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6章
第67話 エクレアの圧勝
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ホブゴブリンがどうしてこんなことになったのか。俺は雑魚相手に戦っていたので、当然知る由もない。
そこでエクレアに聞いてみようと思った。
しかし声を掛けていい雰囲気じゃなくて、俺は声を掛けるのを躊躇う。
「私の勝ちだよ。これ以上抵抗の余地があるかな?」
「何をした。どうしてこの俺が、お前みたいな女に!」
「えっ? うーん、私が君よりもちょっとだけ強かったからかな?」
いいや、それは理由としてはあまりに弱すぎる。ぶっちゃけ言い訳にもならないし、ホブゴブリンからしてみても納得がいかないだろう。
しかし理由なんてどうだっていい。
エクレアは戦意喪失したホブゴブリンを見逃すわけもなかった。
「それじゃあごめんね。えいっ!」
可愛らしく声出しをしても無駄だ。エクレアは太陽の聖剣を心臓部に振り下ろし、ホブゴブリンを倒してしまった。一際大きくて煌びやかな魔石が転がって、エクレアは手に取って見せた。
「ふぅ。あれ、カイ君も終わったの? 速かったね」
「速かったねじゃないだろう。何が起こったんだ」
「何がって、うーん……何にも起こってないよ?」
「そういう話じゃない。堂宇やってコイツを倒したんだ」
俺はホブゴブリンの魔石を指さして、エクレアを問い詰めた。
するとエクレアは商社の余裕と言うのか余韻に浸っているとでも言いたいのか、ちょっとだけ天井を見上げて考えるように話し出した。
「えっとねー。特に変なこともしてないんだけどさー……」
私はホブゴブリンを相手にすることになった。
せっかくカイ君に任されたんだもん。全力で相手をしないと悪いよね。
そう思った私は早速借りた剣を使って戦ってみることにした。
先制するのは当然私だ。私が先手を貰った。
「それじゃあ私から行くね」
「がはっ! こんな痩せた女に俺が倒されると思っているのか?」
「もちろん倒すよ。倒さないと帰れないもんね」
そう言うと私は《黄昏の陽射し》を発動した。
全身に魔法をかけて身体能力を上げると同時に、太陽の聖剣も真っ赤に燃え盛る。
これで私は太陽を完全に味方に付けた。
この間みたいに暴走してカイ君の手を借りなくても済むように、練習の成果を出してみる。
「速いっ! この俺の目が追い付けないだと」
「せーのっ!」
私はホブゴブリンの前から姿を消した。瞬間移動でもしたと勘違いしているのか、ホブゴブリンは私の姿を捜している。
しかしそう簡単に見つかるわけもなく、私が背後を取ると早速背中に太陽の聖剣を叩きつけた。ホブゴブリンに痛みが走ったが、振り向いて反撃を食らう前に私は正面に移動していた。
「ちょこまかと逃げやがって。この野郎!」
「野郎じゃないよ」
私はブーツの硬いつま先でホブゴブリンのお腹を蹴飛ばした。
そしてら丁度鳩尾に入ったみたいで、とっても痛そうにお腹を押さえている。
「な、何だこの女は。どこにこんなパワーが!」
「喋っている余裕があるんだね。それじゃあまずは……その余裕を消し飛ばすよ」
私は容赦なく光を展開した。
極太のレーザー光線がホブゴブリンの全身を襲う。
体中に大きな穴が空いて、体が完全に痛みを堪えきれなくなった。
膝をついてしゃがみ込んでしまうと、私は好機と見て仕留めに掛かった。
「それじゃあカイ君。この剣借りるよ!」
私が受け取った剣、光剣は凄まじく軽かった。
重さがない分カイ君とは相性が悪い。私はそう思ったが、逆にそれ以外に欠点がないので助かった。だってこの剣、軽い分乱暴に扱っても大丈夫だから。
「トライアングル。それから連続突きだよ!」
エクレアは《黄昏の陽射し》を使って、トライアングルを形成するとホブゴブリンの体を覆った。
三点でしっかりと拘束されたホブゴブリンは身動きを取ることができず、私の連続突きをかわすことができない。
「はぁはぁ……何だ、このパワーは。何だこの熱い光は!
