27 / 94
3章
第27話 黄金の龍:ファフニール
しおりを挟む
黄金の龍。略称だと黄金龍と呼ばれている。
それは体の色が黄金色に輝き、金色の姿を鎧として手に入れたようだった。
けれどその姿は完全に金でできており、金メッキではない。
実際に黄金を食うことでその姿を維持しており、口から吐くブレスは全てのものを金に変化させる。最強種の龍の一種類。
それが今、俺達の前にいる。
「マジかよ、まさかこんなところであの龍に出会えるなんてな」
「でも少し小さいよ?」
「おそらく幼体のはずだ。だがその姿に威圧感は本物だよ、アレが黄金龍ファフニール」
かつて大国を金に変貌させたとされる巨悪の龍。
圧倒的な存在感を放ち、その姿は炎には脆いが全てを金に変化させてしまう。
マジで最強。巷ではそんな風に言われている。
「とは言え巷も何もないか。何せこんなモンスター、普通相手にはしない」
「凄いね、迫力が圧倒的だよ」
「怖気づいたのか?」
「ううん、私今凄く楽しい。命が燃えて闘志が呼び起こされているのかな?」
どうやら逃げる気はないらしい。それもそうか、こんな盛り上がる展開をエクレアが見逃す恥がない。
本当は俺は逃げてもいい。何故ならこんな奴を相手にする義務はないからだ。
本当はもっと高ランク。+でもいいところだ。
幼体とは言え勝てるかどうか……いや、勝てるんだがな。俺1人でも。
「倒すんだな。それとも一撃当てて離脱か?」
「もちろん倒すに決まっているよ! こんなチャンス滅多にないんだよ?」
「そうだな。それで、策はあるのか?」
「ない! だから全力全開、全霊でぶった切る!」
エクレアは太陽の聖剣を鞘から抜いた直後に、既に魔力を溜め込んでいた。
太陽の聖剣が震えている。光に包まれて剣身が眩しい。
「おい、まさかとは思うが愚直にやる気か?」
「そうだよ。私にはこれしかないから」
「もう少し頭を使え……って聞いていないし。まあいいか、適当な所で助けてやるか」
俺は腕組をしてエクレアの奮闘を見守ることにした。
しかしあまりに単純な作戦に本当に突貫だと気が付いた。
エクレアは右手をかざすと、《黄昏の陽射し》を発動した。
「行くよ! 太陽の聖剣。私に応えてくれる?」
太陽の聖剣が《黄昏の陽射し》を受けて、剣はもっと輝く。
眩しい光はファフニールの目にも届き、目障りに思ったのかブレスを吐こうとした。
けれどエクレアの方が身のこなしが軽く、一歩先に移動した。
「せーのっ、からのも一回」
エクレアはファフニールの懐に飛び込むと、腹を引き裂いた。
ファフニールは痛みで絶叫し、間髪入れずに左翼をへし折る。これで飛ぶことはできない。逃げ道を完全に断った。
だがこれで本気を出させ、怒らせたことになる。
グルガァァァァァァァァァァァァァァァ!
涎をだらだらと垂らしながらファフニールは叫んだ。
絶叫が飛び交い、一番近い距離にいたエクレアを睨みつける。
右の前脚で踏みつけようとしたが、エクレアは身のこなしが軽く簡単に避けてしまった。無駄にバク転を決めている。本当に無駄な動きだ。パフォーマンスでしかない。
「おーい、エクレアその動きは無駄だぞ」
「いいよ。無駄な動きの方が好都合だもん」
「好都合? 馬鹿なことを言うな。お前は身のこなしが軽いんだ。しかもただでさえ目立つ。もっと小刻みにかわした方が的確だ。それとも何か? わざと攻撃を一手に引き受けるなんて真似をしているのか?」
「うわぁ、人の考えていることズバズバ当てるんだね」
「当たるのかよ……おっ、次来るな」
「嘘だ、立ち上がり早いよっ!」
エクレアは意外過ぎて目を丸くした。
それにしても楽しそうだ。本人のポテンシャルを最大限に引き出すのは良い薬になる。
これはあれだ。今調子がかなり上がっている。ボルテージが上がりアドレナリンがドパドパ。もう凄い。モチベーションが最高潮で目がキマっていた。
とは言え、ファフニールも這い出てきたのでここからが問題だ。俺も動かざるおえなくなるかもしれない。
それは体の色が黄金色に輝き、金色の姿を鎧として手に入れたようだった。
けれどその姿は完全に金でできており、金メッキではない。
実際に黄金を食うことでその姿を維持しており、口から吐くブレスは全てのものを金に変化させる。最強種の龍の一種類。
それが今、俺達の前にいる。
「マジかよ、まさかこんなところであの龍に出会えるなんてな」
「でも少し小さいよ?」
「おそらく幼体のはずだ。だがその姿に威圧感は本物だよ、アレが黄金龍ファフニール」
かつて大国を金に変貌させたとされる巨悪の龍。
圧倒的な存在感を放ち、その姿は炎には脆いが全てを金に変化させてしまう。
マジで最強。巷ではそんな風に言われている。
「とは言え巷も何もないか。何せこんなモンスター、普通相手にはしない」
「凄いね、迫力が圧倒的だよ」
「怖気づいたのか?」
「ううん、私今凄く楽しい。命が燃えて闘志が呼び起こされているのかな?」
どうやら逃げる気はないらしい。それもそうか、こんな盛り上がる展開をエクレアが見逃す恥がない。
本当は俺は逃げてもいい。何故ならこんな奴を相手にする義務はないからだ。
本当はもっと高ランク。+でもいいところだ。
幼体とは言え勝てるかどうか……いや、勝てるんだがな。俺1人でも。
「倒すんだな。それとも一撃当てて離脱か?」
「もちろん倒すに決まっているよ! こんなチャンス滅多にないんだよ?」
