1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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フェンリル編

673.赤い髪の島長

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 冒険者ギルドに突然現れた男性。
 赤い髪をしており、魔力も強い。
 おまけにギルドマスターのゴードと知り合いらしい。
 一体誰なのか。ルカは顔をジッと見た。

「君が、噂の少女かい?」
「噂の少女……誰のこと?」

 ルカは後ろを振り返った。
 そこにはレジェが立っている。
 確かにレジェは幼い感じの声をしているが、それでも立派な女性。
 多分二十歳くらいで、少女ではない。

「君のことだよ」
「君?」

 ルカはゴードに視線を飛ばす。
 何処が“少女”なのかは分からない。
 もしかすると、変身魔術でも使っているのだろうか?
 そんな感じはしないが、ゴードが先にツッコんでくれた。

「俺じゃねぇぞ」
「ってことは、一体誰のこと?」
「アンタだ」
「……ああ、私か」

 ここまでとぼけては来たものの、やはり私だったか。と、ルカは自分を指さす。
 ここに来ての新キャラ。正直、これ以上増えて欲しくはない。
 ルカは早速溜息が出そうになるも、一旦息を止めた。
 初対面スタートで溜息を吐くのは、最低だと分かっている。

「そうだよ、君だ。君が噂の少女だね」
「噂が分からないけど」
「あはは、謙遜のし過ぎだよ。絡んで来た冒険者を決闘で返り討ちにしたんだってね。直接は見ていないけど、町中では噂が広まっているよ」

 一体どんな噂なのだろうか?
 ルカは期待していないが、案の定だった。
 まさかもう噂が広まっているなんて。村を母体にしたとはいえ、千年経っても、この町の規模は小さいまま。それが貿易の拠点ともなれば、情報の出回りは早く、広がりもそれ以上だ。

「困るな。あまり噂にはなって欲しくなかったんだけど……」
「つまり、君が噂の少女みたいだね」
「分かって訊いたんじゃないの?」
「ある程度の推測はしたよ。でも、僕はこの目で直接見た訳じゃないからね」

 赤髪の男性は不思議な雰囲気を放っていた。
 ルカのことを見透かしたような言い回しをする。
 けれどルカの前では敵わない。ここまでは想定内の動きだ。

「噂ね。それで、そんな根拠もない噂に踊らされてどうするの?」
「挑発が上手いね」
「そんなつもりはないよ」

 別にルカに挑発のつもりはない。
 けれどルカの言葉を挑発だと勘違いしている。
 それはそれでよし。赤髪の男性を上手く誑かしてみる。

「僕は君に興味があるんだ。冒険者を相手取る、君の実力がね」
「実力なんて無いよ」
「なに言ってんだ、アンタ。俺より強いじぇねぇか」
「まさか。勘違いも甚だしいね」

 ルカは同時に二人の人間を挑発した。
 赤髪の男性とゴードを黙らせると、ルカの強さを遺憾なく発揮。
 怖いもの知らずなルカの行動に、冒険者や職員達は震える。

「ルカさん、言い過ぎですよ」
「レジェ、私も分かっているよ」

 あまりにも暴挙が過ぎるルカに、レジェは注意する。
 しかしルカはそんな注意なんて一切聞かない。
 何せここまでルカの作った流れだった。

「よせ、レジェ。アンタのペースに乗せられてたまるかよ」
「もう乗ってるけどね」
「クッ……確かにそうだが」

 ゴードは何も言い返せなかった。
 ルカを前に、自分の様なちっぽけな人間の行動は、全て理解の範疇。
 つまり何をしても上手く躱されると分かり切っているせいか、悔しくも無かった。

「あはは、やっぱり君は面白いね」

 赤髪の男性は笑い出した。
 ルカが想像以上に食わせ者だと分かったからだ。
 こんなにも面白い相手が赤斜に居るなんて。実際にこの目で見られてよかった。

「本当に気に入ったよ。どうかな? ここで会ったのもなにかの縁」
「縁って、追い掛けて来たんだよね?」
「そこ前バレているんだね」

 完全にストーカーになっている。
 ルカも痕跡は残した……つもりはないが、噂の伝達は早い。
 ここは貿易の拠点だと思い知らされた。

「はぁ。話に混ざりたいってことかな?」
「それはいいね」
「……仕方ないか」
「ってことは、了承は得られたってことだね」

 赤髪の男性は、追って来た甲斐があった顔をした。
 薄っすらと笑みを浮かべるが、ルカは睨み付ける。
 まだ試し切れていない。忘れてはいけない情報で、首輪を作っていない。

「その前に、一ついいかな?」
「ん? なにかな」

 ルカは話に混ぜる前に、一つ大事な確認をしなくてはいけなかった。
 それこそ、密猟に関しての話だ。
 人海戦術も視野に入れるとして、あまり情報漏洩を招きたくない。
 最悪後で叩きのめせるようにと、名前だけ訊ねる。もちろん嘘は通させない。

「貴方、名前は?」
「ああ、これは失礼したね。自己紹介がまだだったよ」

 そう言うと赤髪の男性は胸に手を当てる。
 キリッとした目を見せつけると、ルカに名前を明かした。

「僕はアカイチ・リュマミール。この島の長をしている者だよ」
「長?」
「そう、僕は代々続く、アカイチ家の家系。この島の島長だ。よろしくね、お嬢さん」

 赤髪の男性=リュマミールはニコリと微笑む。
 流石にこれにはルカも絶句。
 もちろん笑顔を浮かべられたことにではなく、相手がまさかあの老爺の子孫だとは、想像はしていたものの、やはりインパクトが強すぎた。
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