「私の拘束から抜け出そうなんてそう簡単にはできないよ。だから拘束を解く前に!」
私は反撃されないように注意深く関節を狙った。
ホブゴブリンの腕や足が動かせなくなると、次第に元気をなくしてしまい完全に戦意を削がれてしまっていた。自分がどうしてこうもあっさり手も足も出ないのか。ホブゴブリンは考えているようだが、そんな無駄なことを抱いている余裕も無くなってしまった。
「強すぎる……お前は強すぎるぞ」
「強くないよ。私は、全然強くないよ」
エクレアは謙遜していたが、ホブゴブリンはあまりの闘気に当てられてしまった。
「って感じかな?」
「どこが強くないだ。お前、そんな離れ業もできたのか」
「ま、まあね。でも、そんなに強くないんだよ!」
「それはお前が太陽だから光を貫通するだけだ。普通の奴と一緒にするな!」
「酷い。それじゃあ私が普通じゃないみたいに聞こえるよ!」
「当たり前だ。お前のどこが普通なんだ。俺はお前が普通だとは一度も思ったことがない」
俺ははっきりを言いきった。
エクレアは間違いなく敵に回してはいけない。その並々ならぬ精神力もそうだが。単純に剣士として魔法使いとして、適性が有り余っているのだから。きっと敵に回れば俺もこんな目に遭う……ゾッとして声も出なかった。
そこでエクレアに聞いてみようと思った。
しかし声を掛けていい雰囲気じゃなくて、俺は声を掛けるのを躊躇う。
「私の勝ちだよ。これ以上抵抗の余地があるかな?」
「何をした。どうしてこの俺が、お前みたいな女に!」
「えっ? うーん、私が君よりもちょっとだけ強かったからかな?」
いいや、それは理由としてはあまりに弱すぎる。ぶっちゃけ言い訳にもならないし、ホブゴブリンからしてみても納得がいかないだろう。
しかし理由なんてどうだっていい。
エクレアは戦意喪失したホブゴブリンを見逃すわけもなかった。
「それじゃあごめんね。えいっ!」
可愛らしく声出しをしても無駄だ。エクレアは太陽の聖剣を心臓部に振り下ろし、ホブゴブリンを倒してしまった。一際大きくて煌びやかな魔石が転がって、エクレアは手に取って見せた。
「ふぅ。あれ、カイ君も終わったの? 速かったね」
「速かったねじゃないだろう。何が起こったんだ」
「何がって、うーん……何にも起こってないよ?」
「そういう話じゃない。堂宇やってコイツを倒したんだ」
俺はホブゴブリンの魔石を指さして、エクレアを問い詰めた。
するとエクレアは商社の余裕と言うのか余韻に浸っているとでも言いたいのか、ちょっとだけ天井を見上げて考えるように話し出した。
「えっとねー。特に変なこともしてないんだけどさー……」
私はホブゴブリンを相手にすることになった。
せっかくカイ君に任されたんだもん。全力で相手をしないと悪いよね。
そう思った私は早速借りた剣を使って戦ってみることにした。
先制するのは当然私だ。私が先手を貰った。
「それじゃあ私から行くね」
「がはっ! こんな痩せた女に俺が倒されると思っているのか?」
「もちろん倒すよ。倒さないと帰れないもんね」
そう言うと私は《黄昏の陽射し》を発動した。
全身に魔法をかけて身体能力を上げると同時に、太陽の聖剣も真っ赤に燃え盛る。
これで私は太陽を完全に味方に付けた。
この間みたいに暴走してカイ君の手を借りなくても済むように、練習の成果を出してみる。
「速いっ! この俺の目が追い付けないだと」
「せーのっ!」
私はホブゴブリンの前から姿を消した。瞬間移動でもしたと勘違いしているのか、ホブゴブリンは私の姿を捜している。
しかしそう簡単に見つかるわけもなく、私が背後を取ると早速背中に太陽の聖剣を叩きつけた。ホブゴブリンに痛みが走ったが、振り向いて反撃を食らう前に私は正面に移動していた。
「ちょこまかと逃げやがって。この野郎!」
「野郎じゃないよ」
私はブーツの硬いつま先でホブゴブリンのお腹を蹴飛ばした。
そしてら丁度鳩尾に入ったみたいで、とっても痛そうにお腹を押さえている。
「な、何だこの女は。どこにこんなパワーが!」
「喋っている余裕があるんだね。それじゃあまずは……その余裕を消し飛ばすよ」
私は容赦なく光を展開した。
極太のレーザー光線がホブゴブリンの全身を襲う。
体中に大きな穴が空いて、体が完全に痛みを堪えきれなくなった。
膝をついてしゃがみ込んでしまうと、私は好機と見て仕留めに掛かった。
「それじゃあカイ君。この剣借りるよ!」
私が受け取った剣、光剣は凄まじく軽かった。
重さがない分カイ君とは相性が悪い。私はそう思ったが、逆にそれ以外に欠点がないので助かった。だってこの剣、軽い分乱暴に扱っても大丈夫だから。
「トライアングル。それから連続突きだよ!」
エクレアは《黄昏の陽射し》を使って、トライアングルを形成するとホブゴブリンの体を覆った。
三点でしっかりと拘束されたホブゴブリンは身動きを取ることができず、私の連続突きをかわすことができない。
「はぁはぁ……何だ、このパワーは。何だこの熱い光は!
「私の拘束から抜け出そうなんてそう簡単にはできないよ。だから拘束を解く前に!」
私は反撃されないように注意深く関節を狙った。
ホブゴブリンの腕や足が動かせなくなると、次第に元気をなくしてしまい完全に戦意を削がれてしまっていた。自分がどうしてこうもあっさり手も足も出ないのか。ホブゴブリンは考えているようだが、そんな無駄なことを抱いている余裕も無くなってしまった。
「強すぎる……お前は強すぎるぞ」
「強くないよ。私は、全然強くないよ」
エクレアは謙遜していたが、ホブゴブリンはあまりの闘気に当てられてしまった。
「って感じかな?」
「どこが強くないだ。お前、そんな離れ業もできたのか」
「ま、まあね。でも、そんなに強くないんだよ!」
「それはお前が太陽だから光を貫通するだけだ。普通の奴と一緒にするな!」
「酷い。それじゃあ私が普通じゃないみたいに聞こえるよ!」
「当たり前だ。お前のどこが普通なんだ。俺はお前が普通だとは一度も思ったことがない」
俺ははっきりを言いきった。
エクレアは間違いなく敵に回してはいけない。その並々ならぬ精神力もそうだが。単純に剣士として魔法使いとして、適性が有り余っているのだから。きっと敵に回れば俺もこんな目に遭う……ゾッとして声も出なかった。
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