「そうだな。それで、策はあるのか?」
「ない! だから全力全開、全霊でぶった切る!」
エクレアは太陽の聖剣を鞘から抜いた直後に、既に魔力を溜め込んでいた。
太陽の聖剣が震えている。光に包まれて剣身が眩しい。
「おい、まさかとは思うが愚直にやる気か?」
「そうだよ。私にはこれしかないから」
「もう少し頭を使え……って聞いていないし。まあいいか、適当な所で助けてやるか」
俺は腕組をしてエクレアの奮闘を見守ることにした。
しかしあまりに単純な作戦に本当に突貫だと気が付いた。
エクレアは右手をかざすと、《黄昏の陽射し》を発動した。
「行くよ! 太陽の聖剣。私に応えてくれる?」
太陽の聖剣が《黄昏の陽射し》を受けて、剣はもっと輝く。
眩しい光はファフニールの目にも届き、目障りに思ったのかブレスを吐こうとした。
けれどエクレアの方が身のこなしが軽く、一歩先に移動した。
「せーのっ、からのも一回」
エクレアはファフニールの懐に飛び込むと、腹を引き裂いた。
ファフニールは痛みで絶叫し、間髪入れずに左翼をへし折る。これで飛ぶことはできない。逃げ道を完全に断った。
だがこれで本気を出させ、怒らせたことになる。
グルガァァァァァァァァァァァァァァァ!
涎をだらだらと垂らしながらファフニールは叫んだ。
絶叫が飛び交い、一番近い距離にいたエクレアを睨みつける。
右の前脚で踏みつけようとしたが、エクレアは身のこなしが軽く簡単に避けてしまった。無駄にバク転を決めている。本当に無駄な動きだ。パフォーマンスでしかない。
「おーい、エクレアその動きは無駄だぞ」
「いいよ。無駄な動きの方が好都合だもん」
「好都合? 馬鹿なことを言うな。お前は身のこなしが軽いんだ。しかもただでさえ目立つ。もっと小刻みにかわした方が的確だ。それとも何か? わざと攻撃を一手に引き受けるなんて真似をしているのか?」
「うわぁ、人の考えていることズバズバ当てるんだね」
「当たるのかよ……おっ、次来るな」
「嘘だ、立ち上がり早いよっ!」
エクレアは意外過ぎて目を丸くした。
それにしても楽しそうだ。本人のポテンシャルを最大限に引き出すのは良い薬になる。
これはあれだ。今調子がかなり上がっている。ボルテージが上がりアドレナリンがドパドパ。もう凄い。モチベーションが最高潮で目がキマっていた。
とは言え、ファフニールも這い出てきたのでここからが問題だ。俺も動かざるおえなくなるかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。
故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。
一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。
「もう遅い」と。
これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
外れスキル【アイテム錬成】でSランクパーティを追放された俺、実は神の素材で最強装備を創り放題だったので、辺境で気ままな工房を開きます
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティで「外れスキル」と蔑まれ、雑用係としてこき使われていた錬金術師のアルト。ある日、リーダーの身勝手な失敗の責任を全て押し付けられ、無一文でパーティから追放されてしまう。
絶望の中、流れ着いた辺境の町で、彼は偶然にも伝説の素材【神の涙】を発見。これまで役立たずと言われたスキル【アイテム錬成】が、実は神の素材を扱える唯一無二のチート能力だと知る。
辺境で小さな工房を開いたアルトの元には、彼の作る規格外のアイテムを求めて、なぜか聖女や竜王(美少女の姿)まで訪れるようになり、賑やかで幸せな日々が始まる。
一方、アルトを失った元パーティは没落の一途を辿り、今更になって彼に復帰を懇願してくるが――。「もう、遅いんです」
これは、不遇だった青年が本当の居場所を見つける、ほのぼの工房ライフ&ときどき追放ざまぁファンタジー!
魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。
名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。
絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。
運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。
熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。
そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。
これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。
「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」
知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる