったのだろうか?
ふと思い描いてみると、スタスタと足音がした。
「あっ、遅いですよ。って、誰もいない?」
戻って来たと思ったが、誰も居なかった。
しかし廊下には足音が聞こえている。
シーンと静まり返っているからか、やけにはっきりと聞こえて仕方がない。
「ハッ! もしかして、犯人?」
剣を鞘から引き抜いた。見えないが、確実に何者かが居る。
足音だけを頼りに視線と気配を飛ばす。
暗視では見えないが、剣を構えたまま、身構えていた。
「うっ!」
男性は倒れてしまった。頭を思いっきり殴られたのだ。
意識を保つのが困難になると、視界が歪んでいた。
ガシャン! と剣を床に放り投げると、その背後に人影がある。
(単純だな。これで騎士警察なのか?)
あまりにも警戒心が無さ過ぎる。
実力不足が否めないと思う中、好都合だと受け取る。
(まぁいいか。ようやくだ。今夜中に片付けるか)
サティウスの研究室に無断で立ち入る。
許可取りなどする気もなく、薬品を盗み次第、大学から立ち去る。
計画を遂行するため、長い夜に慌ただしく乱した。
それが突然解放されると、自由の身を取り戻す。
上手く利用されているような気がするが、ここで退く訳にはいかない。
(なんとかして手に入れないとな)
研究室棟に立ち入った。サティウスの研究室に隠されている薬品を手に入れなければいけない。
そのために、この一年近く期間を要したのだ。アレがあれば、目的を果たすことが出来る。
(サティウスの奴が真面目なせいで、外部の目に触れないよう配慮していたからな。そのせいで、時間が掛かっちまった)
サティウスは真面目だ。生徒想いでとても優しい。
危険な研究からは遠ざけようとする。これは研究成果の独占でさえない。単純に、生徒を危険な目に遭わせないように配慮した証だ。
それが忌々しくて仕方がなかった。狙っている薬品は、世間一般では危険視されている。
国の機関からの依頼を受け、サティウスが所持していることを知っていた。
研究が済めば、国の機関へと返却されてしまう。そうなる前に、何とか奪取する必要性があったのだ。
(クソッ。研究も佳境だ。なんとかして、今日中に奪わないとな)
その足は今一度研究室へと伸びる。
とは言え、昨日までとは違い、警戒は強固なものになっている筈だ。
騎士警察の目を盗むのは至難の業。それを可能にするのが、得意な魔術だ。
(で、だ。やっぱり居るな)
廊下を音を立てずに歩いていた。
ようやく辿り着いたのは魔術薬学部の先生が使用している研究室のある階層。
サティウスの研究室まで後少しの所、廊下の曲がり角に身を潜め、視線を飛ばすとやはり立っていた。
(しかも見たことの無い奴等だな。騎士警察か?)
研究室の前には、二人の男性。どちらも騎士警察だ。
腰には剣を携えており、突っ立っているだけに見えて、周囲を警戒している。
暗闇の中とはいえ、暗視の魔術を使っているので、クッキリ見えている筈だ。
(面倒臭いな……)
昨日までとは違い、本職の騎士だ。それに加えて警察の資格も持っている。
所謂エリート。アカデミック総合魔術大学ともなると、精鋭だと思われる。
正直、見た目だけでは分からない。魔力の流れを読んで判断するしかなかった。
(まぁいいか。一人ずつ潰す)
とは言え関係の無い話だ。
一人ずつ確実に潰して行けば、研究室まで容易に立ち入れる。
最悪の場合、研究室の中にも仕掛けが施されているかもしれないが、無意味だと悟る。
何のためにこの大学に潜入し、今まで集団の中で息を潜めていたのか。それは全てが適しているから、そのために雇われたのだ。
(ほれっ!)
コロン! フラスコを転がした。
シーンとした廊下に、奇妙な高い音が響く。
「おい、今の音はなんだ?」
「さぁ? 風の音とか?」
「窓は何処も開いてないだろ? 少し様子を見に行ってみる」
音に誘われ、虫のように男性が近付く。
常に剣の柄に手を添えており、いつでも抜く覚悟を決めている。
近接戦は不利。そう思い、姿を隠す。
(そうだ、近付いて来いよ)
曲がり角で身を潜めていた。
騎士警察の男性は魔力を纏い、防御力を高めている。
このまま戦闘に入るのは得策ではない。仕方がないので、魔力を纏う。
「誰もいないか?」
曲がり角を見てみるが、暗闇が広がっていた。
灯りらしきものは一つも無く、静かな闇があるだけ。
騎士警察の男性は一歩踏み込む。その瞬間、咄嗟に剣を抜こうとした。
(遅い!)
しかし抜き切ることは出来なかった。
何者かの腕が背後に回ると、そのまま絞め落される。
息が出来なくなり、酸欠状態になると、パタリと倒れてしまった。
警戒していたのだ。本来であれば反応出来た。否、反応出来ないからこそ、わざと誘い込んだのだ。
(まずは一人だな)
残るは一人。相方が戻るまで待っている。
チラチラと暗闇の中を暗視の目で見回している。
迫力は無いものの、だからこそ恐怖心を掻き立てられ、接近することを恐れる。
「遅いなー」
何故か戻って来ない相方を心配した。
トイレにでもついでに行ったのだろうか?
ふと思い描いてみると、スタスタと足音がした。
「あっ、遅いですよ。って、誰もいない?」
戻って来たと思ったが、誰も居なかった。
しかし廊下には足音が聞こえている。
シーンと静まり返っているからか、やけにはっきりと聞こえて仕方がない。
「ハッ! もしかして、犯人?」
剣を鞘から引き抜いた。見えないが、確実に何者かが居る。
足音だけを頼りに視線と気配を飛ばす。
暗視では見えないが、剣を構えたまま、身構えていた。
「うっ!」
男性は倒れてしまった。頭を思いっきり殴られたのだ。
意識を保つのが困難になると、視界が歪んでいた。
ガシャン! と剣を床に放り投げると、その背後に人影がある。
(単純だな。これで騎士警察なのか?)
あまりにも警戒心が無さ過ぎる。
実力不足が否めないと思う中、好都合だと受け取る。
(まぁいいか。ようやくだ。今夜中に片付けるか)
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