武器屋無双〜どんな武器でも作れる【武器屋】の俺、勇者パーティーを追放されたのでやけに明るい最強ヒロインとパーティー組んで無双してしまった!?

水定ゆう

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8章

第94話 ガーゴイルを討伐しても…

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 俺たちはガーゴイルを無事に討伐した。
 結局魔像の正体は自らの魔法で石化していたガーゴイルで、何の警戒もせずに調査すると簡単に命を落としてしまう。
 それがあの遺跡の総評だと、俺は思った。

「それで、こんな感じでいいのか?」

 俺は冒険者ギルドで今回の結果を報告した。
 報告を聞いたパフィは表情を曇らせている。

 それもそのはず、最初調査に向かった冒険者たちは残念ながら命を落としている。
 死体は布でくるんでから持ち帰り、冒険者ギルドに運んだ。
 今は火葬か土葬か。冒険者ギルドの何かしらの配慮で埋葬されているはずだ。

「……」
「おい如何した。元気がないぞ」

 俺はパフィに声をかけた。
 いつも通りのラフな加減で話しかけたのだが、パフィの表情はやはり暗いままだ。

「あっ、えっと。お疲れさまでした、カイさん」
「それはもう聞いた。それで俺からの報告は異常だが、これで満足か?」
「はい。ありがとうございました。こちらが報酬になります」
「そうか……残りはアイツらに渡しておいてくれ」

 俺は麻袋を受け取ると、中から俺の取り分だけを取り出した。
 残りはエクレアたちに渡してもらうようにパフィに頼むと、何食わぬ顔で帰ろうとする。
 しかしパフィは俺のことを引き止めた。

「あの、それだけなんですか?」
「それだけとは何だ?」
「今回のガーゴイルとの一件で冒険者さんたちが4人も亡くなられました。何も感じたりは……」
「しない」

 俺はきっぱりと言い切った。
 何故なら俺とは無関係の人間で、どこかで顔ぐらいは見たことがあるかもしれないが、それ以上でもそれ以下でもない関係だ。

 つまるところ俺には何の因果もない。
 それに死んだのは自分たちのせいで、ガーゴイルが手を加えた訳でもない。
 人間が仕掛けた罠を人間が踏んでしたんだ。因果応報だ。

「人間が死んだ。それだけの話だろ」
「同じ冒険者さんですよね?」
「だから如何した? 冒険者は常に死と隣り合わせの生き物だ。その道を歩み続ける限り、油断した奴が弱いだけに奴が負ける。ただそれだけの話だろ」

 俺の口は表情を変えることなく、一切の躊躇いもなく、冒険者とは何かを口にした。
 俺の考え方は結局変わっていない。
 そこから何を見出して何を楽しいと思うか。その刹那的な時間の流れを空虚に過ごすか、楽しむか。どちらかでしかない。

「パフィさん。アンタも冒険者ギルドの職員なら死んでいった冒険者の顔を全て覚えているとでもいうのか?」
「いいえ。残念ですが……」
「そういうもの。そういうものとして生きている時間を味わうのが生きやすいと思うぞ」

 王都でわかったことがある。
 勇者パーティーと言う枷をはめられて、自由を奪われたかつての仲間たちのことを思い出す。

 リオンは頑張りすぎていた。
 フレアは苛立ちをバレットはそこから笑いを、そしてマーリィは……言うまでもないか。

「とにかくだ。悲しんでいる暇があるなら生きている奴のことを考えろってことだ」
「割り切っていますね。ですが、それは正しいことです」
「どう捉えるかは本人次第だ。もういいな、俺は行くぞ」

 俺はパフィにそう言い残すと、ポケットに手を入れて冒険者ギルドを後にした。
 外は青空。幾つもの雲が浮かんでいて、俺はぼーっと眺める。

「さてと、今日は如何するか」

 適当な店にでも入って飯を食うか。
 そう思ったのも束の間。俺は聞き覚えのある声に呼び止められた。

「おーい、カイくーん!」
「はぁ」

 俺は溜息を零した。
 するとエクレアは頬を膨らませて不満を募らせる。

「ちょっとちょっと。如何して出会って早々に溜息を吐くの!」
「お前たちだからだ」
「ちょっと待ってよ。またお前たちって言ったね」
「言ったが何か?」
「こんなに可愛いんだよ。それなのに、そんな言い方はどうかと思うけどなー」

 エクレアは自分で自分が可愛いと言った。
 俺はドン引きしてしまい、ついこめかみを抑える。

「お前、自分で自分を可愛いとか言うタイプか。キモいな」
「うわぁ、偏見だ」
「偏見だが何か?」

 俺は悪びれることはしない。あくまでも俺の価値観だからだ。
 しかしエクレアは急に隣にいたショコラに抱きついた。
 嫌がる様子もなく、ただそこに突っ立っているだけだ。

「可愛いのは私じゃなくて、ショコラちゃんだよ」
「ああ、なるほどな。それで、当の本人はまるで嬉しそうじゃないんだが……気のせいか?」
「気のせいじゃない。別にどうでもいいこと」

 ジト目になった半月状の目が退屈を表現していた。
 それどころかエクレアに抱きつかれてこれほどまで大人しいとは。
 もしかするとショコラも慣れて来たのか。

「ショコラは平気か?」
「朝からキィーキィーうるさかった。だけどもう慣れた」
「ほぉ。慣れたのか」
「機械音だと思えばどうということはない。それより、カイは如何したの?」

 ついにショコラもその技をマスターしたのか。
 俺は感心するとともに質問されたので、特に誤魔化すことはしなかった。

「この間の報告だ」
「この間? ああ、ガーゴイル」
「そうだ。お前たちは報告したのか?」
「今からだよ! それじゃあカイ君、また後で3人でご飯食べに行こうね。約束だよ!」

 一方的な約束を突きつけられてしまった。
 とは言え暇にしていたので今回は了承すると、エクレアたちは冒険者ギルドに入った。
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