1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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フェンリル編

690.原因究明しましょうか

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 フェンリルの話の全容をある程度聞いたルカ。
 これから如何するべきか。冷静に考える。

「それで、これからどうするのかな?」
「ドウスルトハ?」
「このままフェンリルがこの島に棲むとしても、密猟者が大勢いるのは面倒だよね?」

 ルカはフェンリルに訊ねた。
 これから長くこの島に棲むとしても、密猟者が台頭するのは邪魔だ。
 モンスターの活動範囲に大勢人が居るのは、相当なストレスになるだろう。

「ソレハ……」
「当然だよね。はぁ、原因を究明しようか」

 ルカは大きな溜息を付いてしまった。
 ここまで来た以上、もはや退く訳にも行かない。
 腕を組んで原因を究明することにした。

「ゲンイン?」
「そうだよ。この島で起こっている密猟には、必ず原因がある筈だよ。それを究明しない限り、密猟は際限なく続くよ」

 恐らくは土地に原因がある筈だ。
 しかし根本たる原因は分からないので、それを究明しない限り、密猟は今後も続く。
 お金に飢えた亡者達が忙しなく訪れるだろうと、容易に想像できた。

(とは言え、需要と供給を超えたら、止まるとは思うけど)

 そうなるまでには相当時間が掛かる筈だ。
 ルカはこれ以上、この島で密猟をさせないために、面倒だが動くことにした。

「ゲンインガキュウメイデキルノデスカ?」

 フェンリルはルカのことを疑っていた。
 もちろん、ルカの強さは身に沁みている。
 けれどそれとこれとでは分野が違っていた。どうせ無理な話だと割り切っている。

「もちろんだよ。できないのなら、できるようにするだけだからね」

 ルカの心は決まっていた。絶対に折れない芯を持っていた。
 フェンリルはその言葉に感化されると、ルカに訊ねる。

「ソレデハナニヲスルノデス?」

 そこまで豪語するのなら、何か策があるのではないか。
 そう思うのが普通で、フェンリルはルカに期待する。
 寄せられても困るのだが……ルカは早速試してみる。もちろん、強力……ではない、基礎的な魔法だ。

「それじゃあとりあえず……足りるかな? 《サーチ》

 ルカは魔法を唱えた。
 最近は使っていなかったが、上手く出来るか心配だ。
 そんな心の面持ちではあったが、得意なので《サーチ》を唱える。

 頭の中にルカを中心として地図が想い描かれる。
 あくまでも平面的に、周囲一帯を調べる。
 魔力が飛ぶと、それがレーダー波となり、周囲にいる“何かしら”を捉えようとする。

「《サーチ?》デスカ。サスガニソレデハ」

 フェンリルは《サーチ》の魔法の便利さを知っていた。
 けれど《サーチ》は練度と精度が安定しない。
 近くのものに対しては絶大だが、それ以外においてはあまり使われない……という、千年前の知識で考えていた。

 もちろんそんな古臭いもの、既に逸脱したルカには通用しない。
 頭の中に広がるのは、赤壱島の情景。
 あくまでも平面的なのは変わらないが、建物の配置やモンスターの動き、ましてや魔力の流れまで読み取る。

 滲んだ汗がユックリ流れる。ルカでさえ集中しているので疲れるのだ。
 それを判った上で約五分間、念入りに探知する。
 すると島のある個所に、異様な魔力反応を感じた。

「見つけた」

 スッと瞼を開いたルカ。その目は確かに場所を特定していた。
 まだ完全とは言えないが、とりあえずの目星だ。
 ルカは善は急げと、フェンリルに提案した。

「フェンリル、気になる場所が見つかったよ」
「ホントウデスカ?」
「うん。ここから少し離れているけどね」

 《サーチ》を唱えた場所もよかった。
 赤壱島の中心に位置している赤斜山。中腹ではあるが、中心には変わりない。
 その結果、少し北西寄りの場所に、違和感があることに気が付いたのだ。

「とりあえず、行ってみることにするよ」

 ルカは意識を研ぎ澄ました。ようやく解放されたものの、このままの調子を崩さない。
 《サーチ》の魔法を唱え、周囲一帯を調べ尽くす。汗はベットリしている。
 その中でも、特に違和感の感じた場所に、早速行ってみることにした。

「イッテミル、デスカ?」
「もちろん、だからフェンリルは安全な場所に身を潜めて……ん?」

 ルカはフェンリルの身を案じた。
 下手に動くと、せっかく完璧に治した傷がまた開くかもしれない。
 もしくは、密猟者に狙われる可能性だってある。
 色々心配を危惧した上で、隠れて貰うことにしたのだが、フェンリルはルカの服を噛み付いた。

「どうしたの?」
「ワタシモイキマス」
「えっ?」

 フェンリルは自ら進んで前に出た。
 ルカの服の裾を噛むと、ルカに付いてくることを選んだ。

「正気、フェンリル?」
「モチロンデス。コノママダマッテイルコトナドデキマセン」

 流石にフェンリルにも譲れないことはある。
 ここは強情になってでも、ルカに付いて行くことにする。
 その意図を汲むと、ルカは笑みを浮かべた。

「分かった。それじゃあ……《フライ》」

 ルカは宙に舞い上がった。
 障害物なんて邪魔だ。亜空間を使うにしても地点ポイントを決めていない。
 このまま空から一直線に向かう。

「ト、トンデイル?」
「フェンリルは地上からユックリ来てよ。先に私が先行するからね」

 そう言い残すと、ルカはフェンリルを置いて行った。
 フェンリルが来る前に、調べ尽くしておいた方がいい。
 少しでも負担を減らしてあげようと、意味のない寧ろ逆効果な気遣いをルカは見せ、先に目的地に飛んだ。
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